信託法 第69条(信託財産管理者の義務等)
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信託財産管理者は、その職務を行うに当たっては、受託者と同一の義務及び責任を負う。
この条文の基本情報
信託財産管理者の義務等とは何ですか?
定義信託財産管理者の義務等とは、信託法第69条に定められた規定で、「信託財産管理者は、その職務を行うに当たっては、受託者と同一の義務及び責任を負う。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 信託法第69条(信託財産管理者の義務等)は、日本の信託法に含まれる条文です。
- 信託法第69条の条文原文は「信託財産管理者は、その職務を行うに当たっては、受託者と同一の義務及び責任を負う。」で始まります。
- 信託法第69条は第四款 信託財産管理者等に置かれています。
- 信託法の公布日は平成18年12月15日です。
- 信託法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 信託法第69条の前の条は信託法第68条です。
- 信託法第69条の次の条は信託法第70条です。
- 信託法第69条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
信託法(平成十八年法律第百八号)第69条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/418AC0000000108 - 本サイト収録
信託法(平成十八年法律第百八号)第69条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/418AC0000000108/69
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点信託法69条は、信託財産管理者が職務を行う際、受託者と同一の義務及び責任を負うと定める。善管注意義務や忠実義務に違反すれば損失てん補責任を負う。
Q · 裁判所が選んだ信託財産管理者って、本来の受託者より責任が軽いの?
軽くならない。受託者と同一の義務と責任を負う
信託法69条により、信託財産管理者は職務を行うに当たり受託者と同一の義務及び責任を負います。善管注意義務(29条)、忠実義務(30条)、利益相反行為の制限(31条)、分別管理義務(34条)、帳簿等の作成義務(37条)などが一式で及び、違反すれば受託者と同じく損失てん補・原状回復の責任(40条)を問われます。請求の相手は選任した裁判所ではなく、管理者本人です。
解説
受託者がいなくなった信託では、財産を見る人が一時的にいなくなる。受託者が辞任・解任されたり、破産手続開始決定を受けたりして、新しい受託者がまだ決まっていない状態である。この空白を埋めるため、裁判所は利害関係人の申立てを受けて信託財産管理者を選任できる(信託法63条、64条)。実務では弁護士が選ばれることが多い。ここで大事なのは、この人が「つなぎの留守番」だから責任も軽い、とは限らないことだ。本条は、信託財産管理者に受託者とまったく同じ義務と責任を負わせている。具体的には、善管注意義務(プロとして当然払うべき注意のレベル、29条)、忠実義務(受益者の利益だけを考える義務、30条)、利益相反行為の制限(31条)、分別管理義務(自分の財産と混ぜない義務、34条)である。違反すれば、受託者と同じように損失てん補や原状回復の責任(40条)を問われる。つまり、あなたが受益者なら、管理者が交代する空白期間に保護の空白は生じない。この一点を知っているかどうかで、空白期間に起きた損失を諦めるか、取り戻しにいくかが分かれる。
法的な位置づけ
信託法第69条は、受託者の任務終了後に信託財産管理命令(同法63条)により選任される信託財産管理者について、その職務遂行上の義務及び責任を受託者と同一とする規定である。善管注意義務(29条)、忠実義務(30条)、利益相反行為の制限(31条)、分別管理義務(34条)及び損失てん補責任(40条)等が適用対象となる。
手順
- 1.選任通知を受けたら就任時の財産状態を確認 信託財産管理者の選任を知ったら、受益者として就任時点の財産目録と帳簿の開示を書面で求める。前受託者時代の損失と管理者在任中の変動を切り分ける基準点になる
- 2.定期的に事務状況の報告を求める 受託者と同一の報告義務・帳簿作成義務が及ぶため、家賃入金、修繕、支払いの状況を定期的に確認する。分別管理されているか(口座が管理者の事務所口座と分かれているか)も確かめる
- 3.裁判所の許可申立て段階で意見を出す 管理者が不動産売却など保存行為を超える行為について裁判所の許可(66条4項)を求めたら、許可前に相場資料や反対意見を裁判所へ提出する。事後に争うより少ない労力で結果を左右しやすい
- 4.義務違反があれば差止め・損失てん補を請求 不当な処分の兆しがあれば差止め(44条)を検討し、損失が生じた後なら損失てん補・原状回復(40条)を管理者本人に請求する。時効(民法166条、信託法43条)の起算点に注意し、早めに弁護士へ相談する
よくある質問 AI による整理
Q1信託財産管理者とは何ですか?
受託者がいなくなり新受託者が決まらない間、裁判所の信託財産管理命令(信託法63条)で選任され、信託財産の管理処分を担う人です。
Q2信託財産管理者には誰が選ばれますか?
裁判所が選任します(64条)。家族などの希望で決まるものではなく、実務では弁護士が選ばれることが多いとされます。
Q3信託財産管理者の報酬は誰が払いますか?
信託財産から支払われます(71条)。結果として受益者が受け取る財産が減るため、後継受託者を事前に決めておく意味があります。
Q4信託財産管理者はいつまで管理を続けますか?
新受託者が選任され、事務を引き継ぐまでのつなぎ役が基本です。終了時期や手続の細部は個別の事件で確認が必要です。
Q5信託財産管理者に帳簿を見せてもらえますか?
受託者と同一の義務を負うため、受益者は受託者に対するのと同じく帳簿の閲覧や事務状況の報告を求めることができます(36条、38条、69条)。
Q6信託財産管理者が義務違反したら誰に請求しますか?
原則として信託財産管理者本人です。選任したのが裁判所でも、損失てん補・原状回復の責任(40条)を負うのは管理者個人です。
Q7信託財産管理命令は誰が申し立てられますか?
利害関係人です(63条)。受益者、委託者、信託財産の債権者などが、受託者不在で困っている状況を裁判所に申し立てます。
Q8信託財産管理者が不動産を売るには許可が必要ですか?
保存行為などの範囲を超える行為には裁判所の許可が必要です(66条4項)。許可なく売却を進めること自体が問題になりえます。
この条文についての質問 AI による整理
Q1家族信託で兄が受託者を辞めたら、勝手に弁護士がつくんですか?
勝手にはつかない。受託者の任務が終わり、新受託者が決まらないときに、利害関係人が申し立てて裁判所が信託財産管理命令を出す(63条)。選ばれた管理者は受託者と同一の義務を負う(69条)。実務のポイント:信託契約に後継受託者を書いておけば、この手続を避けられることが多い。管理者の報酬は信託財産から出る(71条)ので、何も書かなかった代償は家族の財産で払うことになる
Q2管理者が実家を安く売っちゃったら、取り返せますか?
善管注意義務や忠実義務に違反していれば、受託者の場合と同じく損失てん補・原状回復を請求できる(40条、69条)。買主側から取り戻せるかは、相手方の事情によって別に判断される(31条などの効果、要確認)。実務のポイント:管理者が裁判所の許可を得て売ったかどうかで、争い方がまったく変わる。最初に許可記録を確認する
Q3信託契約で受託者の注意義務を軽くしていたら、管理者にもそれが適用されますか?
29条2項ただし書により、信託行為で受託者の注意義務の水準を変えることはできる。ただ、裁判所が選任した管理者に契約上の軽減がそのまま及ぶかについては、実務上、解釈が分かれうる。実務のポイント:「同一の義務」の範囲を争点にすると、管理者側の代理人も見落としやすい弱点を突くことになる。軽減条項がある信託では、早い段階から論点として立てておく価値がある
間違えやすい点 AI による整理
- 「裁判所が選んだ人なら、何かあっても国や裁判所が責任を取る」と思われがちだが、本条が責任を課している相手は管理者本人である。損失てん補の請求先は原則として信託財産管理者個人で、裁判所ではない。選任したのが裁判所だということと、誰が賠償するかは別の問題である
- 「善管注意義務を負う」までは知っていても、忠実義務・利益相反の制限・分別管理義務・帳簿作成義務(37条)まで一式で引き継がれることは見落とされやすい。「同一の義務」という短い言葉の中に、受託者規律の束がまるごと入っている。帳簿をつけていなかったことだけでも義務違反として争点になる
- 受益者の視点では「受託者がいない間は信託が止まっている」と見えるかもしれない。しかし法律上は、管理処分権が信託財産管理者に専属し(66条1項)、信託はそのまま動き続けている。止まっていると思い込んで監視をやめた受益者ほど、空白期間の処分に気付くのが遅れる
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 規律の対象者 | 信託法69条:裁判所が選任した信託財産管理者 | 信託法29条:受託者(善管注意義務) 信託法66条:信託財産管理者の権限 |
| 定める内容 | 義務及び責任を受託者と同一とする | 信託事務処理の注意水準(善良な管理者の注意) 管理処分権の専属と、保存行為等を超える行為の裁判所許可 |
| 違反時の効果 | 受託者と同じく損失てん補・原状回復責任(40条) | 損失てん補・原状回復責任(40条) 許可を欠く行為の効力・責任が別途問題になる |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾は新受託人の選任とあわせて法院が「必要な処分」をなしうると定めるが、日本のように管理者の義務を受託者と同一とする独立の明文は置いていない
韓国は2011年の全部改正で信託財産管理人の制度を整備しており、受託者不在時の管理の仕組みは日本と近い構造をとる
フランスのフィデュシーでは、受託者が義務に違反した場合などに裁判所へ仮の受託者(fiduciaire provisoire)の選任を求めることができる
米国の統一信託法典は受託者欠缺時の承継ルールを置き、裁判所が救済として special fiduciary を選任できるとする。採用状況は州ごとに異なる
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 家族信託で長男が受託者になり、実家と賃貸アパートを管理していた。その長男が辞任し、後任をめぐって兄弟で揉めて誰も決まらない。家賃の入金先も修繕の判断も宙に浮いたので、次男が裁判所に申し立て、弁護士が信託財産管理者に選ばれた。この弁護士が修繕を放置して雨漏りを広げたら、次男は受託者を責めるときと同じ根拠(40条)で賠償を求められる
- あなたが信託財産管理者に選任された弁護士だとする。管理中の不動産を、知り合いの不動産会社に相場より安く売ってしまった。善意のつもりでも、利益相反と善管注意義務違反の両方を指摘されうる。しかも66条4項により、保存行為などの範囲を超える処分には裁判所の許可が必要で、許可なく進めること自体が別のリスクになる
- 信託財産管理者が管理している預金口座が、本人の事務所の口座と区別されていなかったら、受益者は何を主張できるのか。分別管理義務(34条)違反である。混ざったまま管理者の財産が差し押さえられれば、信託財産の範囲を特定するだけで長い争いになる
- 受託者だった会社に破産手続開始決定が出て、受益権の配当日まであと2週間しかない。新受託者の選任を待っていると支払いが止まる。信託財産管理命令の申立て(63条)は、空白期間の損失を食い止めるための最速の手段になりうる
取るべき行動
被害を受けた側:1. 受益者として信託事務の状況や帳簿の閲覧・報告を求める(36条、38条)。管理者にも同じ義務がかかる2. 選任時点の財産目録と現状を見比べ、目減りの時期と原因を特定する3. 不当な処分の兆しがあれば差止め(44条)を検討し、処分後なら損失てん補・原状回復(40条)を請求する4. 選任した裁判所に事情を伝え、解任の申立て(70条で準用する規定、要確認)も視野に入れる
訴えられた側:1. 就任直後に財産目録を作り、前受託者時代の損失と自分の在任中の変動を分けて記録する2. 保存行為などの範囲を超える行為は、必ず事前に裁判所の許可(66条4項)を得る。許可の記録は最大の防御材料になる3. 自分や関係者が関わる取引は避け、やむを得ないなら理由と相場資料を残す4. 請求を受けたら、損失と自分の行為の因果関係や、前受託者の責任を具体的に争う
時効(請求できる期限):本条に固有の時効はない。損失てん補責任などの債権には一般消滅時効(民法166条:権利を行使できることを知った時から5年、行使できる時から10年)が適用され、信託法43条に受益者の認識などに応じた時効の特則がある(具体的な起算点は要確認、最新の改正状況をご確認ください)
改正沿革 AI による整理
- 平成18年(2006年)信託法全部改正 現行信託法の制定にあわせて置かれた規定。信託財産管理命令の制度とともに、信託財産管理者の義務を受託者と同一とする旨を定めた。制定後の文言改正は確認されていない
改正の年表
- 1.平成18年(2006年) 新設:信託法全部改正により、信託財産管理命令の制度とともに新設。信託財産管理者の義務及び責任を受託者と同一とする旨を定めた
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