前二条の罪については、犯人又は逃走した者の親族がこれらの者の利益のために犯したときは、その刑を免除することができる。
要点刑法 105 条は、犯人蔵匿罪・証拠隠滅罪を犯人または逃走者の親族が本人の利益のために犯したとき、刑を免除できると定める。罪は成立し、免除は裁判所の裁量による任意的免除である。
Q · 逃げてきた家族をかくまったら、罪に問われずに済むの?
罪は成立するが、親族なら刑が免除されることがある
いいえ、罪自体は成立します。犯人蔵匿罪(刑法 103 条)や証拠隠滅罪(104 条)は家族でも成立し、有罪判決を受けて前科が残ります。ただし刑法 105 条により、犯人または逃走者の親族(民法 725 条)が本人の利益のために犯した場合、裁判所は刑を免除「することができる」とされています。これは義務ではなく裁量による任意的免除であり、隠匿が悪質だったり自分の保身が目的だと判断されれば免除されません。消えるのは刑罰だけで、有罪という事実は残ります。
深夜、警察に追われる弟が玄関先に立っていた。あなたは部屋へ入れ、しばらく泊めた。この瞬間、犯人蔵匿罪(刑法103条)は成立する。相手が肉親でも、だ。ところが105条がここで効いてくる。前二条(蔵匿と証拠隠滅)の罪を、犯人や逃走者の「親族」がその者の利益のために犯したとき、裁判所はその刑を免除「することができる」。注意すべき点が三つある。第一に、罪が消えるわけではない。あなたは有罪判決を受け、前科がつく。消えるのは刑罰の執行だけだ。第二に、「免除する」ではなく「できる」。義務ではなく裁判官の裁量であり、情状が悪ければ免除されない。第三に、対象は親族(民法725条、六親等内の血族・配偶者・三親等内の姻族)に限られ、しかも「その者の利益のため」でなければならない。自分の保身や第三者のためにかくまえば、この盾は最初から手に入らない。
刑法 105 条は、犯人蔵匿罪および証拠隠滅罪につき、犯人または逃走者の親族が本人の利益のために犯した場合に刑の任意的免除を認める規定である。期待可能性の減少を根拠とし、犯罪の成立自体は否定せず、刑罰の免除を裁判所の裁量に委ねる点に特徴がある。親族の範囲は民法 725 条による。
民法 725 条による親族、すなわち六親等内の血族・配偶者・三親等内の姻族です。法律上の配偶者は含みますが、内縁配偶者を含むかは解釈が分かれています。
無罪は罪が成立しないこと、刑の免除は有罪判決を前提に刑罰だけを科さないことです。105 条は後者で、有罪・前科は残り、資格の欠格事由などに波及する場合があります。
任意的免除は裁判所が裁量で免除「できる」もの、必要的免除は要件を満たせば必ず免除されるものです。105 条は任意的免除で、悪質な事案では免除されません。
罰金以上の刑にあたる罪を犯した者や拘禁中に逃走した者を、蔵匿し又は隠避させる罪です(刑法 103 条)。105 条はこの罪を親族が犯した場合の免除規定です。
証拠隠滅罪(刑法 104 条)も 105 条の対象です。親族が本人の利益のためにデータ削除などをした場合、刑が免除される余地がありますが、罪自体は成立します。
犯人蔵匿罪・証拠隠滅罪の公訴時効は 3 年です(長期 5 年未満のため刑事訴訟法 250 条)。105 条に独立の期間はなく、本体の罪の時効に従います。
違います。親族相盗例は窃盗罪での必要的免除、105 条は犯人蔵匿・証拠隠滅罪での任意的免除です。混同すると「親族だから当然免除」と誤解します。
免除されません。105 条は「その者(犯人本人)の利益のために」犯した場合に限られます。自分の保身や口裏合わせが目的だと、親族でも対象外です。
いいえ、罪には問われます。犯人蔵匿罪(103条)や証拠隠滅罪(104条)自体は成立し、あなたは有罪です。105条が認めるのは『刑の免除ができる』こと、つまり有罪判決のうえで刑罰だけが免除される可能性にすぎません。前科は残ります。業界裏話ヒント:弁護士は『無罪』と『刑の免除』を厳密に区別します。免除でも有罪判決なので、各種資格の欠格事由など波及が残る場合がある。『家族だからセーフ』と安心せず、有罪判決そのものの影響を確認するのが要です
ここは確実とは言えません。105条の『親族』は民法725条で定義され、法律上の配偶者は含みますが、内縁(事実婚)の配偶者を含むかは実務上、解釈が分かれています。類推適用を認める学説もあれば、否定的に解する立場もあります。業界裏話ヒント:戸籍上の婚姻があるかどうかで、105条という盾を使えるかが変わりうる。事実婚カップルは、この一点で法的地位が大きく違ってくる場面があると知っておくと、いざという時の判断が変わります
本人が他人に自分をかくまうよう頼む行為については、犯人蔵匿罪の教唆として本人を処罰できるかが議論され、判例は処罰を認める傾向にあります。一方、頼まれて応じた親族側は105条で刑の免除の余地があります。業界裏話ヒント:同じ一つの事件でも、頼んだ本人と、応じた親族とで法的な扱いが正反対に振れることがある。家族間で『口裏を合わせよう』と動く前に、誰がどう問われるかは立場ごとに全く違うと知っておくべきです
| dimension | thisArticle | alternatives |
|---|---|---|
| 免除の性質 | 刑法 105 条:任意的免除(裁判所の裁量で免除できる) | — |
| 対象となる罪・行為 | 犯人蔵匿罪(103 条)・証拠隠滅罪(104 条) | — |
| 適用の前提 | 親族が「犯人本人の利益のために」犯したこと | — |
| 罪の成立 | 成立する(有罪・前科は残る) | — |
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