第百九条第一項及び第百十条第一項に規定する物が自己の所有に係るものであっても、差押えを受け、物権を負担し、賃貸し、配偶者居住権が設定され、又は保険に付したものである場合において、これを焼損したときは、他人の物を焼損した者の例による。
要点刑法 115 条は、自己所有の建物等でも差押え・抵当権・賃貸・配偶者居住権・保険のいずれかが付くと、焼損した者を他人物放火と同じ刑で処断すると定める特例である。
Q · ローンや保険が残っている自分の家に火をつけたら、放火罪は軽くなるの?
自分の家でも抵当・保険付きなら他人物放火と同じ刑になります
刑法 115 条により、第 109 条 1 項・第 110 条 1 項の物が自己所有でも、差押え・物権負担・賃貸・配偶者居住権の設定・保険付保のいずれかに該当する場合は、焼損した者を他人の物を焼損した者の例により処罰します。本来軽いはずの自己物放火(109 条 2 項、110 条 2 項)の軽減が消滅し、住宅ローン中の自宅や火災保険付きの倉庫が典型的に該当します。保険金を請求すれば詐欺罪(246 条)が併合され、刑がさらに加重されます。
自分の物を燃やすのは自由だ、そう思っていないか。住宅ローンを払い終えていない自宅、火災保険をかけたままの倉庫、人に貸している空き家。これらに火をつけたとき、刑法 115 条はあなたを「他人の物を焼損した者」と同じ重さで裁く。なぜか。その建物には、あなた以外の利害が絡みついているからだ。抵当権を握る銀行、保険金を支払う保険会社、住んでいる借主、配偶者居住権を持つ配偶者。彼らの財産的利益を守るため、たとえ所有名義があなたでも、法は他人物放火として扱う。差押えを受けた物、物権を負担する物、賃貸した物、配偶者居住権が設定された物、保険に付した物、この五類型のどれかに当てはまった瞬間、自己所有という盾は消える。本来、自己所有の建物への放火は刑がぐっと軽くなる(109 条 2 項、110 条 2 項)。その軽減を打ち消すのが 115 条だ。保険金目的の放火が重く罰せられる根拠は、まさにこの一条にある。
刑法 115 条は自己所有物放火の特例を定める規定である。第 109 条第 1 項・第 110 条第 1 項の客体が自己の所有に属する場合でも、差押え、物権の負担、賃貸、配偶者居住権の設定、保険付保のいずれかに該当するときは、これを焼損した者は他人の物を焼損した者の例により処断される。第三者の財産的利害を保護するための加重特例である。
自己所有の建物等でも、差押え・物権負担・賃貸・配偶者居住権・保険のいずれかが付けば、焼損を他人物放火と同じ刑で処断する特例規定です。
第三者の財産的利害が乗った 5 類型では、抵当権者や保険会社等の利益を守るため、本来軽い自己物放火が他人物放火に引き上げられるからです。
保険付保物への放火は刑法 115 条で他人物放火となり、保険金を請求すれば詐欺罪(246 条)が併合され、刑が大きく加重されます。
判例・通説の独立燃焼説では、火が媒介物を離れ目的物が独立して燃焼を継続できる状態に達した時点を焼損とみなします。
2020 年改正で配偶者居住権は 115 条の対象に加わり、自己名義でも配偶者の居住利益を侵害した他人物放火として処断されます。
差押えは 115 条の 5 類型の一つで、差押えの登記等が残る限り自己物の弁解は通らず、他人物放火の例により処罰されます。
放火は故意の焼損で重く、失火(116 条)は過失による焼損で罰金等にとどまります。115 条は故意の放火を前提とした特例です。
適用罰条で異なり、109 条 1 項準拠なら 10 年、110 条 1 項準拠なら 7 年が原則です(刑訴 250 条、起算は焼損結果発生時)。
更地の自宅で完全に自己所有なら、本来は罪が軽く、建造物以外で公共の危険がなければ不可罰のこともあります。しかし刑法 115 条は、差押え・抵当権・賃貸・配偶者居住権・保険のどれか一つでも絡めば、他人物放火(109 条・110 条)と同じ重さで裁くと定めています。業界裏話ヒント:実務では「完全に自分だけの物」という建物はほとんど存在しません。住宅ローンや火災保険が付いている時点で 115 条が発動するので、自己物放火の軽い類型が適用される事案は極めて稀です
なります。115 条は「保険に付したもの」を要件としており、保険金を請求したかどうかは問いません。放火の瞬間に保険契約が生きていれば、それだけで他人物放火が成立します(115 条、109 条)。業界裏話ヒント:保険金放火の捜査では、警察と保険会社の損害調査担当(鑑定人)が並行して動きます。出火点が複数ある、助燃剤の痕跡がある、避難経路が確保されていた、こうした客観証拠が揃うと放火が立証され、保険法 17 条で保険金も出ません。火災保険の存在は守りではなく、むしろ動機を疑われる材料になります
済みません。115 条による他人物放火(109 条準拠)に加え、保険金を請求した時点で詐欺罪(刑法 246 条)が成立し、罪が二つ重なります。両罪は併合罪として刑が加重されます。業界裏話ヒント:保険金詐欺目的の放火は、放火罪単独より格段に重く扱われ、初犯でも実刑になりやすい類型です。さらに保険法 17 条で保険金は支払われないため、リスクだけを負って利益はゼロという結末になります。弁護側も保険金目的が認定されると量刑で苦しくなります
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|---|---|---|
| 客体 | 115 条:109①・110① の物が自己所有 + 差押え等 5 類型のいずれか | — |
| 自己所有時の原則 | 115 条:5 類型に該当すれば他人物放火の例(軽減消滅) | — |
| 保険金放火との関係 | 115 条:保険付保で発動し、詐欺罪 246 条と併合 | — |
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