要点刑法116条は失火罪を定め、過失で他人の建物等を焼損した者を五十万円以下の罰金に処する。放火罪と異なる過失犯で、自己所有物でも公共の危険が生じれば処罰される。
Q · 火事を出して隣の家を全焼させたら、いくら払うことになるの?
刑事は五十万円以下の罰金、民事は重過失がなければ賠償義務なし
刑法116条の失火罪は、過失で他人の建物等を焼損した場合に五十万円以下の罰金を科します。放火罪(108条以下)と違い過失犯のため罰金刑にとどまります。一方、民事の損害賠償は「失火ノ責任ニ関スル法律」により、重過失がなければ発生しません。寝たばこや天ぷら油の放置など重過失と認定されれば民法709条で全額賠償ですが、単純な不注意なら隣家が全焼しても賠償義務を負いません。なお業務上失火や重過失失火は117条の2で拘禁刑もありえます。
寝たばこ、消し忘れたコンロ、ストーブのそばの洗濯物。あなたの不注意で火が出て、隣の家まで燃え移った。さて、あなたはいくら払うことになるか。刑事は刑法116条で五十万円以下の罰金。だが本当の驚きは民事にある。失火ノ責任ニ関スル法律により、あなたに重過失がなければ、隣家の全焼分を賠償する義務はない。普通の不注意では、数千万円の損害が出ても法的責任を免れる。これは日本の火災賠償ルールの根幹で、木造家屋が密集していた時代に類焼の連鎖から失火者を守るために作られた。ただし放火(故意)なら108条以下で最大死刑、業務上または重過失なら117条の2でぐっと重くなる。あなたが立っている場所が「単純な失火」か「重過失」か、その一線が人生を分ける。
刑法116条の失火罪は、過失によって火を失し、他人所有の現住建造物等もしくは非現住建造物等を焼損する行為、または自己所有の非現住建造物等もしくは建造物以外の物を焼損して公共の危険を生じさせる行為を処罰する規定である。故意の放火罪に対する過失犯の特則として位置づけられ、法定刑は五十万円以下の罰金に限定される。
過失(不注意)で火を出し、建物等を焼損する犯罪です。刑法116条が根拠で、法定刑は五十万円以下の罰金。故意の放火罪と異なり過失犯であるため、刑は罰金のみに抑えられています。
放火罪(108条以下)は故意犯で死刑もありえる重罪、失火罪(116条)は過失犯で罰金のみです。火を出す意思があったかどうかが両者を分ける決定的な境界線になります。
刑法116条は罰金のみの罪のため、公訴時効は3年です(刑事訴訟法250条2項)。なお民事の損害賠償請求権は、損害と加害者を知った時から3年、不法行為時から20年です。
わずかな注意で結果を予見・回避できたのに著しく不注意だった失火を指します。刑法117条の2で、通常の失火罪より重く三年以下の拘禁刑または百五十万円以下の罰金が科されます。
失火による民事賠償を「重過失がある場合」に限定する明治期の特別法です。木造家屋密集時代の類焼連鎖から失火者を守るために作られ、単純過失なら隣家を全焼させても賠償義務が生じません。
飲食店の厨房、ホテル、工場など、職務上火気を扱う立場の人が失火した場合に成立します。刑法117条の2で加重され、拘禁刑もありえます。同じ火災でも立場が結果を大きく変えます。
自分が借りている部屋の損害は賃貸借契約の原状回復義務として扱われ、失火責任法の保護が及びません。重過失でなくても大家への賠償義務を負う点が、隣室被害との大きな違いです。
失火罪に加えて過失致死罪(刑法210条)が成立しうるほか、重過失があれば重過失致死罪(211条)となり、より重く処罰されます。火災の結果に応じて適用される罪名が変わります。
刑事は刑法116条で五十万円以下の罰金ですが、民事の賠償は失火ノ責任ニ関スル法律により、あなたに重過失がなければ発生しません。天ぷら油を火にかけたまま長時間離れた等は重過失と認定されやすく、その場合は民法709条で全額賠償です。業界裏話ヒント:重過失か単純過失かの線引きは判例の蓄積で決まり、火元から離れた時間、その場の危険認識、消火設備の有無で判断が割れる。火災直後の実況見分での自分の説明が、この一線を左右する。
なります。罰金刑も刑罰であり、前科として記録に残ります(刑法116条は五十万円以下の罰金)。ただし拘禁刑と違い身柄拘束はなく、略式手続で終わることも多い。業界裏話ヒント:問題は業務上失火または重過失失火(刑法117条の2)に格上げされた場合で、こちらは三年以下の拘禁刑または百五十万円以下の罰金。飲食店の厨房やホテルの管理者は「業務上」と評価されやすく、同じ火災でも前科の重みが段違いになる。
状況次第です。自己所有の非現住建造物(刑法109条2項の客体)を失火で焼いても、公共の危険が生じれば刑法116条2項で処罰されます。延焼の危険が現実化した時点で、自分の物かどうかは関係なくなる。業界裏話ヒント:「自分の物だから自由」という発想は放火・失火の世界では通用しない。保護法益が個人財産ではなく公共の安全だからで、空き家や物置を燃やして近隣に危険を及ぼせば、所有者本人でも刑事責任を負う。
| dimension | thisArticle | alternatives |
|---|---|---|
| 主観(故意・過失) | 過失(不注意)による失火 | — |
| 法定刑 | 五十万円以下の罰金 | — |
| 典型例 | 寝たばこ、コンロの消し忘れ、ストーブそばの洗濯物 | — |
| 民事賠償 | 失火責任法により重過失がなければ賠償義務なし | — |
ログインすると、他の読者と一緒にこの条文へメモを残せます。
ログインして共同ノートを始める以下は各文が単独で意味の通る客観的事実です。引用は e-Gov法令検索を基準としてください。