水道により公衆に供給する飲料の浄水又はその水源に毒物その他人の健康を害すべき物を混入した者は、二年以上の有期拘禁刑に処する。よって人を死亡させた者は、死刑又は無期若しくは五年以上の拘禁刑に処する。
要点刑法 146 条は、水道で公衆に供給する飲料水やその水源に毒物等を混入する行為を罰する公共危険罪で、混入した時点で既遂となり、飲用や健康被害は要件ではない。
Q · 水道に毒を入れても、誰も飲まなければ罪にならないの?
誰も飲まなくても、水源に毒を混ぜた時点で罪が成立します
刑法 146 条前段により、水道で公衆に供給する飲料の浄水又はその水源に毒物等を混入した者は、二年以上の有期拘禁刑に処せられます。重要なのは、これが「混入した瞬間」に既遂となる公共危険罪である点です。誰かが飲んだか、健康被害が出たかは構成要件ではありません。さらに後段では、混入の結果として人を死亡させた場合、殺意がなくても死刑又は無期若しくは五年以上の拘禁刑という殺人罪に匹敵する重さに跳ね上がります。
蛇口をひねれば水が出る、その当たり前の裏に、刑法が引いた防衛線がある。146条はこう言う。水道で公衆に供給される飲み水、またはその水源に「毒物その他人の健康を害すべき物」を混ぜた者は、二年以上の有期拘禁刑。ここで多くの人が見落とすのは、この罪が「誰かが飲んで病気になった」ことを待たないという点だ。水源や浄水に毒を混ぜた、その瞬間に既遂になる。一口も飲まれなくても、健康被害ゼロでも、犯罪は完成している。なぜそこまで厳しいのか。水道は不特定多数の命を一本のパイプでつないでいるからだ。一人を狙う毒殺ではなく、町ぜんぶを射程に入れる行為とみなされる。そして後段。混入の結果として人が死んだとき、刑は死刑または無期もしくは五年以上の拘禁刑へ跳ね上がる。これは殺人罪とほぼ同じ重さだ。あなたが知っておくべきは、ここに「殺意」が要らないこと。殺すつもりがなくても、混入の故意さえあれば、死の結果がこの最高刑を引き寄せる。
刑法 146 条は水道毒物等混入罪を定める規定であり、水道により公衆に供給する飲料の浄水又はその水源に、毒物その他人の健康を害すべき物を混入する行為を処罰する公共危険罪である。混入の時点で既遂となる前段と、死の結果を要件とする結果的加重犯の後段から構成される。
刑法 146 条が定める公共危険罪で、水道で公衆に供給する飲料の浄水又はその水源に毒物等を混入する行為を処罰します。混入時に既遂となり、二年以上の有期拘禁刑です。
前段(混入)は二年以上の有期拘禁刑、後段(致死)は死刑又は無期若しくは五年以上の拘禁刑です。致死の重さは殺人罪に匹敵します。
刑法 147 条以下の規定により未遂も処罰されます。ただし水源等への混入が完了した時点で既に既遂となるため、未遂が問題になる場面は限られます。
私的な井戸など「水道により公衆に供給する」ものでない場合は 146 条に当たらず、142 条・144 条や傷害罪等で評価されます。公衆供給性が分かれ目です。
144 条は供給前の浄水への毒物混入で三年以下の拘禁刑、146 条は公衆供給する水道の浄水・水源への混入で二年以上の有期拘禁刑です。対象の公衆性で刑が重くなります。
後段は人を死亡させた罪に当たり、2010 年改正で公訴時効が廃止されています(最新の状況をご確認ください)。前段は法定刑の長期に応じて時効期間が定まります。
不特定多数の公衆の生命・身体の安全という社会的法益です。水道が多数の命を一本の管路で支える点を重視し、危険発生段階で処罰します。
混入の故意がなければ 146 条は成立しません。過失の場合は水質汚濁防止法等の行政責任や過失致死傷の問題となり、刑法 146 条とは別軌道で処理されます。
セーフではない。146条前段は、水源や浄水に毒物等を混入した時点で既遂になる(混入罪)。誰かが飲んだか、健康被害が出たかは構成要件ではない。水道という不特定多数を支える設備への加害そのものを処罰する公共危険罪だからだ。業界裏話ヒント:実務では「混入物が人の健康を害すべき物か」「その水が公衆供給の水道か」という入口の事実認定で、成否も適用条文も大きく動く。被害が出ていないことを理由に軽く見て初動を誤ると、争えたはずの論点を失う
殺意がなければ146条後段の結果的加重犯(死刑または無期もしくは五年以上の拘禁刑)で、殺すつもりがなくても死の結果が最高刑を引き寄せる。逆に明確な殺意で水道を手段に使えば殺人罪(199条)との関係が問題になる。業界裏話ヒント:弁護側にとって生死を分けるのは「混入と死の因果関係」。基礎疾患や別経路の可能性を突いて因果に合理的疑いを残せれば、後段から前段の評価へ引き戻せる。検察提出の鑑定を鵜呑みにせず、早期に対抗鑑定を動かせるかが勝負だ
対象が公衆に供給する『水道』に当たるかが分かれ目になる。公衆供給の水道なら146条、特定建物内の受水槽など評価が異なる場合は144条その他で問われうる。混入者の故意と物の性質も要件だ。業界裏話ヒント:一定規模の受水槽は水道法上の『簡易専用水道』として管理義務がかかる。管理者が放置して誰でも投入できる状態を作っていた場合、混入は他人の犯罪でも、管理懈怠が損害賠償や別の責任を呼び込む。建物の水回りは知らぬ間に責任の境界線に触れている(最新の改正状況をご確認ください)
| dimension | thisArticle | alternatives |
|---|---|---|
| 対象 | 146 条:水道により公衆に供給する飲料の浄水又はその水源 | — |
| 行為態様 | 毒物その他人の健康を害すべき物の混入 | — |
| 前段の法定刑 | 二年以上の有期拘禁刑 | — |
| 致死の加重 | 146 条後段:死刑又は無期若しくは五年以上の拘禁刑 | — |
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