要点刑法 158 条は、偽造・変造された公文書等を本物として行使した者を、偽造した者と同一の刑で処罰する。所持では足りず、人に示す行為が要件で、未遂も罰せられる。
Q · 偽造した書類を使ったら、作った人じゃなくても罪になるの?
偽物と知って使えば、偽造犯と同じ刑で罰せられます
刑法 158 条は、偽造・変造された公文書等を「行使」した者を、その文書を偽造・作成した者と同一の刑で処罰します。固有の刑罰規定はなく、使った文書が公文書偽造(155 条、1 年以上 10 年以下の拘禁刑)なら同じ刑が科されます。重要なのは「行使」とは単なる所持ではなく、人に見せて本物として通用させようとする行為を指す点です。未遂も罰せられ(2 項)、提示する直前で止めても未遂罪の射程に入ります。偽造を真に知らなかったなら故意がなく成立しません。
偽造された住民票や印鑑証明書を、それと知りながら契約の場で相手に差し出す。ネットで手に入れた精巧な偽造運転免許証を、年齢確認のため店員に見せる。これらに共通して牙を剥くのが刑法158条だ。多くの人は「偽造した者だけが罰せられる」と思い込んでいる。違う。158条は「行使した者」、つまり偽物を本物のように使った者を、偽造した本人と同一の刑で処罰する。しかも未遂も罰せられる(2項)。決定的なのが「同一の刑」という言葉だ。158条そのものには固有の刑罰が書かれていない。使った文書が公文書偽造(155条、1年以上10年以下の拘禁刑)なら、あなたもその刑。公正証書原本不実記載(157条)ならその刑。あなたの量刑は、手にした偽物が何の罪で作られたかで決まる。そして「行使」とは単に持っていることではない。人に見せて欺く行為を指す。財布に忍ばせていただけなら、この罪はまだ完成していない。
刑法 158 条は偽造公文書等行使罪を定める規定であり、第 154 条から第 157 条までの偽造・変造文書、虚偽公文書、不実記載のある公正証書原本等を行使した者を、当該文書を偽造・作成した者と同一の刑に処すると規定する。固有の法定刑を持たず、行使した客体の罪の刑を準用する点に特徴があり、未遂も処罰の対象とされる。
偽造・変造された公文書等を本物として使った者を、偽造した者と同一の刑で処罰する罪です(刑法 158 条)。固有の刑罰はなく、使った文書の罪の刑が準用されます。
準用元の罪により変わります。155 条準用(長期 10 年)なら 7 年、157 条 1 項準用(長期 5 年)なら 5 年。起算点は行使行為の時です(最新の改正状況をご確認ください)。
運転免許証は公文書にあたり、本物として提示すれば偽造公文書行使罪が既遂に達します。年齢確認などで見せた一回の行為で成立します。
発覚しないことと犯罪の成立は別問題です。提示した時点で既遂が成立しており、後日発覚すれば時効まで訴追の可能性が残ります。
使った文書の罪に従います。印章・署名のある公文書偽造の行使なら 1 年以上 10 年以下の拘禁刑で、罰金刑の選択肢はありません。
2 項により未遂も処罰されます。提示する直前で思いとどまっても未遂罪の射程に入りますが、中止未遂なら刑の減免の余地があります。
偽造公文書行使罪(158 条)が既遂に達するほか、旅券法の特別罰則も適用されえます。どちらで起訴するかは検察官の判断です。
158 条は「行使」、つまり人に見せて本物として通用させる行為を処罰します。所持や保管だけでは本罪は成立しません。
単なる正規コピーの提出自体は原則「偽造」ではありませんが、内容を改ざんしたコピーを本物のように装って提出すれば、変造公文書の行使として158条に当たりえます。判例上、原本と誤認させる精巧なコピーは文書性が認められています(最判昭和51.4.30)。業界裏話ヒント:原本ではないからセーフという思い込みが一番危ない。役所や取引先に出す書類は、改ざんした時点で原本かコピーかを問わず刑事リスクが立ち上がる。提出前に原本と一字一句照合する習慣が、自分を守る
真に知らなかった(故意がなかった)なら158条は成立しません。故意犯だからです。ただし偽物かもと薄々感じていた程度でも、未必の故意と認定される余地があります。業界裏話ヒント:捜査では「なぜ確認しなかったのか」を執拗に追及される。出どころが不自然な書類を確認もせず使った経緯は、未必の故意を疑わせる。逆に、入手経緯のやり取りや、相手を信頼した合理的理由を示せる記録があれば、不起訴を勝ち取る決め手になる
二倍にはなりません。偽造罪(例:155条)と行使罪(158条)は牽連犯(刑法54条1項後段)として、重い方の刑で一つの刑として処断されます。業界裏話ヒント:二罪だからと諦める必要はない。牽連犯処理で量刑の上限は重い方の罪に収まる。むしろ弁護方針で効くのは、行使によって誰にどんな現実の被害が出たか。被害が顕在化する前に止まった、被害弁償を済ませた、という事情が執行猶予の分かれ目になる
| dimension | thisArticle | alternatives |
|---|---|---|
| 処罰される段階 | 158 条:偽造文書を世に出して使う段階(行使) | — |
| 客体 | 公文書・公正証書原本・電磁的記録(154〜157 条の客体) | — |
| 法定刑 | 準用元の罪と同一の刑(固有刑なし) | — |
| 未遂処罰 | あり(158 条 2 項) | — |
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