死体、遺骨、遺髪又は棺に納めてある物を損壊し、遺棄し、又は領得した者は、三年以下の拘禁刑に処する。
要点刑法190条は、死体・遺骨・遺髪または棺内の物を損壊・遺棄・領得した者を三年以下の拘禁刑に処す。葬祭義務者が遺体を放置する不作為も遺棄になりうる。
Q · 亡くなった家族を葬儀せず家に置き続けたら、死体遺棄罪になりますか?
捨てなくても、葬祭義務者が遺体を放置すれば遺棄罪になりえます
刑法190条は、死体・遺骨・遺髪または棺内の物を損壊・遺棄・領得した者を三年以下の拘禁刑に処します。「遺棄」は遺体を捨てる積極的行為だけでなく、葬祭義務を負う者が葬送せず遺体を放置する不作為も含みます。動機が「葬儀代がない」「年金を受け取り続けたい」といった経済的理由であるほど悪質性が高まり、年金不正受給があれば詐欺罪(刑法246条)も併発します。費用がない場合は隠す前に役所の福祉窓口(葬祭扶助)へ相談すべきです。
親が自宅で亡くなった。葬儀費用がない、年金が止まると困る、どこに何を届け出ればいいか分からない。そうして数日が過ぎたとき、あなたはすでに死体遺棄罪の射程に入っている。刑法190条が罰するのは「死体を捨てる」ことだけではない。葬祭義務を負う者が遺体を放置すること、つまり「何もしない」ことも遺棄になりうる。損壊(傷つける)、遺棄(あるべき葬送をしない)、領得(金歯などを抜き取る)の三つの行為を、三年以下の拘禁刑で処罰する。この罪が守っているのは被害者個人の権利ではない。死者をどう扱うかという社会全体の敬虔な感情、いわば社会の良心そのものだ。だからこそ、自分の親の遺体であっても、あなたは自由にしてよいわけではない。
刑法190条は死体損壊等の罪を定める規定であり、死体・遺骨・遺髪または棺に納めてある物を損壊・遺棄・領得する行為を処罰する。保護法益は遺族個人の権利ではなく、死者に対する社会一般の敬虔感情(宗教的感情)であるとするのが通説である。
刑法190条が定める罪で、死体・遺骨・遺髪・棺内の物を遺棄する行為を処罰します。葬送せず放置する不作為も含まれ、法定刑は三年以下の拘禁刑です。
公訴時効は3年です(刑事訴訟法250条2項、長期3年の拘禁刑)。ただし放置を継続犯とみる見解では放置が続く限り時効が進行しないとされ、実務上解釈が分かれます。
看取り直後や葬儀準備の数日は犯罪になりません。葬送の意思なく長期間放置する段階で遺棄になりえます。死亡届は死亡を知った日から7日以内が原則です。
自分の親の遺体でも適用されます。保護法益は遺族の権利ではなく社会の宗教的感情のため「身内だから」は免罪符になりません。葬送せず放置すれば遺棄罪です。
法定刑は三年以下の拘禁刑です。詐欺罪など他罪との併合や動機の悪質性で重くなり、単純な不作為型では執行猶予が付く例もあります。個別事案で大きく変わります。
発覚前に自ら死亡届を出し葬儀を行えば自首(刑法42条)として刑の減軽の余地があります。発覚後に動くより起訴判断・量刑が有利になりやすいです。
親の死を隠して年金を受け取り続けると、死体遺棄罪に詐欺罪(刑法246条)が重なります。一つの放置が二つの犯罪を同時に成立させる類型です。
成立しえます。葬祭義務を負う者が葬送せず遺体を放置する不作為は「遺棄」に当たりうるというのが判例・通説の立場です。捨てる動作は必須ではありません。
亡くなった直後の数時間や、葬儀準備で数日かかること自体は犯罪ではありません。死亡届は死亡を知った日から7日以内が原則です(戸籍法86条)。問題は、葬送の意思なく長期間放置する場合です。業界裏話ヒント:放置の多くは「葬儀代がない」が引き金ですが、自治体には葬祭扶助(生活保護法18条)があり、費用がなくても公費で火葬できます。これを知らずに隠して死体遺棄罪に問われる人が後を絶たない。お金がないなら、隠す前に役所の福祉窓口へ
節度をもって行う散骨は、原則として遺棄罪には当たらないというのが行政の運用です。ただし人目につく場所や私有地に無断で撒くなど、節度を欠くと190条の遺棄に問われうる。業界裏話ヒント:厚生労働省は散骨に関するガイドラインを示しており、遺骨を細かく砕く、場所を選ぶといった「節度」の中身が事実上決まっています。自分でやる前にこの中身を確認するかどうかで、合法と犯罪の境目が分かれる(最新の運用状況をご確認ください)
遺骨を別の墓へ移す「改葬」には市区町村長の改葬許可が必要です(墓地埋葬法5条)。許可なく勝手に動かすと墓地埋葬法違反、態様によっては190条・191条の対象にもなりえます。業界裏話ヒント:実際に多いのは親族間の対立です。一方が他方に無断で遺骨を移して訴訟になる。遺骨の祭祀承継者は民法897条で決まり、承継者でない者が勝手に動かすと法的に争われる。誰が遺骨を管理する権利を持つかを先に確認する
| dimension | thisArticle | alternatives |
|---|---|---|
| 客体 | 死体・遺骨・遺髪・棺に納めてある物(190条) | — |
| 行為態様 | 損壊・遺棄・領得 | — |
| 保護法益 | 死者に対する社会一般の宗教的・敬虔感情 | — |
| 法定刑 | 三年以下の拘禁刑 | — |
ログインすると、他の読者と一緒にこの条文へメモを残せます。
ログインして共同ノートを始める以下は各文が単独で意味の通る客観的事実です。引用は e-Gov法令検索を基準としてください。