第八十一条及び第八十二条の罪の未遂は、罰する。
要点刑法 87 条は、外患誘致罪(81 条)と外患援助罪(82 条)の未遂を処罰する規定。81 条の既遂は死刑のみだが、未遂は刑法 43 条で減軽の余地がある。
Q · 外患罪って、未遂でも死刑になるんですか?
理論上はありうるが、刑法 43 条で減軽の余地がある
刑法 87 条は、外患誘致罪(81 条)と外患援助罪(82 条)の未遂を処罰します。81 条の既遂は死刑のみの絶対的法定刑ですが、未遂にとどまれば刑法 43 条の未遂減軽により、裁判所の裁量で無期や有期の拘禁刑へ減軽できる余地が生まれます。完成すれば必ず死刑、未遂なら減軽の可能性。この落差が、外患罪における『実行の着手』をどこに認めるかという法律論を、生死を分ける争点にしています。
「第八十一条及び第八十二条の罪の未遂は、罰する」。この短い一文が指しているのは、日本の刑法で最も重い二つの犯罪だ。81条の外患誘致罪は、外国と通謀して日本に武力を行使させる罪で、法定刑は死刑のみ。これは日本の刑法典で唯一、裁判官に量刑の選択余地がない絶対的法定刑だ。82条の外患援助罪は、外国の武力行使に加担する罪。87条は、この二つが「失敗に終わった」場合、つまり未遂でも処罰すると宣言する。ここに玄人だけが知る逆説がある。完成した外患誘致罪は問答無用で死刑だが、未遂にとどまれば刑法43条の未遂減軽が使える余地が生まれる。「やり遂げてしまった」者と「途中で止まった、止められた」者の間に、生死を分ける断層が走っている。87条は、その断層の縁に立つ条文だ。
刑法 87 条は、外患誘致罪(同法 81 条)および外患援助罪(同法 82 条)の未遂を処罰する旨を定める規定である。これらの罪は国家の存立を害する重大犯罪であり、既遂には最も重い法定刑が科されるが、本条により未遂段階でも可罰性が認められる。ただし刑法 43 条の適用により、未遂は刑の減軽が可能とされる。
外国勢力と通じて日本の存立を危うくする犯罪の総称です。81 条の外患誘致罪、82 条の外患援助罪などがあり、87 条はその未遂を処罰します。
刑法 81 条の外患誘致罪は法定刑が死刑のみで、日本刑法で唯一の絶対的法定刑です。裁判官に量刑の選択余地がありません。
『実行の着手』の有無で分かれます。着手前は予備・陰謀(88 条)、着手後は未遂(87 条)。適用条文が変わり、量刑の射程も大きく変わります。
外患誘致罪・外患援助罪は死刑を含む罪のため、2010 年の刑訴法改正で公訴時効が廃止されました(刑訴法 250 条 1 項)。
犯罪の実現に向けた現実的危険のある行為の開始を指します。着手があれば未遂(87 条)、なければ予備・陰謀(88 条)として扱われます。
包括的な『スパイ罪』はありません。報道の多くは特定秘密保護法、不正競争防止法、出入国管理法の違反で、外患罪が動く事態は国家の非常時に限られます。
戦後一度も有罪確定例は事実上ありません。条文が眠っているのは運用が消えたからではなく、適用される事態自体が国家存亡の危機だからです。
外患罪は外国勢力と通じる対外的な罪、内乱罪(77 条)は国内で政府転覆を図る対内的な罪です。守る法益の方向が逆です。
平時でも成立しえます。81条の外患誘致は『外国と通謀して日本に武力を行使させる』罪で、武力行使を招く働きかけの段階で問題になります。実際の戦闘がなくても、未遂(87条)や予備・陰謀(88条)として処罰対象になりうる。業界裏話ヒント:戦後この条文での有罪確定例は事実上存在しません。だからこそ、もし将来適用されれば、判例の蓄積がないまま死刑事案が争われる、刑事弁護にとって前例なき領域になる
裁けます。刑法2条が外患罪を『すべての者の国外犯』としているため、行為者の国籍も行為地も問いません。日本人が国内で行っても、外国人が国外で行っても適用対象です。業界裏話ヒント:これは刑法の中でも例外的に広い適用範囲で、保護主義という考え方に基づきます。国家の存立そのものを守る罪だからこそ、属地主義・属人主義の枠を超えて適用が及ぶ
理論上はありえますが、刑法43条により未遂は刑を減軽できます。外患誘致罪(81条)の既遂は死刑のみですが、未遂にとどまれば裁判所の裁量で無期や有期の拘禁刑へ減軽できる余地が生まれます。業界裏話ヒント:完成すれば絶対死刑、未遂なら減軽の余地。この落差が、外患罪における『実行の着手』をどこに認定するかという法律論を、文字通り生死を分ける争点にしている
| dimension | thisArticle | alternatives |
|---|---|---|
| 犯罪の段階 | 実行の着手後・結果未発生(未遂) | — |
| 減軽の可否 | 刑法 43 条により刑の減軽が可能 | — |
| 法定刑の重さ | 対象罪の刑を基礎にしつつ減軽余地あり | — |
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