国会法 第56条の3
クイックジャンプ
- 各議院は、委員会の審査中の案件について特に必要があるときは、中間報告を求めることができる。
- 2.前項の中間報告があつた案件について、議院が特に緊急を要すると認めたときは、委員会の審査に期限を附け又は議院の会議において審議することができる。
- 3.委員会の審査に期限を附けた場合、その期間内に審査を終らなかつたときは、議院の会議においてこれを審議するものとする。但し、議院は、委員会の要求により、審査期間を延長することができる。
この条文の基本情報
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 国会法第56条の3は、日本の国会法に含まれる条文です。
- 国会法第56条の3の条文原文は「各議院は、委員会の審査中の案件について特に必要があるときは、中間報告を求めることができる。」で始まります。
- 国会法第56条の3は第六章 会議に置かれています。
- 国会法の公布日は昭和22年4月30日です。
- 国会法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年4月5日時点では廃止情報はありません。
- 国会法第56条の3の前の条は国会法第56条の2です。
- 国会法第56条の3の次の条は国会法第56条の4です。
- 国会法第56条の3には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
国会法(昭和二十二年法律第七十九号)第56条の3 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/322AC1000000079 - 本サイト収録
国会法(昭和二十二年法律第七十九号)第56条の3(LawPlayer 収録、取得日 令和8年4月5日)https://lawplayer.com/jp/article/322AC1000000079/56_3
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点国会法56条の3は、議院が委員会審査中の案件について中間報告を求め、特に緊急と認めれば審査期限を付けるか本会議で直接審議できると定める。
Q · 委員会で採決しないまま、本会議で法案を成立させることはできるの?
できる。国会法56条の3の中間報告を経た場合に限られる
国会法56条の3により、各議院は委員会で審査中の案件について特に必要があるとき中間報告を求めることができます。そのうえで議院が特に緊急を要すると認めれば、委員会の審査に期限を付けるか、本会議で直接審議できます。期限を付けた場合でも、期間内に審査が終わらなければ本会議で審議されます。憲法59条が求めるのは両議院の可決であり、委員会採決は憲法上の要件ではありません。
解説
国会で法案を実際に練るのは本会議ではなく委員会である。日本の国会は「委員会中心主義」をとっているため、法案は通常、委員会で質疑と採決を終え、委員長がその結果を報告してから本会議へ上がる。ただし国会法56条の3には、この順番を飛ばせる非常口がある。議院が委員会に「中間報告」(審査途中の経過説明)を求め、特に緊急を要すると認めれば、委員会の審査に期限をつけるか、本会議で直接審議できる。こうなると委員会での採決そのものがなくなる。2017年6月、いわゆる「共謀罪」法案(テロ等準備罪を新設する組織的犯罪処罰法改正案)は、参議院でこの手続により法務委員会の採決を経ずに本会議で可決・成立した。ニュースで「中間報告」という言葉を聞いたら、それは単なる途中経過の説明ではない。委員会の議論を打ち切る合図である可能性が高い。
法的な位置づけ
国会法第56条の3は、委員会審査中の案件に関する中間報告制度を定める規定である。各議院は特に必要があるとき委員会に中間報告を求めることができ、特に緊急を要すると認めたときは、委員会審査に期限を付けるか本会議で審議できる。期限を付けた場合、期間内に審査が終わらなければ本会議で審議する。ただし委員会の要求により期間を延長できる。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.委員会の審査状況を確認する 衆議院・参議院のウェブサイトで、法案がどの委員会に付託され、何回審査されたかを確認する。会期末までの残り日数もあわせて把握する
- 2.中間報告を求める動議の提出を把握する 本会議の議事日程と報道を確認し、中間報告を求める動議が提出されたかを確認する。動議が可決されると委員長が審査経過を本会議で報告する
- 3.期限付与か本会議審議かを確認する 中間報告のあと、議院が委員会審査に期限を付けたのか、本会議で直接審議することにしたのかを確認する。期限付きの場合は延長の要求があるかも確認する
- 4.会議録で審議の到達点を記録する 委員会会議録と本会議会議録を読み、質疑がどこまで行われたか、緊急性の理由がどう説明されたかを記録しておく。後に法律の解釈を争う際の材料になる
よくある質問 AI による整理
Q1国会の中間報告とは何ですか?
委員会で審査中の案件について、議院が委員会に審査の経過を報告させる手続です。国会法56条の3第1項が根拠で、「特に必要があるとき」に限られます。
Q2中間報告の動議は誰が出せますか?
条文は「各議院は」と定めており、議院の議決で求めます。実務上は議員が動議を提出し、本会議で多数決により決めます。
Q3中間報告のあと委員会審査はどうなりますか?
議院が特に緊急と認めれば、委員会審査に期限が付くか、本会議で直接審議されます。本会議審議を選べば委員会での採決は行われません。
Q4委員会の審査期限はいつまでですか?
期限は議院がそのつど決めます。期間内に審査が終わらなければ本会議で審議されます。委員会の要求により議院は期間を延長できます。
Q5中間報告は衆議院と参議院どちらでも使えますか?
使えます。国会法56条の3は「各議院」と定めており、衆議院・参議院のいずれでも同じ手続をとることができます。
Q6中間報告で成立した法律は違憲ですか?
手続自体は国会法が明文で認めており、憲法59条の両議院可決要件も満たします。問題になるのは主に運用の妥当性で、学説の評価は分かれています。
Q7中間報告を止める方法はありますか?
動議は本会議の多数決で決まるため、少数派が止める手段は限られます。審議中に世論・報道を通じて働きかけることが現実的な手段です。
Q8中間報告は委員長報告と何が違いますか?
委員長報告(国会法53条)は審査終了後の結果報告です。中間報告は審査の途中で議院が求めるもので、その後委員会から案件を引き上げることもできます。
この条文についての質問 AI による整理
Q1委員会で採決しないで法律を通すって、そもそもアリなんですか?
手続としては認められている。国会法56条の3が明文で定め、憲法59条が求めるのは両議院の本会議での可決であって、委員会の採決は憲法上の要件ではない。実務のポイント:争われるのは合法か違法かよりも、「特に必要」「特に緊急」という理由が実態に合っていたかである。報道や国会論戦では、その理由として何が説明されたかを会議録で確認するのが一番確かである
Q2中間報告ってどれくらいの頻度で使われてるんですか?
委員会中心主義の例外であるため、頻繁には使われない。過去には2017年の参議院での組織的犯罪処罰法改正(いわゆる共謀罪法)などで使われ、強い批判を受けた(最新の運用状況は衆参の先例集等でご確認ください)。実務のポイント:使われるのは、会期末が迫り、かつ委員長ポストや委員会の構成が多数派の思いどおりに動かない場面に集中しやすい。委員長の所属会派を見ておくと、使われる可能性をある程度読める
間違えやすい点 AI による整理
- 「中間報告」という名前から、委員会が途中経過を説明するだけの穏やかな手続だと思われがちである。実際は、1項の報告を足がかりに2項で委員会の手から案件を取り上げることができる。運用上、法案を委員会採決なしで成立させるための手段として使われてきた
- 「委員会で採決していない法律は無効ではないか」という問い自体がずれている。憲法59条は両議院の可決を要件としており、委員会の採決は憲法上の要件ではない。争点は有効か無効かではなく、委員会中心主義の趣旨を損なう運用が妥当かどうかという政治的・議会運営上の評価にある。この点は学説や国会でも評価が分かれている
- 期限付きであれば委員会が守られると思うかもしれないが、3項により期限内に審査が終わらなければ自動的に本会議で審議される。委員会の要求で延長はできるが、延長するかどうかを決めるのは議院(つまり多数派)である
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 発動のきっかけ | 国会法56条の3:議院が中間報告を求める(特に必要があるとき) | 国会法56条2項但書:発議者・提出者の要求 国会法53条:委員会が審査を終えたとき |
| 委員会審査との関係 | 審査の途中で期限を付けるか本会議に引き上げる | 付託前に委員会審査を省略する 審査を終えて結果を報告する(通常ルート) |
| 要件 | 1項「特に必要」+2項「特に緊急を要する」の二段階 | 特に緊急を要するもの+議院の議決 委員会での審査終了 |
| 委員会の採決 | 本会議審議を選べば行われない | 行われない 行われる |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾では出席委員の提議と20人以上の連署・附議を経て表決で可決すれば、委員会審査を経ずに第二読会へ進める(逕付二讀)。審査途中の引き上げではなく付託前の省略に近い
韓国では議長が審査期間を指定でき、期間内に審査が終わらなければ本会議に直接付議できる。期限付与の仕組みは本条2項・3項に近い
ドイツ連邦議会では、付託から10会期週を経過すると会派等が委員会に審議状況の報告を求め、本会議で議論できる。中間報告の発想に近い
米国下院では過半数の議員の署名で委員会から法案を引き上げる。多数派が使う日本の中間報告と違い、少数派が委員会の握りつぶしに対抗する手段として機能する
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 会期末まで残り3日。参議院の委員会で野党が審議を引き延ばしている法案について、夜のニュースが「与党が中間報告を求める動議を提出」と伝えた。翌朝には、委員会で採決されないまま本会議で成立しているかもしれない
- あなたが関心を持つ法案が委員会で審査中なのに、報道は「委員会採決を省略」と伝えている。これは違法ではないのか? 手続としては56条の3が明文で認めている。問題になるのは、その「特に必要」「特に緊急」という判断が妥当だったかという政治的な評価である
- 与党側の政策スタッフとして、委員長が野党出身で審査が進まない。期限を付けるか本会議に移すか、どちらを選ぶかで世論の反発も変わる
取るべき行動
被害を受けた側:1. 法案に反対・懸念がある場合、委員会審査中に地元選出議員や所属委員会の委員へ意見を届ける。中間報告の動議が出てからでは遅い2. 衆参の委員会会議録と本会議会議録を確認し、どこまで質疑が行われたかを記録しておく3. 成立後も、法律の運用を監視し、施行後の見直し規定や附帯決議の有無を確認する4. 個別の適用場面で権利侵害があれば、その具体的な処分や事件の中で争うことになる
訴えられた側:1. 中間報告を使う側(議院運営や与党の立場)では、1項の「特に必要」と2項の「特に緊急」の理由を具体的に説明できるよう準備する2. いきなり本会議審議に移すより、まず審査期限を付ける選択肢を検討する。3項の延長要求の余地を残すことで、手続の公正さを示しやすい3. 委員会での質疑時間の実績を記録し、審議が十分に尽くされていたことを示す
時効(請求できる期限):特定の時効はない。ただし実務上の期限は会期末である。会期中に議決に至らなかった案件は、閉会中審査の議決(国会法47条)がない限り後の会期に継続しない(国会法68条、会期不継続の原則)。2項で期限を付けた場合は、その期限が経過すると3項により本会議で審議される
学説
手続適法説:国会法56条の3は明文で中間報告と本会議審議を認めており、憲法59条の両議院可決要件も満たすため、手続として適法であるとする立場。
運用批判論:委員会中心主義の趣旨からみて、「特に必要」「特に緊急」の要件は厳格に解すべきであり、会期末に審議を打ち切る目的での多用は制度の濫用にあたるとする立場。
ログインすると、この条文にメモを残して他の利用者と共有できます。
ログインして共同ノートを始める