刑事訴訟法 第498条
クイックジャンプ
- 偽造し、又は変造された物を返還する場合には、偽造又は変造の部分をその物に表示しなければならない。
- 2.偽造し、又は変造された物が押収されていないときは、これを提出させて、前項に規定する手続をしなければならない。但し、その物が公務所に属するときは、偽造又は変造の部分を公務所に通知して相当な処分をさせなければならない。
この条文の基本情報
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 刑事訴訟法第498条は、日本の刑事訴訟法に含まれる条文です。
- 刑事訴訟法第498条の条文原文は「偽造し、又は変造された物を返還する場合には、偽造又は変造の部分をその物に表示しなければならない。」で始まります。
- 刑事訴訟法第498条は第一章に置かれています。
- 刑事訴訟法の公布日は昭和23年7月10日です。
- 刑事訴訟法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年9月5日時点では廃止情報はありません。
- 刑事訴訟法第498条の前の条は刑事訴訟法第497条です。
- 刑事訴訟法第498条の次の条は刑事訴訟法第498条の2です。
- 刑事訴訟法第498条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)第498条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/323AC0000000131 - 本サイト収録
刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)第498条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年9月5日)https://lawplayer.com/jp/article/323AC0000000131/498
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点刑事訴訟法498条は、偽造・変造された物を返還する際、偽造・変造部分をその物に表示しなければならないと定める。押収されていなければ提出させ、公務所の物なら公務所に処分させる。
Q · 偽造された物は裁判が終わったら自分に戻ってくるの?
原則戻るが、偽造の表示を加えられた状態で返還される
刑事訴訟法498条により、偽造・変造された物も没収の対象にならない限り権利者に返還されます。ただし丸ごと返すのではなく、偽造・変造部分にその旨を表示してから返します。物が押収されていなければ提出させて同じ処理をし、公務所に属する物であれば公務所に通知し、処分は公務所自身に委ねます。表示によって偽物が再び流通し、新たな被害者を生むことを防ぐ仕組みです。
解説
取引で受け取った約束手形が、実は金額欄を書き換えられた変造手形だった。詐欺事件として立件され、その手形は証拠として押収された。裁判が終わり、手形はあなたの手に戻ってくる。だが元の姿ではない。刑事訴訟法498条は、偽造または変造された物を返還するとき、偽造・変造の部分をその物に表示しなければならないと命じる。つまり「ここが偽物だ」という消印のような印が刻まれた状態で戻される。理由は単純で、印のないまま返せば、それがもう一度誰かを欺く道具として世に流れ出るからだ。さらに、その物がまだ押収されていなければ提出させて同じ処理をし、物が役所のものであれば役所に通知して相当な処分をさせる。あなたが受け取るのは価値を失った紙片だが、それは社会がもう一度騙されることを止めるための代償である。
法的な位置づけ
刑事訴訟法498条は、偽造または変造された物の返還手続を定める規定である。偽造・変造された物を権利者に返還する場合には、偽造・変造の部分をその物に表示することを要し、当該物が押収されていない場合は提出させて同様の処理を行い、公務所に属する物については公務所に通知して相当な処分を委ねる。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.現状のまま全面を記録する 偽造・変造された物を掴まされたと気づいたら、自分で書き込みや訂正をせず、写真・スキャンで全面を記録する。後の民事立証で『表示が入る前の原状』が決定的に効く
- 2.被害申告し受領書を保管する 警察に被害申告し、その物が押収・領置されたら受領書を必ず保管する。押収の事実と還付請求権を後で立証する基礎になる
- 3.正当な権利者であることを検察官に申し出る 還付処理が確定する前に、自分が還付を受けるべき正当な権利者であることを検察官へ明確に伝える。表示の入れ方や処分方法が確定する前に動けるかで戻る物の使い道が変わる
- 4.還付後は損害を民事で回収する 還付された物は偽造表示入りで額面価値を失っているため、損害分は別途、加害者への損害賠償請求(民法709条)で回収する道を組む
よくある質問 AI による整理
Q1偽造物の返還とは何ですか?
刑事手続が終わった偽造・変造物を、偽造部分に表示を加えたうえで権利者に返すことです。刑事訴訟法498条が根拠で、物を残しつつ再流通を防ぎます。
Q2偽札は没収されず返ってくるのですか?
没収の要件を満たさなければ返還されます。ただし偽造の表示が刻まれ、貨幣としての通用力は失われます。額面の損失は別途、加害者への請求で回収します。
Q3押収された偽造物が公務所のものだとどうなりますか?
捜査機関は勝手に処分できません。偽造・変造部分を公務所に通知し、処分の判断は公務所自身に委ねられます(刑訴498条2項但書)。
Q4偽造物の還付はいつの段階で行われますか?
原則として判決確定後の刑の執行段階です。公判中の押収物還付は刑訴123条が別に定めています。
Q5偽造物が押収されていない場合はどうするのですか?
刑訴498条2項により、その物を提出させたうえで、偽造・変造部分に表示を加える同じ処理を行います。
Q6偽造の表示が入った物は証拠に使えなくなりますか?
証拠としての存在は残ります。表示は再流通を防ぐための処理で、むしろどこが偽造かが物理的に明示され争点が明確になります。
Q7還付を受ける人が分からないときはどうなりますか?
刑訴499条関連の公告手続がとられ、一定期間内に申出がなければ国庫に帰属しうる場合があります(現行効力は要確認)。
Q8偽造物の返還に時効はありますか?
返還時の表示処理自体に特定の時効はありません。ただし還付を受けるべき者が不明な場合は公告期間の経過で国庫帰属の余地があります。
この条文についての質問 AI による整理
Q1偽札だったとわかったお金、結局自分に返ってくるんですか?
原則として、没収の対象にならない限り、偽造の表示を加えたうえで還付されます(刑事訴訟法498条)。ただし表示が刻まれた時点で貨幣としての通用力はなく、額面の損失は別問題として残ります。実務のポイント:現場では、偽札被害の損失は刑事手続の中では戻りません。額面を取り戻すには加害者を特定して民事(民法709条)で請求する必要があり、加害者不明・無資力なら事実上の泣き寝入りになりやすい。だからこそ受け取り段階での真贋確認が唯一の防衛線になる
Q2変造された契約書が証拠で取られました。表示を入れられたら裁判の証拠に使えなくなりませんか?
使えなくなるわけではありません。偽造・変造部分への表示はその物を再流通させないための処理で、証拠としての存在自体は残ります(刑事訴訟法498条)。むしろ『どこが変造されたか』が物理的に明示されるため、争点が明確になります。実務のポイント:実務では、刑事で還付される前の『表示が入る前の原状』を写真・鑑定で押さえておくことが重要。後の民事訴訟で原状と表示後を対比できると、変造の有無や範囲をめぐる立証が格段に楽になる。弁護士はこの順序を意識して証拠保全を先に動かす
間違えやすい点 AI による整理
- 「偽造された物は全部没収されて消える」と思われがちだが、実は違う。偽物であっても所有権の対象であり、没収の要件を満たさなければ持ち主に返される。ただし丸ごと返すのではなく、偽造部分に表示を加えてから返す。本条は『返す』ことを前提にした条文である
- 偽札やニセ証書は『価値ゼロだから返してもらう意味がない』と考える人が多い。だが深刻なのはその先で、表示なしに返却された偽物が再流通すれば、次の被害者を生んだ責任の所在が曖昧になる。本条は、あなたの財産を返す手続であると同時に、あなたを『加害の入口』にしないための安全装置でもある
- 「証拠品の処理は捜査機関が自由にやる」と思われているが、対象物が公務所のものであれば話が別だ。捜査機関は勝手に処分できず、偽造・変造部分を公務所に通知し、処分の判断は公務所に委ねる。公の記録への介入には、別のルールが働いている
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 適用段階 | 刑訴498条:判決確定後の執行段階での偽造物返還 | 刑訴123条:公判段階での押収物の還付・仮還付 刑訴496条:没収物の検察官による処分 |
| 物の運命 | 偽造部分に表示を加えて権利者に返還 | 原則そのまま権利者に還付・仮還付 没収済みの物を検察官が処分(返還しない) |
| 公務所の物の扱い | 公務所に通知し相当な処分を委ねる(2項但書) | 還付請求権者に返還 国庫帰属を前提に処分 |
| 権利者不明時 | 刑訴499条の公告手続へ(要確認) | 公判で還付先を特定 没収により国庫帰属 |
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- もし、あなたが詐欺の被害者で、犯人が使った偽造契約書が証拠として押収されていたら? 事件が終わると、その書面は偽造部分に表示が加えられて戻ってくる。あなたは民事の損害賠償訴訟でそれを証拠に使えるが、原本がすでに「改変の表示」入りであることを前提に立証戦略を組む必要がある
- あなたが知らずに受け取った一万円札が、実は精巧な偽札だった。事件処理のあとそれが手元に戻るとき、もう貨幣としては死んでいる。偽造の表示が刻まれ、二度と使えない。額面分の損失は、別途、加害者への請求で取り戻すしかない
- 役所が保管していた公文書が変造されていた。捜査機関はその物を勝手に処分できない。役所に偽造・変造部分を通知し、役所自身に相当な処分をさせる。公の記録に手が入れられないための仕組みだ
取るべき行動
被害を受けた側:1. 偽造・変造された物を掴まされたと気づいたら、まず現状のまま写真・スキャンで全面を記録し、自分で書き込みや訂正をしない(証拠価値の保全) 2. 警察に被害申告し、その物が押収・領置されたら受領書を必ず保管3. 自分が還付を受けるべき正当な権利者であることを早期に検察官へ伝える4. 還付後はその物が偽造表示入りであることを前提に、損害分は別途、加害者への民事の損害賠償請求(民法709条)で回収する道を組む
訴えられた側:1. 偽造・変造に関与したと疑われ物が押収されたら、まず弁護人を選任し、その物の出所と自分の認識(故意の有無)を整理する2. その物が本来は適法に作られた物の一部改変か、全面的な偽造かで、返還・処分の扱いも量刑も変わる3. 還付処理の段階で、自分に正当な所有権がある部分の主張を弁護人を通じて行う4. 偽造物が公務所のものなら処分は公務所に委ねられるため、勝手な回収・廃棄を試みない(証拠隠滅と評価される危険)
時効(請求できる期限):本条は判決確定後の執行段階の手続であり、返還時の表示自体に特定の時効はない。ただし押収物の還付を受けるべき者の所在が不明な場合は公告の手続がとられ、一定期間内に申出がなければ国庫に帰属しうる(刑事訴訟法499条関連、期間・要件は最新の改正状況をご確認ください)
学説
通説:本条は偽造・変造物も所有権の対象である以上、没収されない限り権利者に返還するという財産権回復を原則としつつ、表示によって再流通を防止し取引の安全を確保する趣旨と解される。財産権・取引安全・公の記録保護の三者を最小限の処理で調整する規定と位置づけられる。
改正沿革 AI による整理
改正の年表
- 1.昭和23年(1948年) 新設:現行刑事訴訟法(昭和23年法律第131号)の制定により、執行に関する規定の一環として偽造・変造物返還時の表示義務および公務所通知処分が定められた。
ログインすると、この条文にメモを残して他の利用者と共有できます。
ログインして共同ノートを始める