会社更生法 第100条(役員等の責任の査定の申立て等)
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- 裁判所は、更生手続開始の決定があった場合において、前条第一項各号に規定する請求権が存在し、かつ、必要があると認めるときは、管財人の申立てにより又は職権で、決定で、当該請求権の額その他の内容を査定する裁判(以下この節において「役員等責任査定決定」という。)をすることができる。
- 2.前項の申立てをするときは、その原因となる事実を疎明しなければならない。
- 3.裁判所は、職権で役員等責任査定決定の手続を開始する場合には、その旨の決定をしなければならない。
- 4.第一項の申立て又は前項の決定があったときは、時効の完成猶予及び更新に関しては、裁判上の請求があったものとみなす。
- 5.役員等責任査定決定の手続(役員等責任査定決定があった後のものを除く。)は、更生手続が終了したときは、終了する。
この条文の基本情報
役員等の責任の査定の申立て等とは何ですか?
定義役員等の責任の査定の申立て等とは、会社更生法第100条に定められた規定で、「裁判所は、更生手続開始の決定があった場合において、前条第一項各号に規定する請求権が存在し、かつ、必要があると認めるときは、管財人の申立てにより又は職権で、決定で…」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 会社更生法第100条(役員等の責任の査定の申立て等)は、日本の会社更生法に含まれる条文です。
- 会社更生法第100条の条文原文は「裁判所は、更生手続開始の決定があった場合において、前条第一項各号に規定する請求権が存在し、かつ、必要があると認めるときは、管財人の申立てにより又は職権で、決定で…」で始まります。
- 会社更生法第100条は第五節に置かれています。
- 会社更生法の公布日は平成14年12月13日です。
- 会社更生法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 会社更生法第100条の前の条は会社更生法第99条です。
- 会社更生法第100条の次の条は会社更生法第101条です。
- 会社更生法第100条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
会社更生法(平成十四年法律第百五十四号)第100条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/414AC0000000154 - 本サイト収録
会社更生法(平成十四年法律第百五十四号)第100条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/414AC0000000154/100
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点会社更生法100条は、更生会社の役員等の損害賠償責任を、訴訟を経ず管財人の申立て又は職権による決定で簡易迅速に査定する制度を定める。申立ては疎明で足りる。
Q · 辞めた会社が倒産したら、元取締役は裁判を経ずに賠償を命じられるの?
原則として通常訴訟を経ず、裁判所の決定一本で責任額が確定します
会社更生法100条により、更生会社の役員等の任務懈怠責任は、管財人の申立て又は裁判所の職権による『役員等責任査定決定』で簡易迅速に査定されます。申立ては疎明で足り(2項)、審理も簡易です。不服があれば送達日から1か月の不変期間内に異議の訴え(101条)を起こせば通常訴訟に移行しますが、これを逃すと査定決定は確定判決と同一の効力(102条)を持ち、強制執行の対象になります。
解説
取締役を辞めて何年も経った会社が倒産し、ある日裁判所から「役員等責任査定決定」という書面が届く。中身は、あなたが在任中の判断で会社に与えた損害、数億円を支払えという内容だ。通常なら会社があなたを訴え、何年もかけて裁判で争うはずのこの請求が、会社更生法100条では裁判所の決定一本で確定する。更生手続の管財人が申し立てるか、裁判所が職権で動けば、簡易な審理であなたの個人責任額が査定される。しかもこの決定は、異議を申し立てなければ確定判決と同じ効力を持つ(102条)。あなたが知っておくべきは、これが「通常訴訟の代わり」だという一点だ。だからこそ申立ては疎明で足り(2項)、スピードが命の倒産処理に合わせて設計されている。反撃の窓口は、決定が届いてからの異議の訴え(101条)に限られ、その期間は驚くほど短い。
法的な位置づけ
会社更生法100条は役員等責任査定決定を定める規定であり、更生会社の役員等が在任中の任務懈怠により負う損害賠償責任について、通常の訴訟を経ず、管財人の申立て又は裁判所の職権による決定で、その額その他の内容を査定する制度を規律する。倒産処理の迅速性に対応した略式の責任確定手続として機能する。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.役員等責任査定決定の送達日を真っ先に確認 決定書が届いたら、何より先に送達日を確認する。異議の訴え(101条)の1か月の不変期間がこの日から起算される。封筒の受領印・郵便の配達記録を保全しておく
- 2.倒産・会社法に強い弁護士へ即時相談 1か月の不変期間内に動く必要があるため、決定到達後すぐに専門弁護士に相談する。在任中の意思決定が『経営判断の原則』で保護される範囲か、善管注意義務違反の有無を検証してもらう
- 3.反対・慎重意見の記録を証拠として収集 取締役会議事録・稟議書・社内メールから、問題となった経営判断に自分が反対または慎重意見を述べた記録を探す。この記録が査定対象から外れる、または賠償額を減じる決定的証拠になりうる
- 4.1か月以内に異議の訴えを提起 査定決定に不服があれば、送達日から1か月の不変期間内に異議の訴え(101条)を提起する。これにより手続は通常訴訟に移行し、立証責任は管財人側に戻る。期間を逃すと査定額が確定判決と同一の効力で確定する
- 5.D&O 保険のランオフ条項の有無を確認 在任中に付保した会社役員賠償責任保険(D&O 保険)に退任後補償(ランオフ)条項があるか確認する。倒産で会社が保険料未払いだと失効していることが多く、約款の免責事由(犯罪行為・私的利益)も同時に確認する
よくある質問 AI による整理
Q1役員等責任査定決定とは何ですか?
更生会社の役員等の任務懈怠責任を、通常訴訟を経ず裁判所の決定で査定する制度です。会社更生法100条が根拠で、管財人の申立て又は職権で開始されます。
Q2役員等責任査定決定に不服があるときはどうすればいいですか?
送達日から1か月の不変期間内に異議の訴え(会社更生法101条)を提起します。これで通常訴訟に移行し、立証責任は管財人側に戻ります。
Q3役員等責任査定決定の異議申立て期間は何日ですか?
決定の送達日から1か月の不変期間です(会社更生法101条)。期間を過ぎると査定決定は確定判決と同一の効力を持ちます(102条)。
Q4管財人が役員の責任を追及しないときはどうなりますか?
裁判所は職権で査定手続を開始できます(100条3項)。債権者は管財人や裁判所に上申して回収を促すことが可能です。
Q5監査役や社外取締役も役員等責任査定の対象になりますか?
対象になります。査定の対象は代表取締役に限らず、任務懈怠のあった取締役・監査役・執行役等を含みます。『名義だけ』は免責になりません。
Q6役員等責任査定決定は確定判決と同じ効力がありますか?
異議の訴えが提起されないまま期間が経過すると、確定判決と同一の効力を持ちます(会社更生法102条)。強制執行の債務名義になります。
Q7破産や民事再生にも同じ役員責任査定制度はありますか?
あります。破産法178条、民事再生法143条に同種の役員等責任査定制度が置かれており、いずれも簡易迅速な責任確定を目的とします。
Q8役員等責任査定の申立てに必要な立証の程度はどのくらいですか?
通常訴訟の『証明』ではなく『疎明』で足ります(100条2項)。一応確からしいと裁判所が認める程度で査定決定まで進む点が重い特徴です。
この条文についての質問 AI による整理
Q1会社を辞めた後でも、昔の経営判断で責任を問われるんですか?
在任中の任務懈怠であれば、辞任後でも会社更生法100条の査定対象になります。役員等責任査定決定は現役・元役員を問いません。根拠は会社法423条の任務懈怠責任で、これを倒産手続内で簡易迅速に確定させる仕組みです。実務のポイント:実務では管財人は就任直後に旧経営陣の取締役会議事録と稟議書を精査し、回収可能性の高い責任から査定を狙う。議事録に反対意見を述べた記録が残っている役員は査定対象から外れやすい。在任中の『反対・異議の記録』が、何年も後にあなたを守る
Q2普通の裁判と何が違うんですか? 反論のチャンスはあるんですか?
最大の違いはスピードと立証のハードルです。通常訴訟と違い申立ては疎明で足り(100条2項)、審理も簡易です。ただし反論の道は保障されており、決定に不服なら異議の訴え(101条)で通常訴訟に移行できます。実務のポイント:異議の訴えを起こせば立証責任は元どおり管財人側に戻り、フルの審理が受けられる。査定額に圧倒されて諦める人がいるが、異議さえ出せば土俵は通常訴訟と同じ。1か月の不変期間だけは絶対に死守する
Q3D&O保険に入っていれば、この査定決定の賠償もカバーされますか?
会社役員賠償責任保険(D&O保険)で対応できる場合がありますが、約款の免責事由次第です。倒産に絡む経営判断は『犯罪行為』『私的利益』の免責に触れると支払われないことがあります。実務のポイント:D&O保険は会社が倒産すると保険料未払いで失効しているケースが多い。在任中に『退任後○年補償する延長条項(ランオフ)』を付けていたかどうかで結末が天と地ほど変わる。倒産してから保険を探しても間に合わない
間違えやすい点 AI による整理
- 「役員を辞めれば過去の責任は切れる」と思い込んでいる人が多いが、査定の対象は在任中の任務懈怠であって、辞任のタイミングではない。退任から何年経っていても、会社が更生手続に入れば在任中の判断が蒸し返される
- この手続を「ただの簡易版の裁判」だと軽く見る人がいるが、深刻さの本質は立証構造にある。通常訴訟なら管財人が一から立証すべき責任が、疎明(一応確からしい程度)だけで査定決定まで進む。あなたが異議を出さなければ、その簡易な判断がそのまま確定判決と同じ効力になる
- 「査定決定が届いた=もう負けた」と受け取って諦める人が多いが、その認識そのものが誤っている。決定はゴールではなく入口で、1か月以内に異議の訴えを起こせば土俵は通常訴訟に戻り、立証責任も管財人側に戻る。問うべきは『負けたか』ではなく『1か月以内に動けるか』だ
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 条文の役割 | 100条:役員等責任査定決定の申立て・職権開始と査定 | 101条:査定決定に対する異議の訴え(不服申立ての唯一の方法) 102条:査定決定の効力(確定判決と同一の効力) |
| 動かす主体 | 管財人の申立て又は裁判所の職権(3項) | 査定決定に不服のある当事者(役員等・管財人) —(効力に関する規定) |
| 立証・期間 | 申立ては疎明で足りる(2項)/更生手続中に行使 | 決定の送達日から1か月の不変期間 異議の訴えがないまま期間経過で確定 |
| 帰結 | 簡易な審理で責任額を査定 | 通常訴訟へ移行し立証責任は管財人側に戻る 強制執行の債務名義となる |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾は負責人の損害賠償責任を公司法23条で定め、重整手続では重整人が責任追及を行う。日本のような略式の査定決定制度は明文化されておらず、通常訴訟による点が異なる。
韓国は会社更生・破産を統合した統一倒産法を持ち、管理人による役員責任の査定・追及制度を備える。簡易迅速性を志向する点で日本と類似。
ドイツは Insolvenzverwalter(倒産管財人)が会社法上の取締役責任を訴訟で追及する構造。日本のような決定一本の査定制度はなく、通常訴訟による点が異なる。
米国では trustee や debtor in possession が取締役の信認義務違反(fiduciary duty)を追及。会社更生法のモデルとなった Chapter X の系譜に連なるが、責任確定は通常の訴訟手続による。
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- もし、あなたが3年前に辞めた会社が更生手続に入ったら? 在任中に承認した不採算事業への投資判断について、管財人が「善管注意義務違反」だとして査定を申し立ててくる可能性がある。辞めた事実は、在任中の責任を消さない
- 更生手続中の会社の元代表として、裁判所から役員等責任査定決定が届いた。記載額は5億円。反論する唯一の道は異議の訴え(101条)だが、提訴できる期間は決定送達から1か月の不変期間。この1か月を逃せば、5億円が確定判決と同じ重みであなたにのしかかる
- あなたが更生会社の債権者だとする。配当原資を増やす隠れた一手が、放漫経営をした旧経営陣からの回収だ。管財人にこの査定手続の活用を促せば、本来は泣き寝入りだった分が配当に回る可能性がある
- 監査役だったあなたにも通知が来た。「自分は名ばかりだった」は通用しない。査定の対象は代表取締役だけではない
取るべき行動
被害を受けた側:1. あなたが更生会社の債権者なら、管財人に対し旧経営陣の責任追及(100条の査定申立て)を積極的に促す。回収額は配当原資に直結する2. 提供できる証拠(不正の兆候、利益相反取引の記録、放漫経営の資料)を管財人に提出する3. 管財人が動かなくても裁判所は職権で査定手続を開始できる(3項)ため、裁判所への上申も選択肢4. 査定で確定した責任額は確定判決と同じ効力(102条)を持ち、強制執行で回収できる
訴えられた側:1. 役員等責任査定決定が届いたら、何より先に送達日を確認。異議の訴え(101条)の1か月の不変期間が起算される2. 在任中の意思決定が「経営判断の原則」で保護される範囲か、専門弁護士と即検証。十分な情報収集と合理的判断があれば善管注意義務違反にならない3. 取締役会議事録・稟議書から自分の反対・慎重意見の記録を探す4. 1か月以内に異議の訴えを提起すれば通常訴訟に移行し、立証責任は管財人側に戻る。期間を逃すと査定額が確定する
時効(請求できる期限):役員等責任査定決定に対する異議の訴えは、決定の送達日から1か月の不変期間内に提起しなければならない(会社更生法101条)。この期間を過ぎると査定決定は確定判決と同一の効力を持つ(102条)。なお査定の対象となる役員の任務懈怠責任(会社法423条)自体の消滅時効は、権利を行使できる時から原則10年(最新の改正状況をご確認ください)
学説
通説:役員等責任査定決定は、倒産処理の迅速性の要請から損害賠償訴訟を略式化したものであり、疎明による簡易査定を可能とする一方、異議の訴え(101条)による通常訴訟への移行で役員の手続保障を確保する均衡構造をとると解される。実体的責任の根拠は会社法423条の任務懈怠責任に求められる。
改正沿革 AI による整理
- 平成14年(2002年) 会社更生法の全部改正で新法を制定。旧法下の役員責任追及を、管財人の申立てまたは職権による簡易迅速な役員等責任査定決定制度として整備した
- 平成29年(2017年)民法改正に伴う整備、令和2年(2020年4月1日)施行 債権法改正に合わせ、第4項の文言を旧『時効の中断』から『時効の完成猶予及び更新』へ改正。査定の申立て等を裁判上の請求とみなす効果を新時効制度に対応させた
改正の年表
- 1.平成14年(2002年) 改正:会社更生法の全部改正により新法を制定。旧法下の役員責任追及を、管財人の申立て又は職権による簡易迅速な役員等責任査定決定制度として整備した。
- 2.平成29年(2017年)民法(債権法)改正に伴う整備・令和2年(2020年4月1日)施行 改正:第4項の文言を旧『時効の中断』から『時効の完成猶予及び更新』へ改め、査定の申立て等を裁判上の請求とみなす効果を新時効制度に対応させた。
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