会社更生法 第99条(役員等の財産に対する保全処分)
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- 裁判所は、更生手続開始の決定があった場合において、必要があると認めるときは、管財人の申立てにより又は職権で、次に掲げる保全処分をすることができる。
- 一発起人、設立時取締役、設立時監査役、取締役、会計参与、監査役、執行役、会計監査人又は清算人(以下この節において「役員等」という。)の責任に基づく損害賠償請求権を保全するための当該役員等の財産に対する保全処分
- 二役員等(設立時監査役、会計参与、監査役、会計監査人及び清算人を除く。)に対する会社法第五十二条第一項、第五十二条の二第一項若しくは第二項、第百三条第二項、第二百十三条第一項、第二百十三条の三第一項、第二百八十六条第一項又は第二百八十六条の三第一項の規定による支払請求権を保全するための当該役員等の財産に対する保全処分
- 2.裁判所は、前項の規定による保全処分を変更し、又は取り消すことができる。
- 3.第一項の規定による保全処分又は前項の規定による決定に対しては、即時抗告をすることができる。
- 4.前項の即時抗告は、執行停止の効力を有しない。
- 5.第三項に規定する裁判及び同項の即時抗告についての裁判があった場合には、その裁判書を当事者に送達しなければならない。この場合においては、第十条第三項本文の規定は、適用しない。
この条文の基本情報
役員等の財産に対する保全処分とは何ですか?
定義役員等の財産に対する保全処分とは、会社更生法第99条に定められた規定で、「裁判所は、更生手続開始の決定があった場合において、必要があると認めるときは、管財人の申立てにより又は職権で、次に掲げる保全処分をすることができる。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 会社更生法第99条(役員等の財産に対する保全処分)は、日本の会社更生法に含まれる条文です。
- 会社更生法第99条の条文原文は「裁判所は、更生手続開始の決定があった場合において、必要があると認めるときは、管財人の申立てにより又は職権で、次に掲げる保全処分をすることができる。」で始まります。
- 会社更生法第99条は第五節に置かれています。
- 会社更生法の公布日は平成14年12月13日です。
- 会社更生法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 会社更生法第99条の前の条は会社更生法第98条です。
- 会社更生法第99条の次の条は会社更生法第100条です。
- 会社更生法第99条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
会社更生法(平成十四年法律第百五十四号)第99条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/414AC0000000154 - 本サイト収録
会社更生法(平成十四年法律第百五十四号)第99条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/414AC0000000154/99
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点会社更生法99条は、更生手続開始後、裁判所が管財人の申立て又は職権で、役員等の責任に基づく損害賠償請求権を保全するため、当該役員の財産に対し保全処分をできると定める。
Q · 倒産した会社の役員は、裁判で責任が決まる前に個人財産を凍結されることがあるんですか?
あります。責任確定前でも申立て又は職権で凍結されうる
会社更生法99条により、更生手続開始の決定後、裁判所は必要と認めるとき、管財人の申立てにより又は職権で、役員等の責任に基づく損害賠償請求権(会社法423条の善管注意義務違反等)や会社法上の支払請求権を保全するため、当該役員等の財産に対する保全処分を発令できます。責任が確定する前の暫定措置であり、即時抗告はできますが執行停止の効力はありません(4項)。退任後の元役員も在任中の行為に基づく責任の射程に含まれます。
解説
あなたが数年前まで、ある会社の取締役だったとする。退任して縁が切れたつもりでいた。ところがその会社が経営破綻し、裁判所が更生手続開始の決定を下した。ここで多くの元役員が見落とすのが会社更生法99条だ。会社更生では、会社を立て直す管財人が「あの時の経営判断であなたが会社に損害を与えた」と判断すれば、その損害賠償請求権を確保するため、まだ裁判で勝つ前の段階で、裁判所にあなた個人の財産の保全処分(あなたの預金・不動産を勝手に処分できないよう凍結する暫定措置)を求められる。しかも管財人の申立てだけでなく、裁判所が職権でも動ける。あなたが「会社の借金は会社の話、自分の家や貯金は別」と思っているその前提を、この条文は根底から崩す。役員報酬の数倍の賠償リスクが、自分の生活資産に直結して凍りつく。これは現役役員だけの話ではない。退任後も、責任の時効が来るまでは射程内にいる。
法的な位置づけ
会社更生法99条は、更生手続における役員等財産保全処分を定める規定である。更生手続開始の決定後、裁判所が必要と認めるとき、管財人の申立て又は職権で、役員等の責任に基づく損害賠償請求権又は会社法上の支払請求権を保全するため、当該役員等の財産に対し暫定的な保全処分を発令できる。即時抗告は可能だが執行停止の効力を有しない。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.保全処分決定書の告知日を即確認 財産保全処分の決定書が送達されたら、机に放り込まず受け取った日付をその場でカレンダーに刻む。即時抗告ができるのは告知から起算する短い不変期間内のみで、一日過ぎると正式な不服申立ての道が閉じる
- 2.凍結前提で生活資金を確保 即時抗告には執行停止の効力がない(99条4項)ため、抗告しても凍結は継続する。当面は凍結された資産を当てにせず、生活資金・運転資金を別系統で確保する段取りを組む
- 3.倒産・会社法に強い弁護士へ直行 保全を争う線(被保全債権の不存在・保全の必要性の欠如)と、責任本体を争う線(100条の査定・101条の異議の訴え)を同時に組む。前哨戦と本戦のどちらで戦うかを早期に方針決定する
- 4.経営判断の正当性を示す証拠を集約 在任中の経営判断について議事録・稟議書・専門家意見書を整え、経営判断原則の適用を主張する余地を探る。管財人が責任追及を断念する材料にもなり、保全そのものの回避につながりうる
よくある質問 AI による整理
Q1会社更生法99条とは何ですか?
更生手続開始後、裁判所が管財人の申立て又は職権で、役員等の責任に基づく損害賠償請求権を保全するため役員個人の財産を保全処分できると定める規定です。
Q2役員の財産保全処分とは何ですか?
役員等の責任が確定する前に、損害賠償請求権の回収原資が散逸しないよう、預金・不動産などの処分を暫定的に禁じる裁判所の措置です。会社更生法99条が根拠です。
Q3倒産した会社の役員は個人財産を取られますか?
責任が認定されれば賠償義務を負い、99条の保全処分で確定前から財産が凍結されることもあります。ただし保全は暫定措置で、責任の有無は100条の査定等で別途争われます。
Q4役員責任の査定とは何ですか?
会社更生法100条に基づき、管財人の申立てで裁判所が役員等の責任の有無と賠償額を簡易迅速に確定する手続です。99条の保全に続く本案手続にあたります。
Q5保全処分への即時抗告はいつまでにできますか?
裁判の告知を受けた日から起算する不変期間内です(原則1週間、最新の改正状況をご確認ください)。即時抗告には執行停止の効力がなく、抗告中も凍結は継続します。
Q6退任した役員も責任を問われますか?
問われます。在任中の行為に基づく責任は退任後も追及対象であり、99条の保全処分も現役か元役員かを問いません。肩書が切れても責任の射程からは外れません。
Q7破産と会社更生で役員財産保全に違いはありますか?
枠組みは類似します。破産法177条、民事再生法142条にも役員財産保全処分があり、いずれも責任確定前の凍結と即時抗告の非執行停止効という共通設計です。
Q8D&O 保険があれば99条の凍結は防げますか?
防げません。役員賠償責任保険は責任と金額が確定した後に保険金が下りる仕組みで、確定前に走る99条の財産保全とは時間差があり、凍結のタイムラグは埋められません。
この条文についての質問 AI による整理
Q1管財人が頼まなくても、裁判所が勝手に役員の財産を凍結できるんですか?
できます。99条1項は「管財人の申立てにより又は職権で」と定めており、裁判所自らの判断で保全処分を発令できます。これは更生手続が会社の再建という公益に関わるため、回収原資の散逸を裁判所が能動的に防ぐ趣旨です。実務のポイント:実務上は管財人の申立てが大半ですが、職権発動の余地があること自体が役員へのプレッシャーになる。管財人が「申立てを検討中」と示唆した時点で、すでに凍結のカウントダウンが始まっていると考えた方がいい
Q2即時抗告すれば、とりあえず凍結は止まりますか?
止まりません。99条4項が明確に「即時抗告は、執行停止の効力を有しない」と定めています。つまり不服を申し立てている間も、あなたの財産の保全は効力を持ち続けます。実務のポイント:ここが破産法・民事再生法の役員財産保全とも共通する設計で、抗告を理由に時間を稼いで資産を動かす、という抜け道を立法が先回りで塞いでいる。抗告は「凍結を止める手段」ではなく「最終的に取り消させる手段」と割り切り、当面は凍結前提で生活設計を組み直すのが現実的
間違えやすい点 AI による整理
- 「賠償が確定するまで自分の財産は安全」と思い込んでいる人が多いが、99条はまさにその確定前の段階を狙い撃ちする条文だ。責任の有無が裁判で決まる前に、保全という名で先に凍結される。順番を逆に理解していると、財産を動かせると思った時にはもう手遅れになる
- 保全処分を受けた = もう負けが確定、と早合点する人がいるが、これは前提が誤っている。保全処分はあくまで暫定措置で、責任の有無と金額は別途100条の査定手続や訴訟で争われる。保全されたこと自体を即時抗告で争う道も、責任の中身を本戦で争う道も、両方残っている。立てるべき問いは「もう負けたのか」ではなく「保全を解くか、本戦で勝つか、どちらの戦線で戦うか」だ
- 「退任したから関係ない」と思っている元役員は危ない。在任中の行為に基づく責任は、退任後も役員等責任の追及対象であり続ける。99条の保全処分は現役か元役員かを問わない。縁が切れたのは肩書だけで、責任の射程からは出ていない
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 手続の性質 | 99条:役員財産の保全処分(暫定・前哨戦) | 100条:役員等責任の査定(本案・賠償額の確定) 101条:査定決定に対する異議の訴え(訴訟段階) |
| 主体 | 管財人の申立て又は裁判所の職権 | 管財人の申立て 決定に不服のある当事者の提訴 |
| 効果 | 役員財産の処分を暫定的に禁止・凍結 | 責任の有無と賠償額を簡易迅速に確定 査定決定の当否を通常訴訟で再審理 |
| 不服申立て | 即時抗告(執行停止効なし・99条4項) | 異議の訴え(101条)への移行 上訴(控訴・上告) |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾も重整手続において裁判所が保全処分を命じうる。董監事責任の追及と並行する点で日本に類似
韓国の統合倒産法も会生手続で理事等の財産に対する保全処分を定め、責任査定(조사확정재판)と接続する構造
ドイツは倒産手続開始前の暫定的保全措置を InsO § 21で規律。役員責任は会社法・倒産法上の個別規定で追及
米国は Chapter 11のリオーガニゼーションで、裁判所が § 105の包括的衡平権限により役員に対する暫定的差止め等を発令しうる。会社更生法の母法的位置づけ
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- あなたが中堅メーカーの元取締役。在任中の過大な設備投資が引き金で会社が更生手続に入った。管財人が「善管注意義務違反(プロの経営者として当然払うべき注意を怠ったこと)で会社に5億円の損害」と査定に動いた瞬間、99条で、まだ責任が確定する前にあなたの自宅と証券口座が保全処分の対象になりうる
- もし、ある朝あなたのもとに「財産保全処分決定」の裁判書が送達されたら? あなたが取れる正式な不服申立ては即時抗告ただ一つ。しかも4項により、抗告しても保全の効力は止まらない(執行停止の効力なし)。動ける時間は告知から数えてごく短い不変期間しかない
- 発起人として会社設立に関わっただけのあなた。現物出資の評価が過大だったとして、会社法52条の支払請求権を保全するため、あなたの財産まで凍結対象になる。「自分は経営者ですらない」は通用しない
取るべき行動
被害を受けた側:管財人・債権者側として役員責任を追及する立場なら、1. 更生手続開始決定の直後が勝負、役員が財産を散逸させる前に動く2. 対象役員ごとに、責任の根拠(会社法423条の善管注意義務違反、現物出資不足の52条等)と被保全債権額を特定3. 管財人を通じて99条1項の保全処分を申し立てる、緊急性が高ければ職権発動も裁判所に促す4. 保全と並行して100条の責任査定の申立てを準備、前哨戦と本戦を切れ目なく接続する
訴えられた側:保全処分の対象とされた役員側なら、1. 送達された決定書の日付をその場で確認、即時抗告の不変期間を最優先で押さえる2. 抗告しても執行停止効はない(4項)ので、凍結を前提に生活資金の確保を別途検討3. 倒産・会社法に強い弁護士に直行、保全を争う線(被保全債権の不存在・必要性の欠如)と本戦で責任を争う線を同時に組む4. 在任中の経営判断の正当性を示す議事録・専門家意見等の証拠を集約、経営判断原則の適用を主張する余地を探る
時効(請求できる期限):保全処分の決定に対する即時抗告は、裁判の告知を受けた日から起算する不変期間内に行う必要がある(会社更生法の即時抗告は原則1週間、最新の改正状況をご確認ください)。即時抗告には執行停止の効力がない(本条4項)ため、抗告中も凍結は継続する。被保全債権である役員責任そのものの時効は、その責任の性質(会社法上の損害賠償責任等)に従う
改正沿革 AI による整理
改正の年表
- 1.昭和27年(1952年) 新設:会社更生法制定。米国連邦倒産法のリオーガニゼーション制度を範に、更生手続における役員責任追及と財産保全の枠組みを導入
- 2.平成14年(2002年) 改正:会社更生法全部改正(平成14年法律第154号)。役員等責任の査定手続(100条)と財産保全処分(99条)を整理し、迅速な手続による原資確保と役員の手続保障の均衡を明確化
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