会社更生法 第102条(役員等責任査定決定に対する異議の訴え)
クイックジャンプ
- 役員等責任査定決定に不服がある者は、その送達を受けた日から一月の不変期間内に、異議の訴えを提起することができる。
- 2.前項の訴えは、更生裁判所が管轄する。
- 3.第一項の訴えは、これを提起する者が、役員等であるときは管財人を、管財人であるときは役員等を、それぞれ被告としなければならない。
- 4.第一項の訴えについての判決においては、訴えを不適法として却下する場合を除き、役員等責任査定決定を認可し、変更し、又は取り消す。
- 5.役員等責任査定決定を認可し、又は変更した判決は、強制執行に関しては、給付を命ずる判決と同一の効力を有する。
- 6.役員等責任査定決定を認可し、又は変更した判決については、受訴裁判所は、民事訴訟法第二百五十九条第一項の定めるところにより、仮執行の宣言をすることができる。
この条文の基本情報
役員等責任査定決定に対する異議の訴えとは何ですか?
定義役員等責任査定決定に対する異議の訴えとは、会社更生法第102条に定められた規定で、「役員等責任査定決定に不服がある者は、その送達を受けた日から一月の不変期間内に、異議の訴えを提起することができる。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 会社更生法第102条(役員等責任査定決定に対する異議の訴え)は、日本の会社更生法に含まれる条文です。
- 会社更生法第102条の条文原文は「役員等責任査定決定に不服がある者は、その送達を受けた日から一月の不変期間内に、異議の訴えを提起することができる。」で始まります。
- 会社更生法第102条は第五節に置かれています。
- 会社更生法の公布日は平成14年12月13日です。
- 会社更生法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 会社更生法第102条の前の条は会社更生法第101条です。
- 会社更生法第102条の次の条は会社更生法第103条です。
- 会社更生法第102条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
会社更生法(平成十四年法律第百五十四号)第102条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/414AC0000000154 - 本サイト収録
会社更生法(平成十四年法律第百五十四号)第102条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/414AC0000000154/102
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点会社更生法102条は、役員等責任査定決定に不服がある者が送達日から1か月の不変期間内に異議の訴えを提起できると定める。徒過すれば決定が確定し、給付判決と同一の効力を生じる。
Q · 更生手続中の会社から「役員責任の査定決定」が届いた。どう争えばいい?
送達日から1か月以内に異議の訴えを起こすしかない
会社更生法102条により、役員等責任査定決定に不服がある者は、送達を受けた日から1か月の不変期間内に異議の訴えを提起する必要があります。書面で反論しても手続上は無意味で、争えるのは更生裁判所への訴え提起のみです。役員側が原告なら管財人を、管財人側が原告なら役員等を被告とします。期間を徒過すると査定決定が確定し、給付を命ずる判決と同一の効力(102条5項)を持ち、個人財産への強制執行が及びます。
解説
会社が更生手続に入ると、在任中の経営判断が一つずつ掘り返される。管財人や裁判所は、あなたに会社への損害賠償責任があると見れば、通常の訴訟を起こさず「査定」という簡易な決定で責任額を確定できる。ここが落とし穴だ。査定決定が送達されたら、不服があるなら送達日から1か月の不変期間内に異議の訴えを起こさなければならない。この1か月を逃すと、査定決定はそのまま確定し、給付を命ずる判決と同じ強制執行力を持つ。通常なら会社側が「あなたが悪い」と汗をかいて立証するのに、この手続では逆に、あなたが期限内に動いて争わなければ、何百万、何千万の責任が自動的に個人財産へ降りかかる。立証責任と時間の主導権が、最初からひっくり返っている。
法的な位置づけ
会社更生法102条は、更生手続における役員等責任査定決定への不服申立ての方法を定める規定であり、送達日から1か月の不変期間内に異議の訴えを提起すべきこと、その管轄裁判所、当事者の構成、判決の効力を規律する。査定という簡易な責任確定手続から、正式な訴訟への移行を保障する手続規定である。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.送達日付印の確認と逆算カレンダー作成 査定決定の封を開けたら、まず送達日付印を確認し、そこから1か月の不変期間を逆算してカレンダーに記入する。役員が複数いる場合、各自の送達日が異なれば期限もずれるため自分の起算点を特定する
- 2.倒産・会社法に強い弁護士へ即日相談 書面での反論は手続上無意味であることを前提に、争うか確定させるかを判断する。任務懈怠の有無、会社の損害との因果関係、査定額の当否を弁護士と精査する
- 3.D&O保険会社への通知 役員賠償責任保険があれば直ちに保険会社へ保険事故として通知し、争訟費用の補償と対応方針を確認する。通知遅延は補償喪失リスクがあるため争うか否かの結論を待たずに行う
- 4.更生裁判所へ異議の訴えを提起 争うと決めたら、不変期間内に更生裁判所へ管財人を被告とする異議の訴えを提起する(102条1項・3項)。訴状で任務懈怠の不存在や損害額の過大を主張立証する。期間徒過は致命的なため訴え提起の準備を最優先する
よくある質問 AI による整理
Q1役員等責任査定決定とは何ですか?
更生手続中の会社の役員等に対し、通常訴訟を経ず裁判所が簡易な決定で損害賠償責任額を確定する制度です。管財人の申立て等を前提に発令されます(会社更生法100条・101条)。
Q2会社更生法の役員責任査定 異議の訴えの期限はいつまで?
査定決定の送達を受けた日から1か月の不変期間内です(102条1項)。役員ごとに送達日が異なれば各自の起算点もずれます。延長は原則認められません。
Q3不変期間とは何ですか?延長できますか?
当事者の都合では一日も延ばせない期間です。多忙・入院・弁護士未確保などの事情は原則通用しません。遠隔地居住者に裁判所が付加期間を定める例外のみあります。
Q4役員等責任査定の申立ては誰ができますか?
更生手続では管財人が申立てをするほか、裁判所が職権で査定手続を開始する場合もあります(会社更生法100条)。役員側から申し立てる制度ではありません。
Q5査定決定が確定するとどうなりますか?
1か月以内に異議の訴えがなければ確定し、給付を命ずる判決と同一の効力を持ちます(102条5項)。これが債務名義となり、役員個人の財産に強制執行できます。
Q6異議の訴えはどこの裁判所に提起しますか?
更生裁判所が管轄します(102条2項)。査定決定を出した裁判所と同じ系統であり、通常の地裁にバラバラに提起できるわけではありません。
Q7破産手続でも同じ役員責任査定がありますか?
あります。破産法178条等が同型の役員責任査定と異議の訴えを定めます。会社法の特別清算にも類似制度があり、会社更生法だけの特殊事情ではありません。
Q8D&O保険は役員責任査定をカバーしますか?
査定決定は保険事故に直結し得ます。ただし保険会社への通知遅延で補償を失う場合があるため、決定が届いたら争訟費用の補償範囲を含め直ちに通知・確認すべきです。
この条文についての質問 AI による整理
Q1査定決定に納得いきません。裁判所に「異議あり」と書面を送れば争えますか?
いいえ、書面を送るだけでは争えません。会社更生法102条が定めるのは『異議の訴え』、つまり正式な訴訟提起です。送達日から1か月の不変期間内に、更生裁判所へ訴状を提出する必要があります。実務のポイント:この期限を逃すと査定決定が確定し、給付判決と同じ執行力を持つ(102条5項)。弁護士の多くは『査定決定が届いたら何より先に送達日を確認し、即日相談へ』と言う。封を開けてから動き出すまでの数日が命取りになる
Q2役員側じゃなくて、管財人の立場です。査定額が低すぎたら、こちらからも訴えられますか?
できます。102条3項は、管財人が訴える場合は役員等を被告とすると定めています。査定決定が実損より低ければ、管財人も原告として送達日から1か月以内に異議の訴えを起こせます。実務のポイント:実務では、査定の段階で証拠を出し切らず、低めの決定が出たら異議の訴えで本格立証に持ち込む戦略もある。査定はあくまで入口で、ゴールではない
Q3査定決定が確定したら、役員の個人財産はすぐ差し押さえられるんですか?
確定した査定決定、または認可・変更の判決は、給付を命ずる判決と同一の効力を持ち(102条5項)、強制執行の債務名義になります。さらに認可・変更判決には仮執行宣言を付けられる(102条6項、民事訴訟法259条1項)ので、確定前でも執行が及びうる。実務のポイント:仮執行宣言が付くと、控訴しても執行は止まらないのが原則。執行停止には別途の申立てと担保が要る。『控訴したから安心』は通用しない
間違えやすい点 AI による整理
- 「査定決定が来た、では会社側に反論の書面を出そう」と考えるのは、問いの立て方そのものが間違っている。査定決定への不服は、書面の反論ではなく『異議の訴え』という独立した訴訟提起でしか争えない。しかも送達日から1か月の不変期間内に。反論文を送っても手続上は無意味で、その間に期間が過ぎる
- 1か月の期限があることは知っていても、それが『不変期間』である重さを知らない人が多い。不変期間は当事者の都合では一日も延ばせない。多忙、入院、弁護士が見つからない、どんな事情も原則として通用しない(遠隔地居住者への付加期間という例外を除く)
- 「査定決定はあくまで簡易な判断だから、放っておいても本訴で改めて争える」と思うと致命傷になる。異議の訴えを起こさず1か月が過ぎれば、査定決定は確定し、給付を命ずる判決と同じ強制執行力を持つ(102条5項)。あなたの私財に執行が及ぶ
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 手続上の位置づけ | 102条:査定決定への不服申立て(異議の訴え) | 100条:役員等責任査定手続の入口(申立て) 101条:裁判所による責任額の査定決定 |
| 主体 | 不服のある役員等、または管財人(102条3項) | 管財人の申立て等を前提に手続開始 更生裁判所が決定を発令 |
| 期限・タイミング | 送達日から1か月の不変期間(延長不可) | 更生手続の進行中(時効・除斥に留意) 査定手続を経た発令時 |
| 効力 | 確定で給付判決と同一の効力(102条5項) | 査定手続の開始にとどまる 異議の訴えがなければ確定し執行力を生じる |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾は公司法で負責人の損害賠償責任を定めるが、日本のような倒産手続内の簡易な「査定決定+異議の訴え」という独立の確定ルートは整っておらず、通常訴訟によることが多い。
韓国の債務者回生法は、役員等の責任に基づく損害賠償請求権の調査確定裁判を設け、これに不服があれば異議の訴えを認める点で日本と構造が類似する。
ドイツは倒産管財人(Insolvenzverwalter)が取締役の責任を追及するが、簡易な査定決定方式ではなく、原則として通常の責任追及訴訟による。
米国では管財人が役員に対する請求権を行使するが、日本の査定決定のような簡易確定手続というより、通常の訴訟・和解手続による点で異なる。
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 更生手続中の会社の元取締役のもとに「役員等責任査定決定」が届く。記載された賠償額は8,000万円。異議を申し立てられるのは送達日から1か月の不変期間だけ。延長は一切ない。あと3週間で弁護士を見つけ、訴状を整えなければ、この金額が確定する
- もし管財人が出した査定額が、あなたの実際の損害より低すぎたら? 管財人の側も原告として、役員等を被告に異議の訴えを起こせる(102条3項)。査定はゴールではなく、双方にとって本訴への入口だ
- あなたが管財人として就任した。前経営陣の放漫経営で会社は傾いた。全員を相手に通常訴訟を起こせば数年かかる。査定の申立てなら、裁判所が短期間で責任額を決定する
- 査定決定の封を開け、自分の名前の横の数字を見て、まず会社に反論の書面を送ろうと考える。それが致命傷になる。書面では争えない。1か月の時計は、その間も止まらず進んでいる
取るべき行動
被害を受けた側:1. 役員の任務懈怠と会社の損害を裏付ける資料(取締役会議事録、決裁書類、会計記録)を早期に確保2. 通常訴訟ではなく役員等の責任の査定の申立て(会社更生法100条)を選び、迅速に責任額の決定を得る3. 査定額が実損より低ければ、送達日から1か月以内に管財人を原告とする異議の訴えを提起(102条3項) 4. 確定すれば給付判決と同一の効力(102条5項)。執行に向けて役員財産の調査・保全処分(99条)を並行する
訴えられた側:1. 査定決定の封を開けたら、まず送達日付印を確認し、1か月の不変期間を逆算してカレンダーに記入2. 即日、倒産・会社法に強い弁護士へ相談し、争うか確定させるかを判断3. 争うなら、更生裁判所に管財人を被告とする異議の訴えを期間内に提起(102条1項・3項) 4. D&O保険があれば直ちに保険会社へ通知し、争訟費用の補償と対応方針を確認5. 期間徒過は致命的。迷っている間に1か月が過ぎないよう、まず訴え提起の準備を先行させる
時効(請求できる期限):役員等責任査定決定の送達を受けた日から1か月の不変期間(会社更生法102条1項)。不変期間のため当事者の都合による延長は認められない。遠隔地に居住する者には裁判所が付加期間を定めうる(民事訴訟法96条2項)。この期間を徒過すると査定決定が確定し、給付を命ずる判決と同一の効力を生じる(同102条5項)
学説
通説:役員責任査定の制度は、更生手続の迅速性を確保するため簡易な決定で責任額を確定するものであり、102条の異議の訴えは、これに対する役員等の裁判を受ける権利(憲法32条)を手続的に保障する制度と解されている。
改正沿革 AI による整理
改正の年表
- 1.昭和27年(1952年) 新設:旧会社更生法制定。米国連邦倒産法のリオーガニゼーション手続を母法に、会社の更生と役員責任追及の枠組みを導入。
- 2.平成14年(2002年) 改正:会社更生法を全部改正(平成14年法律第154号)。手続の迅速化を図り、役員等責任査定および異議の訴えに関する規律を現行の体系に整理。
ログインすると、この条文にメモを残して他の利用者と共有できます。
ログインして共同ノートを始める