会社更生法 第174条の3(株式等売渡請求に係る売渡株式等の取得)
クイックジャンプ
- 更生会社の発行する売渡株式等についての株式等売渡請求に係る売渡株式等の取得に関する条項においては、次に掲げる事項を定めなければならない。
- 一特別支配株主(会社法第百七十九条第一項に規定する特別支配株主をいう。第三号及び第二百十四条の二において同じ。)の氏名又は名称及び住所
- 二会社法第百七十九条の二第一項各号に掲げる事項
- 三特別支配株主が株式等売渡請求に係る売渡株式等の取得に際して更生債権者等に対して金銭を交付するときは、当該金銭の額又はその算定方法
- 四前号に規定する場合には、更生債権者等に対する同号の金銭の割当てに関する事項
この条文の基本情報
株式等売渡請求に係る売渡株式等の取得とは何ですか?
定義株式等売渡請求に係る売渡株式等の取得とは、会社更生法第174条の3に定められた規定で、「更生会社の発行する売渡株式等についての株式等売渡請求に係る売渡株式等の取得に関する条項においては、次に掲げる事項を定めなければならない。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 会社更生法第174条の3(株式等売渡請求に係る売渡株式等の取得)は、日本の会社更生法に含まれる条文です。
- 会社更生法第174条の3の条文原文は「更生会社の発行する売渡株式等についての株式等売渡請求に係る売渡株式等の取得に関する条項においては、次に掲げる事項を定めなければならない。」で始まります。
- 会社更生法第174条の3は第一節に置かれています。
- 会社更生法の公布日は平成14年12月13日です。
- 会社更生法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 会社更生法第174条の3の前の条は会社更生法第174条の2です。
- 会社更生法第174条の3の次の条は会社更生法第175条です。
- 会社更生法第174条の3には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
会社更生法(平成十四年法律第百五十四号)第174条の3 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/414AC0000000154 - 本サイト収録
会社更生法(平成十四年法律第百五十四号)第174条の3(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/414AC0000000154/174_3
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点会社更生法174条の3は、特別支配株主が更生計画で少数株主の株式を強制取得する際に必ず定めるべき記載事項を規定する。交付金銭が更生債権者等に向かう設計もある。
Q · 倒産した会社の株は、更生計画で勝手に取り上げられるの?
取り上げられうる。対価が株主に届くとは限らない
会社更生法174条の3により、議決権の9割超を握る特別支配株主は、更生計画に株式等売渡請求の条項を組み込み、少数株主の同意なく株式を強制取得(キャッシュアウト)できます。条項には特別支配株主の氏名住所、取得条件(会社法179条の2)、交付金銭の額と割当てを必ず記載しなければなりません。ただし対価は更生債権者等に向かう設計があり(3号・4号)、後順位の株主に金銭が必ず届くとは限りません。価格に不服なら取得日の20日前の日から前日までに価格決定の申立て(会社法179条の8)が必要です。
解説
投資していた会社が倒産し、会社更生手続に入った。あなたは少数株主として、株が紙くずになる覚悟をしつつ、わずかな再起の望みを抱いている。そこへ分厚い更生計画が届く。その中の一条が、あなたの株を同意なく取り上げる仕掛けだ。会社更生法174条の3は、9割超の議決権を握る特別支配株主(スポンサー、会社法179条の特別支配株主)が、更生計画を使って少数株主を締め出す(キャッシュアウト)ための条項に、何を必ず書かねばならないかを定める。特別支配株主の氏名住所、会社法179条の2が求める取得条件、交付される金銭の額。ただし見落としてはならないのは、その金銭が更生債権者等に向かう設計になっている点だ(3号、4号)。倒産局面で株主は債権者の後順位、あなたの株が消えても、その対価が必ずあなたの手に入るとは限らない。
法的な位置づけ
会社更生法174条の3は、更生会社の発行する売渡株式等について特別支配株主が行う株式等売渡請求に係る取得条項の必要的記載事項を定める規定である。特別支配株主の氏名又は名称及び住所、会社法179条の2第1項各号の事項、更生債権者等に交付する金銭の額又は算定方法、及びその割当てに関する事項を、更生計画上明示することを義務づける。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.更生計画の売渡請求条項を精読 届いた更生計画から、株式等売渡請求条項を探す。特別支配株主が誰か、取得日、交付金銭の額・算定方法・割当て(174条の3の1号〜4号)を確認する
- 2.自分が対価の配分順位に入るか確認 倒産局面では株主は更生債権者より後順位。交付金銭が更生債権者等に向かう設計(3号・4号)かどうかを読み、自分に対価が届く可能性があるかをまず見極める
- 3.価格に不服なら期間内に価格決定を申立て 対価や取得条件に不服なら、取得日の20日前の日から取得日の前日までに裁判所へ価格決定の申立てを行う(会社法179条の8)。継続企業価値での増額を主張するなら鑑定資料を準備する
- 4.倒産・事業再生に強い弁護士へ早期相談 期間制限が短く初動が分水嶺となるため、計画を読んだ時点で速やかに専門弁護士へ相談する。価格決定の見込みと費用対効果を確認したうえで申立て可否を判断する
よくある質問 AI による整理
Q1会社更生で株主の株はどうなりますか?
9割超を握る特別支配株主が更生計画に売渡請求条項を組み込めば、同意なく強制取得されます。会社更生法174条の3が記載事項を定めます。価値が低くても締め出しは行われ得ます。
Q2特別支配株主とは何ですか?
会社法179条1項に定める、総株主の議決権の10分の9以上を保有する株主です。この地位があれば少数株主全員に株式等売渡請求ができます。
Q3通常のキャッシュアウトと会社更生の締め出しは何が違いますか?
通常は会社法179条のみで完結しますが、会社更生では裁判所の更生計画認可と計画への組み込みが前提となり、174条の3の記載事項を満たす必要があります。
Q4株式等売渡請求はいつまでに争えますか?
価格に不服なら取得日の20日前の日から取得日の前日までに価格決定を申し立てます(会社法179条の8)。期間を過ぎると価格は確定します。
Q5更生計画で株を取り上げるのは違法ではないのですか?
違法ではありません。法定の記載事項を満たし裁判所が認可した更生計画に基づく強制取得は適法です。財産権保護は対価と価格決定申立てで担保されます。
Q6価格決定の申立てはどうやってしますか?
取得日の20日前の日から前日までに、管轄裁判所へ書面で申し立てます。倒産局面では清算価値か継続企業価値かが争点となるため専門家鑑定が鍵です。
Q7会社更生で株主はいくら配当を受けられますか?
株主は更生債権者より後順位です。債権者すら満額弁済されない手続では、株主への配分が残らないことも珍しくありません。まず順位の確認が先決です。
Q8売渡株式の対価は誰がもらうのですか?
174条の3第3号・4号は、特別支配株主が更生債権者等に金銭を交付する設計を想定します。対価が必ず元株主の口座に入るとは限りません。
この条文についての質問 AI による整理
Q1倒産した会社の株でも、勝手に取り上げられることなんてあるんですか?
あります。9割超の議決権を持つ特別支配株主が更生計画に株式等売渡請求の条項(会社更生法174条の3)を組み込めば、あなたの同意なく株は取得されます。通常のキャッシュアウト(会社法179条)が倒産手続に取り込まれた形です。実務のポイント:スポンサーが完全子会社化を望むのは、買収後の意思決定を100% 自分で握り、残存株主からの将来の紛争を断つため。株が無価値に近くても締め出しを実行する経済的合理性がそこにある
Q2私の株を取り上げるなら、その分のお金はもらえますよね?
必ずとは限りません。174条の3は交付金銭が更生債権者等に向かう設計を想定しています(3号、4号)。倒産局面で株主は債権者より後順位のため、債権者すら満額弁済されない手続では、株主への配分が残らないこともあります。実務のポイント:取り上げられる=補償される、は平時の発想。倒産では清算価値を基準に株式価値がほぼゼロと評価されることが多く、争って増額が見込めるかは清算貸借対照表次第。まず自分が配分順位に入るかを確認するのが先
Q3価格に納得いかないとき、どこに文句を言えばいいんですか?
裁判所への価格決定の申立てです(会社法179条の8)。ただし申立期間は取得日の20日前の日から前日までと極めて短く、これを逃すと取得価格は確定します。実務のポイント:価格決定では会社の公正な価格が争点になりますが、倒産企業では継続企業価値と清算価値のどちらを基準にするかで結論が激変する。再建成功を前提とすれば継続企業価値での増額余地があり、専門家鑑定をどう組むかが勝負を分ける(最新の判例動向をご確認ください)
間違えやすい点 AI による整理
- 株が紙くずになるならわざわざ強制取得などしないだろうと思いがちだが、スポンサーは買収後の意思決定を100% 握る完全子会社化を望むため、価値がゼロに近くても残存株主を法的に排除する必要がある。だからこそ締め出しの条項が用意される
- 少数株主の締め出しがあること自体は知っていても、その対価が株主自身ではなく更生債権者等に向かう設計があることまでは知られていない。あなたが株を失っても、補償があなたの口座に入る保証はない
- 「いくら補償をもらえるか」を先に考えるのは、問いの立て方が一段ずれている。倒産局面でまず問うべきは「そもそも株主に配分が回る順位なのか」だ。債権者すら満額弁済されない手続で、後順位の株主が対価を得られる場面は限られる
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 手続の前提 | 会社更生法174条の3:裁判所の更生計画認可と計画への組み込みが前提 | 会社法179条:特別支配株主の請求のみで完結(裁判所認可不要) 会社更生法174条の2:更生計画における株式取得関連の枠組規定 |
| 対価の流れ | 交付金銭が更生債権者等に向かう設計を想定(174条の3第3号・4号) | 対価は売渡株主本人に交付される 更生計画の定めによる |
| 価格に不服な場合 | 会社法179条の8を準用し取得日基準で価格決定を申立て | 会社法179条の8で価格決定を申立て 更生計画認可決定への即時抗告等 |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾は企業併購法により現金を対価とする少数株主の締め出しを認める。倒産再建との接続は会社更生法ほど明文化されていない。
韓国も90% 以上を保有する支配株主の売渡請求を認める。倒産局面では回生手続(채무자회생법)と組み合わせて運用される。
ドイツは95% 以上を保有する主要株主に squeeze-out を認め、適正な現金補償(angemessene Barabfindung)を要件とする。日本の母法の一つ。
米国は短式合併・freeze-out merger で少数株主を締め出し、不服株主は appraisal right で公正価値を求める。日本の制度設計に強く影響した。
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 投資先が会社更生に入り、届いた更生計画に株式等売渡請求の条項があった。価格に不服なら裁判所へ価格決定の申立て(会社法179条の8)ができるが、申立てができるのは取得日の20日前の日から取得日の前日まで。気付くのが遅れれば、不満があっても争う手段を失う。残り時間は計画を読んだ瞬間から刻まれている
- もし、あなたが9割超を握るスポンサー側だとしたら? 通常の株式等売渡請求と違い、更生手続では裁判所の更生計画認可とその計画への組み込みが前提になる。記載事項の一つを飛ばせば、せっかくの完全子会社化が後から無効や不当を争われる火種になる
- 友人が「倒産会社の株を底値で拾って一発逆転を狙う」と言ってきた。その株、更生計画の一条で強制的に取り上げられうると、あなたは三分で説明してやれる
- あなたが更生債権者で、配当率の低さに落胆していたところ、スポンサーが少数株主を締め出す対価として金銭を拠出する条項が計画に入った。その金銭の割当て方(4号)が、あなたの回収額に直接効いてくる
取るべき行動
被害を受けた側:1. 届いた更生計画の中の株式等売渡請求条項を精読、特別支配株主が誰か、取得日、交付金銭の額と割当て(1号から4号)を確認2. 倒産局面では株主は後順位のため、まず自分が対価の配分対象に入るかを見極める3. 対価や取得条件に不服なら、取得日の20日前の日から前日までに裁判所へ価格決定の申立て(会社法179条の8) 4. 倒産・事業再生に強い弁護士へ早期相談、期間制限が短く初動が分水嶺
訴えられた側:1. 更生計画に組み込む売渡請求条項に本条1号から4号を漏れなく記載、特に交付金銭の額・算定方法・割当てを明確化2. 通常の株式等売渡請求と異なり裁判所の更生計画認可が前提、管財人・裁判所との事前調整を綿密に3. 少数株主からの価格決定申立てに備え、算定根拠の資料を整備4. 認可後の無効リスクを下げるため、会社法179条系の手続要件と整合させる
時効(請求できる期限):価格に不服な株主の価格決定の申立ては、取得日の20日前の日から取得日の前日までの間(会社法179条の8)。更生計画自体への不服は認可決定に対する即時抗告によることになる(期間は会社更生法の定めによる、最新の改正状況をご確認ください)
学説
通説:会社更生法174条の3は、迅速な再建の要請と少数株主の財産権保護を、必要的記載事項の明示と会社法179条の8の価格決定申立てという二つの装置で均衡させる規定と理解される。記載を欠く条項は無効や不当を争われる火種となる。
改正沿革 AI による整理
- 平成26年(2014年)会社法改正関連整備 会社法改正で新設された特別支配株主の株式等売渡請求(キャッシュアウト)制度に対応し、更生計画にこれを組み込むための必要的記載事項を定める条項として新設された。施行は平成27年(2015年)5月1日
改正の年表
- 1.平成26年(2014年) 新設:会社法改正で導入された特別支配株主の株式等売渡請求(キャッシュアウト)制度に対応し、これを更生計画に組み込むための必要的記載事項を定める条項として整備された。
- 2.平成27年(2015年) 改正:改正規定が平成27年5月1日に施行され、更生手続における少数株主締め出しの法的枠組みが運用を開始した。
ログインすると、この条文にメモを残して他の利用者と共有できます。
ログインして共同ノートを始める