会社更生法 第47条の2(管財人による相殺)
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管財人は、更生会社財産に属する債権をもって更生債権等と相殺することが更生債権者等の一般の利益に適合するときは、裁判所の許可を得て、その相殺をすることができる。
この条文の基本情報
管財人による相殺とは何ですか?
定義管財人による相殺とは、会社更生法第47条の2に定められた規定で、「管財人は、更生会社財産に属する債権をもって更生債権等と相殺することが更生債権者等の一般の利益に適合するときは、裁判所の許可を得て、その相殺をすることができる。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 会社更生法第47条の2(管財人による相殺)は、日本の会社更生法に含まれる条文です。
- 会社更生法第47条の2の条文原文は「管財人は、更生会社財産に属する債権をもって更生債権等と相殺することが更生債権者等の一般の利益に適合するときは、裁判所の許可を得て、その相殺をすることができる。」で始まります。
- 会社更生法第47条の2は第二節に置かれています。
- 会社更生法の公布日は平成14年12月13日です。
- 会社更生法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 会社更生法第47条の2の前の条は会社更生法第47条です。
- 会社更生法第47条の2の次の条は会社更生法第48条です。
- 会社更生法第47条の2には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
会社更生法(平成十四年法律第百五十四号)第47条の2 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/414AC0000000154 - 本サイト収録
会社更生法(平成十四年法律第百五十四号)第47条の2(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/414AC0000000154/47_2
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点会社更生法47条の2は、管財人が更生会社の債権をもって更生債権等と相殺できると定める。相殺は更生債権者等の一般の利益に適合し、裁判所の許可を得た場合に限られる。
Q · 取引先が会社更生に入って、こっちが債務を負ってたら、管財人に勝手に相殺されちゃうの?
管財人は一般の利益への適合と裁判所の許可を条件に相殺できます
会社更生法47条の2により、管財人は更生会社財産に属する債権をもって更生債権等と相殺できますが、それが更生債権者等の一般の利益に適合し、かつ裁判所の許可を得ることが要件です。債権者の側からの相殺(47条)とは別に、管財人の管理処分権の一環として認められるもので、現金回収が困難な相手に対し相殺で確実に債権価値を確保し、配当原資を守る役割を持ちます。
解説
取引先の大企業が会社更生手続に入った。あなたの会社はその企業から300万円の支払を求められ、同時にその企業に対して500万円の売掛金(更生債権)を抱えている。普通なら、300万は耳をそろえて払わされ、500万は更生計画でばっさり削られて戻りはわずか、と腹をくくる。ところが会社更生法47条の2は、その構図を裏返す仕掛けを管財人の側に与えている。更生会社が持つ債権をもって、更生債権者の債権と相殺できるのだ。ただし無条件ではない。更生債権者全体の「一般の利益に適合する」ことと、裁判所の許可、この二つが揃って初めて発動する。なぜ管財人がわざわざ相殺するのか。相手から現金を取り立てても回収が危ういとき、相殺なら確実に債権の価値を確保でき、結果として配当原資が守られるからだ。あなたが相手方なら、この相殺は払うはずの現金が消えるという意味で、むしろ歓迎すべき場面が多い。
法的な位置づけ
会社更生法47条の2は、更生会社の管財人による相殺を定める規定である。管財人は、更生会社財産に属する債権を自働債権とし、これを更生債権等(受働債権)と相殺できるが、その相殺が更生債権者等の一般の利益に適合し、かつ裁判所の許可を得ることを要件とする。債権者平等を原則とする更生手続において、回収困難な債権の価値を確実に確保する手段として機能する。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.相互の債権債務を台帳で確認する 取引先の会社更生開始通知が届いたら、まず自社がその相手に負っている債務と、相手に対して持っている債権の双方を会計台帳・契約書で洗い出す。相殺戦略はこの相互関係の確認から始まる
- 2.自分の側の相殺権(47条)が使えるか精査する 管財人が動くのを待つ前に、債権者であるあなた自身の相殺権(会社更生法47条)が行使できるかを確認する。手続開始後に負った債務や相殺禁止(48条)に触れる債務でないか、債務発生時期を精査する
- 3.管財人からの相殺許可申立てを把握する 管財人が裁判所に対し相殺許可(47条の2)を申し立てる段階を逃さず把握する。相殺の範囲と金額が民法505条の相殺適状を満たすか、自社の債務が現金で消える形になるかを照合する
- 4.一般の利益適合性に疑義があれば許可前に意見を出す 一般の更生債権者として相殺が配当原資を削ると懸念する場合、許可が下りる前、つまり管財人が申し立てた段階で「一般の利益に適合しない」旨の意見を裁判所へ届ける。許可後の相殺実行を覆すのは格段に難しい
よくある質問 AI による整理
Q1会社更生法の相殺とは何ですか?
更生手続で当事者が互いに債権債務を持つ場合に対当額で消し合う制度です。会社更生法には債権者側の相殺(47条)と管財人側の相殺(47条の2)の二つが定められています。
Q2管財人の相殺に必要な要件は?
二つあります。更生債権者等の一般の利益に適合すること、そして裁判所の許可を得ることです。この二重の関門が、債権者平等の例外を認める歯止めになっています。
Q3一般の利益に適合するとはどういう意味ですか?
相手方から現金を取り立てるより相殺した方が、更生債権者全体にとって有利になる状態を指します。相手が無資力で回収困難なケースほど適合性が認められやすいとされます。
Q4会社更生で相殺が禁止されるのはいつですか?
会社更生法48条が相殺禁止を定めます。手続開始後に負った債務や、危機時期に専ら相殺目的で負担した債務などは相殺できません。債務を負った時期が分水嶺です。
Q5相殺の担保的機能とは何ですか?
相手に債務を負っていれば、担保を取っていなくてもその範囲で確実に回収できる機能です。倒産局面では最強の担保と呼ばれ、本条はこれを管財人側から使えるようにしたものです。
Q6相殺されると他の債権者の配当は減りますか?
相手方一社が相殺で事実上満額回収すると配当原資が減る懸念があります。だからこそ一般の利益への適合と裁判所の許可が要件とされ、全体の利益が審査されます。
Q7会社更生法47条と47条の2の違いは?
47条は更生債権者の側からの相殺権、47条の2は管財人の側からの相殺です。後者は管財人の管理処分権の一環で、裁判所の許可を要する点が決定的に異なります。
Q8取引先が倒産したとき相殺はできますか?
相互に債権債務があれば相殺できる可能性があります。ただし手続の種類や債務を負った時期により可否が変わるため、まず台帳で相互の債権債務を確認するのが出発点です。
この条文についての質問 AI による整理
Q1管財人から相殺すると言われたら、断れないんですか?
相殺には裁判所の許可が必要で(会社更生法47条の2)、許可の前提として「更生債権者等の一般の利益に適合する」ことが審査される。だから無条件ではなく、適合しないと考えるなら手続内で争える。実務のポイント:実務では、相手方が無資力で現金回収が見込めないケースほど相殺許可が通りやすい。逆に相手方に十分な支払能力があるのに相殺するのは「一般の利益」を満たしにくく、許可申立て自体が出にくい。相手の懐具合が許可の通りやすさを左右する
Q2普通の相殺(民法のやつ)と何が違うんですか?
民法505条の相殺は当事者が一方的にできるが、会社更生での管財人の相殺は「一般の利益への適合」と「裁判所の許可」という二つの枷が付く(会社更生法47条の2)。債権者平等を崩す例外だからこそ、ハードルが上乗せされている。実務のポイント:債権者の側からの相殺(同47条)と、管財人の側からの相殺(同47条の2)は別物だ。前者は債権者の権利、後者は管財人の管理処分権の一環で、許可が要る点が決定的に違う。どちらの立場で相殺を仕掛けるかで必要な手続が変わる
Q3破産や民事再生でも同じことが起きますか?
破産には「破産管財人による相殺」として破産法102条にほぼ同じ規定がある。倒産処理に共通する考え方だ。民事再生は管財人を選任せず再生債務者がそのまま遂行する DIP 型が原則のため、構図はやや異なる。実務のポイント:取引先がどの倒産手続に入ったかで、相殺を主導する者が変わる。会社更生・破産は管財人主導、民事再生は再生債務者(経営陣)主導になりやすい。手続の種類をまず確認するのが相殺戦略の出発点になる
間違えやすい点 AI による整理
- 相殺と聞くと、あなたは「債務者が一方的に得をする裏ワザ」と捉えがちだ。だが会社更生では視点が逆転する。法律から見れば、相殺は債権者平等を崩す例外であり、だからこそ管財人が使うには裁判所の許可と「一般の利益」という二重の関門が課される。あなたが得だと思う一手は、法律から見れば慎重に管理すべき劇薬なのだ
- 相殺の要件(民法505条)は知っていても、会社更生でその効力がどれほど強いかを見落としている人は多い。担保権すら手続上は制約を受けるのに、相殺は届出も配当の按分も経ずに債権を満額消しうるほぼ唯一の手段になる。その威力を知らずに漫然と債務を払ってしまうと、本来守れた価値を自ら手放すことになる
- 「管財人が相殺するなら、こちらは黙って従うしかない」と問いを立てる人が多い。だがその問いそのものが間違っている。47条の2の相殺には裁判所の許可が必要で、「一般の利益に適合するか」は争える論点だ。あなたが問うべきは「従うか否か」ではなく「この相殺は許可要件を満たしているか」である
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 相殺する主体 | 管財人(管理処分権の一環) | 更生債権者(自己の権利として) 相殺が許されない場合の制限規定 |
| 裁判所の許可 | 必要 | 不要 — |
| 要件の核心 | 更生債権者等の一般の利益への適合 + 裁判所の許可 | 相殺適状(民法505条)を満たすこと 相殺禁止事由に該当しないこと |
| 趣旨 | 配当原資の確保・債権者平等への例外 | 債権者の自己防衛(担保的機能) 相殺権の濫用防止・公平の確保 |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾は破産手続における抵銷を破產法113条で認める。会社更生に相当する公司重整には管財人の相殺に直接対応する明文がなく、抵銷の一般法理で処理される点が日本と異なる
韓国は統合倒産法(채무자회생법)で회생절차における상계を規律する。相殺権の行使時期に制限を設ける点で日本の構造に近い
ドイツ倒産法は手続開始時に相殺適状があれば相殺権が手続の影響を受けない旨を定め、相殺の担保的機能を強く保護する。許可を要する日本の管財人相殺とは制度設計が異なる
米国連邦倒産法は setoff を倒産手続前から存在する相互債務の範囲で原則として保全する。会社更生法が範とした再建型手続(Chapter 11/旧 Chapter X)の母法でもある
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- あなたの会社が、会社更生に入った元取引先に800万円の債務を負っている。その元取引先からは1,200万円の売掛金が回収できずにいる。管財人から「裁判所の許可を得て相殺する」と通知が来たら、それはあなたにとって損か、それとも得か。答えを即答できないなら、相殺の損得勘定をまだ握れていない
- 金融機関のあなたは、更生会社に貸付金を持ち、同時にその会社の預金口座を預かっている。管財人が貸付金と預金を相殺してくれと許可を求める。預金者保護と債権者平等が、ここで正面衝突する
- 更生計画の認可期日まであと一週間。管財人が複数の相手方に対する相殺許可をまとめて申し立てた。あなたの会社もその一社で、相殺の可否で最終的な回収額が数百万円単位で変わる。期日前に意見を出せるかどうかが分水嶺だ
- あなたは更生会社に純粋な売掛金だけを持つ一般の更生債権者だ。ある相手方への相殺許可が出ると、その相手方だけが事実上満額回収し、あなたの配当原資が削られかねない。その相殺が本当に「一般の利益」に適合するのか、目を光らせる立場にあなたは立っている
取るべき行動
被害を受けた側:あなたが純粋な更生債権者で、ある相手方への相殺許可が配当を削ると懸念するなら、1. 管財人が裁判所に相殺許可を申し立てた段階を逃さず把握する2. その相殺が本当に「一般の利益に適合する」のか、相手方が無資力で現金回収が困難という事情があるかを確認する3. 適合性に疑義があれば、許可が下りる前に裁判所へ意見を届ける4. 許可後の相殺実行を覆すのは困難なため、動くなら申立て段階が勝負どころだ
訴えられた側:あなたが更生会社に債務を負い、同時に更生債権も持つ相手方なら、1. まず自分の側の相殺権(会社更生法47条)が使えるかを確認し、相殺禁止(同48条)に触れる債務でないかを精査する2. 管財人からの相殺は、あなたの債務が現金で消える形になり、多くの場面で有利に働くことを理解する3. 相殺の範囲と金額が民法505条の相殺適状を満たすかを照合する4. 自社に不利な内容なら、許可手続で意見を述べる余地がある
時効(請求できる期限):特定の出訴期限のような時効はないが、相殺は会社更生手続の進行中に、かつ裁判所の許可を得て行使する。相殺禁止(会社更生法48条)に該当する債務は時期によって相殺できない。なお相殺の基礎となる各債権自体は、一般の消滅時効(民法166条、債権は権利行使可能を知った時から5年または権利行使可能時から10年)に服する
学説
通説:相殺は相手方に対する債務を負ってさえいればその範囲で確実に回収できる担保的機能を持ち、倒産手続では届出や按分配当を経ずに債権を満額消しうるほぼ唯一の手段とされる。会社更生法47条の2はこの機能を管財人側から利用可能にした規定であり、一般の利益適合性と裁判所の許可によって債権者平等との調整が図られる。
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