要点会社更生法 48 条は、更生債権者が開始当時に更生会社へ負う債務を、債権届出期間内に限り更生計画によらず相殺できると定める。賃料債務は 6 か月分が限度となる。
Q · 倒産した取引先に自社も債務を負っている場合、その分を相殺で回収できますか?
届出期間内なら更生計画によらず相殺できる
会社更生法 48 条により、更生債権者等が手続開始当時に更生会社へ債務を負い、債権と債務の双方が債権届出期間(138 条 1 項)の満了前に相殺適状となれば、当該届出期間内に限り更生計画によらず相殺できます。賃料債務は手続開始時の賃料 6 か月分を限度に相殺でき、開始後に弁済期が到来する賃料を実際に弁済すれば、その範囲で敷金返還請求権が共益債権となり優先回収できます。地代・小作料にも準用されます。
取引先のメーカーがある朝、会社更生手続の開始を発表した。あなたの会社はそこに 800 万円の売掛金を抱えている。普通に考えれば、更生計画で大幅にカットされ、戻るのは数割。だが、もしあなたの側もその取引先に 600 万円の買掛金を負っていたら、絵は一変する。会社更生法 48 条は、手続開始の時点で互いに債権と債務を持ち、それが債権届出期間の満了前に相殺できる状態になっていれば、更生計画によらず、届出期間内に限って相殺できると定める。600 万円分はあなたが「払わないことで」実質満額回収。残る 200 万円だけが更生債権としてカットの対象になる。相殺は、あなたが持っていることに気付いていなかった担保なのだ。さらにあなたが賃貸人なら、開始後に弁済期が来る賃料も 6 か月分まで相殺でき、その分を実際に弁済すれば敷金返還請求権が共益債権として優先回収の列に並ぶ。地代・小作料でも同じ仕組みが働く。
会社更生法 48 条は更生手続における相殺権を定める規定であり、更生債権者等が手続開始当時に更生会社へ負担する債務について、債権届出期間の満了前に相殺適状となった場合に、当該期間内に限り更生計画によらない相殺を認める。賃料債務は 6 か月分を限度とし、弁済額の範囲で敷金返還請求権を共益債権とする特則を含む。
AI 輔助整理,以條文原文為準
更生債権者等が手続開始当時に更生会社へ負う債務を、債権届出期間内に限り更生計画によらず相殺できる権利です(48 条 1 項)。事実上の担保として機能します。
債権届出期間(138 条 1 項)内に限られます。かつ債権・債務の双方が同期間の満了前に相殺適状になっている必要があり、期限を過ぎると相殺権は失われます。
手続開始時の賃料の 6 か月分が限度です(48 条 2 項)。開始後に弁済期が到来する賃料が対象で、届出期間内に相殺の意思表示が必要です。
開始後に弁済期が来る賃料を実際に弁済すれば、6 か月分の範囲でその弁済額を限度に敷金返還請求権が共益債権となり、更生債権より優先回収できます(48 条 3 項)。
支払不能や手続開始を知った後にわざわざ債務を負担した場合などは、49 条の相殺禁止に該当し相殺が封じられます。開始時に対立していた自然な債権債務が保護対象です。
管財人宛に、債権届出期間内に内容証明郵便などで対当額を明示して通告します。期間経過後の通告は更生計画によらない相殺としては効きません。
なります。48 条 4 項により、賃料債務の 6 か月分相殺と敷金(保証金)の共益債権化の規律が地代・小作料にも準用されます。
枠組みは類似しますが、民事再生は民事再生法 92 条、破産は破産法 67 条が規律します。届出期間や限度の細部が異なるため、手続ごとの確認が必要です。
開始時点で双方が債権債務を持ち、届出期間満了前に相殺できる状態なら、更生計画によらず届出期間内に相殺できます(48 条 1 項)。意思表示は管財人宛に行います。業界裏話ヒント:相殺は事実上の担保で、相殺できる債権者は他の一般債権者を出し抜いて満額回収できる。だから実務では、相手の信用不安が見えた段階で「自社がその相手に負う債務」を意図的に確保しておく、という回収戦略が静かに存在する。教科書には書かれないが、銀行が預金口座を握りたがる理由はここにある
開始後に弁済期が来る賃料は 6 か月分を限度に相殺でき、さらにその賃料を弁済期に実際に弁済すれば、敷金返還請求権がその弁済額の範囲で共益債権になります(48 条 2 項・3 項)。共益債権は更生債権より優先して随時弁済されます。業界裏話ヒント:多くの貸主は「倒産したから払うだけ損」と賃料の弁済を止めてしまうが、それは逆効果。3 項は「払うことで敷金を優先回収の地位に押し上げる」設計で、払わなければ敷金は一般の更生債権のまま埋もれる。払う勇気が回収を生む珍しい条文だ
支払不能や更生手続開始を知った後にわざわざ債務を負担した場合などは、49 条の相殺禁止に当たり、相殺が封じられます。開始時に対立していた自然な債権債務でなければ保護されません。業界裏話ヒント:「相手が危ないと聞いてから、慌てて相手の商品を買って買掛金を作り、相殺の口実にする」という小細工は、まさに禁止対象の典型。相殺の可否は『いつから対立していたか』で決まるので、危機を知る前から続く正常な取引関係であることを示す証拠(契約日、発注履歴)が決定的になる
| dimension | thisArticle | alternatives |
|---|---|---|
| 機能 | 48 条:更生手続における相殺権の付与 | — |
| 債権者への効果 | 届出期間内なら更生計画によらず満額回収相当 | — |
| 時的限界 | 債権届出期間(138 条 1 項)内、満了前の相殺適状が必要 | — |
| 賃料・敷金の扱い | 賃料 6 か月分相殺+弁済で敷金を共益債権化(2・3 項) | — |
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