会社更生法 第92条(相手方の債権の回復)
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第八十六条の三第一項に規定する行為が否認された場合において、相手方がその受けた給付を返還し、又はその価額を償還したときは、相手方の債権は、これによって原状に復する。
この条文の基本情報
相手方の債権の回復とは何ですか?
定義相手方の債権の回復とは、会社更生法第92条に定められた規定で、「第八十六条の三第一項に規定する行為が否認された場合において、相手方がその受けた給付を返還し、又はその価額を償還したときは、相手方の債権は、これによって原状に復す…」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 会社更生法第92条(相手方の債権の回復)は、日本の会社更生法に含まれる条文です。
- 会社更生法第92条の条文原文は「第八十六条の三第一項に規定する行為が否認された場合において、相手方がその受けた給付を返還し、又はその価額を償還したときは、相手方の債権は、これによって原状に復す…」で始まります。
- 会社更生法第92条は第四節に置かれています。
- 会社更生法の公布日は平成14年12月13日です。
- 会社更生法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 会社更生法第92条の前の条は会社更生法第91条の2です。
- 会社更生法第92条の次の条は会社更生法第93条です。
- 会社更生法第92条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
会社更生法(平成十四年法律第百五十四号)第92条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/414AC0000000154 - 本サイト収録
会社更生法(平成十四年法律第百五十四号)第92条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/414AC0000000154/92
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点会社更生法92条は、否認された偏頗行為について相手方が給付を返還または価額償還したとき、相手方の債権が原状に復すると定める。返還した者は更生債権者として配当を受けられる。
Q · 倒産直前に受け取った代金を管財人から「返せ」と言われたら、その分はもう取り戻せないの?
返せば債権が復活し、配当の列に戻れる
会社更生法92条により、86条の3の偏頗行為が否認され、相手方が受けた給付を返還または価額償還した瞬間、いったん消滅していた債権が原状に復します。あなたは「払ってもらった人」から「更生債権者」へ戻り、更生計画にもとづく配当を他の債権者と同じ土俵で受けられます。ただし復活した債権は自動で守られるわけではなく、裁判所の定める債権届出期間内に届け出ないと失権し、返したのに配当ゼロという最悪の結果になります。
解説
取引先がある日突然、会社更生手続を申し立てた。あなたは、その少し前に未回収だった売掛金をようやく振り込んでもらい、胸をなでおろしていた。数か月後、管財人から一通の書面が届く。「その入金は偏頗弁済にあたるため否認する。全額返還せよ」。正当な代金までなぜ返さなければならないのか、と理不尽に感じるはずだ。だがここで知っておくべきは、返還がただの没収ではないという点だ。会社更生法92条は、あなたが受け取った給付を返した(または価額を償還した)瞬間、いったん消滅していたあなたの債権が元の状態に復活すると定める。つまりあなたは「払ってもらった人」から「更生債権者」へと戻り、更生計画にもとづく配当を他の債権者と同じ土俵で受けられる。返還は終わりではなく、列の後ろに戻されるだけだ。この一条を知っているかどうかで、管財人の請求にどう応じるかの判断がまるで変わる。
法的な位置づけ
会社更生法92条は、否認された偏頗行為(86条の3)について相手方が給付を返還し又は価額を償還した場合、相手方の債権が原状に復することを定める規定である。否認による財産回復と引き換えに、いったん消滅した相手方の債権を更生債権として復活させ、債権者平等の回復と受領者の過度な負担回避を調整する。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.否認の成立要件を確認する 管財人から否認通知が届いたら、その弁済が支払不能後または支払停止・更生手続開始の申立て後にされたか、あなたがそれを知っていたか(86条の3)を精査する。危機時期より前なら否認を争える
- 2.返還額と復活債権の配当見込みを比較する 争うコストと、返還して原状に復する債権から見込める配当額を天秤にかける。否認が明らかに成立する事案なら、早期返還で更生債権者の地位を確保したほうが総回収額が大きいことがある
- 3.現物返還か価額償還かを管財人と確定する 受けた給付そのものを返すか、現存しない場合に評価額を金銭で償還するかを管財人と確認する。返還または償還が完了した時点で92条により債権が原状に復する
- 4.復活した債権を届出期間内に届け出る 返還で復活した債権を、必ず裁判所の定める債権届出期間内に届け出る。怠ると債権が失権し、返すだけ返して配当ゼロという最悪の結果になる
よくある質問 AI による整理
Q1偏頗弁済とは何ですか?
倒産間際に特定の債権者だけが他の債権者を出し抜いて先に弁済を受ける行為です。債権者平等を害するため、管財人が会社更生法86条の3で否認できます。
Q2否認権とは何ですか?
倒産前の財産減少行為や偏頗行為を管財人が覆し、財産を取り戻す権利です。詐害行為否認と偏頗行為否認があり、巻き戻すことで全債権者の公平を回復します。
Q3会社更生の債権届出はいつまでですか?
裁判所が更生手続開始決定で定める債権届出期間内です。否認で復活した債権もこの期間内に届け出ないと失権し、配当を受けられなくなります。
Q4現物返還と価額償還の違いは何ですか?
受けた給付そのものを返すのが現物返還、目的物が現存しない場合に金銭で評価額を返すのが価額償還です。いずれの場合も92条で債権が原状に復します。
Q5偏頗弁済の否認はいつまで請求できますか?
否認権の行使には期間制限があり、開始決定の日から所定の期間および行為時から長期の制限を経過すると行使できません。現行の期間は条文で要確認です。
Q6役員への返済も否認されますか?
されやすいです。会社の内部者である役員への弁済は一般の取引先より厳しく扱われ、危機時期前後の返済は偏頗行為として否認の標的になりやすいです。
Q7会社更生法と破産法の否認は同じですか?
構造は同じです。破産法169条にも返還による債権復活の規定があり、民事再生法にも同様の仕組みがあります。手続が違っても巻き戻しの考え方は共通です。
Q8否認されない弁済はありますか?
あります。危機時期より前の弁済、相手が支払不能等を知らなかった場合、現金引換えの同時交換的取引などは否認を免れる余地があります。
この条文についての質問 AI による整理
Q1正当な売掛金を回収しただけなのに、なぜ返さないといけないんですか?
倒産間際に特定の債権者だけが先に弁済を受けると、ほかの債権者との公平を害するからです。会社更生法86条の3は、こうした偏頗弁済を管財人が否認できると定めています。実務のポイント:否認できるかは「支払不能になった後か」「あなたがそれを知っていたか」という時期と認識で決まります。同じ入金でも、相手の資金繰り悪化を知らずに受け取っていれば否認を免れる余地があり、ここを争えるかどうかで結論が変わります
Q2全額返したら、私の債権は完全に消えてしまうんですか?
消えません。会社更生法92条により、給付を返還または価額償還した瞬間、いったん消滅した債権が元の状態に復活します。あなたは更生債権者として更生計画からの配当を受けられる立場に戻ります。実務のポイント:復活した債権は自動的に守られるわけではなく、裁判所の定める債権届出期間内に届け出る必要があります。返すことに気を取られて届出を忘れると、生き返った債権が失権し、返しただけで配当ゼロという最悪の結果になります
Q3管財人の否認に争う余地はありますか?
あります。弁済が危機時期より前だった、あなたが支払不能等を知らなかった、現金と引換えの同時交換的取引だった、といった点を立証できれば否認を覆せます。実務のポイント:弁護士はまず「争って勝つ確率」と「返還して復活する債権の配当見込み」を並べて計算します。否認がほぼ確実な事案では、長く争うより早く返して更生債権者の地位を固めたほうが、最終的な手取りが多くなることが珍しくありません
間違えやすい点 AI による整理
- あなたから見れば、正当な債権を回収しただけの当然の取引だ。だが管財人と法律から見れば、それは倒産間際に他の債権者を出し抜いて先に支払いを受けた「抜け駆け」に映る。この見え方の落差が、否認請求という形であなたを直撃する
- 返還義務があることは何となく知っていても、その深刻さを取り違えている人が多い。返したあと債権が復活するという仕組み(92条)を知らないと、「全部取られて終わり」と誤解し、本来受け取れるはずの配当まで自ら放棄してしまう
- 「先に回収できた者勝ち」と思われがちだが、倒産手続では逆だ。先に回収した分だけ否認の標的になり、結局は列の後ろに戻される。早く回収する=安全、という日常の常識が通用しない世界がある
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 条文の役割 | 92条:否認後に返還した相手方の債権を原状に復させる | 86条の3:偏頗行為(担保供与・弁済)を否認の対象とする 86条:詐害行為否認の一般規定 |
| 発動の前提 | 相手方が給付を返還または価額償還したこと | 支払不能後等の偏頗行為であること 債権者を害する行為であること |
| 相手方への効果 | 消滅していた債権が更生債権として復活する | 受けた給付の返還義務を負う 逸出した財産が更生会社に回復する |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾も否認権制度を持ち、否認により逸出財産を回復する。重整手続でも同種の巻き戻しが行われる。
韓国の統合倒産法も否認と返還後の債権復活を規律し、日本法と類似の構造を持つ。
ドイツ倒産法は、否認相手方が受領物を返還したとき、その債権が復活すると明文で定める。日本法の母法的位置にある。
米連邦倒産法は、preference 等の返還により生じた債権を申立前に生じた債権として扱い、配当対象とする。返還=債権復活の発想は共通。
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- もし倒産しかけの取引先が、未払いだった売掛金を駆け込みで全額振り込んでくれたら、運が良かったと思うだろうか。数か月後、管財人から否認の通知が届き、その全額を返す羽目になる。先に回収できた業者ほど、狙われる
- 銀行が融資先の資金繰り悪化を察知し、既存の貸付に新たな不動産担保を設定した。一見、堅実なリスク管理だ。だがこの担保設定が86条の3の偏頗行為として否認されれば、銀行は無担保債権者の列に逆戻りする
- 管財人の請求どおり代金を返した。同時に、消えたはずの売掛金債権が復活する。あとは更生計画からの配当を待つ立場に変わる
- 返還には応じたが、復活した債権の届出期間まであと数日。ここで届出を忘れると、せっかく生き返った債権が失権し、配当はゼロになる。返すだけ返して何も受け取れない最悪の結末が待つ
取るべき行動
被害を受けた側:1. まず否認の要件を確認:その弁済が支払不能後または支払停止・更生手続開始の申立て後にされたか、あなたがそれを知っていたか(86条の3)。2. 要件を満たすなら、返還額と、復活する債権から見込める配当額を比較する。3. 返還に応じる場合、復活した債権を必ず裁判所の定める債権届出期間内に届け出る。怠ると債権が失権し、返すだけ返して配当ゼロになる。4. 現物返還か価額償還かを管財人と確認する
訴えられた側:1. 否認の成立要件を争う:弁済が危機時期より前か、あなたが支払不能等を知らなかったか、同時交換的取引や通常の弁済として例外にあたらないかを精査する。2. 争点が証拠で固まっていないなら、安易に返還を約束せず管財人の立証を求める。3. ただし否認が確実な事案で長引かせると、復活債権の届出期間を逃すリスクがある。4. 争うか応じるかは、勝訴可能性・弁護士費用・復活債権の配当見込みの三点で判断する
時効(請求できる期限):否認権自体の行使には期間制限があり、更生手続開始決定の日から2年、行為の時から20年を経過すると行使できない(会社更生法の否認権期間制限規定、現行効力を要確認)。返還によって復活した債権は、別途、裁判所の定める債権届出期間内に届け出なければ失権する
学説
通説:92条の債権復活は、否認による原状回復の反面として相手方を保護する制度と理解される。返還または価額償還により債権は当然に復活するが、その行使には更生手続上の債権届出が必要であり、届出を欠けば失権する。
改正沿革 AI による整理
改正の年表
- 1.平成14年(2002年) 改正:会社更生法の全部改正(平成14年法律第154号)。否認制度を整備し、否認された偏頗行為につき返還・価額償還による相手方の債権の原状回復を定める現行92条の枠組みを置く。
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