要点会社更生法 91 条は否認権の効果を定め、原則として更生会社財産を原状に回復させる。ただし無償行為が否認され相手方が善意であった場合は、現に受けている利益の償還で足りる。
Q · 否認されたら、受け取った物は全部返さないといけないんですか?
原則は全部返すが、無償で善意なら手元に残る分だけでよい
会社更生法 91 条 1 項により、否認権の行使は更生会社の財産を原状に復させるのが原則です。受け取った物は返し、物がなければ価額を償還します。ただし 2 項に逃げ道があり、否認されたのが 86 条 3 項の無償行為(贈与・債務免除・無償の保証など)で、しかも相手方が行為当時に相手の支払停止等や債権者を害する事実を知らなかった場合は、現に受けている利益を償還すれば足ります。善意で費消して手元に利益が残っていなければ、返還額はゼロに近づくこともあります。逆に弁済等の偏頗行為(86 条の 3)なら、善意でもこの圧縮は使えません。
取引先だった会社が会社更生手続に入った。半年前にあなたが受け取った金、免除してもらった借金、贈与に近い形で渡された資産。それを管財人が「否認」したと通知が来る。ここで多くの人が早合点する。否認されたら全部返すしかない、と。会社更生法91条1項は確かに「原状回復」を原則とする。受け取った物は返し、物が残っていなければ価額を償還する。だが2項に逃げ道が一本だけ用意されている。否認された行為が無償行為(86条3項、贈与・債務免除・無償の保証など)で、しかもあなたが受け取った当時、相手の支払停止や債権者を害する事実を知らなかったなら、返すのは「現に受けている利益」だけでよい。善意で使い切っていれば、返す額はゼロに近づくこともある。同じ否認でも、あなたが当時知っていたか知らなかったかで、財布から出ていく金額が天と地ほど変わる。
会社更生法 91 条は否認権行使の効果に関する規定であり、1 項で否認の一般的効果として更生会社財産の原状回復を定め、2 項で無償行為(86 条 3 項)が否認された場合の善意の相手方の責任を現に受けている利益の償還に限定する。原状回復主義と善意の無償取得者保護とを調整する規範として機能する。
AI 輔助整理,以條文原文為準
更生会社から流出した財産を取り戻し、原状に回復させることです(会社更生法 91 条 1 項)。受け取った物は返還し、物が残っていなければ価額を償還します。
現に手元に残っている利益のことです。無償行為の否認で善意だった場合、91 条 2 項により受領額全部ではなく、費消後に残る利益の償還で足ります。
無償行為(贈与・債務免除等、86 条 3 項)は善意なら現存利益まで圧縮されますが、弁済等の偏頗行為(86 条の 3)は善意でも原状回復を迫られます。
更生手続開始から原則 2 年、対象行為の時から 20 年で消滅すると解されています。相手方は回答期限とあわせて消滅時期を確認すべきです(最新の改正状況は要確認)。
現物が手元に残っていれば、善意であっても原則として返還を免れません。現存利益への圧縮は物が費消・消滅した場合に効いてきます。
否認された行為の「当時」を基準に、支払停止等および債権者を害する事実を知らなかったかで判断します。後付けの主張では足りず、当時の資料が鍵です。
基本構造は共通です。破産法 167 条・民事再生法 132 条に対応規定があり、いずれも原状回復を原則としつつ無償行為の善意者を保護します。
あります。一定の要件下で転得者に対しても否認の効果が及びます(会社更生法 92 条、現行効力は要確認)。受け取った相手のさらに先まで巻き込まれ得ます。
無償行為が否認され、あなたが取引当時に相手の支払停止や債権者を害する事実を知らなかったなら、返すのは「現に受けている利益」だけです(91条2項)。善意で費消して利益が手元に残っていなければ、返還額は大きく減ります。業界裏話ヒント:実務では「現存利益が残っていない」ことの立証責任は相手方であるあなた側にあると解されています。だから善意でも、何にいくら使ったかの記録がないと、利益が残っているものとして全額に近い返還を迫られる。使い道の記録こそが盾になる
あります。否認は管財人が訴え、否認の請求、または抗弁という形で行使しますが、その行為が否認の要件を満たすか、あなたが善意かは争点になります(95条、現行条番号は要確認)。業界裏話ヒント:弁護士がまず確認するのは「否認された行為の分類」です。同じ受領でも、弁済(偏頗行為、86条の3)か無償行為(86条3項)かで、善意による現存利益の保護があるかないかが分かれる。相手の主張どおりの分類を受け入れず、自分に有利な分類を主張できるかが最初の分岐点になる
否認に応じて受け取った物を返還すれば、いったん消滅したあなたの債権は原則として回復します(91条の否認効果に続く相手方の債権の回復)。ただし更生債権として届出をし、手続に乗せる必要があります。業界裏話ヒント:回復した債権は「更生債権」として配当を受ける立場になり、満額回収できるとは限らない。つまり「返したら元の債権が丸ごと戻る」のではなく、「手続の中で按分配当を受ける一般債権者の列に並び直す」のが実態です。この落差を知らずに返還に応じると、想定より回収が減る
| dimension | thisArticle | alternatives |
|---|---|---|
| 否認の効果 | 91 条:原状回復が原則(1 項)、無償行為かつ善意なら現存利益償還に圧縮(2 項) | — |
| 善意による責任の圧縮 | 無償行為に限り現存利益まで圧縮(91 条 2 項) | — |
| 立証のポイント | 相手方が行為当時の善意と現存利益の不存在を立証 | — |
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