会社更生法 第91条(否認権行使の効果)
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- 否認権の行使は、更生会社財産を原状に復させる。
- 2.第八十六条第三項に規定する行為が否認された場合において、相手方は、当該行為の当時、支払の停止等があったこと及び更生債権者等を害することを知らなかったときは、その現に受けている利益を償還すれば足りる。
この条文の基本情報
否認権行使の効果とは何ですか?
定義否認権行使の効果とは、会社更生法第91条に定められた規定で、「否認権の行使は、更生会社財産を原状に復させる。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 会社更生法第91条(否認権行使の効果)は、日本の会社更生法に含まれる条文です。
- 会社更生法第91条の条文原文は「否認権の行使は、更生会社財産を原状に復させる。」で始まります。
- 会社更生法第91条は第四節に置かれています。
- 会社更生法の公布日は平成14年12月13日です。
- 会社更生法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 会社更生法第91条の前の条は会社更生法第90条です。
- 会社更生法第91条の次の条は会社更生法第91条の2です。
- 会社更生法第91条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
会社更生法(平成十四年法律第百五十四号)第91条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/414AC0000000154 - 本サイト収録
会社更生法(平成十四年法律第百五十四号)第91条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/414AC0000000154/91
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点会社更生法91条は否認権の効果を定め、原則として更生会社財産を原状に回復させる。ただし無償行為が否認され相手方が善意であった場合は、現に受けている利益の償還で足りる。
Q · 否認されたら、受け取った物は全部返さないといけないんですか?
原則は全部返すが、無償で善意なら手元に残る分だけでよい
会社更生法91条1項により、否認権の行使は更生会社の財産を原状に復させるのが原則です。受け取った物は返し、物がなければ価額を償還します。ただし2項に逃げ道があり、否認されたのが86条3項の無償行為(贈与・債務免除・無償の保証など)で、しかも相手方が行為当時に相手の支払停止等や債権者を害する事実を知らなかった場合は、現に受けている利益を償還すれば足ります。善意で費消して手元に利益が残っていなければ、返還額はゼロに近づくこともあります。逆に弁済等の偏頗行為(86条の3)なら、善意でもこの圧縮は使えません。
解説
取引先だった会社が会社更生手続に入った。半年前にあなたが受け取った金、免除してもらった借金、贈与に近い形で渡された資産。それを管財人が「否認」したと通知が来る。ここで多くの人が早合点する。否認されたら全部返すしかない、と。会社更生法91条1項は確かに「原状回復」を原則とする。受け取った物は返し、物が残っていなければ価額を償還する。だが2項に逃げ道が一本だけ用意されている。否認された行為が無償行為(86条3項、贈与・債務免除・無償の保証など)で、しかもあなたが受け取った当時、相手の支払停止や債権者を害する事実を知らなかったなら、返すのは「現に受けている利益」だけでよい。善意で使い切っていれば、返す額はゼロに近づくこともある。同じ否認でも、あなたが当時知っていたか知らなかったかで、財布から出ていく金額が天と地ほど変わる。
法的な位置づけ
会社更生法91条は否認権行使の効果に関する規定であり、1項で否認の一般的効果として更生会社財産の原状回復を定め、2項で無償行為(86条3項)が否認された場合の善意の相手方の責任を現に受けている利益の償還に限定する。原状回復主義と善意の無償取得者保護とを調整する規範として機能する。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.否認された行為の「種類」を真っ先に確定する 管財人からの否認通知が届いたら、否認された行為が無償行為(86条3項:贈与・債務免除・無償保証)か、弁済・担保供与等の偏頗行為(86条の3)かをまず確定する。無償行為に分類できれば91条2項の現存利益圧縮が使える
- 2.取引当時の「善意」を当時の資料で裏づける 行為当時に相手の支払停止等や債権者を害する事実を知らなかったことを、当時のメール・財務確認記録・取引経緯で立証準備する。後付けの主張は通りにくいため、当時の客観資料を集める
- 3.現存利益の有無・額を記録で整える 受け取った金銭・資産を何にいくら費消したかを記録で示し、現に残る利益の範囲を主張する。立証責任は相手方(あなた)側にあると解されるため、使い道の記録がないと全額返還を迫られる
- 4.和解前提に流されず手続内で反論する 否認は訴え・否認の請求・抗弁の形で行使される(95条、現行条番号は要確認)。安易に原状回復前提の和解に応じず、行為の分類と善意を争点化する。回答期限と否認権の消滅時期も確認する
よくある質問 AI による整理
Q1否認権の効果とは何ですか?
更生会社から流出した財産を取り戻し、原状に回復させることです(会社更生法91条1項)。受け取った物は返還し、物が残っていなければ価額を償還します。
Q2現存利益とはどこまで返せばよいですか?
現に手元に残っている利益のことです。無償行為の否認で善意だった場合、91条2項により受領額全部ではなく、費消後に残る利益の償還で足ります。
Q3無償行為否認と偏頗行為否認はどう違いますか?
無償行為(贈与・債務免除等、86条3項)は善意なら現存利益まで圧縮されますが、弁済等の偏頗行為(86条の3)は善意でも原状回復を迫られます。
Q4否認権はいつまで行使できますか?
更生手続開始から原則2年、対象行為の時から20年で消滅すると解されています。相手方は回答期限とあわせて消滅時期を確認すべきです(最新の改正状況は要確認)。
Q5否認された不動産は必ず返さないといけませんか?
現物が手元に残っていれば、善意であっても原則として返還を免れません。現存利益への圧縮は物が費消・消滅した場合に効いてきます。
Q6善意かどうかはいつの時点で判断されますか?
否認された行為の「当時」を基準に、支払停止等および債権者を害する事実を知らなかったかで判断します。後付けの主張では足りず、当時の資料が鍵です。
Q7会社更生と破産で否認の効果は違いますか?
基本構造は共通です。破産法167条・民事再生法132条に対応規定があり、いずれも原状回復を原則としつつ無償行為の善意者を保護します。
Q8転得者も否認されることがありますか?
あります。一定の要件下で転得者に対しても否認の効果が及びます(会社更生法92条、現行効力は要確認)。受け取った相手のさらに先まで巻き込まれ得ます。
この条文についての質問 AI による整理
Q1無償でもらった物を善意で使い切っていたら、本当に何も返さなくていいんですか?
無償行為が否認され、あなたが取引当時に相手の支払停止や債権者を害する事実を知らなかったなら、返すのは「現に受けている利益」だけです(91条2項)。善意で費消して利益が手元に残っていなければ、返還額は大きく減ります。実務のポイント:実務では「現存利益が残っていない」ことの立証責任は相手方であるあなた側にあると解されています。だから善意でも、何にいくら使ったかの記録がないと、利益が残っているものとして全額に近い返還を迫られる。使い道の記録こそが盾になる
Q2管財人から否認されたら、もう争う余地はないんですか?
あります。否認は管財人が訴え、否認の請求、または抗弁という形で行使しますが、その行為が否認の要件を満たすか、あなたが善意かは争点になります(95条、現行条番号は要確認)。実務のポイント:弁護士がまず確認するのは「否認された行為の分類」です。同じ受領でも、弁済(偏頗行為、86条の3)か無償行為(86条3項)かで、善意による現存利益の保護があるかないかが分かれる。相手の主張どおりの分類を受け入れず、自分に有利な分類を主張できるかが最初の分岐点になる
Q3返した後、消えたはずの自分の債権はどうなるんですか?
否認に応じて受け取った物を返還すれば、いったん消滅したあなたの債権は原則として回復します(91条の否認効果に続く相手方の債権の回復)。ただし更生債権として届出をし、手続に乗せる必要があります。実務のポイント:回復した債権は「更生債権」として配当を受ける立場になり、満額回収できるとは限らない。つまり「返したら元の債権が丸ごと戻る」のではなく、「手続の中で按分配当を受ける一般債権者の列に並び直す」のが実態です。この落差を知らずに返還に応じると、想定より回収が減る
間違えやすい点 AI による整理
- 否認されたら受け取った全額を返すしかない、と思い込んでいる。だが無償行為の否認(86条3項)で、あなたが取引当時に相手の支払停止や債権者を害する事実を知らなかったなら、返すのは現に手元に残る利益だけでよい(91条2項)。善意で消費していれば、返還額は大きく目減りする
- 無償行為の否認は贈与だけだと軽く見ている人が多い。実際は債務免除、無償の保証、さらに著しく不相当な廉価取引まで「これと同視すべき有償行為」として射程に入る。あなたが「これはタダでもらったわけじゃない」と思っている取引ほど、危ない
- 「善意なら全部守られる」という問いの立て方そのものがずれている。91条2項が現存利益への圧縮を許すのは無償行為が否認された場合だけ。あなたが受けたのが弁済や担保供与(偏頗行為、86条の3)なら、たとえ善意でも現存利益の保護はなく、原則どおり原状回復を迫られる。守られる行為の種類を取り違えると、防御の方向ごと間違える
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 否認の効果 | 91条:原状回復が原則(1項)、無償行為かつ善意なら現存利益償還に圧縮(2項) | 86条3項:無償行為否認の実体要件(善意でも否認自体は可能) 86条の3:偏頗行為否認(弁済・担保供与) |
| 善意による責任の圧縮 | 無償行為に限り現存利益まで圧縮(91条2項) | 否認の成否を定める規定(効果は91条が規律) 善意でも現存利益への圧縮なし、原則原状回復 |
| 立証のポイント | 相手方が行為当時の善意と現存利益の不存在を立証 | 管財人が無償性と期間(支払停止前6か月等)を立証 管財人が偏頗性(債権者間の不公平)を立証 |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾は破産法の否認(撤銷)と民法の詐害行為取消権で会社財産の回復を図る。会社更生に相当する重整は公司法に規律され、無償行為の取扱いは日本と類似する。
韓国は統合倒産法(DRBA)が否認権の効果を定め、原状回復を原則とする。無償行為と善意者保護の構造は日本法と近い。
ドイツ倒産法143条は否認の法的効果として原状回復(Rückgewähr)を定め、不当利得規定(BGB §§ 812 ff.)を準用して善意者の責任範囲を調整する。日本の現存利益圧縮の母法的位置にある。
米連邦倒産法は否認された移転の回収(recovery from transferee)を550条で規律し、548条の fraudulent transfer と組み合わせる。善意の転得者には good faith 抗弁があり、価値相当分の保護が及ぶ。
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- あなたの会社は半年前、資金繰りに苦しむ取引先から「もう返さなくていい」と数百万円の債務を免除してもらった。その取引先が会社更生に入り、管財人がその免除を否認。だがあなたが当時その資金難を知らなかったと示せれば、復活する負担は現に手元に残る利益の範囲に圧縮できる
- もし管財人から「3週間以内に否認に応じるか回答せよ」という書面が届いたら? まず確認すべきは、否認された行為が無償行為か、それとも弁済かだ。種類を見誤ったまま期限に押されて全額返還に応じると、本来守られたはずの分まで吐き出すことになる
- 親の会社が傾く前に、無償で名義を移された不動産。会社更生開始後、管財人がそれを否認した。善意でも、物そのものが手元に残っていれば返還は免れない。
- 経営者として、倒産前夜に世話になった親族へ資産を無償で渡した。良かれと思った行為が、支払停止の前6か月まで遡って否認され、相手まで巻き込む。受け取った側が善意でも、現物が残っていれば返還義務は残る
取るべき行動
被害を受けた側:1. 倒産前に会社財産が無償で流出した形跡があれば、否認の端緒として管財人または裁判所に情報提供する。贈与、債務免除、無償の保証、廉価売却などが対象(86条3項) 2. その行為が支払停止等の後、またはその前6か月以内かを確認する。この期間内の無償行為は相手方の善意を問わず否認できる3. 否認が認められれば財産は原状に復し(91条1項)、配当原資が増える。ただし相手が善意の無償取得者なら現存利益までしか戻らない点(91条2項)は織り込んでおく
訴えられた側:1. 否認の通知が来たら、まず否認された行為が無償行為か、弁済等の偏頗行為かを確定する。無償行為(86条3項)なら善意による現存利益への圧縮(91条2項)が使える2. 取引当時に相手の支払停止や債権者を害する事実を知らなかったことを、当時の資料で立証する準備をする3. 現存利益が手元に残っていないなら、何にいくら費消したかの記録を整え、返還額の圧縮を主張する4. 争うなら95条の手続(訴え・否認の請求・抗弁)の中で反論し、安易に原状回復前提の和解に応じない(現行条番号は要確認)
時効(請求できる期限):否認権は、更生手続開始の日から2年を経過すると行使できなくなる。否認の対象となった行為の時から20年を経過したときも同様(否認権の消滅)。相手方として通知を受けたら、これらの期間や手続上の回答期限を確認し、期限に押されて不利な返還に応じないこと(最新の改正状況をご確認ください)
学説
通説:91条は否認の効果を二段構えで規律する。1項の原状回復主義により、否認が認められれば財産は更生会社に復し、配当原資が回復する。2項は無償行為の否認に限り、取引安全と善意者保護の見地から善意の相手方の責任を現存利益に圧縮する。偏頗行為否認(86条の3)には同項の保護は及ばないと解される。
改正沿革 AI による整理
- 平成14年(2002年)会社更生法全部改正 旧会社更生法(昭和27年法律第172号)を全面改正して現行法を制定。否認権の効果について、原状回復主義(1項)を維持しつつ、無償行為が否認された場合の善意の相手方の責任を現に受けている利益の償還に限定する規定(2項)を、破産法・民事再生法と整合する形で整理した。2002年以降の改正回数は人的検証が必要
改正の年表
- 1.平成14年(2002年) 改正:旧会社更生法(昭和27年法律第172号)を全部改正して現行法(平成14年法律第154号)を制定。否認の効果について、原状回復主義(1項)を維持しつつ、無償行為が否認された場合の善意の相手方の責任を現存利益の償還に限定する規定(2項)を、破産法・民事再生法と整合する形で整理した。2002年以降の個別改正回数は人的検証が必要。
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