会社更生法 第132条(共益債権の取扱い)
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- 共益債権は、更生計画の定めるところによらないで、随時弁済する。
- 2.共益債権は、更生債権等に先立って、弁済する。
- 3.共益債権に基づき更生会社の財産に対し強制執行又は仮差押えがされている場合において、その強制執行又は仮差押えが更生会社の事業の更生に著しい支障を及ぼし、かつ、更生会社が他に換価の容易な財産を十分に有するときは、裁判所は、更生手続開始後において、管財人(第七十二条第四項前段の規定により更生会社の機関がその権限を回復したときは、更生会社。次条第三項において同じ。)の申立てにより又は職権で、担保を立てさせて、又は立てさせないで、その強制執行又は仮差押えの手続の中止又は取消しを命ずることができる。共益債権である共助対象外国租税の請求権に基づき更生会社の財産に対し国税滞納処分の例によってする処分がされている場合におけるその処分の中止又は取消しについても、同様とする。
- 4.裁判所は、前項の規定による中止の命令を変更し、又は取り消すことができる。
- 5.第三項の規定による中止又は取消しの命令及び前項の規定による決定に対しては、即時抗告をすることができる。
- 6.前項の即時抗告は、執行停止の効力を有しない。
この条文の基本情報
共益債権の取扱いとは何ですか?
定義共益債権の取扱いとは、会社更生法第132条に定められた規定で、「共益債権は、更生計画の定めるところによらないで、随時弁済する。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 会社更生法第132条(共益債権の取扱い)は、日本の会社更生法に含まれる条文です。
- 会社更生法第132条の条文原文は「共益債権は、更生計画の定めるところによらないで、随時弁済する。」で始まります。
- 会社更生法第132条は第一節に置かれています。
- 会社更生法の公布日は平成14年12月13日です。
- 会社更生法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 会社更生法第132条の前の条は会社更生法第131条です。
- 会社更生法第132条の次の条は会社更生法第133条です。
- 会社更生法第132条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
会社更生法(平成十四年法律第百五十四号)第132条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/414AC0000000154 - 本サイト収録
会社更生法(平成十四年法律第百五十四号)第132条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/414AC0000000154/132
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点会社更生法132条は、共益債権を更生計画によらず随時、かつ更生債権に先立って弁済すると定める。ただし再建を著しく妨げる強制執行は裁判所が中止・取消しを命じうる。
Q · 取引先が会社更生に入ったあと納品した分の代金は、ちゃんと回収できますか?
共益債権なら随時・全額が優先回収できる
会社更生法132条により、手続開始後に管財人の要請で発生した債権は共益債権となり、更生計画によらず随時、かつ更生債権等に先立って全額が弁済されます(1項・2項)。手続開始前に発生した売掛金は更生債権としてカット・分割される運命ですが、開始後の協力分は守られます。ただし3項により、共益債権に基づく強制執行が会社の再建を著しく妨げ、他に換価容易な財産があるときは、裁判所が執行の中止・取消しを命じることができます。
解説
取引先が会社更生手続を申し立てた。その瞬間、その会社に対する債権は二つの世界に引き裂かれる。手続開始より前に生まれた売掛金は「更生債権」となり、更生計画が決まるまで一円も回収できず、最終的に数割カット、十年分割という運命をたどる。だが手続開始の後、管財人の依頼で納品を続けた分の代金は「共益債権」になる。会社更生法132条はこの共益債権について、更生計画によらず随時、しかも更生債権に先立って全額弁済すると定める。つまり同じ会社への同じ売掛金でも、生まれたタイミングと根拠次第で、全額即金か、十年後に一割かが決まる。さらに3項は、共益債権者が会社財産を差し押さえて再建を著しく妨げる場合、裁判所がその執行を止められるとする。優先権は絶対ではなく、会社再建という大目的の前では制限されうる。
法的な位置づけ
会社更生法132条は共益債権の弁済方法を定める規定であり、共益債権が更生計画の定めによらず随時弁済され、かつ更生債権等に先立って弁済される旨を規定する。さらに、共益債権に基づく強制執行や仮差押えが会社の事業の更生に著しい支障を及ぼし、他に換価の容易な財産が十分にあるときは、裁判所が当該執行の中止・取消しを命じうる仕組みも置く。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.債権を「開始決定の前か後か」で仕分ける 取引先の会社更生手続開始決定日を確認し、自社の各債権の発生日と突き合わせる。開始決定後に管財人の要請で生じた分は共益債権、それ以前は更生債権として二つに切り分ける
- 2.共益債権の根拠を証拠で固める 後発分が共益債権であることを示すため、管財人からの継続供給要請メール・発注書・納品日と検収日の記録を一日単位で整理する。証拠の有無が全額回収か一割かを分ける
- 3.管財人へ随時弁済を請求する 共益債権分は更生計画を待たず、根拠書面を添えて管財人に随時弁済を請求する(132条1項)。まずは強制執行ではなく任意弁済の交渉を優先し、早めに動いた取引先から資金が回る
- 4.更生債権分は届出期間内に必ず届け出る 更生債権に当たる部分は債権届出期間内に届出を行う。怠ると失権する。共益債権分と更生債権分は一通の請求で混ぜず、それぞれ正しい手続で扱う
よくある質問 AI による整理
Q1共益債権とは何ですか?
会社更生手続の開始後に、管財人の業務遂行などに基づいて生じる債権で、更生計画によらず随時・優先的に弁済される債権です。手続開始前に生じた更生債権と区別されます。
Q2共益債権と更生債権の違いは?
更生債権は手続開始前に生じた債権で計画によりカット・分割されます。共益債権は開始後に生じ、随時・全額が優先弁済されます(会社更生法132条)。発生時期が分かれ目です。
Q3会社更生になった取引先の売掛金はどうなりますか?
開始決定前の分は更生債権で大幅カット・長期分割の可能性が高く、開始後に管財人の要請で納品した分は共益債権として全額随時回収できます。一日の差で運命が変わります。
Q4共益債権はいつから発生しますか?
原則として更生手続開始決定の後、管財人の業務遂行や継続取引の要請に基づいて発生します。発生原因と時期は会社更生法127条以下が客観的に定めます。
Q5共益債権で相手の財産を差し押さえできますか?
原則できますが、その執行が会社の再建を著しく妨げ、他に換価容易な財産があると裁判所が判断すれば、132条3項で中止・取消しを命じられます。優先権は無制限ではありません。
Q6会社更生法132条の中止命令とは何ですか?
共益債権者の強制執行・仮差押えが事業の更生を著しく妨げる場合に、裁判所が管財人の申立てまたは職権でその執行手続を中止・取消しできる命令です(132条3項)。
Q7共益債権の時効は何年ですか?
共益債権の弁済自体に特別の時効はなく、債権の種類に応じた一般消滅時効(民法166条、原則5年)が適用されます。中止・取消命令への即時抗告は告知から1週間です。
Q8倒産した取引先からの回収は諦めるしかないですか?
諦めるべきは更生債権の部分だけです。まず自分の債権が共益債権か更生債権かを発生時期で切り分け、共益債権分は根拠を添えて早めに管財人へ随時弁済を請求するのが先決です。
この条文についての質問 AI による整理
Q1取引先が会社更生になったら、売掛金はもう戻ってこないんですか?
全部諦めるのは早い。手続開始の前に発生した分は更生債権で計画によりカットされますが、開始後に管財人の要請で納品した分は共益債権として更生計画によらず随時・優先で全額弁済されます(132条1項・2項)。実務のポイント:管財人は事業継続のため主要取引先には払いたいのが本音。『これは共益債権だ』と根拠を示して早めに請求した取引先から順に資金が回る。黙って待つ者は後回しにされる
Q2共益債権を持ってれば、相手の財産を差し押さえて先に取れますよね?
原則は可能ですが、その差押えが会社の再建を著しく妨げ、かつ会社に他の換価しやすい財産があると裁判所が判断すれば、132条3項で中止・取消しを命じられます。実務のポイント:再建初期に主要資産を押さえると、回収できるどころか管財人と裁判所の両方を敵に回す。差押えは『最後のカード』として温存し、まず任意弁済を引き出す方が実務では速くて確実だ
Q3中止命令が出されたら、もう打つ手はないんですか?
命令の告知から1週間以内に即時抗告できます(132条5項)。ただし抗告しても執行停止の効力はない(6項)ので、抗告中も中止状態は続きます。実務のポイント:抗告で命令を覆すより、その間に管財人と『この債権は共益債権だから任意で払ってくれ』と交渉をまとめる方が現実的。法廷闘争と並行して和解の窓口を開けておくのが回収巧者のやり方だ
間違えやすい点 AI による整理
- 「会社更生に入った取引先からは、どうせ回収できない」と諦める人が多いが、手続開始後に発生した共益債権は更生計画によらず随時・全額弁済される。諦めるべきは更生債権の部分だけで、まず自分の債権が共益債権かどうかを切り分けるのが先だ
- 共益債権が優先されることは知っていても、その優先が「絶対」だと思い込んでいる人は多い。132条3項は、共益債権者の強制執行が再建を著しく妨げ、会社に他の換価容易な財産があるとき、裁判所が執行を止められると定める。優先権の上に、再建という更に上位の目的が乗っている
- 「自分の債権を共益債権にできないか」と問う人がいるが、問いの立て方が逆だ。共益債権になるかどうかは当事者の希望ではなく、127条以下が定める発生原因と時期で客観的に決まる。交渉すべきは「共益債権にしてくれ」ではなく、「いつ、どの根拠で発生した債権か」を証拠で固めることだ
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 発生時期 | 共益債権(132条):手続開始後に発生 | 更生債権(47条が弁済を制限):手続開始前に発生 共益債権の発生原因(127条):管財人の業務等 |
| 弁済方法 | 更生計画によらず随時・優先弁済(全額) | 更生計画に従いカット・分割、計画前は弁済禁止 127条が列挙する原因ごとに共益債権性を判定 |
| 優先順位 | 更生債権等に先立って弁済(2項) | 共益債権に劣後 — |
| 制限・覆せる手段 | 再建を著しく妨げる執行は裁判所が中止・取消し(3項) | 計画によらない個別弁済は原則禁止 管財人(72条)が共益債権性を精査・争える |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾は会社の重整手続で『重整債務』を重整債権に優先して受償させる。日本の共益債権の随時・優先弁済と同趣旨だが、根拠は破産法ではなく公司法の重整章に置かれる
韓国は会生・破産統合法で『공익채권』を随時・優先弁済する。日本の共益債権とほぼ対応する制度
ドイツは倒産財団債務(Masseverbindlichkeiten)を倒産債権に優先して随時弁済する。手続開始後の管財人行為に基づく債務が対象となる点が共通
米国連邦倒産法は手続開始後の管財費用を administrative expense priority として優先弁済する。日本の会社更生法は第11章 reorganization の影響を受けており、構造が近い
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 部品メーカーのあなたは、得意先が会社更生を申し立てた後も、管財人から「事業継続に必要だから供給を続けてほしい」と頼まれて納品した。この後発分は共益債権。他の一般債権者が泣いている横で、あなたは全額を随時回収できる。ただし「いつの分か」を一日単位で線引きできる証拠が要る
- もし、あなたの会社が共益債権を持っていて、相手会社の工場を差し押さえたらどうなる? その差押えが事業再建を著しく妨げ、かつ会社に他に換価しやすい財産があると裁判所が判断すれば、あなたの差押えは中止・取消しを命じられる。優先権者でも、再建の邪魔と見なされれば手を止めさせられる
- 開始決定の前日に納品した商品。代金は更生債権。一日後なら共益債権だった。たった24時間が、全額か一割かを分けた
- 管財人のあなたは、ある取引先が共益債権を盾に主要設備を仮差押えしてきて、再建計画が頓挫しかけている。132条3項の申立てで、その仮差押えを止められる。優先権の壁に穴があることを知っているかどうかで、再建は生き残る
- 共益債権の弁済を求めたが管財人が応じず、さらに裁判所の中止命令が出た。即時抗告できるのは命令の告知から1週間。だが抗告しても執行は止まらない(6項)。残り時間の中で、抗告と交渉のどちらに力を割くかを今夜決めねばならない
取るべき行動
被害を受けた側:1. まず自分の債権を「開始決定の前か後か」で仕分ける。後発で管財人の要請に基づくものは共益債権の可能性が高い2. 共益債権なら管財人に随時弁済を請求(132条1項)。根拠(発注書・継続要請メール)を添えて早めに動く3. ただし主要資産への強制執行は132条3項で止められうるので、まず任意弁済交渉を優先する4. 更生債権の部分は債権届出期間内に届出を必ず行う。怠ると失権する。共益債権分と更生債権分を一通の請求で混ぜないこと
訴えられた側:1. 共益債権者から随時弁済を求められたら、本当に127条以下の共益債権か、発生原因と時期を精査する。更生債権を共益債権と偽る請求は珍しくない2. 共益債権者が主要資産を差し押さえて再建を妨げるなら、132条3項で中止・取消しを申し立てる。要件は『事業の更生に著しい支障』+『他に換価の容易な財産が十分にある』こと3. 中止命令が出ても即時抗告には執行停止効がない(6項)ことを踏まえ、抗告審の見通しと並行戦略を立てる
時効(請求できる期限):共益債権の弁済自体に特別の時効はないが、債権の種類に応じた一般消滅時効(民法166条、原則5年)が適用される。132条3項の中止・取消命令および4項の決定に対する即時抗告は、裁判の告知を受けた日から1週間以内(民事訴訟法332条)。この期間を過ぎると命令は確定する(最新の改正状況をご確認ください)
学説
通説:共益債権は手続開始後の協力者を厚く保護し再建に必要な信用と物流を確保するために随時・優先弁済されるが、その優先権は会社全体の再建という上位目的により内在的に制約され、132条3項の中止・取消しはこの調整装置だと解される。
改正沿革 AI による整理
- 平成14年(2002年) 会社更生法全部改正(新法制定)。旧法(昭和27年)を全面的に作り直し、共益債権の随時・優先弁済を整理。3項に、再建を著しく妨げる強制執行・仮差押えの中止・取消しの仕組みを明文化した
- 平成25年(2013年) 租税に関する国際的な相互協力の枠組み整備に伴い、共益債権である共助対象外国租税の請求権に基づく国税滞納処分の例による処分の中止・取消しを3項に追加した
改正の年表
- 1.平成14年(2002年) 改正:会社更生法全部改正(新法制定)。旧法(昭和27年)を全面的に作り直し、共益債権の随時・優先弁済を整理。3項に、再建を著しく妨げる強制執行・仮差押えの中止・取消しの仕組みを明文化
- 2.平成25年(2013年) 改正:租税に関する国際的な相互協力の枠組み整備に伴い、共益債権である共助対象外国租税の請求権に基づく国税滞納処分の例による処分の中止・取消しを3項に追加
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