会社更生法 第133条(更生会社財産不足の場合の弁済方法等)
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- 更生会社財産が共益債権の総額を弁済するのに足りないことが明らかになった場合における共益債権の弁済は、法令に定める優先権にかかわらず、債権額の割合による。ただし、共益債権について存する留置権、特別の先取特権、質権及び抵当権の効力を妨げない。
- 2.前項本文に規定する場合には、前条第一項の規定は、適用しない。
- 3.第一項本文に規定する場合には、裁判所は、管財人の申立てにより又は職権で、共益債権に基づき更生会社の財産に対してされている強制執行又は仮差押えの手続の取消しを命ずることができる。共益債権である共助対象外国租税の請求権に基づき更生会社の財産に対してされている国税滞納処分の例によってする処分の取消しについても、同様とする。
- 4.前項の規定による取消しの命令に対しては、即時抗告をすることができる。
- 5.前項の即時抗告は、執行停止の効力を有しない。
この条文の基本情報
更生会社財産不足の場合の弁済方法等とは何ですか?
定義更生会社財産不足の場合の弁済方法等とは、会社更生法第133条に定められた規定で、「更生会社財産が共益債権の総額を弁済するのに足りないことが明らかになった場合における共益債権の弁済は、法令に定める優先権にかかわらず、債権額の割合による。ただし、…」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 会社更生法第133条(更生会社財産不足の場合の弁済方法等)は、日本の会社更生法に含まれる条文です。
- 会社更生法第133条の条文原文は「更生会社財産が共益債権の総額を弁済するのに足りないことが明らかになった場合における共益債権の弁済は、法令に定める優先権にかかわらず、債権額の割合による。ただし、…」で始まります。
- 会社更生法第133条は第一節に置かれています。
- 会社更生法の公布日は平成14年12月13日です。
- 会社更生法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 会社更生法第133条の前の条は会社更生法第132条です。
- 会社更生法第133条の次の条は会社更生法第134条です。
- 会社更生法第133条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
会社更生法(平成十四年法律第百五十四号)第133条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/414AC0000000154 - 本サイト収録
会社更生法(平成十四年法律第百五十四号)第133条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/414AC0000000154/133
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点会社更生法133条は、更生会社の財産が共益債権の総額に足りない場合、共益債権を債権額の割合で按分弁済すると定める。ただし担保付債権は按分の枠外で優先する。
Q · 共益債権なら満額もらえるはずだったのに、なぜ按分になるの?
更生会社の財産が共益債権の総額に足りないと按分弁済になります
会社更生法133条により、更生会社の財産が共益債権の総額にすら足りないことが明らかになると、132条の随時・優先弁済の原則は適用されず(133条2項)、共益債権者の間で債権額の割合に応じた按分弁済に切り替わります。回収率が4割と決まれば100万円の債権でも40万円しか戻りません。ただし留置権・特別の先取特権・質権・抵当権を有する共益債権は、按分の枠外で優先的に回収できます(1項但書)。最後に明暗を分けるのは順位ではなく担保の有無です。
解説
取引先が会社更生に入った。それでも商品を納め続けたのは、更生手続が始まった後に生まれた債権は「共益債権」として、更生債権より先に、随時、満額払われると聞いたからだ(会社更生法132条)。ところが、その更生手続自体が行き詰まり、会社の財産が共益債権の総額にすら足りないことが明らかになった。ここで効いてくるのが133条だ。優先順位の高い共益債権も低い共益債権も区別せず、債権額に応じて按分、つまり山分けになる(1項本文、2項で132条の優先原則は停止する)。あなたが100万円の債権を持ち、回収率が4割と決まれば、戻るのは40万円だけだ。ただし例外がある。あなたが商品に留置権を持っていたり、特別の先取特権・質権・抵当権を押さえていれば、その担保の効力は按分に巻き込まれない(1項但書)。担保を取っていたかどうかが、最後の最後で回収額を分ける。
法的な位置づけ
会社更生法133条は、更生会社の財産が共益債権の総額に不足することが明らかになった場合における共益債権の弁済方法を定める規定であり、法令の優先権にかかわらず債権額の割合による按分弁済を原則とし、留置権・特別の先取特権・質権・抵当権を有する債権はその効力を妨げられない。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.自分の債権が共益債権か更生債権かを切り分ける 債権の発生時期を起算点に、更生手続開始後の取引から生じた債権かを確認する。開始前なら更生債権、開始後の取引・運転資金等なら共益債権の可能性が高い
- 2.担保(留置権・特別の先取特権・質権・抵当権)の有無を確認する 現場に残した資材の占有、所有権留保、設定済みの質権・抵当権がないかを精査する。担保があれば133条1項但書により按分の枠外で優先回収できる旨を管財人に主張する
- 3.管財人に按分率と配当根拠を確認する 無担保の共益債権の場合、財産が共益債権総額に不足することの根拠資料と、想定される按分率・回収見込額の説明を管財人に求める
- 4.強制執行の取消命令への対応を即断する 更生会社の財産に強制執行をかけている場合、取消命令が出たら即時抗告の要否を直ちに判断する。即時抗告には執行停止効がないため(5項)、抗告と並行して別の保全・回収手段を同時に走らせる
よくある質問 AI による整理
Q1共益債権とは何ですか?
更生手続の遂行のために生じる費用や、手続開始後の取引から生じた債権で、更生計画によらず随時・優先して弁済される請求権です(会社更生法127条以下)。
Q2会社更生法133条の按分弁済とは何ですか?
更生会社の財産が共益債権の総額に足りないとき、優先権にかかわらず各共益債権を債権額の割合で按分して支払う処理です。回収率が一律に切り下げられます。
Q3取引先が会社更生したら売掛金は満額回収できますか?
手続開始後の取引なら共益債権で原則満額ですが、財産不足が明らかになると133条で按分され、無担保部分は回収率まで切り下げられます。
Q4共益債権と更生債権の違いは何ですか?
共益債権は手続開始後の取引等から生じ随時・優先弁済されますが、更生債権は開始前の債権で更生計画に従い大幅にカットされるのが通常です。
Q5共益債権に留置権があると按分されませんか?
されません。133条1項但書は留置権・特別の先取特権・質権・抵当権の効力を妨げないと定め、担保付債権は按分の枠外で優先回収できます。
Q6共益債権の強制執行は取り消されますか?
財産不足が明らかな場合、裁判所は管財人の申立てまたは職権で、共益債権に基づく強制執行・仮差押えの取消しを命じられます(133条3項)。
Q7共助対象外国租税とは何ですか?
租税条約に基づき日本が外国に代わって徴収する税です。その滞納処分の例による処分も133条3項後段で取消しの対象になります。
Q8会社更生と民事再生で共益債権の扱いは違いますか?
趣旨は共通で、民事再生では共益債権、破産では財団債権として、財産不足時は同様に按分弁済の規律が置かれています。
この条文についての質問 AI による整理
Q1共益債権って更生債権より絶対に優先されるんじゃないんですか?
通常はそうです。共益債権は更生計画によらず随時、更生債権・更生担保権に先立って弁済されます(会社更生法132条)。ただし会社の財産が共益債権の総額にすら足りないことが明らかになると、この優先原則は適用されず(133条2項)、共益債権者の間で債権額に応じた按分弁済に切り替わります。実務のポイント:管財人が出す入金予定表を鵜呑みにせず、更生計画の遂行状況と財産の目減りを自分で追うこと。「按分の可能性が見え始めた段階」と「明らかになった段階」では、打てる手の数がまるで違う
Q2按分になったら、担保を持っている債権者だけ得をするんですか?
実質的にはそうなります。133条1項但書は、共益債権について存する留置権・特別の先取特権・質権・抵当権の効力を妨げないと定めており、これらの担保付債権は按分の枠外で優先的に回収できます。無担保の共益債権だけが按分で目減りします。実務のポイント:分かれ目は取引開始時の担保設定にある。相手が更生手続中でも正常に回っているうちに留置権を確保できる占有を残す、所有権留保や質権を押さえる、その一手間が二段目の倒産で効いてくる
Q3更生会社にかけた差押えが取り消されるって本当ですか?
本当です。財産不足が明らかな場合、裁判所は管財人の申立てか職権で、共益債権に基づく強制執行・仮差押えの手続を取り消せます(133条3項)。さらに『共助対象外国租税』、つまり租税条約に基づき日本が外国に代わって徴収する税の滞納処分の例による処分も取消対象です。実務のポイント:取消命令には即時抗告できますが(4項)、抗告しても執行は止まりません(5項)。本気で止めたいなら、抗告と並行して執行停止の手続を別途打つ必要がある
間違えやすい点 AI による整理
- 共益債権は「随時・優先・満額」だと思い込んでいるが、それは財産が足りる前提の話。足りないことが明らかになれば132条の優先弁済原則は適用されず(133条2項)、按分に切り替わる。前提が崩れた瞬間、ラベルだけが残って中身が消える
- 按分になることは知っていても、その深刻度を読み違える人が多い。按分とは「少し目減りする」ではなく、回収率が4割なら6割が永久に戻らないということ。最優先のラベルを貼られた共益債権が、無担保のまま大半を失う
- あなたから見れば「更生手続中も取引に応じたのだから優先されて当然」だが、法律から見れば「財産が尽きた以上、共益債権者全員を平等に扱う」。この落差を埋める唯一の手段が、取引の時点で取っておいた担保である
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 弁済の原則 | 133条:財産不足時は債権額の割合で按分弁済 | 132条:随時・優先・満額で弁済 破産法152条:財団債権間の按分弁済 |
| 適用前提 | 財産が共益債権総額に不足することが明らか | 財産が共益債権を弁済するに足りる通常時 破産財団が財団債権総額に不足 |
| 担保の扱い | 留置権・特別の先取特権・質権・抵当権は枠外で優先(1項但書) | 随時弁済のため担保の優劣は表面化しにくい 別除権・優先権は同様に按分外で優先 |
他国ではどう定めているか 5 か国
台湾は会社更生(重整)における重整債務を優先弁済とし、財産不足時の処理は破産法の財団費用・優先権の枠組みに連なる。按分の発想は共通
韓国は統合倒産法(債務者回生法)で公益債権を随時弁済とし、財産不足時は按分の規律が置かれ日本と類似する
中国は財産が破産費用・共益債務の全額弁済に足りないとき、まず破産費用を弁済し、なお不足する場合は比例(按分)清算とする。日本133条と直接対応する
ドイツは Masseunzulänglichkeit(財団不足)の場合に財団債権の弁済順位を定め、同順位内では按分する。担保権者の優先は別除権で確保される
米国は同一順位の管理費用等を pro rata で配当する。担保付債権は secured claim として配当外で優先回収する点も共通
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 更生手続中の取引先に、毎月部品を納め続けた製造業者。共益債権だから満額もらえるはずだった。ところが更生計画の遂行が頓挫し、財産は共益債権総額の6割しかない。あなたの債権も6割に切り下げられ、担保を取っていなかった分が、そのまま消える
- もし、あなたが更生会社に運転資金を貸し付けた金融機関だったら? その貸付金も共益債権だが、133条が動けば按分の対象になる。融資時に抵当権や質権を設定していたかどうかで、回収できる額が天と地ほど変わる
- 下請けの建設会社として、更生会社の現場に資材を残したまま代金未払い。あなたにはその物を留め置く留置権がある。133条の按分が始まっても、その担保は巻き込まれない。
- 共益債権を回収しようと更生会社の財産に強制執行をかけた矢先、管財人の申立てで裁判所が執行取消しを命じた(3項)。不服なら即時抗告だが、告知から動ける時間は限られる。しかも即時抗告しても執行は止まらない(5項)。手を打つなら今夜からだ
取るべき行動
被害を受けた側:1. 自分の債権が共益債権か更生債権か、発生時期を起算点に切り分ける(更生手続開始後の取引かどうか)。2. 担保(留置権・特別の先取特権・質権・抵当権)を持っているか確認、あれば按分から外れる旨を管財人に主張(1項但書)。3. 無担保なら、按分率と回収見込額を管財人に確認し、配当の根拠資料を求める。4. 財産に強制執行をかけている場合、取消命令が出たら即時抗告の要否を直ちに判断する
訴えられた側:管財人・更生会社側として弁済を差配する立場なら、1. 財産が共益債権総額に不足することの疎明資料を整える。2. 不足が明らかな段階で132条の随時・優先弁済を停止し、按分基準で処理する。3. 一部の共益債権者が強制執行・仮差押えで抜け駆けしている場合、申立てまたは職権で取消命令を求める(3項)。4. 担保付債権は按分から除外する処理を徹底し、後日の異議に備えて記録を残す
時効(請求できる期限):強制執行等の取消命令に対する即時抗告は、原則として裁判の告知を受けた日から1週間の不変期間(民事訴訟法332条)。ただし会社更生手続では公告される裁判について別途の起算・期間の定めがあり、対象裁判の取扱いは個別確認を要する(最新の手続規定をご確認ください)。即時抗告に執行停止の効力はない(133条5項)。共益債権そのものの時効は、その発生原因(売買・請負・貸金等)ごとに民法166条の消滅時効(債権5年または10年)が適用される
学説
通説:133条1項本文の按分は、財産不足という極限状況で共益債権者間の平等を図る趣旨であり、132条の随時・優先弁済の原則を停止する。1項但書の担保権は別除権類似の地位として按分の枠外に置かれ、無担保の共益債権者の平等と担保権者の優先を客観的な担保の有無で線引きすると理解される。
改正沿革 AI による整理
- 平成14年(2002年) 旧会社更生法(昭和27年法律第172号)を全部改正し、現行会社更生法を制定。財産不足時における共益債権の按分弁済と、優先原則の不適用、強制執行等の取消しを133条として整理した
- 平成25年(2013年) 租税条約等の実施に伴う国内法整備に対応し、3項後段に『共助対象外国租税の請求権に基づく国税滞納処分の例による処分』の取消しに関する規定を追加した
改正の年表
- 1.平成14年(2002年) 改正:旧会社更生法(昭和27年法律第172号)を全部改正し現行会社更生法を制定。財産不足時の共益債権の按分弁済、優先原則の不適用、強制執行等の取消しを133条として整理した
- 2.平成25年(2013年) 改正:租税条約等の実施に伴う国内法整備に対応し、3項後段に共助対象外国租税の請求権に基づく国税滞納処分の例による処分の取消しに関する規定を追加した
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