会社更生法 第127条(共益債権となる請求権)
クイックジャンプ
- 次に掲げる請求権は、共益債権とする。
- 一更生債権者等及び株主の共同の利益のためにする裁判上の費用の請求権
- 二更生手続開始後の更生会社の事業の経営並びに財産の管理及び処分に関する費用の請求権
- 三更生計画の遂行に関する費用の請求権(更生手続終了後に生じたものを除く。)
- 四第八十一条第一項(第三十四条第一項、第三十八条、第八十一条第五項及び前条において準用する場合を含む。)、第百十七条第四項(同条第六項及び第七項において準用する場合を含む。)、第百二十三条第五項、第百二十四条第一項及び第百六十二条の規定により支払うべき費用、報酬及び報償金の請求権
- 五更生会社の業務及び財産に関し管財人又は更生会社(第七十二条第四項前段の規定により更生会社の機関がその権限を回復した場合に限る。)が権限に基づいてした資金の借入れその他の行為によって生じた請求権
- 六事務管理又は不当利得により更生手続開始後に更生会社に対して生じた請求権
- 七更生会社のために支出すべきやむを得ない費用の請求権で、更生手続開始後に生じたもの(前各号に掲げるものを除く。)
この条文の基本情報
共益債権となる請求権とは何ですか?
定義共益債権となる請求権とは、会社更生法第127条に定められた規定で、「次に掲げる請求権は、共益債権とする。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 会社更生法第127条(共益債権となる請求権)は、日本の会社更生法に含まれる条文です。
- 会社更生法第127条の条文原文は「次に掲げる請求権は、共益債権とする。」で始まります。
- 会社更生法第127条は第一節に置かれています。
- 会社更生法の公布日は平成14年12月13日です。
- 会社更生法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 会社更生法第127条の前の条は会社更生法第126条です。
- 会社更生法第127条の次の条は会社更生法第128条です。
- 会社更生法第127条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
会社更生法(平成十四年法律第百五十四号)第127条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/414AC0000000154 - 本サイト収録
会社更生法(平成十四年法律第百五十四号)第127条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/414AC0000000154/127
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点会社更生法127条は、開始後の事業経営費用や管財人の権限内の借入れなど七種類の請求権を共益債権と定め、更生計画によらず随時・優先で弁済する。
Q · 取引先が会社更生に入ったら、私の売掛金はもう戻ってこないの?
発生時期次第で随時・優先弁済の側に回れます
会社更生法127条は、更生手続の追行や事業継続のために生じた七種類の請求権を「共益債権」と定めます。開始決定後に管財人の下で納品した代金、管財人が権限内で行った借入れ、開始後に生じた不当利得返還などが該当し、更生計画によらず随時弁済され、更生債権・更生担保権より先に支払われます(128条)。逆に開始決定前に生じた一般債権は「更生債権」となり大幅に減額され分割でしか戻りません。決め手はあなたの能力ではなく、債権が開始決定の前か後かという発生時期です。
解説
取引先が会社更生手続に入った、あなたの売掛金は紙くずになる、そう諦めるのは早い。会社更生法は債権を二つの世界に切り分ける。手続開始決定より前に生まれた債権は「更生債権」となり、更生計画で大幅にカットされ、何年もかけて分割でしか戻ってこない。ところが127条が列挙する七種類の請求権は「共益債権」となり、まったく別の扱いを受ける。更生計画を待たず随時弁済され、しかも更生債権や更生担保権より先に支払われる(128条)。開始後に納品した商品代金、管財人が権限内で行った借入れ、開始後に発生した不当利得返還、更生会社のためのやむを得ない費用。これらは全額・優先で回収できる側に立つ。あなたが知るべきは、同じ取引相手への同じ種類の債権でも、それが生まれたのが開始決定の一日前か一日後かで、回収率が数パーセントと一〇〇パーセントに分かれるという事実だ。
法的な位置づけ
会社更生法127条にいう共益債権とは、更生手続の追行および更生会社の事業継続のために生じた請求権であって、同条が一号から七号で限定列挙するものをいう。更生計画の定めによらず随時弁済を受け、更生債権および更生担保権に優先して支払われる地位が認められる点に特色がある。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.債権の発生時期を確定する 自分の債権が契約・納品・検収のどの時点で発生したかを、契約書・納品書・検収書・請求書で特定し、更生手続開始決定日との前後を確定する。前なら更生債権、後なら共益債権の候補
- 2.127条の該当号数を整理する 開始後の取引代金は2号・5号、管財人の権限内の借入れは5号、開始後の不当利得返還は6号、やむを得ない費用は7号といった具合に、自分の請求が127条のどの号に当たるかを根拠条文とともに整理する
- 3.管財人へ書面で共益債権該当を主張する 管財人に対し、共益債権に該当する旨と根拠号数を書面で主張し、裏付け資料を提出する。財産状況や弁済原資の配分が固まる前に主張しないと、後から証拠が散逸して認められにくくなる
- 4.随時弁済を請求し、原資不足なら早期回収する 共益債権と認められたら128条に基づき随時弁済を請求する。財産が共益債権総額に不足し按分弁済の見込みがあるなら、原資が薄まる前に早期に弁済を求める
よくある質問 AI による整理
Q1共益債権とは何ですか?
更生手続の追行や事業継続のために生じた請求権で、会社更生法127条が七号で限定列挙します。更生計画によらず随時弁済され、更生債権・更生担保権に優先します。
Q2共益債権はいつ支払われますか?
更生計画の認可を待たず随時弁済されます(128条)。更生債権が計画に従い数年がかりで分割弁済されるのと対照的に、原則として優先して支払われます。
Q3会社更生の開始決定日はどう確認しますか?
裁判所の更生手続開始決定の官報公告や、管財人からの通知で確認できます。債権が決定の前か後かで共益債権か更生債権かが分かれるため、決定日の特定が回収率を左右します。
Q4共益債権が按分弁済になるのはどんな場合ですか?
更生会社の財産が共益債権の総額に満たない場合、共益債権者の間で財産を按分して弁済します。優先順位は高くても、原資が尽きれば全額回収できないことがあります。
Q5DIPファイナンスはなぜ優先して返済されるのですか?
管財人が権限内で行った資金の借入れは127条5号で共益債権となり、既存の更生債権者より先に返済されます。これにより再建中の会社にも新規融資が付きます。
Q6管財人に共益債権だと認めてもらうには?
債権の発生が開始決定後であること、127条各号のいずれに該当するかを契約書・納品書・検収日などの資料で立証します。管財人が財産配分を固める前に主張するのが実務上重要です。
Q7会社更生と民事再生で共益債権は違いますか?
いずれも手続維持のための債権を共益債権として優先弁済します。民事再生では民事再生法119条が対応規定です。再建型倒産に共通する仕組みですが、根拠条文の番号が異なります。
Q8共益債権に時効はありますか?
共益債権固有の権利行使期限はなく随時弁済を受けられますが、元の債権には民法166条の消滅時効(知った時から5年・行使可能時から10年)が及びます。決定的なのは時効より発生時期です。
この条文についての質問 AI による整理
Q1取引先が会社更生したあと、頼まれて納品を続けた分のお金は、ちゃんと払ってもらえますか?
開始決定後に管財人の下で行った取引の代金は、事業の経営に関する費用(127条2号)や管財人の権限内の行為による請求権(同5号)として共益債権になり、更生計画を待たず随時・優先で支払われます(128条)。実務のポイント:危ないのは申立てから開始決定までの空白期間の納品です。ここは保全管理人の権限や弁済許可の有無で扱いが割れるので、空白期間は納品条件を書面で詰めるか、開始決定後に検収日を合わせる実務的な工夫が効く
Q2共益債権と更生債権って、結局どう違うんですか?
更生債権は開始決定前に生まれた一般債権で、更生計画で減額され分割でしか戻りません。共益債権(127条)は手続を回すために生じた費用等で、計画によらず随時弁済され、更生債権・更生担保権より先に払われます(128条)。実務のポイント:弁護士や管財人がまず確認するのは『この債権はいつ発生したか』の一点です。請求の中身より発生時期が回収率を決める。だから倒産の兆候が出たら、新規取引の日付管理が何よりの防御になる
Q3共益債権なら絶対に全額もらえると聞きましたが、本当ですか?
原則は優先・全額ですが、更生会社の財産が共益債権の総額にすら足りない場合は、共益債権者の間で按分弁済になることがあります。優先順位が高いだけで、原資が尽きれば共益債権も削られます。実務のポイント:だから共益債権者にとっては『早く請求して原資があるうちに回収する』スピードが効く。手続が長引くほど原資は薄まる。共益債権だからと安心して請求を後回しにする債権者ほど、結局取りこぼす
間違えやすい点 AI による整理
- 「共益債権になれば必ず全額もらえる」と思い込んでいる人がいるが、これは深刻さを取り違えている。更生会社の財産が共益債権の総額にすら足りない場合、共益債権同士で按分弁済(プロラタ)になることがある。優先ではあるが無敵ではない、原資が尽きれば共益債権者も削られる
- 「取引先が倒産したら売掛金は全部紙くず」と諦める人が多いが、これは裏返しが必要だ。開始決定後に管財人の下で続けた取引は共益債権として守られる。供給を止めるか続けるかの判断を、回収不能を前提に間違える経営者が後を絶たない
- 多くの人は「いつ債権が発生したか」を気にせず取引するが、法律から見れば開始決定の前か後かこそが運命の分かれ目だ。あなたが『相手が更生したかどうか』だけを見て一喜一憂している間に、本当の勝負は『自分の債権がどちらの世界に属するか』で決着している。この視点のズレが、回収できたはずの金を取りこぼさせる
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 発生時期 | 共益債権(127条):開始決定後に手続維持・事業継続のため生じた請求権 | 更生債権:開始決定前に生じた一般債権 更生担保権:開始決定前に生じた担保付債権 |
| 弁済の方法 | 更生計画によらず随時弁済(128条) | 更生計画に従い減額・分割弁済 更生計画に従い担保価値の範囲で弁済 |
| 優先順位 | 更生債権・更生担保権に優先 | 共益債権・更生担保権の後順位 更生債権に優先、共益債権には劣後 |
| 原資不足時 | 共益債権者間で按分弁済となる場合がある | 計画弁済率に従い切り下げ 担保価値を超える部分は更生債権として扱われる |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾は会社の重整手続において、重整費用や手続中に生じた債務を重整債務とし、重整債權に優先して清償する。日本の共益債権と同趣旨の優先弁済の仕組み。
韓国は統合倒産法(DRBA)で会生手続の共益債権を定め、回生計画によらず随時・優先弁済する。日本の127条・128条と構造が近い。
ドイツは倒産財団から随時弁済される財団債権(Masseverbindlichkeiten)を定める。手続開始後に管財人の行為等で生じた債権を優先する点が共通する。
米国は administrative expenses を § 503で定め § 507の優先順位に位置づける。会社更生(reorganization)を母法とする日本法の共益債権の発想に直接つながる。
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- あなたの会社が部品メーカーで、納入先が会社更生を申し立てた。開始決定後も管財人から「事業は継続するので納品を続けてほしい」と言われ供給した分は、127条2号・5号の共益債権となり随時・優先で支払われる。問題は、申立てから開始決定までの空白期間の納品をどう扱うか、ここで回収率が割れる
- もし、あなたが更生会社の管財人に選任されたら? 事業を回すために銀行から運転資金を借りる、その借入金は127条5号で共益債権となり、既存債権者に優先して返済される。だからこそ更生中の会社にも新規融資が付く。ただし権限を越えた借入れは共益債権にならず、あなた個人の責任が問われうる
- 更生会社に誤って二重払いをしてしまった。その過払金の返還請求は、開始後に生じた不当利得(127条6号)として共益債権になる。開始前の過払いとは天と地の差
- あなたの債権を共益債権と認めてもらえるかの主張期限が迫っている。管財人が財産状況を固め、弁済原資の配分を決める前に立証を済ませないと、後から「これは共益債権だ」と言っても証拠が散逸して認められない。残り時間は管財人の手続進行次第で待ってくれない
- 倒産した会社のオフィスで働き続けた従業員の、開始後の給料。これは事業の経営に関する費用(127条2号)として共益債権になる。開始前の未払給与とは扱いが違い、開始後の労働分は守られる
取るべき行動
被害を受けた側:1. 自分の債権がいつ発生したかを契約書・納品書・検収日で特定、開始決定日との前後を確定させる2. 開始決定後に発生した取引代金・立替費用・過払金返還は共益債権(127条各号)に当たると整理、根拠の号数を特定3. 管財人に対し、書面で共益債権該当を主張し裏付け資料を提出、随時弁済(128条)を求める4. 管財人が否認したら、共益債権確認の手続を検討。財産不足で按分の可能性があるなら、早期の弁済請求で原資があるうちに回収する
訴えられた側:1. 管財人または更生会社側として、請求が本当に127条各号に該当するか号ごとに精査、開始前後の発生時期を厳密に確認2. 自分(管財人)が行う借入れ・契約は必ず権限の範囲内に収める、権限逸脱は共益債権にならず個人責任のリスク(72条) 3. 過大・不当な共益債権主張には、一般更生債権者の利益のため争う4. 共益債権の総額と弁済原資を常に把握、原資不足が見込まれるなら按分弁済の枠組みを早期に設計する
時効(請求できる期限):共益債権自体に固有の権利行使期限はなく、更生計画によらず随時弁済を受けられる(128条)。ただし元となる債権には一般の消滅時効(民法166条、債権は権利行使可能を知った時から5年または権利行使可能時から10年)が適用される。決定的なのは時効ではなく、その債権が更生手続開始決定の前後どちらで発生したかという起算点である
学説
通説:127条の共益債権は、手続追行と事業継続に資する請求権に限り優先弁済を認める趣旨であり、対象は七号に限定列挙される。優遇を広げすぎれば一般更生債権者の取り分を害するため、各号の文言は厳格に解されるとするのが一般的理解である。
改正沿革 AI による整理
- 平成14年(2002年)会社更生法全部改正 旧会社更生法(昭和27年)を全面的に改め、現行の会社更生法(平成14年法律第154号、平成15年施行)が制定された。共益債権の範囲を定める現行127条はこの新法で整理された体系に属する。これ以降の個別改正の回数・内容は確信が持てないため、人的検証を要する
改正の年表
- 1.平成14年(2002年) 改正:旧会社更生法(昭和27年法律第172号)を全部改正し、現行会社更生法(平成14年法律第154号、平成15年施行)が制定された。共益債権の範囲を定める現行127条はこの新法で整理された体系に属する。これ以降の個別改正の回数・内容は確信が持てないため人的検証を要する。
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