会社更生法 第162条(訴訟費用の償還)
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更生会社財産が更生債権等の確定に関する訴訟(更生債権等査定申立てについての決定を含む。)によって利益を受けたときは、異議を主張した更生債権者等又は株主は、その利益の限度において、更生会社財産から訴訟費用の償還を受けることができる。
この条文の基本情報
訴訟費用の償還とは何ですか?
定義訴訟費用の償還とは、会社更生法第162条に定められた規定で、「更生会社財産が更生債権等の確定に関する訴訟(更生債権等査定申立てについての決定を含む。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 会社更生法第162条(訴訟費用の償還)は、日本の会社更生法に含まれる条文です。
- 会社更生法第162条の条文原文は「更生会社財産が更生債権等の確定に関する訴訟(更生債権等査定申立てについての決定を含む。」で始まります。
- 会社更生法第162条は第二款に置かれています。
- 会社更生法の公布日は平成14年12月13日です。
- 会社更生法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 会社更生法第162条の前の条は会社更生法第161条です。
- 会社更生法第162条の次の条は会社更生法第163条です。
- 会社更生法第162条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
会社更生法(平成十四年法律第百五十四号)第162条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/414AC0000000154 - 本サイト収録
会社更生法(平成十四年法律第百五十四号)第162条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/414AC0000000154/162
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点会社更生法162条は、更生債権等の確定訴訟で更生会社財産が利益を受けたとき、異議を主張した更生債権者等がその利益の限度で訴訟費用の償還を受けられると定める。
Q · 倒産した取引先の手続で他社の水増し債権に異議を出して勝ったら、弁護士費用は誰が払うの?
勝訴で財産が得た利益の限度で償還を受けられます
会社更生法162条により、更生債権等の確定に関する訴訟によって更生会社財産が利益を受けたときは、異議を主張した更生債権者等又は株主は、その利益の限度において更生会社財産から訴訟費用の償還を受けられます。ただし償還は「財産が受けた利益の額」が上限であり、弁護士費用の全額が当然に戻るわけではありません。利益額が費用より小さければ差額は自己負担となるため、異議の段階から勝訴が配当原資をいくら増やしたかを立証できる資料を残すことが重要です。
解説
取引先が倒産し会社更生手続に入った。届出債権の一覧を見ると、聞いたこともない別の業者が、明らかに水増しされた巨額債権を届け出ている。その分だけ、あなたを含む真っ当な債権者の取り分は削られる。あなたが自腹で弁護士を立て、異議を出してその水増し債権を訴訟で削り落としたとしよう。結果、更生会社の財産は守られ、全債権者の配当原資が増える。ここで多くの人が泣くのは、勝っても弁護士費用は自分持ちだと思い込む点だ。会社更生法162条は違う。あなたの訴訟によって更生会社財産が利益を受けたなら、その利益の限度で、あなたは更生会社財産から訴訟費用の償還を受けられる。つまり全員のために戦ったコストを、全員の財布から回収できる。一人だけ損をして終わらない仕組みが、ここに用意されている。
法的な位置づけ
会社更生法162条は訴訟費用の償還を定める規定であり、更生債権等の確定に関する訴訟により更生会社財産が利益を受けた場合に、異議を主張した更生債権者等又は株主が、その利益の限度において更生会社財産から訴訟費用の償還を受けられる旨を規律する。民事訴訟法61条の敗訴者負担原則に対する倒産手続上の特則として機能する。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.更生債権者表で過大・架空債権を精査 送達された更生債権者表を精査し、他社の届出債権のうち過大・架空の疑いがあるものを特定する。契約書の日付、請求書、入金記録の整合性をチェックし、潰せば配当原資が増える額を見積もる
- 2.調査期間内に異議を述べる 更生債権等の調査期間内に、対象債権について異議を述べる。期間を逃すと債権が確定し、もはや争えなくなる
- 3.査定申立て・異議の訴えを提起 査定決定に不服がある場合、決定の送達日から所定の不変期間(原則1か月)内に異議の訴えを提起する。期間徒過は致命的なので最優先で対応する
- 4.勝訴が生んだ利益額を立証する資料を準備 償還は財産が受けた利益の限度に縛られるため、過大債権を潰したことで配当原資がいくら増えたかを数値で立証できる資料を整える。額面そのものでなく実際の配当押し上げ額が論点になる
- 5.利益の限度で訴訟費用の償還を請求 勝訴確定後、更生手続の中で、更生会社財産が受けた利益の限度において訴訟費用の償還を管財人に対して求める。費用全額ではなく利益額が上限となる前提で回収計画を立てる
よくある質問 AI による整理
Q1会社更生法162条とは何ですか?
更生債権等の確定訴訟で更生会社財産が利益を受けたとき、異議を主張した更生債権者等又は株主が、その利益の限度で訴訟費用の償還を受けられると定める規定です。
Q2訴訟費用の償還はいつ受けられますか?
更生債権等の確定に関する訴訟で勝訴し、更生会社財産が現に利益を受けたときです。利益が生じなければ償還の対象になりません。償還は更生手続の中で求めます。
Q3更生債権者は誰に訴訟費用を請求しますか?
相手方個人ではなく、利益を受けた更生会社財産から償還を受けます。財産が受けた利益の額が償還の上限となります。
Q4異議の訴えの提起期間はいつまでですか?
更生債権等査定申立てについての決定に対する異議の訴えは、決定の送達日から原則1か月の不変期間内に提起する必要があります。徒過すると決定が確定します。
Q5償還される訴訟費用に上限はありますか?
あります。償還は「更生会社財産が受けた利益の限度」に縛られます。弁護士費用が利益額を上回る部分は自己負担となります。
Q6破産手続でも同じ訴訟費用の償還がありますか?
あります。破産法134条、民事再生法にも同趣旨の規定があり、過大債権を排除した異議者へ財産の利益の限度で費用を償還する仕組みは倒産手続に共通します。
Q7株主も訴訟費用の償還を受けられますか?
受けられます。162条は「異議を主張した更生債権者等又は株主」を対象とし、株主の異議で更生会社財産が利益を受けた場合も償還対象です。
Q8否認訴訟の費用も162条で償還されますか?
されません。162条の射程は「更生債権等の確定に関する訴訟」に限られます。否認訴訟や役員責任追及訴訟で財産が増えても本条の対象外です。
この条文についての質問 AI による整理
Q1異議を出して勝ったのに、なんで弁護士費用が全額戻ってこないんですか?
162条の償還が「更生会社財産が受けた利益の限度」に縛られるからです。たとえば1,000万円の過大債権を潰しても、配当原資の実質的な増加が300万円分なら、償還の上限は300万円。弁護士費用が400万円なら差額100万円は自己負担です。実務のポイント:実務では「利益額」の評価で管財人と揉めることが多い。潰した債権の額面そのものではなく、それが実際に配当をどれだけ押し上げたかで計算されるため、異議の段階から利益額の立証資料を意識して残しておくと、後の償還交渉で大きく差がつきます
Q2他の債権者が異議を出してくれるのを待っていれば、タダ乗りできますよね?
理論上はそうですが、誰も動かなければ過大債権はそのまま通り、あなたの配当も減ります。162条が異議者にだけ費用償還を認めるのは、まさにこのタダ乗り問題に備え、最初に動く人へ報いる設計だからです。実務のポイント:大型倒産では、誰が異議の火中の栗を拾うかで債権者間の腹の探り合いが起きます。費用償還があると分かっている債権者ほど先手を打つ。待っているうちに調査期間や訴え提起期間が過ぎ、争う権利自体を失うのが最悪のパターンです
間違えやすい点 AI による整理
- 「異議を出して勝っても、弁護士費用は自分持ち」と多くの債権者が思い込んでいる。実際は更生会社財産が利益を受けた限度で、その費用を財産から償還できる(162条)。勝訴で全員の配当原資が増えたなら、その増加分から費用を取り戻せる
- 「勝てば費用は全額償還されるはず」と期待する人がいるが、問いの立て方が誤っている。償還は「更生会社財産が受けた利益の限度」に縛られる。利益が費用より小さければ、その差額は自己負担だ。償還されるかどうかではなく、自分の訴訟がいくらの利益を生んだかが本当の論点になる
- 162条の存在は知っていても、その射程の狭さを知らない人が多い。償還を受けられるのは「異議を主張した更生債権者等又は株主」に限られ、しかも「更生債権等の確定に関する訴訟」で財産が利益を受けた場合だけだ。否認訴訟や役員責任追及訴訟で財産を増やしても、この条文では償還されない
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 費用負担の根拠 | 会社更生法162条:財産が受けた利益の限度で異議者へ償還 | 民事訴訟法61条:敗訴者が訴訟費用を負担(一般原則) 破産法134条:破産財団が利益を受けた限度で異議者へ償還 |
| 償還の上限 | 更生会社財産が受けた利益の額 | 上限なし(敗訴者が全額負担) 破産財団が受けた利益の額 |
| 対象となる場面 | 更生債権等の確定に関する訴訟(査定決定を含む) | 民事訴訟一般 破産債権の確定に関する訴訟 |
| 適用手続 | 会社更生手続 | 通常の民事訴訟 破産手続 |
他国ではどう定めているか 2 か国
台湾の公司重整では、総債権者の利益のための費用を共益債権として優先弁済する。費用償還の発想は近いが、異議者個人への償還を限度付きで明文化する点では日本162条がより具体的。
米国チャプター11は、手続に実質的貢献をした債権者の費用・弁護士報酬を administrative expense として認める。日本162条の母法的発想に連なるが、米国は『実質的貢献』を要件とし対象訴訟を限定しない点で広い。
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 取引先の更生手続で、見覚えのない同業者が5,000万円の債権を届け出た。あなたが調べると契約書の日付が改ざんされている。異議を出して訴訟で勝てば、その5,000万円分は配当原資に戻る。では、その訴訟であなたが払った弁護士費用は誰が負担するのか。162条を知っているかどうかで、答えが変わる
- あなたが届け出た債権に、別の更生債権者から異議が出て訴訟になった。相手は「勝てば訴訟費用も更生会社財産から取り戻せる」と踏んで強気だ。あなたの債権が一部でも否定されれば、相手はその減額分の限度で費用償還を受ける。相手の費用リスクが軽い分、相手は徹底的に争ってくる
- 異議の訴えには提起期間がある。査定決定の送達から所定の不変期間内に訴えを起こさなければ、決定が確定して争えなくなる。費用償還を語る前に、まずこの期間を逃すな
取るべき行動
被害を受けた側:1. 更生債権者表で他社の届出債権を精査し、過大・架空の疑いがあるものを特定する2. 調査期間内に異議を述べ、査定申立て又は異議の訴えで争う(提起期間を厳守) 3. 訴訟では「勝訴により更生会社財産がいくらの利益を受けたか」を数値で立証できる資料を集める4. 勝訴確定後、その利益の限度で更生会社財産からの訴訟費用償還を求める。費用全額ではなく利益額が上限となる前提で回収計画を立てる
訴えられた側:1. 自分の届出債権の証憑(契約書、請求書、入金記録)を直ちに整え、過大の指摘に反論できる状態にする2. 異議者は勝訴すれば費用償還を受けられるため強気で争ってくる前提で、和解と全面対決のコストを比較する3. 一部でも減額されれば、その減額分の限度で相手に費用償還が認められることを織り込む4. 査定決定に不服なら、送達から所定の不変期間内に異議の訴えを提起する。期間徒過は致命的
時効(請求できる期限):162条自体に固有の消滅時効はない。ただし前提となる更生債権等査定申立てについての決定に対する異議の訴えは、決定の送達日から所定の不変期間(1か月)内に提起しなければ決定が確定して争えなくなる。費用償還は更生手続の中で求める(最新の改正状況をご確認ください)
学説
通説:162条の償還は、総債権者の共同利益に資した私的な異議活動のコストを社会化する共益費用的処理であり、その範囲を「更生会社財産が受けた利益の限度」に画することで、貢献と償還の比例関係を確保するものと解されている。
改正沿革 AI による整理
- 平成14年(2002年)会社更生法全部改正 昭和27年旧会社更生法の全部改正により現行会社更生法(法律第154号)が成立し、更生債権等の確定訴訟により更生会社財産が利益を受けた場合の異議者への訴訟費用償還を、現行162条として整備した
改正の年表
- 1.平成14年(2002年) 改正:昭和27年の旧会社更生法を全部改正し現行会社更生法(法律第154号)が成立。更生債権等の確定訴訟により更生会社財産が利益を受けた場合の異議者への訴訟費用償還を現行162条として整備した。
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