会社更生法 第61条(双務契約)
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- 双務契約について更生会社及びその相手方が更生手続開始の時において共にまだその履行を完了していないときは、管財人は、契約の解除をし、又は更生会社の債務を履行して相手方の債務の履行を請求することができる。
- 2.前項の場合には、相手方は、管財人に対し、相当の期間を定め、その期間内に契約の解除をするか、又は債務の履行を請求するかを確答すべき旨を催告することができる。この場合において、管財人がその期間内に確答をしないときは、同項の規定による解除権を放棄したものとみなす。
- 3.前二項の規定は、労働協約には、適用しない。
- 4.第一項の規定により更生会社の債務の履行をする場合において、相手方が有する請求権は、共益債権とする。
- 5.破産法第五十四条の規定は、第一項の規定による契約の解除があった場合について準用する。この場合において、同条第一項中「破産債権者」とあるのは「更生債権者」と、同条第二項中「破産者」とあるのは「更生会社」と、「破産財団」とあるのは「更生会社財産」と、「財団債権者」とあるのは「共益債権者」と読み替えるものとする。
この条文の基本情報
双務契約とは何ですか?
定義双務契約とは、会社更生法第61条に定められた規定で、「双務契約について更生会社及びその相手方が更生手続開始の時において共にまだその履行を完了していないときは、管財人は、契約の解除をし、又は更生会社の債務を履行して相…」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 会社更生法第61条(双務契約)は、日本の会社更生法に含まれる条文です。
- 会社更生法第61条の条文原文は「双務契約について更生会社及びその相手方が更生手続開始の時において共にまだその履行を完了していないときは、管財人は、契約の解除をし、又は更生会社の債務を履行して相…」で始まります。
- 会社更生法第61条は第二節に置かれています。
- 会社更生法の公布日は平成14年12月13日です。
- 会社更生法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 会社更生法第61条の前の条は会社更生法第60条です。
- 会社更生法第61条の次の条は会社更生法第62条です。
- 会社更生法第61条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
会社更生法(平成十四年法律第百五十四号)第61条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/414AC0000000154 - 本サイト収録
会社更生法(平成十四年法律第百五十四号)第61条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/414AC0000000154/61
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点会社更生法61条は、双方未履行の双務契約について管財人が解除か履行かを選択できると定める。履行を選べば相手方の債権は共益債権として優先弁済される。
Q · 取引先が会社更生に入ったら、結んでいた契約はどうなるの?
管財人が解除か履行かを選び、相手方に拒否権はありません
会社更生法61条により、双方がまだ履行を完了していない双務契約について、管財人は契約を解除するか、更生会社の債務を履行して相手方に履行を請求するかを一方的に選べます。あなたに拒否権はありません。管財人が履行を選べば、あなたの代金債権は共益債権として更生債権に優先して随時弁済されます(4項)。解除を選べば、あなたは更生債権者として大幅にカットされた配当に甘んじます。相手方には管財人へ相当の期間内の確答を迫る催告権があり(2項)、管財人が期間内に答えなければ解除権を放棄したものとみなされます。
解説
あなたの会社が、ある上場メーカーと長期の部品供給契約を結んでいたとする。ある朝、その取引先が会社更生手続の開始決定を受けたと知る。納品はまだ途中、代金もまだ満額もらっていない。ここで会社更生法61条が、あなたの運命を握る。双方が履行を終えていない双務契約について、管財人(裁判所が選んだ更生手続の責任者)は、契約を解除するか、それとも更生会社の債務を履行してあなたに履行を請求するかを、一方的に選べる。あなたに拒否権はない。だが救いはある。管財人が履行を選べば、あなたの代金債権は共益債権(更生手続の費用として優先的に随時払われる債権)となり、ほかの更生債権者に先んじて回収できる。逆に解除されれば、あなたは更生債権者として大幅にカットされた配当に甘んじる。さらにあなたには、管財人に対し相当の期間内にどちらか確答せよと迫る催告権がある。これを使えば、宙吊り状態を強制的に終わらせられる。
法的な位置づけ
会社更生法61条は、双方未履行の双務契約に対する管財人の選択権を定める規定である。更生手続開始時に更生会社と相手方が共に履行を完了していない契約について、管財人は契約の解除または更生会社の債務の履行請求のいずれかを選択でき、履行を選択した場合の相手方の請求権は共益債権となる。労働協約は本条の適用対象から除外される。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.自社の契約が双方未履行の双務契約か確認 更生手続開始時点で、更生会社と自社の双方がまだ履行を完了していないかを確認する。片方でも履行が完了していれば61条の対象外となり別ルールで処理されるため、まず履行状況を契約・納品記録で特定する
- 2.共益債権と更生債権の回収格差を金額で試算 管財人が履行を選べば代金は共益債権で優先弁済、解除を選べば更生債権で数パーセントの配当という回収格差を、未回収額に即して具体的金額で試算する。交渉や催告の判断材料にする
- 3.61条2項の催告を内容証明で送付 管財人が態度を決めず契約が宙吊りなら、相当の期間を定めて解除か履行かを確答するよう内容証明郵便で催告する。管財人が期間内に確答しなければ解除権を放棄したとみなされ、契約は存続する
- 4.自社の履行が不可欠であることを早期に主張 自社の供給・技術が更生会社にとって独占的・代替不能なら、その事実を更生計画策定前の早い段階で管財人に示す。履行を選ばせる圧力となり、債権を共益債権の線路に乗せられる
よくある質問 AI による整理
Q1双方未履行双務契約とは何ですか?
当事者双方が対価的な債務を負担する契約で、更生手続開始時にどちらの債務も履行が完了していないものを指します。会社更生法61条の管財人の選択権の対象になります。
Q2共益債権と更生債権の違いは何ですか?
共益債権は更生手続の費用として更生債権に優先し随時弁済される債権、更生債権は更生計画に従い大幅カットされる債権です。61条で履行を選ばれた相手方の債権は共益債権になります。
Q3会社更生法61条と62条はどう違いますか?
61条は双務契約一般の管財人選択権、62条は電気・ガス・水道など継続的給付を目的とする双務契約の特則です。供給停止で更生会社が即死するため別扱いになっています。
Q4管財人の催告にはどう答えるべきですか?
管財人は催告で定められた相当の期間内に解除か履行かを確答する必要があります。確答しなければ解除権を放棄したとみなされ、契約は存続します(61条2項)。
Q5会社更生の管財人の選択権に期限はありますか?
61条1項の選択権自体に確定期限はありませんが、相手方から2項の催告を受けると相当の期間内の確答が必要です。実務上2週間前後が一つの目安とされます。
Q6労働協約も管財人に解除されますか?
されません。61条3項により労働協約は適用除外で、労働組合との集団的約束を管財人が一方的に解除することはできません。
Q7会社更生と民事再生で双務契約の扱いは同じですか?
枠組みは類似します。民事再生法49条が並行規定で、再生債務者等が双方未履行双務契約の解除または履行を選択できます。優先弁済される債権の名称や手続が異なります。
Q8管財人に契約を解除されたら何を取り戻せますか?
5項が破産法54条を準用し、解除による損害賠償請求権が更生債権として認められます。既に給付した物は現存する限り取戻し、現存しなければ価額を共益債権として請求できます。
この条文についての質問 AI による整理
Q1取引先が会社更生に入ったら、うちの売掛金はもう回収できないんですか?
全額回収できるかは管財人の選択次第です。61条4項により、管財人があなたとの契約の履行を選べば、代金債権は共益債権となり、更生債権に優先して随時弁済されます(132条)。解除されれば更生債権で大幅カット。実務のポイント:手をこまねいて待つと管財人に都合よく解除されがちです。早めに61条2項の催告を打ち、自社の供給が相手に不可欠だと示せば、履行つまり優先弁済へ持ち込める余地がある
Q2管財人が契約を解除したら、損した分は泣き寝入りですか?
泣き寝入りではありません。5項が破産法54条を準用し、解除によって生じた損害の賠償請求権が認められます。ただしそれは共益債権ではなく更生債権なので、配当は大幅に削られます。実務のポイント:すでに渡した物(給付)があれば、現存する限り取り戻せ(取戻権)、現存しなければその価額を共益債権として請求できる。何をいつ渡したかの記録が、回収ランクを分ける
Q3うちは下請けで工事の途中です。労働者じゃないけど守られないんですか?
下請工事の請負契約は双務契約として61条の対象で、管財人が履行か解除かを選びます。3項で対象外なのは労働協約だけ、これは労働組合との集団的約束に限った話で、個別の請負契約は含みません。実務のポイント:出来高がある請負で履行を選ばせれば、残工事代金まで共益債権になりうる。逆に解除されると既施工分が更生債権。だから『あと少しで完成』の局面ほど催告で履行を迫る価値が高い
間違えやすい点 AI による整理
- 「契約書にサインした以上、相手が倒産しても契約は当然そのまま続く」と思われているが、61条はその常識を覆す。双方未履行の双務契約なら、管財人は更生会社に不利な契約を一方的に解除できる。あなたの同意は要らない
- 管財人に解除されうることは知っていても、その後の落差の深刻さまで知る人は少ない。履行されれば代金は共益債権で優先回収、解除されれば更生債権で数パーセントの配当。同じ一本の契約でも、回収額が100対数のオーダーで変わりうる
- あなたから見れば「真面目に履行してきたのだから契約は守られて当然」だが、更生手続から見れば「全債権者の公平な満足のため、不採算契約は整理対象」。この視点の落差を知らずに『約束は約束だ』と粘ると、催告のタイミングを逃し、受け身のまま切られる
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 対象となる契約 | 61条:双方未履行の双務契約一般 | 62条:継続的給付を目的とする双務契約(電気・ガス・水道等) 破産法53条:破産手続における双方未履行双務契約 |
| 選択権者 | 更生手続の管財人 | 更生手続の管財人(供給停止の制限あり) 破産管財人 |
| 履行選択時の相手方債権 | 共益債権として優先弁済(4項) | 継続的給付の対価は共益債権 財団債権として優先弁済 |
| 労働協約の扱い | 適用除外(3項) | 供給契約が中心で労働協約は別論 破産法は別途規律 |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾も破産管財人が双方未履行の双務契約について解除または履行を選択できる点で日本と同構造。会社の再建型手続は別途公司法の重整規定が規律する
韓国は倒産統合法で双方未履行双務契約を規律し、管理人の解除・履行選択権を認める。日本の61条と並行する構造
ドイツでは倒産管財人が双方未履行の双務契約について履行を求めるか拒絶するかの選択権を持つ。日本の61条の母型に近い大陸法系の典型
米国連邦倒産法は executory contracts につき管財人・DIP が assume か reject かを選択できる。会社更生法の制定時に範とされた制度系譜
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 長年取引してきた建設会社が会社更生に入った。あなたは下請けで、工事は7割完成、残り3割と未払い代金2,000万円が宙に浮く。管財人が工事続行(履行)を選べばあなたの2,000万円は共益債権として優先弁済、解除を選べば更生債権で数パーセントの配当。どちらに転ぶか、あなたは催告権で2週間ほどの確答を迫れる
- もし管財人がいつまでも態度を決めず、あなたの契約を宙吊りにしたままだったら? 61条2項の催告を使い、相当の期間を定めて確答を求める。その期間内に管財人が答えなければ、解除権を放棄したものとみなされ、契約は生き残る。沈黙はあなたに有利に働く
- あなたが更生会社の管財人を補佐する立場なら、赤字を垂れ流す不採算契約は解除し、利益を生む契約だけ履行する。この仕分けが更生計画の成否を分ける。ただし労働協約は3項で対象外、組合との集団的約束は一方的に切れない
- 電気・ガス・水道のような継続的給付契約は62条で別扱いになる。供給を止められると更生会社が即死するからだ。61条と62条のどちらが適用されるか、まず見極める
- あなたがビルのオーナーで、テナント企業が会社更生に入った。残り3日で賃料と明渡しの扱いを固めたい。管財人が履行を選べば未払い賃料は共益債権、解除を選べば明渡しと敷金精算。あなたから催告して決着を急がせる手がある
取るべき行動
被害を受けた側:1. まず自分の契約が双方未履行の双務契約か確認、片方でも履行が完了していれば61条の対象外で別ルールになる2. 履行されれば共益債権、解除なら更生債権という回収格差を金額で試算する3. 管財人が態度を決めないなら61条2項の催告を内容証明で送り、相当の期間内の確答を迫る4. あなたの履行が更生会社に不可欠なら、その事実を早期に主張し、履行を選ばせる圧力をかける
訴えられた側:1. 全双務契約を採算性で仕分け、利益を生む契約は履行、損失を垂れ流す契約は解除する2. 解除する場合、5項が準用する破産法54条で相手方の損害賠償請求権が更生債権になることを確認し、解除コストを織り込む3. 労働協約は3項で解除対象外、組合との集団的合意は一方的に切れない4. 相手方から催告が来たら、定められた期間内に必ず確答する。放置すれば解除権を放棄したとみなされ契約が存続する
時効(請求できる期限):61条1項の選択権自体に確定した期限はないが、相手方から2項の催告を受けた場合、管財人は『相当の期間』内に確答しなければ解除権を放棄したものとみなされる。相当の期間は事案により異なり、実務上は2週間前後が一つの目安(最新の運用状況をご確認ください)
学説
通説:61条の管財人の選択権は、更生会社の再建に資する契約を選別して維持し、不採算契約を整理するための中核的制度と理解される。履行選択時に相手方の請求権を共益債権へ格上げすること(4項)と催告権(2項)により、再建の機動力と相手方の取引安全の均衡が図られると説かれる。
改正沿革 AI による整理
- 平成14年(2002年) 現行会社更生法(平成14年法律第154号)の全部改正により、旧法の双務契約規定を再編して規定。ただし、その後の破産法制定(平成16年)に伴う準用条文の整備など、改正回数と内容の正確な特定には人的検証が必要
改正の年表
- 1.平成14年(2002年) 改正:現行会社更生法(平成14年法律第154号)の全部改正により、旧法の双務契約規定を再編して61条に規定。破産法・民事再生法と並ぶ双方未履行双務契約の処理として整理された。なお準用条文の整備等、改正の正確な特定には人的検証が必要。
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