会社更生法 第60条(共有関係)
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- 更生会社が他人と共同して財産権を有する場合において、更生手続が開始されたときは、管財人は、共有者の間で分割をしない定めがあるときでも、分割の請求をすることができる。
- 2.前項の場合には、他の共有者は、相当の償金を支払って更生会社の持分を取得することができる。
この条文の基本情報
共有関係とは何ですか?
定義共有関係とは、会社更生法第60条に定められた規定で、「更生会社が他人と共同して財産権を有する場合において、更生手続が開始されたときは、管財人は、共有者の間で分割をしない定めがあるときでも、分割の請求をすることができ…」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 会社更生法第60条(共有関係)は、日本の会社更生法に含まれる条文です。
- 会社更生法第60条の条文原文は「更生会社が他人と共同して財産権を有する場合において、更生手続が開始されたときは、管財人は、共有者の間で分割をしない定めがあるときでも、分割の請求をすることができ…」で始まります。
- 会社更生法第60条は第二節に置かれています。
- 会社更生法の公布日は平成14年12月13日です。
- 会社更生法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 会社更生法第60条の前の条は会社更生法第59条です。
- 会社更生法第60条の次の条は会社更生法第61条です。
- 会社更生法第60条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
会社更生法(平成十四年法律第百五十四号)第60条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/414AC0000000154 - 本サイト収録
会社更生法(平成十四年法律第百五十四号)第60条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/414AC0000000154/60
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点会社更生法60条は、更生会社の共有財産について、不分割特約があっても管財人が分割請求でき、他の共有者は相当の償金で更生会社の持分を取得できると定める。
Q · 共有しているビルの相手会社が会社更生に入ったら、不分割特約があっても分割されてしまうの?
はい、管財人は不分割特約があっても分割を請求できます
会社更生法60条1項により、更生会社の共有財産については、共有者間に不分割特約があっても管財人が分割を請求できます。協議が整わなければ競売による換価分割となり、あなたの持分も巻き込まれて現金化されます。ただし2項により、他の共有者は相当の償金(持分の時価相当額)を支払って更生会社の持分を取得でき、第三者に競落される前に単独所有者となる道が残されています。
解説
共同事業のために、ある会社と一棟のビルを半分ずつ所有しているとする。将来揉めないよう「当面は分割しない」という不分割特約まで結んだ。ところがその会社が会社更生手続に入った瞬間、その特約は紙くずになる。会社更生法60条1項は、裁判所が選んだ管財人に対し、共有者の間で分割をしない定めがあっても分割を請求する権利を与えるからだ。あなたが安心の拠り所にしていた約束は、管財人には通用しない。理由は単純で、更生会社の財産を換価して債権者に公平に配当するという管財人の任務が、私的な不分割特約より優先されるからである。だが、ここで終わらない。2項は、他の共有者が相当の償金(持分の時価に見合うお金)を払って更生会社の持分を取得できると定める。つまりあなたは、共有物を競売でバラされて見知らぬ第三者と共有させられる前に、自分でその持分を買い取り、丸ごと単独所有者になれる。この2項を知っているかどうかで、共有物を失う側に回るか、逆に完全な所有権を手にする側に回るかが分かれる。
法的な位置づけ
会社更生法60条は、更生会社が他人と財産権を共有する場合における共有物分割の特則であり、更生手続開始後は、共有者間に不分割の定めがあっても管財人が分割を請求でき、他の共有者は相当の償金を支払って更生会社の持分を取得できる旨を規定する。倒産手続における財産換価の要請を、私的な不分割特約に優先させる規律である。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.共有相手の信用不安を察知したら持分時価を把握 共有相手の会社に資金繰りの不安が見えた段階で、共有物全体の時価と更生会社の持分相当額を急いで把握する。買取資金の段取りを倒産前に組んでおくことが、後の主導権を決める
- 2.更生手続開始を確認したら償金取得の意思を書面で通知 共有相手の会社が更生手続の申立て・開始に至ったら、60条2項に基づき相当の償金を払って更生会社の持分を取得する意思を、早期に管財人へ書面で明示する。口頭だけでは競売を止められない
- 3.償金額の協議と鑑定評価の準備 管財人は財団最大化のため高めの評価を主張しがちなので、独自に鑑定評価を用意して対抗材料にする。協議が折り合わなければ調停・裁判所の評価を求める
- 4.買取資金の調達を並行して進める 自己資金・融資・他の共有者との共同取得など、償金を即座に動かせる資金調達を競売手続と並行で進める。資金準備が間に合えば2項の取得権が実効的な武器になる
- 5.競売による換価分割が確定する前に取得を完結 競売による換価分割が確定してしまうと事実上2項行使の機会を失う。手続の進行スピードを見ながら、確定前に償金支払いと持分取得を完結させ、単独所有者となる
よくある質問 AI による整理
Q1会社更生法60条とは何ですか?
更生会社の共有財産について、不分割特約があっても管財人が分割請求でき、他の共有者は相当の償金で持分を取得できると定める規定です。
Q2更生会社と共有している不動産はどうなりますか?
管財人が60条1項で分割を請求できます。協議が整わなければ競売による換価分割となり、共有物全体が売却されて持分も現金化されます。
Q3管財人の共有物分割請求を拒否できますか?
不分割特約を理由に拒否することはできません。ただし60条2項の償金による持分取得を主張し、競売を回避する道があります。
Q4共有持分の償金の相場はどう決まりますか?
基準は持分の時価です。当事者協議で決まらなければ裁判所が鑑定等を踏まえて評価します。独自の鑑定評価を用意するのが有効です。
Q5共有名義の特許も会社更生で分割されますか?
特許等の財産権も60条の射程に入ります。共有者の会社が更生手続に入れば、その持分が管財人の分割・換価の対象になります。
Q6共有物の競売を止める方法はありますか?
60条2項に基づき相当の償金を支払って更生会社の持分を取得すれば、競売による換価分割を回避し単独所有者になれます。資金準備が鍵です。
Q7破産と会社更生で共有物の扱いは違いますか?
趣旨は同じです。破産は破産法52条、会社更生は60条が規律し、いずれも管財人が分割請求でき、他の共有者に償金取得権が認められます。
Q8不分割特約は何年まで有効ですか?
民法256条により不分割特約は更新を含め原則5年が上限です。ただし更生手続が開始すると、特約があっても管財人には対抗できません。
この条文についての質問 AI による整理
Q1共有しているビルの相手会社が倒産したら、自分の持分まで取られちゃうんですか?
持分そのものを没収されるわけではない。ただし管財人は会社更生法60条1項で分割を請求でき、協議が整わなければ裁判や競売で共有物全体がバラされ、あなたの持分も巻き込まれて現金化される。守る手は2項にあり、相当の償金を払えば会社の持分を買い取れる。実務のポイント:管財人は財団を厚くしたいので、買い取りの意思は早く、しかも資金の裏付けとともに示すほど交渉が有利に進む。口だけの意思表示は競売を止められない
Q2「当面は分割しない」と契約書に書いたのに、本当に無効になるんですか?
その不分割特約(民法256条)は共有者どうしの間では有効だが、会社更生法60条1項は、その定めがあっても管財人は分割請求できると正面から定めている。倒産という非常事態では、私的な約束より債権者全体への公平な配当が優先される設計だからだ。実務のポイント:この点を知らずに不分割特約だけを盾にすると初動が遅れる。倒産が絡んだ瞬間に効く条文は、平時の契約条項ではなく倒産法側の規定だと頭を切り替えるべきだ
Q3相当の償金って、結局いくらになるんですか。足元を見て高く吹っかけられませんか?
相当の償金の基準は持分の時価であり、当事者協議で決まらなければ最終的に裁判所が鑑定等を踏まえて評価する。会社更生法60条2項の趣旨は不当な値付けの追認ではないので、根拠なく吊り上げられるものではない。実務のポイント:管財人は財団最大化のため高めの評価を主張しがちなので、こちらも独自に鑑定士の評価を用意して対抗材料にする。評価の土俵に乗せるかどうかで最終額が大きく動く
間違えやすい点 AI による整理
- 「不分割特約を結んだのだから、相手が倒産しても勝手に分割されない」と信じている人が多いが、特約が拘束するのは共有者本人どうしの間だけ。60条1項は、その定めがあっても管財人は分割請求できると正面から書いている。あなたの約束相手は、もはや相手会社ではなく、債権者全体の利益を背負った管財人に置き換わっている
- 分割請求を「持分を取り上げられること」と思い込んでいる人がいるが、それは問いの立て方が違う。分割とは共有関係を解消する手続であって、現物を分けられない不動産では多くの場合、競売による換価分割になる。本当に怖いのは取り上げられることではなく、共有物全体が市場で売り払われ、あなたの持分も道連れに現金化されてしまう点だ
- 「2項の買取は誰でも当然にできる」と気軽に考えている人がいるが、相当の償金、つまり持分の時価相当額を実際に用意できなければ絵に描いた餅で終わる。買取権の存在を知っていても、資金準備が間に合わなければ競売は止まらない。知識と現金の両方がそろって初めて武器になる
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 適用場面 | 会社更生法60条:更生手続開始後の共有財産 | 民法256条:平時の共有物分割(不分割特約5年まで) 破産法52条:破産手続開始後の共有財産 |
| 不分割特約の効力 | 管財人には対抗できない(分割請求可) | 共有者間で有効(原則5年拘束) 破産管財人には対抗できない(分割請求可) |
| 分割請求の主体 | 更生管財人 | 各共有者 破産管財人 |
| 他の共有者の保護 | 相当の償金で更生会社の持分を取得できる(2項) | 現物分割・全面的価格賠償等(民法258条) 相当の償金で破産者の持分を取得できる |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾も共有者は原則いつでも分割を請求でき、不分割契約は最長5年。倒産時は破產管理人が財産を換価する点で日本と発想が近い
韓国は倒産法を統合した『債務者回生及び破産に関する法律』で処理し、共有物分割は民法268条が基礎となる
ドイツ倒産法84条は共同関係の解消を倒産管財人が求めうる枠組みを定め、私的な分割排除の合意に優先する点で共通する
米国連邦倒産法は、一定要件の下でトラスティが共有者の持分を含めて共有財産全体を売却できると定め、共有者には先買権(§ 363(i))が与えられる
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 共同事業者の会社と折半で所有する本社ビル。相手が会社更生を申し立てた途端、管財人から「分割を請求する」という書面が届く。協議がまとまらなければ共有物は競売にかけられ、見知らぬ投資家があなたの隣の持分主になりかねない。ここで2項の償金による買取を主張できるかが、ビルを守れるかの分水嶺になる
- もし、共同で取得した工場の土地が、相手企業の倒産であなたの意思と無関係に競売へ向かい始めたら、どう止める? 答えは60条2項の持分取得権にある
- あなたが管財人の立場なら話は逆だ。更生会社が個人と共有する遊休不動産は、不分割特約で塩漬けになっていることが多い。1項を使って分割請求すれば、塩漬け資産を現金化して更生計画の弁済原資に組み込める。財団を厚くする一手になる
- 共同で出願し共有名義になっている特許。共有者の会社が更生手続に入り、管財人がその持分を換価しようとする。研究の成果が外部資本の手に渡る前に、残る共有者が償金を払って持分を引き取る判断を、限られた時間で下さねばならない
- 親族で営む同族会社と、その創業者個人が共有する店舗。会社が更生すると、家業の拠点そのものが管財人の分割請求の対象になる。家の歴史が競売物件の一行になる前に、誰が、いくらで持分を引き取るかを決める必要がある
取るべき行動
被害を受けた側:1. 共有相手の会社が更生手続を申し立てた、または開始された情報をつかんだら、まず共有物の現在の時価と自分の持分相当額を急いで把握する2. 管財人から分割請求が来る前後で、60条2項に基づき相当の償金を払って更生会社の持分を取得する意思を、早期に管財人へ書面で伝える3. 償金額で折り合わなければ協議・調停を経て、最終的には裁判所による評価を求める4. 買取資金の調達(自己資金・融資・他の共有者との共同取得)を並行して進め、競売による換価分割が確定する前に行動を完結させる
訴えられた側:1. 管財人の立場で財団を最大化するなら、更生会社が共有する財産を洗い出し、不分割特約の有無にかかわらず1項で分割請求できる対象を特定する2. 他の共有者が2項の償金取得権を行使する可能性を見込み、現物分割・代金分割・価格賠償のどの方法が財団に最も有利か試算する3. 償金額は持分の時価を基準に、安売りを避けるため鑑定評価を確保する4. 更生計画の弁済原資への組み込み時期と、共有者との交渉スケジュールを整合させる
時効(請求できる期限):分割請求権の行使自体に特定の時効はなく、共有関係が続く限り管財人は行使できる。ただし2項の償金による持分取得は、分割の協議・訴訟の過程で主張する必要があり、手続が競売による換価まで進んでしまうと事実上行使の機会を失う。一般消滅時効(民法166条)はこの分割請求には馴染まないため、頼れるのは時効ではなく手続の進行スピードである(最新の改正状況をご確認ください)
学説
通説:会社更生法60条1項は、共有者間の不分割特約は更生管財人に対抗できず、財産換価による債権者への公平な配当を優先させる趣旨と解される。2項の償金取得権は、共有物が第三者に競落され他の共有者の共同利用が破壊される事態を回避し、時価相当の対価で共有者の地位を保護するための制度と理解される。
改正沿革 AI による整理
- 平成14年(2002年)全部改正 昭和27年制定の旧会社更生法を全面的に改め、現行会社更生法(平成14年法律第154号、平成15年4月1日施行)として共有関係の処理規定を現代語化のうえ整備した。管財人による分割請求権と他の共有者の償金取得権を明文で定める
改正の年表
- 1.平成14年(2002年) 改正:昭和27年制定の旧会社更生法を全部改正し、現行会社更生法(平成14年法律第154号、平成15年4月1日施行)として共有関係の処理規定を現代語化のうえ整備。管財人による分割請求権と他の共有者の償金取得権を明文化した。
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