要点会社更生法 49 条は、支払不能・支払停止・更生手続開始の申立てを知った後に作った相殺枠を禁止する。危機時期より前に成立した相殺は 2 項の適用除外で守られる。
Q · 倒産しかけた取引先と「貸し借りを相殺」すれば、確実に回収できるの?
危機を知った後に作った相殺枠は無効になる
原則として相殺は強力な回収手段ですが、会社更生法 49 条が時限ロックをかけます。更生会社が支払不能・支払停止・更生手続開始の申立てに至った後、その事実を知りながら新たに債務を負担して相殺枠を作った場合、その相殺は禁止されます。鍵は「債務を負担した日」と「相手の危機を知った日」の前後関係です。ただし法定の原因、危機認識前に生じた原因、申立て等の一年以上前に生じた原因に基づく債務負担は、2 項の適用除外として相殺が守られます。
取引先のA社にあなたの会社は売掛金が 1,000 万円ある。同時にA社への買掛金が 800 万円ある。A社が会社更生手続に入った。「差し引き 200 万円だけ払えば済む」と考えるのが普通だ。それが相殺、しかも倒産局面では最強の回収手段になる。相殺できれば、あなたの 800 万円分は他の更生債権者を出し抜いて事実上 100% 回収したのと同じ効果を持つからだ。会社更生法 49 条は、その相殺に時限式のロックをかける。A社が「支払不能」(支払能力を欠いて、弁済期にある債務を一般的かつ継続的に払えない状態)になった後、あるいは更生手続開始の申立てがあった後に、その事実を知りながら新たに債務を負担して相殺枠を作った場合、相殺は禁止される。鍵は二つの日付、つまり「あなたが債務を負担した日」と「あなたが相手の危機を知った日」だ。この前後関係が一日ずれるだけで、同じ 800 万円の相殺が有効にも無効にもなる。
会社更生法 49 条は、更生手続における相殺禁止を定める規定である。更生債権者等が、支払不能・支払停止・更生手続開始の申立てといった危機時期に入った後、その事実を知りながら更生会社に対して新たに債務を負担した場合、その債務を用いた相殺を禁じる。ただし法定の原因や危機認識前に生じた原因、申立て等の一年以上前に生じた原因に基づく債務負担は適用除外となる。
AI 輔助整理,以條文原文為準
更生手続における相殺を制限する規定です。危機時期(支払不能・支払停止・申立て)を知った後に新たな債務を負担して作った相殺枠を禁止し、更生債権者間の公平を守ります。
危機時期より前に成立した相殺枠なら可能です。逆に支払不能・支払停止・申立てを知った後に作った相殺は 49 条 1 項で禁止され、管財人に否認されます。
あります。49 条 2 項により、法定の原因、危機を知る前に生じた原因、申立て等の一年以上前に生じた原因に基づく債務負担なら、危機時期でも相殺が守られます。
支払能力を欠き、弁済期にある債務を一般的かつ継続的に弁済できない状態をいいます(49 条 1 項括弧書)。一時的な資金不足とは区別されます。
互いに債権債務がある場合、相殺できる分だけ事実上の優先弁済を受けられる効果です。無担保債権者でも担保権者に近い回収力を持つため、倒産局面で制限されます。
趣旨はほぼ同じです。破産法 71 条、民事再生法 93 条にも同種の相殺禁止があり、危機時期に作った相殺枠を封じる構造は共通しています。
債権届出期間の満了前に相殺の意思表示が必要です(会社更生法 48 条 2 項)。期間を過ぎると、49 条で許される場面でも相殺自体ができなくなります。
相殺がなかったものとして扱われ、自社の債務は全額弁済義務が残り、債権は一般の更生債権として配当を待つことになります。回収率は大きく下がります。
相殺の担保的機能を使えば、無担保でも事実上の最優先回収ができます(会社更生法 48 条の相殺権)。ただし 49 条が時限ロックをかけ、危機時期に作った相殺枠は否認されます。業界裏話ヒント:銀行が強いのは、平時から預金担保や相殺予約で相殺枠を「危機時期より前」に固めているからです。一般企業も、相手が健全なうちに相殺の合意や継続取引の枠を整えておけば、倒産時に同じ守りが効きます。倒産の噂を聞いてから動くのは、ほぼ手遅れ
支払の停止とは、もう弁済できないと外部に表明する行為で、手形の不渡り、銀行取引停止処分、夜逃げ、弁護士による受任通知などが典型です。それを知った後に作った相殺枠は 49 条 1 項 3 号で封じられます。業界裏話ヒント:ただし書が効きます。支払停止を知っていても、その時点で相手が実際には支払不能でなかったと立証できれば、相殺は救われます。「知っていた=即アウト」ではないので、相手の当時の財務状況を示す資料は捨てずに残しておく
本当です。49 条 2 項が適用除外を定めており、法定の原因、危機を知る前に生じた原因、または更生申立て等の一年以上前に生じた原因に基づく債務負担なら、危機時期でも相殺が守られます。業界裏話ヒント:分かれ目は「もっぱら相殺目的か」です。通常の継続取引で自然に積み上がった債権債務は保護されますが、倒産を察知してから急いで作った枠は狙い撃ちされる。発注書や契約書で原因の発生時期を時系列に示せるかが勝負を決める
| dimension | thisArticle | alternatives |
|---|---|---|
| 条文の役割 | 49 条:危機時期の相殺禁止(債権者側) | — |
| 規律対象 | 更生債権者が新たに負担した債務による相殺 | — |
| 適用除外の有無 | 2 項に適用除外あり(法定原因・危機認識前・一年以上前) | — |
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