受講中の講座ブックマーク無料で登録

出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)e-Gov法令検索出典公布 収録時点 令和8年7月4日読了 8 分8 分8 分

会社更生法 第93条(転得者に対する否認権)

クイックジャンプ
  1. 次の各号に掲げる場合において、否認しようとする行為の相手方に対して否認の原因があるときは、否認権は、当該各号に規定する転得者に対しても、行使することができる。ただし、当該転得者が他の転得者から転得した者である場合においては、当該転得者の前に転得した全ての転得者に対しても否認の原因があるときに限る。
  2. 一転得者が転得の当時、更生会社がした行為が更生債権者等を害することを知っていたとき。
  3. 二転得者が第八十六条の二第二項各号に掲げる者のいずれかであるとき。ただし、転得の当時、更生会社がした行為が更生債権者等を害することを知らなかったときは、この限りでない。
  4. 三転得者が無償行為又はこれと同視すべき有償行為によって転得した者であるとき。
  5. 2.第九十一条第二項の規定は、前項第三号の規定により否認権の行使があった場合について準用する。

この条文の基本情報

転得者に対する否認権とは何ですか?

定義転得者に対する否認権とは、会社更生法第93条に定められた規定で、「次の各号に掲げる場合において、否認しようとする行為の相手方に対して否認の原因があるときは、否認権は、当該各号に規定する転得者に対しても、行使することができる。た…」と規定しています。

出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)

  1. 会社更生法第93条(転得者に対する否認権)は、日本の会社更生法に含まれる条文です。
  2. 会社更生法第93条の条文原文は「次の各号に掲げる場合において、否認しようとする行為の相手方に対して否認の原因があるときは、否認権は、当該各号に規定する転得者に対しても、行使することができる。た…」で始まります。
  3. 会社更生法第93条は第四節に置かれています。
  4. 会社更生法の公布日は平成14年12月13日です。
  5. 会社更生法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
  6. 会社更生法第93条の前の条は会社更生法第92条です。
  7. 会社更生法第93条の次の条は会社更生法第93条の2です。
  8. 会社更生法第93条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。

この条文を引用する

下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。

  • 正式書式会社更生法(平成十四年法律第百五十四号)第93条
  • 官報・e-Gove-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/414AC0000000154
  • 本サイト収録会社更生法(平成十四年法律第百五十四号)第93条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/414AC0000000154/93

わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です

要点会社更生法93条は、否認権を又買いした転得者にも及ぼす規定。転得者が悪意・内部者・無償取得のいずれかのときに限り、財産が更生財団へ戻される。

Q · 倒産した会社と取引した相手から買っただけの財産を、なぜ自分が返さないといけないの?

悪意・内部者・無償のいずれかなら、又買いでも返還義務を負う

会社更生法93条により、否認権は直接の相手方だけでなく又買いした転得者にも及びます。ただし対象は全員ではなく、転得時に「元の取引が更生債権者を害する」と知っていた場合(悪意)、内部関係者だった場合、無償で取得した場合のいずれかに限られます。善意で相場どおりの対価を払った転得者は原則保護されます。又買いの連鎖では、中間の転得者全員に否認原因があるときに限り末端にも及びます(93条1項ただし書)。

解説

破綻寸前だった会社から格安で工場設備を買い取った業者がいて、あなたはその業者からさらに転売を受けた。半年後、最初の会社が会社更生手続に入る。すると更生会社の管財人が、見ず知らずのあなたのところへ「その設備を返せ」と言ってくる。直接取引した相手ですらないのに、なぜ自分が。会社更生法93条は、否認権(更生会社が手続開始前にした、債権者を害する財産処分を巻き戻す力)の射程を、直接の相手方を越えて「転得者」、つまり又買いした者にまで及ぼす条文である。ただし無条件ではない。あなたが転得の時点で「元の取引が更生債権者を害する」と知っていたか、あなたが内部関係者(86条の2第2項)だったか、タダ(無償)またはそれに等しい形で手に入れたか。この三つのどれかに当てはまったときだけ、あなたの手元の財産は更生財団へ戻される。知らずに相場どおりの対価で買った善意の転得者は守られる。だが「知っていた」ラインのどちら側に立つかで、あなたの資産は守られも奪われもする。

法的な位置づけ

会社更生法93条は転得者に対する否認を定める規定であり、更生会社の財産処分につき否認原因がある場合に、その財産を転得した者に対しても否認権を行使できる旨を規定する。行使には、転得者の悪意、内部関係者該当、または無償取得のいずれかが必要となる。

手順・フロー

AI による整理。効力は条文原文が基準です

手順

  1. 1.取得前に売主と前主の素性・取得動機を確認 相場より明らかに安い資産を買うときは、売主が誰からどんな事情で仕入れたかを確認する。前主が資金繰りに行き詰まった会社でないか、登記簿・取引動機・財務状況をチェックし、安さの源流を辿る
  2. 2.相場どおりの対価を払い、その証拠を残す 送金記録・第三者査定書・価格交渉の経緯を保存する。否認は善意かつ有償の転得者には及ばないため、相場対価を払った客観的証拠が後日の防御線になる。形だけの低額対価(実質無償)は避ける
  3. 3.管財人から否認通知が来たら争点を二分解する 争点を「元の取引(更生会社→受益者)に否認原因があるか」と「自分の転得時の主観(悪意・内部者・無償)」の二つに切り分ける。どちらか一方でも欠ければ否認は成立しないため、安易に返還へ応じない
  4. 4.善意有償・非内部者であることを立証する 相場対価の送金記録・査定書・売主の素性確認記録を提出し、悪意の推認を崩す。86条の2第2項各号の内部者に当たらないことを示し、当たる場合でも『害することを知らなかった』と反証する
  5. 5.否認権の期間制限を確認する 更生手続開始から2年、または対象行為から20年が経過していないかを確認する(会社更生法98条)。期間が経過していれば、転得者に対する否認権そのものが行使できない

よくある質問 AI による整理

Q1転得者否認とは何ですか?

更生会社の財産処分に否認原因がある場合に、その財産を又買いした転得者に対しても否認権を行使できる制度です。会社更生法93条が定め、悪意・内部者・無償のいずれかが要件となります。

Q2会社更生法の否認権はいつまで行使できますか?

更生手続開始から2年、または対象行為の時から20年で行使できなくなります(会社更生法98条)。転得者への行使もこの期間制限に服します。

Q3転得者が複数いる連鎖の場合はどうなりますか?

中間の転得者全員に否認原因があるときに限り、末端の転得者にも否認できます(93条1項ただし書)。連鎖のうち一人でも否認原因が欠ければ、その先には及びません。

Q4善意の転得者でも財産を返さないといけませんか?

善意で相場どおりの対価を払った転得者は原則保護されます。ただし無償取得の場合は善意でも否認の射程に入り、現存利益の限度で返還義務を負うことがあります(93条2項)。

Q5会社更生法でいう内部関係者とは誰ですか?

会社更生法86条の2第2項各号に掲げる者を指し、取締役や親会社など更生会社と密接な関係にある者です。内部者は害意を知らなかったと反証しない限り否認されます。

Q6会社更生法の否認権と破産法の否認権は同じですか?

構造はほぼ同一で、破産法170条・民事再生法134条にも並行する転得者否認規定があります。手続の種類が異なるだけで、転得者を狙う仕組みは共通します。

Q7否認された財産はどこに戻りますか?

否認の効果により財産は更生会社の更生財団へ復帰し、更生債権者全員のための責任財産として扱われます。特定の債権者だけが回収するわけではありません。

Q8否認権は誰が行使しますか?

更生手続では管財人が否認権を行使します。否認の請求(96条)または否認の訴えにより、登記・送金記録・財務資料を時系列で固めて立証します。

この条文についての質問 AI による整理

Q1倒産した会社と取引した相手から物を買っただけなのに、なんで自分が返さないといけないんですか?

会社更生法93条が、否認の効力を又買いした転得者にも及ぼすからです。ただし全員が対象ではなく、あなたが転得時に「元の取引が債権者を害する」と知っていた場合、内部関係者だった場合、無償で得た場合に限られます(93条1項各号)。実務のポイント:実務では「知っていたか」の立証は管財人側の負担。取得時に相場どおりの対価を払い、売主の素性を確認した記録があれば、善意有償の転得者として守られる可能性が高い。逆に「安さの理由を聞かなかった」こと自体が悪意の推認材料にされることもある

Q2正当な値段で買ったのに否認されることはありますか?

あなたが「元の処分が債権者を害する」と知っていたなら、有償でも否認されえます(93条1項1号)。逆に知らずに正当対価で買った善意有償の転得者は、原則として守られます。問題は無償取得で、知らなくても否認の射程に入ります(同項3号)。実務のポイント:「無償」には、形だけ対価をつけた実質贈与(これと同視すべき有償行為)も含まれます。親族間で「1万円で売った」ことにした高額資産は、実質無償とみなされ、善意でも巻き戻される危険がある

Q3管財人から否認の通知が来たら、もう返すしかないんですか?

いいえ、争えます。否認には①元の取引自体に否認原因があること②あなた(転得者)側の要件(悪意・内部者・無償)の両方が必要で、どちらか欠ければ成立しません(93条1項柱書)。無償の場合でも、善意なら現に受けている利益の限度で返せばよいことがあります(91条2項準用、93条2項)。実務のポイント:通知が来た段階で安易に和解せず、まず「元の取引に本当に否認原因があるか」を倒産に強い弁護士に検証させる。元の取引が否認できなければ、転得者のあなたも芋づる式に守られる

間違えやすい点 AI による整理

  • 「直接取引していなければ否認されない」と思われているが、93条はまさに又買いした転得者を狙い撃ちにする条文である。二次・三次取得者でも、悪意・内部者・無償のどれかに当たれば、手元の財産を更生財団に奪われる
  • 否認のリスク自体は知っていても、その「悪意」のハードルの低さを甘く見ている人が多い。元の会社が債務超過寸前だと知り得る状況で格安取得すれば、「害することを知っていた」と推認されやすい。「はっきり聞いていない」は免罪符にならない
  • あなたから見れば「正当に金を払って買った自分の財産」。だが更生手続から見れば「更生債権者全員に帰属すべき責任財産が流出した先」。この視点の落差が、安心しきっていたあなたの所有権の足元を崩す
比較の観点この条文ほかの条文
巻き戻す対象93条:又買いした転得者の手元にある財産86条:詐害行為(直接の相手方への財産処分)
86条の3:偏頗行為(特定債権者への弁済・担保提供)
射程が及ぶ相手二次・三次の転得者(連鎖は全員に原因が必要)更生会社と直接取引した受益者
弁済・担保を受けた特定債権者
成立要件元の取引の否認原因 + 転得者の悪意・内部者・無償のいずれか債権者を害する行為 + 受益者の悪意(善意の抗弁あり)
支払不能後等の偏頗弁済 + 債権者の悪意
善意者の保護善意有償の転得者は保護、無償善意は現存利益限度(93条2項)受益者が善意なら否認不可
債権者が善意なら否認不可

他国ではどう定めているか 3 か国

台湾
破産法第78〜80条(否認権)

台湾も否認権を有するが、会社更生に相当する手続は公司法の重整章で扱う。転得者への明文の射程は日本ほど精緻ではない

ドイツ
Insolvenzordnung § 145

ドイツは Anfechtung(否認)を法的承継人(Rechtsnachfolger)にも及ぼす明文を置き、日本93条と同趣旨。悪意・無償の要件構造が類似する

アメリカ
11 U.S.C. § 550

米国連邦倒産法は、否認された移転について最初の受益者だけでなく後続の transferee からも回復できると定める。善意有償の subsequent transferee は保護される点が日本と共通

AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です

想定される場面と対応 AI による整理

こんなときに使う

  • 事業者間の中古設備市場で「相場よりかなり安い」出物に飛びついた。売主はその設備を、資金繰りに行き詰まった別の会社から二束三文で仕入れていた。元の会社が更生手続に入った今、管財人はあなたを93条の転得者として狙う。安さの理由を確かめなかったこと自体が、悪意の推認材料にされる
  • もし、あなたが親会社から不採算事業の資産を「帳簿価格の半額」で買い受けた直後、親会社が会社更生を申し立てたとしたら? あなたが内部関係者に当たれば、害意を知らなかったと反証しない限り、その資産は更生財団に取り戻される
  • あなたが資産を又買いした側ではなく、回収する側だったら。更生会社の管財人として、受益者がすでに第三者へ資産を逃がしている。受益者を追っても空。だが転得者に否認原因があれば、最終取得者から直接取り戻せる。逃げ得を許さない最後の網がここにある
  • 残された時間はわずか。更生手続開始から二年が近づき、転得者への否認権が時効で消えようとしている。中間の又買い人全員に否認原因があるかの立証がまだ固まっていない。連鎖のどこか一人で原因が切れれば、末端の財産は守られてしまう

取るべき行動

被害を受けた側:1. まず元の処分行為(更生会社→受益者)に否認原因があるかを固める。詐害行為否認(86条)か偏頗行為否認(86条の3)か、類型を特定2. 転得者側の要件を立証材料で詰める:転得時の悪意(債務超過の認識、相場との乖離)、内部者該当性(86条の2第2項)、無償性3. 又買いの連鎖の場合は中間の全転得者に否認原因があるかを確認(93条1項ただし書、一人でも欠ければ末端に及ばない) 4. 否認の請求(96条)または否認の訴えで行使。証拠は登記・送金記録・財務資料を時系列で固める

訴えられた側:1. 争点を「元の取引の否認原因」と「自分の転得時の主観」の二つに分解する2. 善意有償なら、相場どおりの対価の送金記録・査定書・売主の素性確認記録を提出し、悪意の推認を崩す3. 内部者(86条の2第2項各号)に当たらないことを示す。当たる場合でも「害することを知らなかった」と反証し1項2号ただし書を使う4. 無償取得でも、善意なら現に受けている利益の限度に責任を限定できる(91条2項準用、93条2項)。そもそも元の取引に否認原因がなければ全面的に争う

時効(請求できる期限):否認権は、更生手続開始の時から二年を経過したとき、または否認の対象行為の時から二十年を経過したときは行使できない(会社更生法98条)。転得者に対する行使もこの期間制限に服する(最新の改正状況をご確認ください)

学説

通説:93条の転得者否認は、元の処分行為に否認原因があることを前提に、転得者側の悪意・内部者性・無償性のいずれかが備わる場合にのみ成立すると解する。取引の安全(善意有償の転得者保護)と更生債権者間の平等(責任財産の回復)を調整する規定と位置づけられる。

改正沿革 AI による整理

改正の年表

  1. 1.昭和27年(1952年) 新設:旧会社更生法制定。米国連邦倒産法 Chapter X を範とする更生手続を導入し、否認権の枠組みを整備
  2. 2.平成14年(2002年) 改正:会社更生法を全部改正(平成14年法律第154号)。否認制度を整理し、破産法・民事再生法と並行する転得者否認を現行93条として規定

ログインすると、この条文にメモを残して他の利用者と共有できます。

会社更生法の全文を見る所属する編章節を開く:第四節

出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)。AI による解説は理解の補助であり、法的効力は条文原文が基準です。

次に調べる

判例を探す:条文単位の判例の紐づけは準備中です。上のカードから法令名で検索できます。裁判所「裁判例検索」で探す ›