会社更生法 第91条の2(更生会社の受けた反対給付に関する相手方の権利等)
クイックジャンプ
- 第八十六条第一項若しくは第三項又は第八十六条の二第一項に規定する行為が否認されたときは、相手方は、次の各号に掲げる区分に応じ、それぞれ当該各号に定める権利を行使することができる。
- 一更生会社の受けた反対給付が更生会社財産中に現存する場合当該反対給付の返還を請求する権利
- 二更生会社の受けた反対給付が更生会社財産中に現存しない場合共益債権者として反対給付の価額の償還を請求する権利
- 2.前項第二号の規定にかかわらず、同号に掲げる場合において、当該行為の当時、更生会社が対価として取得した財産について隠匿等の処分をする意思を有し、かつ、相手方が更生会社がその意思を有していたことを知っていたときは、相手方は、次の各号に掲げる区分に応じ、それぞれ当該各号に定める権利を行使することができる。
- 一更生会社の受けた反対給付によって生じた利益の全部が更生会社財産中に現存する場合共益債権者としてその現存利益の返還を請求する権利
- 二更生会社の受けた反対給付によって生じた利益が更生会社財産中に現存しない場合更生債権者として反対給付の価額の償還を請求する権利
- 三更生会社の受けた反対給付によって生じた利益の一部が更生会社財産中に現存する場合共益債権者としてその現存利益の返還を請求する権利及び更生債権者として反対給付と現存利益との差額の償還を請求する権利
- 3.前項の規定の適用については、当該行為の相手方が第八十六条の二第二項各号に掲げる者のいずれかであるときは、その相手方は、当該行為の当時、更生会社が前項の隠匿等の処分をする意思を有していたことを知っていたものと推定する。
- 4.管財人は、第八十六条第一項若しくは第三項又は第八十六条の二第一項に規定する行為を否認しようとするときは、前条第一項の規定により更生会社財産に復すべき財産の返還に代えて、相手方に対し、当該財産の価額から前三項の規定により共益債権となる額(第一項第一号に掲げる場合にあっては、更生会社の受けた反対給付の価額)を控除した額の償還を請求することができる。
この条文の基本情報
更生会社の受けた反対給付に関する相手方の権利等とは何ですか?
定義更生会社の受けた反対給付に関する相手方の権利等とは、会社更生法第91条の2に定められた規定で、「第八十六条第一項若しくは第三項又は第八十六条の二第一項に規定する行為が否認されたときは、相手方は、次の各号に掲げる区分に応じ、それぞれ当該各号に定める権利を行使…」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 会社更生法第91条の2(更生会社の受けた反対給付に関する相手方の権利等)は、日本の会社更生法に含まれる条文です。
- 会社更生法第91条の2の条文原文は「第八十六条第一項若しくは第三項又は第八十六条の二第一項に規定する行為が否認されたときは、相手方は、次の各号に掲げる区分に応じ、それぞれ当該各号に定める権利を行使…」で始まります。
- 会社更生法第91条の2は第四節に置かれています。
- 会社更生法の公布日は平成14年12月13日です。
- 会社更生法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 会社更生法第91条の2の前の条は会社更生法第91条です。
- 会社更生法第91条の2の次の条は会社更生法第92条です。
- 会社更生法第91条の2には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
会社更生法(平成十四年法律第百五十四号)第91条の2 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/414AC0000000154 - 本サイト収録
会社更生法(平成十四年法律第百五十四号)第91条の2(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/414AC0000000154/91_2
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点会社更生法91条の2は、否認された行為の相手方に反対給付の返還請求権を保障する。反対給付が現存すれば返還を、現存しなければ共益債権として価額償還を請求できる。
Q · 倒産した取引先との売買が否認されたら、払った代金は戻ってくる?
戻る。ただし隠匿意思を知っていたと一部が更生債権に下がる
会社更生法91条の2により、否認された行為の相手方は反対給付の返還を請求できます。受けた反対給付が更生会社の財産中に現存すれば現物返還を、現存しなければ共益債権者として価額償還を請求できます(1項)。共益債権は更生計画に拘束されず随時全額弁済されます。ただし相手方が更生会社の隠匿等の処分意思を知っていた場合、現存利益部分のみが共益債権となり、差額は更生債権に格下げされます(2項)。
解説
取引先に商品を納め、代金もきちんと受け取った。半年後、その取引先が会社更生手続に入り、管財人があなたとの取引を「否認」する。否認とは、倒産直前に流出した財産を裁判所の手続で巻き戻す制度だ。ここであなたが直面するのは、納めた商品(反対給付)は財団に返せと言われるのに、受け取った代金はどうなるのか、という宙づりの問題。その答えがこの条文にある。受け取った反対給付が更生会社の財産中に現物で残っていれば、その返還を請求できる。残っていなければ、共益債権者として価額の償還を請求できる。共益債権は更生計画に拘束されず随時全額弁済される、いわば回収順位の特急券だ。ところが、あなたが更生会社の隠匿意思を知っていた場合、その特急券は一部が更生債権へ格下げされる。更生債権は計画次第で数割しか戻らないこともある。知っていたか否かの一点で、回収額が全額か紙くずかに分かれる。
法的な位置づけ
会社更生法91条の2は、第86条・第86条の2に基づき否認された行為の相手方が行使できる権利を定める規定である。反対給付が現存する場合の返還請求権、現存しない場合の共益債権としての価額償還請求権を保障し、相手方が更生会社の隠匿意思を知っていた場合には現存利益部分のみを共益債権とし、差額を更生債権とする。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.否認通知を受けたら反対給付の現存を確認 管財人から否認の通知が来たら、まず自分が受け取った反対給付(商品・代金など)が今も更生会社の財産中に現存するかを確認する。現存すれば現物返還を、現存しなければ共益債権としての価額償還を主張する(1項)
- 2.取引当時の善意を裏づける資料を早期に提出 取引当時、更生会社の隠匿等の処分意思を知らなかったことを、与信調査記録・稟議書・価格の相当性を示す査定書で立証する。善意の立証が早いほど共益債権者としての地位を保ちやすく、回収額が一桁変わる
- 3.共益債権としての地位を自ら届け出る 共益債権は更生計画に拘束されず随時弁済されるが、黙っていると更生債権扱いで処理されることがある。共益債権者としての地位を主張し、自ら届け出てその順位を死守する
- 4.関係者推定が及ぶ場合は反証を準備 役員・親会社など86条の2第2項の関係者に当たる場合、隠匿意思を知っていたと推定される(3項)。取引の合理性や独立した判断過程の記録を整え、推定を覆す反証を準備する
よくある質問 AI による整理
Q1否認権とは何ですか?
倒産手続開始前に流出した財産を管財人が手続上巻き戻し、財団に回復させる権利です。債権者全体への公平な弁済を確保するための倒産法上の制度です。
Q2共益債権とは何ですか?
更生計画に拘束されず随時かつ優先的に全額弁済される請求権です。否認された善意の相手方の価額償還請求権はこれに当たり、回収順位の特急券といえます。
Q3会社更生の否認はいつまでできますか?
否認権は管財人が行使して初めて効果が生じます。会社更生法上は更生手続開始から一定期間で行使できなくなるため、最新の改正状況を確認してください。
Q4現存利益とは何ですか?
受領した反対給付によって相手方の財産に現に残っている利益です。費消・滅失した部分は含まれず、共益債権と更生債権の取り分を分ける基準になります。
Q5会社更生と破産の否認はどう違いますか?
制度趣旨は同じで、破産は破産法168条、会社更生は本条が相手方の地位を規律します。倒産法制の統一改正で両者の規律は概ね揃えられています。
Q6反対給付の価額償還とは何ですか?
受けた反対給付が現物で残っていない場合に、その金銭的価値の支払いを請求することです。善意なら共益債権、悪意なら更生債権として扱われます。
Q7親会社や役員との取引は否認されやすいですか?
86条の2第2項の関係者に当たる場合、隠匿意思を知っていたと推定されます(3項)。知らなかったことの立証責任が相手方に転嫁され、不利になりやすいです。
Q8管財人が価額償還を選べるのはなぜですか?
本条4項により、管財人は財産の返還に代えて、価額から共益債権額を控除した額の償還を相手方に請求できます。財団管理の便宜のための選択権です。
この条文についての質問 AI による整理
Q1否認されたら、払ったお金は一切戻ってこないんですか?
戻ります。本条は否認された相手方に、反対給付が現存すれば現物返還、現存しなければ共益債権としての価額償還を保障しています(1項)。問題は全額か一部かで、相手の隠匿意思を知っていた場合は一部が更生債権に格下げされます。実務のポイント:管財人が相手方の権利を丁寧に説明してくれるとは限りません。共益債権としての地位は自分から主張し届け出て初めて確実になり、黙っていると更生債権扱いで処理されることがある
Q2共益債権と更生債権って、そんなに違うんですか?
天と地ほど違います。共益債権は更生計画に拘束されず随時全額弁済されますが(会社更生法127条)、更生債権は計画で大幅にカットされ、数割しか戻らないことも珍しくありません。実務のポイント:同じ否認案件でも善意の相手方は共益債権で全額、悪意の相手方は更生債権で数割という差がつく。善意か悪意かの認定は取引当時の与信記録や稟議書で決まるので、普段から残しているかが回収額を一桁変える
Q3適正な価格で買ったのに否認されることなんてあるんですか?
あります。相当の対価を得てした財産処分でも、更生会社に隠匿等の処分意思があり、相手方がそれを知っていれば否認されます(86条の2)。価格が適正でも、相手の資産隠しに加担したとみなされれば対象です。実務のポイント:相手が役員や親会社など内部に近い立場だと隠匿意思を知っていたと推定され(本条3項)、知らなかったことの立証責任が相手方に転嫁される。グループ会社間の取引ほど、この推定で不利になりやすい
間違えやすい点 AI による整理
- 「否認されたら払った代金は丸損だ」と多くの人が問いを立てるが、その問いそのものが誤っている。本条は否認された相手方に反対給付の返還請求権を明確に保障している。問うべきは「戻るか否か」ではなく「共益債権として全額戻るか、更生債権に格下げされて数割か」だ
- 「適正価格で買ったのだから否認されない」と思われがちだが、相当の対価を得てした処分行為でも、隠匿等の処分意思と相手方の悪意が揃えば否認される(86条の2)。価格の妥当性は否認を免れる切り札ではない
- 共益債権で戻ると聞いて安心する人は、その「共益債権」が一部に過ぎないことを見落としている。隠匿意思を知っていた場合、現存利益部分だけが共益債権で、反対給付との差額は更生債権に落ちる(2項3号)。共益債権という言葉だけで全額回収を期待すると、実際の配分で足をすくわれる
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 規律内容 | 会社更生法91条の2:否認された行為の相手方が行使できる権利 | 会社更生法91条:否認権行使の効果(更生会社財産の原状回復) 会社更生法86条の2:相当の対価を得てした処分行為の否認要件 |
| 発動場面 | 否認が確定した後の相手方による返還・償還請求 | 管財人が否認権を行使する段階 処分行為を否認できるか判断する段階 |
| 善意・悪意の影響 | 悪意なら現存利益を超える部分が更生債権に格下げ(2項) | 効果自体は相手方の善悪で変わらない 相手方の悪意が否認の成立要件 |
| 回収順位への帰結 | 共益債権(全額随時)と更生債権(計画次第)に分かれる | 財産が更生会社財団に復帰する 否認対象か否かが確定する |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾は破産法の否認権と公司重整制度で同種事項を規律する。相手方の対価返還の扱いは衡平の観点から処理される点で日本と方向性が近い
韓国は破産・再生を一本化した統合倒産法で否認(부인)を規律し、相手方の地位も同法内で扱う。日本の統一改正と問題意識が共通する
ドイツ倒産法は、否認の相手方が反対給付を返還した場合の請求権を § 144で定める。現存利益や善意の扱いで段階的処理をとる点が日本の本条と類似する
米国連邦倒産法は否認財産の回復を § 550で、返還した譲受人の債権を § 502(h) で扱う。共益債権という構成はないが、返還した相手方に再度債権を認める発想は共通する
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 資金繰りに窮した取引先から、相場どおりの価格で在庫を一括で買い取った。良い取引のつもりだった。半年後その会社が更生手続に入り、管財人から「あの売買を否認する、在庫を返せ」と通知が届く。あなたが払った代金が共益債権で全額戻るか、更生債権で数割に削られるか、その分かれ目は売買当時あなたが相手の隠匿意思を知っていたかどうかだ
- もし、あなたが受け取った代金をすでに別の支払いに回してしまっていたら? 現物が残っていない以上、現物返還は請求できず、共益債権としての価額償還になる。だが隠匿意思絡みの否認(86条の2)では、現存利益がいくら残るかで共益債権と更生債権の取り分が変わる。お金を何に使ったかの記録が、そのまま回収額を左右する
- 管財人が否認の請求をしてきた。共益債権の届出をするか、現存利益を主張するか、残された時間は限られている。動かなければ更生債権の列に黙って並ばされる
- あなたが更生会社の役員や親会社など、内部に近い立場で取引していた場合、隠匿意思を「知っていたと推定」される(3項)。知らなかったと立証する責任が、あなたの側に転嫁される。普通の取引先より一段重い立場に置かれている
- 倒産しかけの会社から、ちゃんと時価で工場設備を買った。対価は適正だったのだから否認されないと思っていた。だが会社がその売却代金を隠す意図を持ち、あなたがそれを知っていたなら、相当の対価でも否認される(86条の2)。適正価格は免罪符にならない
取るべき行動
被害を受けた側:1. 管財人から否認の通知が来たら、まず受け取った反対給付が今も更生会社の財産中に現存するかを確認、現存するなら現物返還を、しないなら共益債権としての価額償還を主張する(1項) 2. 取引当時、相手の隠匿等の処分意思を知らなかったことを、与信調査記録・稟議書・査定書で立証、善意であれば全額が共益債権で保護される3. 共益債権は更生計画に左右されず随時弁済されるので、その地位を死守し、自ら届け出る4. 86条の2第2項各号の関係者に当たる場合は悪意が推定されるため(3項)、反証の準備を早期に
訴えられた側:1. あなたが役員・親会社など86条の2第2項の関係者なら、隠匿意思を知っていたと推定される(3項)、これを覆す反証(取引の合理性、独立した判断過程の記録)を準備2. 知っていたと認定されても、反対給付によって生じた利益が現存する部分は共益債権として保護される(2項1号・3号)、現存利益を最大限主張3. 管財人が財産返還に代えて価額償還を選んだ場合(4項)、控除される共益債権額が正しく計算されているか検証4. 管財人側の否認行使が期間内かも確認する
時効(請求できる期限):否認の効果は管財人が否認権を行使して初めて生じる。会社更生法上、否認権は更生手続開始の日から2年を経過すると行使できず、否認しようとする行為の日から20年で消滅する(最新の改正状況をご確認ください)。相手方の権利は否認が確定した時点から具体化するため、否認の通知を受けたら直ちに現存の確認と善意の立証準備に入る
学説
通説:本条の趣旨は、否認による財団の充実と善意の取引相手方の保護との調和にあると解される。相手方の善意・悪意および現存利益を基準に、共益債権と更生債権を振り分けることで、取引安全と債権者平等の双方に配慮するのが通説である。
改正沿革 AI による整理
改正の年表
- 1.平成14年(2002年) 改正:会社更生法の全部改正により現行法が成立(平成14年法律第154号)。倒産法制の現代化の一環として、否認制度と否認された行為の相手方の地位に関する規律が整備された。
ログインすると、この条文にメモを残して他の利用者と共有できます。
ログインして共同ノートを始める