会社更生法 第65条(取締役等の競業の制限)
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- 更生会社の取締役、執行役又は清算人は、更生手続開始後その終了までの間において自己又は第三者のために更生会社の事業の部類に属する取引をしようとするときは、会社法第三百五十六条第一項(同法第四百十九条第二項又は第四百八十二条第四項において準用する場合を含む。)の規定にかかわらず、管財人に対し、当該取引につき重要な事実を開示し、その承認を受けなければならない。ただし、第七十二条第四項前段の規定により更生会社の機関がその権限を回復している期間中は、この限りでない。
- 2.前項本文の取引をした取締役、執行役又は清算人は、当該取引後、遅滞なく、当該取引についての重要な事実を管財人に報告しなければならない。
- 3.更生会社の取締役、執行役又は清算人が第一項本文の規定に違反して同項本文の取引をしたときは、当該取引によって取締役、執行役、清算人又は第三者が得た利益の額は、更生会社に生じた損害の額と推定する。
この条文の基本情報
取締役等の競業の制限とは何ですか?
定義取締役等の競業の制限とは、会社更生法第65条に定められた規定で、「更生会社の取締役、執行役又は清算人は、更生手続開始後その終了までの間において自己又は第三者のために更生会社の事業の部類に属する取引をしようとするときは、会社法第…」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 会社更生法第65条(取締役等の競業の制限)は、日本の会社更生法に含まれる条文です。
- 会社更生法第65条の条文原文は「更生会社の取締役、執行役又は清算人は、更生手続開始後その終了までの間において自己又は第三者のために更生会社の事業の部類に属する取引をしようとするときは、会社法第…」で始まります。
- 会社更生法第65条は第二節に置かれています。
- 会社更生法の公布日は平成14年12月13日です。
- 会社更生法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 会社更生法第65条の前の条は会社更生法第64条です。
- 会社更生法第65条の次の条は会社更生法第66条です。
- 会社更生法第65条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
会社更生法(平成十四年法律第百五十四号)第65条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/414AC0000000154 - 本サイト収録
会社更生法(平成十四年法律第百五十四号)第65条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/414AC0000000154/65
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点会社更生法65条は、更生会社の取締役・執行役・清算人が競業取引をする際、管財人の承認を要すると定める。承認なく得た利益の額は、会社の損害額と推定される。
Q · 会社が更生手続に入ったら、取締役の競業取引は今まで通り取締役会の承認でいいの?
いいえ、管財人の承認が必要です
会社更生法65条により、更生手続開始後その終了までの間、更生会社の取締役・執行役・清算人が自己または第三者のために会社の事業の部類に属する取引をするには、会社法356条にかかわらず管財人に重要な事実を開示してその承認を受けなければなりません。承認を取らずに競業取引をして利益を得た場合、その利益額が会社の損害額と推定され(3項)、立証責任が役員側に転換します。ただし72条4項前段で会社の機関が権限を回復している期間中は、この制限は適用されません。
解説
肩書きは取締役のままで、副業や別会社で同じ業種の取引も続けている。だが勤め先が会社更生手続に入った瞬間、足元のルールは静かに書き換わる。平時なら会社法356条で取締役会の承認を取れば済んだ競業取引が、更生手続中は管財人の承認を受けなければならない(会社更生法65条1項)。承認の門番が、社内の仲間から裁判所が選んだ第三者に変わるのだ。さらに恐ろしいのは3項。承認を取らずに競業取引をして利益を得れば、その利益額がそのまま会社の損害額と推定される。本来は「いくら損したか」を会社側が立証するのが原則だが、この一文で立証責任があなたに反転する。儲けた額がそっくり賠償額に化けかねない。
法的な位置づけ
会社更生法65条は、更生手続中の競業の制限を定める規定である。更生会社の取締役・執行役・清算人が自己または第三者のために会社の事業の部類に属する取引を行う際、平時の会社法356条に代えて、管財人への重要事実の開示と承認を義務づける。承認を欠く競業取引で得た利益の額は、会社の損害額と推定される。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.その取引が「事業の部類に属する取引」か判定する 競業取引にあたるかをまず精査する。会社の事業と市場が競合する取引かを確認し、該当しなければそもそも65条の射程外。判断に迷う場合は管財人に事前相談する
- 2.72条4項前段の権限回復期間かを確認する 更生計画や裁判所の判断で、会社の機関が権限を回復している期間中は競業制限が外れる。今この瞬間が回復期間に当たるかを管財人または更生計画で正確に確認する
- 3.管財人に重要な事実を開示し承認を取得する 取引の相手方・対価・競合範囲など重要な事実を書面で管財人に開示し、承認を受ける。取締役会決議だけでは足りない。承認は後日3項の損害推定を発動させないための予防策になる
- 4.取引後、遅滞なく管財人へ報告する 65条2項に基づき、競業取引をした後は遅滞なく当該取引の重要な事実を管財人へ報告する。報告を尽くしていれば、万一の紛争でも悪質性の低さを情状として主張できる
よくある質問 AI による整理
Q1会社更生法の競業の制限とは何ですか?
更生手続中、更生会社の取締役・執行役・清算人が自己または第三者のために会社の事業の部類に属する取引をするには、管財人の承認が必要となる制度です(会社更生法65条1項)。
Q2更生手続中の競業取引で承認権者は誰ですか?
管財人です。平時は会社法356条で取締役会が承認権者ですが、更生手続開始後その終了までの間は、承認権限が取締役会から管財人へ移ります。
Q3管財人の承認を取らずに競業取引をするとどうなりますか?
65条3項により、取締役・執行役・清算人または第三者が得た利益の額が会社の損害額と推定され、立証責任が役員側に転換します。
Q4会社更生法65条の競業の制限はいつまで続きますか?
更生手続開始後その終了までの間です。ただし72条4項前段で会社の機関が権限を回復している期間中は適用されません。
Q5更生会社の取締役は競業取引後に報告義務がありますか?
あります。65条2項により、競業取引をした取締役・執行役・清算人は、取引後遅滞なく当該取引の重要な事実を管財人に報告しなければなりません。
Q6競業取引の相手方(第三者)も責任を問われますか?
取締役らが承認を得ていなければ、第三者が得た利益も会社の損害額と推定されます(3項)。取引相手の更生手続を確認しないリスクが外部にも及びます。
Q7会社法356条と会社更生法65条はどう違いますか?
平時は会社法356条で取締役会承認、更生手続中は会社更生法65条で管財人承認です。65条1項が会社法356条1項の適用を排除します。
Q8更生手続が終われば過去の競業違反の責任も消えますか?
消えません。競業制限自体は手続終了で外れますが、手続中に生じた損害賠償責任は終了後も残り、更生後の会社から追及される余地があります。
この条文についての質問 AI による整理
Q1更生手続中でも、取締役会で承認決議すれば競業取引していいんですよね?
それでは足りません。65条1項は会社法356条1項の適用を排除し、承認権限を取締役会から管財人へ移しています。正規の取締役会決議を経ても、管財人の承認がなければ違反です。実務のポイント:実務では管財人の関与の濃淡に運用差があり、開示すべき「重要な事実」の範囲も管財人ごとに違います。早い段階で管財人と書面で承認フローを取り決めておくと、後の紛争を未然に防げる
Q2承認を取らずに競業取引をしてしまった。でも会社は実際には損していないんですが?
65条3項により、あなたや第三者が得た利益額が会社の損害額と「推定」されます。実際に損害がなかったことを立証する責任はあなた側にあり(会社法423条2項と同じ構造)、口頭の弁明ではまず覆りません。実務のポイント:この推定を破るには「会社にその取引機会がそもそもなかった」など具体的反証が要る。取引前後の社内資料や市場状況の記録が、唯一の防御材料になる
Q3管財人がいる間だけ我慢すればいい、手続が終われば自由ですよね?
競業制限自体は更生手続の終了で外れますが、手続中に生じた損害賠償責任は終了後も消えません。また72条4項前段で機関の権限が回復している期間中は、その間だけ制限が外れます(65条1項ただし書)。実務のポイント:権限回復の有無とその期間は更生計画や裁判所の判断で動くため、「今は制限がかかっているのか」を正確に把握している取締役は少ない。判断を誤れば、外れていると思って動いた取引が違反になる
間違えやすい点 AI による整理
- 「取締役会でちゃんと承認決議を取ったから問題ない」と考えるのは、問いの立て方そのものが古い。更生手続中は、そもそも承認権限が取締役会から管財人へ移っている。正規の取締役会決議を経ていても、管財人の承認がなければ65条1項違反だ
- 65条1項に違反したことは理解していても、その代償の重さを見誤っている人が多い。3項は単なる訓示ではなく、立証責任を被告である取締役側に転換する強力な推定規定だ。会社は損害額を立証しなくてよく、あなたが「損害はなかった」と覆さない限り、利益額がそのまま賠償額になる
- 「更生手続が終われば、過去の違反も時効のように消える」と思いがちだが、手続中に生じた損害賠償責任は手続終了後も残る。更生後の会社から、後日あらためて追及される余地がある
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 承認権者 | 会社更生法65条:管財人 | 会社法356条:取締役会(取締役会設置会社)/株主総会 会社法423条:承認規定ではなく損害推定の規定 |
| 適用場面 | 更生手続開始後その終了までの間(権限回復期間を除く) | 平時(更生・破産手続外) 競業取引による任務懈怠の損害賠償一般 |
| 違反の効果 | 得た利益の額を会社の損害額と推定(3項) | 承認なき競業は任務懈怠、損害賠償責任 取締役等が得た利益の額を損害額と推定(2項) |
| 報告義務 | 取引後、遅滞なく管財人へ報告(2項) | 取締役会設置会社では取引後の重要事実報告 規定なし |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾も董事の競業には承認を要する(209条は株主会承認)。重整手続では重整人が経営権を握り、承認の主体が経営陣から重整人へ移る点が日本の管財人構造と類似する
韓国も商法397条で取締役の競業に承認を要する。会生手続では管理人が業務執行権を持ち、承認権者が移行する構造は日本と近い
ドイツは取締役(Vorstand)に法定の競業避止義務があり、倒産手続では Insolvenzverwalter が管理処分権を取得する。承認の枠組みは日本ほど明文的でない
米国チャプター11では DIP または trustee が事業を管理し、取締役の競業は corporate opportunity doctrine と信認義務で規律される。利益額=損害額の明文推定は持たない
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- あなたは更生会社の取締役だが、個人で同業の小さな会社も持っている。手続開始後もいつも通り取引を回していた。だが管財人の承認を一度も取っていない。後から管財人がその取引を洗い出したとき、あなたが得た利益はすべて会社の損害と推定される。あなた自身が「会社に損などなかった」と証明しなければ、儲けた額がそのまま賠償額になる
- 明日、同業他社との大型取引にサインする予定だ。だが自社は先週、更生手続開始決定が出たばかり。この取引、取締役会の決議だけで進めていいのか? 答えは否。管財人に重要な事実を開示し承認を得なければ、後で利益全額を吐き出すリスクを背負う
- 更生会社の執行役だったあなたが、自己のために競業取引をし、しかも取引後の報告も怠った。65条2項違反として、管財人はあなたの責任を別途追及する材料を手にする。
- あなたが更生会社の取締役と組んで取引をした第三者だとする。その取締役が管財人の承認を取っていなければ、あなたが得た利益までもが会社の損害と推定される。取引相手の社内事情を確認しなかったツケが、外部のあなた自身に回ってくる
- 72条4項前段で更生会社の機関が権限を回復している期間中なら、この競業制限は外れる(65条1項ただし書)。だが、その回復期間が今この瞬間に当たるのかどうか、あなたは正確に把握しているか? 期間の境目を一日読み違えれば、承認の要否が丸ごとひっくり返る
取るべき行動
被害を受けた側:1. 取締役・執行役・清算人が手続中にした取引を洗い出し、「事業の部類に属する取引」(競業)に該当するか確認2. その取引について管財人の承認があったかを記録で確認、なければ65条1項違反を主張3. 3項の損害推定を使い、取締役や第三者が得た利益額を特定する。会社側は損害額を立証する必要がなく、利益額がそのまま損害と推定される4. 取引後の報告義務違反(2項)も併せて、役員の責任として損害賠償を追及する
訴えられた側:1. まずその取引が本当に「事業の部類に属する取引」に当たるかを精査、該当しなければそもそも65条の射程外2. 管財人の承認を得ていた事実、または72条4項前段で機関の権限が回復していた期間中だった事実があれば主張、いずれも違反を否定する材料3. 3項の推定は反証可能、会社にその取引機会がなかった、利益額と損害額は無関係といった具体的反証を組む4. 取引後の報告(2項)を尽くしていれば、悪質性の低さを情状として主張できる
時効(請求できる期限):本条自体に固有の期間制限はないが、損害賠償請求権は一般の消滅時効(民法166条、権利を行使できることを知った時から5年、または権利を行使できる時から10年)に服する。競業制限が課されるのは更生手続開始後その終了までの間であり、72条4項前段で機関の権限が回復している期間は対象外(最新の改正状況をご確認ください)
学説
通説:65条は会社法356条1項の適用を更生手続中に限り排除し、競業取引の承認権者を取締役会から管財人へ移すもの。3項の損害推定は会社法423条2項と同構造の反証可能な推定であり、役員側が会社に取引機会がなかった等を立証して覆す余地がある
改正沿革 AI による整理
- 平成14年(2002年)会社更生法全部改正 昭和27年制定の旧会社更生法を全部改正し、現行会社更生法(平成14年法律第154号)が成立。管財人の承認を要する競業制限の枠組みが整備された
- 平成17年(2005年)会社法制定に伴う整備 会社法の制定(平成18年施行)に伴い、本条が引用する根拠規定が商法から会社法(356条1項、419条2項、482条4項)へ改められた
改正の年表
- 1.平成14年(2002年) 改正:昭和27年制定の旧会社更生法を全部改正し、現行会社更生法(平成14年法律第154号)が成立。管財人の承認を要する競業制限の枠組みが整備された
- 2.平成17年(2005年) 改正:会社法の制定(平成18年施行)に伴う整備により、本条が引用する根拠規定が商法から会社法(356条1項、419条2項、482条4項)へ改められた
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