会社更生法 第79条(管財人の競業の制限)
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- 管財人は、自己又は第三者のために更生会社の事業の部類に属する取引をしようとするときは、裁判所に対し、当該取引につき重要な事実を開示し、その承認を受けなければならない。
- 2.前項の取引をした管財人は、当該取引後、遅滞なく、当該取引についての重要な事実を裁判所に報告しなければならない。
- 3.管財人が第一項の規定に違反して同項の取引をしたときは、当該取引によって管財人又は第三者が得た利益の額は、更生会社に生じた損害の額と推定する。
この条文の基本情報
管財人の競業の制限とは何ですか?
定義管財人の競業の制限とは、会社更生法第79条に定められた規定で、「管財人は、自己又は第三者のために更生会社の事業の部類に属する取引をしようとするときは、裁判所に対し、当該取引につき重要な事実を開示し、その承認を受けなければなら…」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 会社更生法第79条(管財人の競業の制限)は、日本の会社更生法に含まれる条文です。
- 会社更生法第79条の条文原文は「管財人は、自己又は第三者のために更生会社の事業の部類に属する取引をしようとするときは、裁判所に対し、当該取引につき重要な事実を開示し、その承認を受けなければなら…」で始まります。
- 会社更生法第79条は第二款に置かれています。
- 会社更生法の公布日は平成14年12月13日です。
- 会社更生法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 会社更生法第79条の前の条は会社更生法第78条です。
- 会社更生法第79条の次の条は会社更生法第80条です。
- 会社更生法第79条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
会社更生法(平成十四年法律第百五十四号)第79条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/414AC0000000154 - 本サイト収録
会社更生法(平成十四年法律第百五十四号)第79条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/414AC0000000154/79
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点会社更生法79条は、管財人が競業取引をする際に裁判所の事前承認を義務づけ、無承認の取引で得た利益額を更生会社の損害額と推定する規定である。
Q · 管財人が裏で同業の取引をしたら、どうなる?
無承認なら得た利益が会社の損害と推定され、賠償責任を負います
会社更生法79条により、管財人が自己または第三者のために更生会社と同じ事業部類の取引をするには、事前に裁判所へ重要事実を開示し承認を得る必要があります。無承認で取引した場合、管財人や第三者が得た利益の額がそのまま更生会社の損害額と推定されます(3項)。通常の損害賠償では請求側が損害額を立証しますが、ここでは立証責任が転換し、債権者にとって強力な武器になります。取引後は遅滞なく裁判所へ報告する義務もあります(2項)。
解説
会社が更生手続に入った瞬間、社長は会社の財布も判子も失う。経営権も財産の処分権も、裁判所が選んだ管財人ただ一人に集中する(会社更生法72条)。その管財人が、更生会社と同じ業種の取引を自分のために、あるいは別の会社のためにこっそり始めたらどうなる。取引先も技術もノウハウも握る人間が、横で同業のビジネスを回すのは、内部情報を使った抜け駆けになりかねない。79条はこの抜け駆けを封じる。管財人は競業取引をする前に裁判所へ重要事実を開示して承認を得なければならず、取引後も遅滞なく報告する義務を負う。そして違反したとき、管財人や第三者が得た利益の額は、そのまま更生会社の損害額と推定される。普通なら損害額を立証するのは請求する側だが、ここでは立証の重荷が逆転する。これが債権者にとっての隠れた武器だ。
法的な位置づけ
会社更生法79条は、管財人の競業取引を制限する規定である。管財人が自己または第三者のために更生会社の事業の部類に属する取引をするには、裁判所への重要事実の開示と事前承認を要し、取引後は遅滞なく報告する義務を負う。事前承認に違反した場合、得た利益の額が更生会社の損害額と推定される。
手順
- 1.競業取引該当性を判断する 管財人が予定する取引が、更生会社の事業の部類に属する取引(競業取引)に当たるかを確認する。自己のためか第三者(顧問先・関連先)のためかを問わず、内部情報や取引網が重なるものは該当する可能性が高い
- 2.裁判所へ重要事実を開示し事前承認を得る 取引を実行する前に、裁判所に対して当該取引の重要な事実(相手方、対象、価格、利害関係)を開示し、承認を受ける(1項)。この一手を飛ばすと3項の利益推定が発動し、得た利益が全額会社の損害と推定される
- 3.承認を得たうえで取引を実行する 裁判所の承認を得てから取引を実行する。承認の範囲内で行い、条件を逸脱しないよう記録を残す。利益相反の疑いが濃い案件は、別の管財人や管財人代理に委ねる選択肢も持つ
- 4.取引後、遅滞なく裁判所へ報告する 取引終了後は遅滞なく、当該取引についての重要な事実を裁判所へ報告する(2項)。事前承認と事後報告は別個の義務であり、事後報告だけでは事前承認の欠落を治癒できない点に注意する
よくある質問 AI による整理
Q1会社更生の管財人とは何ですか?
裁判所に選任され、更生会社の事業経営権と財産の管理処分権を専属的に握る人です(会社更生法72条)。経営権は元の経営陣から管財人一人に集中します。
Q2管財人の競業避止義務とは?
管財人が自己または第三者のために更生会社と同じ事業部類の取引をするとき、裁判所の事前承認を要するという制限です(会社更生法79条1項)。内部情報の悪用を防ぐ趣旨です。
Q3会社更生法79条の利益の推定とは?
無承認で競業取引をした場合、管財人や第三者が得た利益額が更生会社の損害額と推定される規定です(3項)。請求側の損害額立証の壁を取り払います。
Q4管財人の競業取引の承認はどう取りますか?
取引の前に裁判所へ当該取引の重要な事実を開示し、承認を受けます(1項)。取引後は遅滞なく裁判所へ報告する義務もあります(2項)。
Q5会社更生と破産の違いは何ですか?
会社更生は事業を維持して再建する手続で管財人が経営します。破産は事業を清算し財産を換価して配当する手続です。再建型か清算型かが本質的な違いです。
Q6管財人の不正は誰に訴えればいいですか?
更生事件を担当する裁判所に対し、管財人の調査・報告徴収や解任申立てを求めます。損害賠償責任の追及も並行して検討します。
Q7会社更生の管財人は誰がなりますか?
多くは弁護士が選任され、事業の専門性が高い場合は事業者出身者が事業管財人として加わることもあります。裁判所が選任します。
Q8取引先が会社更生に入ったら債権はどうなりますか?
更生債権として届け出が必要で、更生計画に従って弁済されます。管財人の不当な取引で原資が流出していないか監視する余地があります。
この条文についての質問 AI による整理
Q1管財人が事前承認を取らずに競業取引をした場合、その取引自体は無効になりますか?
取引の効力と管財人の責任は別問題です。79条1項違反でも、取引相手が事情を知らなければ取引そのものは原則有効とされ、無効になるのは限定的です。条文が用意した武器は『取引の無効』ではなく『3項の利益推定による損害賠償』という金銭的サンクションです。実務のポイント:実務では取引の巻き戻しを狙うより、3項の推定を使って利益額を損害として回収する方が筋がよい。無効を争うと相手の善意・悪意の立証で泥沼化するからだ
Q2「得た利益=損害」と推定されるなら、管財人側はもう反論できないんですか?
あくまで推定なので覆せます。管財人側が『実際の損害はこれより小さい』『この利益は競業とは別の要因で生じた』と立証できれば推定は崩れます。ただし立証責任が管財人側に移る点が決定的で、何もしなければ利益額がそのまま損害額として確定します。実務のポイント:通常の損害賠償では原告が損害額を立証する側ですが、3項では攻守が逆転する。請求する側はまず利益額さえ示せばよく、あとは相手に反証を強いる。この攻守逆転を知っているかどうかが交渉のテーブルで効く
Q3民事再生でも管財人に同じ競業制限がありますか?
会社更生と民事再生は別の手続です。民事再生は原則として元の経営陣が経営を続ける DIP 型で、管財人が選任されない事案も多くあります。管財人が選任された場合の規律は民事再生法側で確認が必要です(現行条文を要確認)。実務のポイント:会社更生は管財人が全権を握る『経営者総入れ替え型』、民事再生は経営者続投の『自力再建型』。同じ倒産手続でも管財人の有無と権限がまるで違うので、どちらの手続かを最初に見極めることが、誰の責任を追及できるかを決める
間違えやすい点 AI による整理
- 「管財人は中立だから自己取引なんてしない」という前提が、そもそも危うい。管財人は弁護士であることが多いが、その関連先や顧問先と更生会社の利害が衝突する場面は現実に起きる。問うべきは『するかどうか』ではなく『したときどう捉え、どう動くか』だ
- 競業制限があること自体は知っていても、その実効性の核が3項の『利益=損害の推定』にあると理解している人は少ない。通常の損害賠償なら原告が損害額を一円単位で立証しなければ取れない。この推定がそのハードルを丸ごと取り払う、その威力を見落とすと交渉力を自分から捨てることになる
- 「事前承認を飛ばしても、後で裁判所へ報告すれば帳消し」と思われがちだが逆。2項の事後報告義務と1項の事前承認義務は別物で、事前承認を欠いた取引は、事後にどれだけ丁寧に報告しても3項の利益推定を免れない
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 条文の機能 | 79条:管財人の競業取引の制限(事前承認・事後報告・利益推定) | 72条:管財人への事業経営権・財産管理処分権の専属 81条:義務違反に基づく管財人の損害賠償責任(現行効力を要確認) |
| 規律の対象 | 管財人の自己取引・第三者のための競業取引 | 管財人の権限の根拠そのもの 管財人の一般的な義務違反全般 |
| 債権者側の効果 | 3項の利益推定で損害額の立証責任が転換 | 管財人の独占的地位の確認(監視の前提) 通常は請求側が損害額を立証する必要 |
他国ではどう定めているか 3 か国
台湾は取締役の競業禁止を明文化し、違反時は会社が介入権(帰入権)を行使できる。重整人の権限は公司法290条が規律。日本の管財人競業制限に機能的に対応
ドイツは取締役(Vorstand)の競業避止を株式法で定め、倒産管財人(Insolvenzverwalter)の責任は倒産法で規律。両者を組み合わせて利益相反を抑止
米国連邦倒産法では trustee に受託者の忠実義務(duty of loyalty)が課され、自己取引は厳しく制限される。Chapter 11では DIP が原則経営する点で日本の管財人型と構造が異なる
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- あなたが取引先として、更生手続中の会社に債権を持っている。その会社の管財人が、裏で同じ商品を扱う別会社を回して利ざやを抜いていた。本来更生会社に入るはずだった利益が外へ流れる。79条3項を使えば、その利益額がそのまま更生会社の損害と推定され、配当の原資が増える
- あなたが管財人に選任された。更生会社は精密部品メーカーで、あなた自身も別の部品商社の顧問をしている。その商社のために部品を仕入れたい。これは競業取引だ。裁判所の事前承認なしに動けば、得た利益は全額会社の損害と推定される。承認を取る一手間を惜しんだ瞬間、個人責任が牙をむく
- 管財人が事前承認を取らずに競業取引をしてしまった。後から丁寧に報告すれば許される? 答えはノー。3項の利益推定は、事後報告では消えない
- 債権者集会まであと数日。管財人の不審な取引の痕跡を掴んだが、裁判所への調査要求と損害賠償の準備が間に合うか。利益額の資料を今のうちに保全しないと、推定規定があっても金額を詰めきれない
取るべき行動
被害を受けた側:1. 更生会社の管財人が誰か、その関連先・顧問先を確認し、競業の可能性を洗う2. 怪しい取引を見つけたら、裁判所への事前承認(1項)と事後報告(2項)の記録があるかを照会3. 承認なしの競業取引なら、管財人や第三者が得た利益額の資料を保全、3項の推定を使えば損害額の立証負担が外れる4. 管財人の責任追及(会社更生法81条、現行効力を要確認)と並行し、必要なら管財人の解任申立ても検討する
訴えられた側:1. 自己または第三者のために更生会社と同業の取引をする前に、必ず裁判所へ重要事実を開示し承認を得る、この一手を飛ばさない2. 承認を得た取引も、終了後は遅滞なく裁判所へ報告(2項) 3. すでに無承認で取引してしまった場合、速やかに開示し、利益を会社へ返還する姿勢を示して推定の影響を最小化4. 利益相反の疑いがある案件は、最初から別の管財人や管財人代理に委ねる選択肢を持つ
時効(請求できる期限):競業取引そのものに固有の期限はないが、違反による損害賠償請求権には一般消滅時効(民法166条、債権は権利を行使できると知った時から5年または権利を行使できる時から10年)が適用される。3項の推定は損害額の立証を助けるが、時効の進行自体を止めるものではない(最新の改正状況をご確認ください)
学説
通説:本条の利益推定(3項)は、会社法423条2項の取締役競業規制と同型の構造を持つと解されている。事前承認義務(1項)と事後報告義務(2項)は別個の義務であり、無承認取引は事後報告では3項の推定を免れない。取引自体の効力は別問題で、相手方が善意なら原則有効とされる余地がある。
改正沿革 AI による整理
- 平成14年(2002年)全部改正 旧会社更生法(昭和27年)を全面的に作り直した現行会社更生法(平成14年法律第154号)が成立し、平成15年(2003年)4月1日に施行された。本条の管財人の競業制限もこの現行法の枠組みの一部。旧法における同趣旨規定の有無・条番号の対応は要確認
改正の年表
- 1.平成14年(2002年) 改正:旧会社更生法(昭和27年)を全面的に作り直した現行会社更生法(平成14年法律第154号)が成立し、平成15年(2003年)4月1日に施行。本条の管財人の競業制限もこの現行法の枠組みの一部。旧法における同趣旨規定の有無・条番号の対応は要確認
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