要点会社更生法 86 条の 2 は、相当の対価を得た財産処分でも、財産の種類変更による隠匿のおそれ・会社の隠匿意思・相手方の悪意の三要件が揃えば、管財人が否認できると定める。
Q · 時価でちゃんと買ったのに、倒産した会社との取引が取り消されることがあるの?
正当な対価でも、隠匿目的の三要件が揃えば否認されます
会社更生法 86 条の 2 により、相当の対価を払った取引でも、(1)不動産の現金化など財産の種類変更で隠匿のおそれが生じ、(2)更生会社に代金を隠す意思があり、(3)相手方がその意思を知っていた、という三要件が揃えば管財人が否認できます。価格の正当性だけでは盾になりません。さらに相手方が取締役や親会社の場合は、知っていたと推定され(同条 2 項)、知らなかったことの証明が相手方側に転換します。
経営の傾いた会社が、本社として使っていた土地建物を、ある投資家に時価どおりの値段で売却した。買い手は一円もまけさせていない、後ろ暗いところのない正常な取引のつもりだ。ところが更生手続が始まると、管財人がその売買を「なかったこと」にできる場面がある。会社更生法 86 条の 2 が照らすのは、相当の対価、つまり正当な値段を払った取引ですら覆りうる領域だ。鍵は三つの要件が同時に揃うこと。第一に、不動産を現金に換えるなど、財産の種類が変わって隠しやすくなる処分であること。第二に、会社側が代金を隠す意思を持っていたこと。第三に、相手方がその隠匿意思を知っていたこと。値段が正当でも、この三つが重なれば取引は巻き戻される。さらに相手が取締役や親会社なら、知っていたと推定され、知らなかったという証明はあなたの側に回ってくる。
会社更生法 86 条の 2 は、相当の対価を得てした財産の処分行為の否認を定める規定である。対価が正当であっても、不動産の現金化など財産の種類変更により隠匿等の処分のおそれを現に生じさせ、更生会社に隠匿の意思があり、相手方がこれを知っていた三要件が揃う場合に限り、管財人による否認を認める。
AI 輔助整理,以條文原文為準
倒産手続で、財産を不当に減少・流出させた行為を管財人が遡って無効にし、財産を取り戻す権限です。会社更生法では更生手続開始後に管財人が行使します。
正当な値段でも、隠しにくい不動産を隠しやすい現金に換える等で財産隠匿のおそれが生じ、会社に隠匿意思があり相手方がそれを知っていれば、債権者を害するため否認されます(86 条の 2)。
受け取った代金を隠す、無償で他人に与える、その他更生債権者を害する処分を指します。財産の種類変更でこの処分のおそれが現に生じることが第一号の要件です。
更生手続開始の日から 2 年、または対象行為の日から 20 年を経過すると行使できなくなります。起算点は更生手続開始決定の日で、期限を過ぎると財産は戻りません。
86 条の 2 第 2 項により、隠匿意思を知っていたと推定されます。立証責任が逆転し、相手方が「知らなかった」と自ら証明しない限り否認が通ります。
原則として更生会社財産に原状回復します。物件を返還し、支払った代金は更生債権として扱われる場合があり、全額回収できるとは限りません。
詐害行為否認(86 条系)は財産を不当に減少させる行為を対象とし、偏頗行為否認(86 条の 3)は特定の債権者だけを優遇する弁済等を対象とします。狙う局面が異なります。
売主の財務状況の確認記録、代金が正常な事業・債務弁済に使われた形跡、取引の経緯を残すことです。隠匿意思を知らなかったことを示し、三要件の一つを崩せます。
相当の対価を払っても、不動産を現金に換えるなど隠匿しやすい形への財産変更があり、会社に隠匿意思があり、あなたがそれを知っていた、という三要件が揃えば否認されます(会社更生法 86 条の 2 第 1 項)。価格の正当性は要件の一つを外す材料にすぎません。業界裏話ヒント:実務では「代金が何に使われたか」の追跡が勝負どころ。代金が会社の正常な事業や債務弁済に充てられた形跡があれば、隠匿のおそれ自体を否定しやすい。買主側は代金の使途を記録で押さえておくと守りが固くなる
あなたが隠匿意思を知らなかったのなら、第 1 項三号の要件を欠き、原則として否認されません。ただし、あなたが売主の取締役・監査役・親会社などにあたる場合、2 項で「知っていた」と推定され、立証責任が逆転します(会社更生法 86 条の 2 第 2 項)。業界裏話ヒント:この推定はグループ内取引・役員取引を狙い撃ちにする設計。外部の第三者なら管財人が悪意を立証する側だが、内部者だと「知らなかった」証明をあなたが負う。立場一つで攻守が入れ替わる
構造はほぼ同じです。本条は破産法 161 条、民事再生法 127 条の 2 と並ぶ姉妹規定で、相当対価の処分行為の否認要件は三法でそろえられています。違うのは手続の目的(破産は清算、更生は再建)と行使者です。業界裏話ヒント:会社更生では管財人が必ず選任され強力な権限を握るため、否認が現実に行使される頻度は高い。更生手続に巻き込まれた取引相手は、破産より否認リスクを重く見ておくべき
| dimension | thisArticle | alternatives |
|---|---|---|
| 対象とする行為 | 86 条の 2:相当の対価を得た財産処分(隠匿のおそれを伴うもの) | — |
| 対価の有無 | 相当の対価あり(正当価格でも要件次第で否認) | — |
| 主たる要件 | 種類変更による隠匿のおそれ+会社の隠匿意思+相手方の悪意の三要件 | — |
| 立証責任の特則 | 相手方が取締役・親会社等なら悪意を推定(2 項) | — |
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