会社更生法 第96条(否認の請求及びこれについての決定)
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- 否認の請求をするときは、その原因となる事実を疎明しなければならない。
- 2.否認の請求を認容し、又はこれを棄却する裁判は、理由を付した決定でしなければならない。
- 3.裁判所は、前項の決定をする場合には、相手方又は転得者を審尋しなければならない。
- 4.否認の請求を認容する決定があった場合には、その裁判書を当事者に送達しなければならない。この場合においては、第十条第三項本文の規定は、適用しない。
- 5.否認の請求の手続は、更生手続が終了したときは、終了する。
この条文の基本情報
否認の請求及びこれについての決定とは何ですか?
定義否認の請求及びこれについての決定とは、会社更生法第96条に定められた規定で、「否認の請求をするときは、その原因となる事実を疎明しなければならない。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 会社更生法第96条(否認の請求及びこれについての決定)は、日本の会社更生法に含まれる条文です。
- 会社更生法第96条の条文原文は「否認の請求をするときは、その原因となる事実を疎明しなければならない。」で始まります。
- 会社更生法第96条は第四節に置かれています。
- 会社更生法の公布日は平成14年12月13日です。
- 会社更生法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 会社更生法第96条の前の条は会社更生法第95条です。
- 会社更生法第96条の次の条は会社更生法第97条です。
- 会社更生法第96条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
会社更生法(平成十四年法律第百五十四号)第96条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/414AC0000000154 - 本サイト収録
会社更生法(平成十四年法律第百五十四号)第96条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/414AC0000000154/96
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点会社更生法96条は、更生管財人が訴訟によらず決定で否認権を行使する否認の請求を定める。管財人は疎明で足り、決定前に相手方または転得者を審尋しなければならない。
Q · 倒産した取引先から受け取ったお金や担保、否認の請求で取り戻されるって本当?
本当です。ただし送達から一か月以内に異議の訴えで争えます
本当です。会社更生法96条により、更生管財人は訴訟を起こさず裁判所の決定一本で否認権を行使できます。原因事実は疎明(一応確からしいと思わせる程度の軽い立証)で足りるため、攻撃のハードルは低くなっています。ただし救済はあります。決定前には必ず審尋を受けられ(3項)、認容決定が送達されたら一か月以内に異議の訴え(97条)を起こせば、通常の裁判で一から争えます。期限を過ぎると決定は確定します。
解説
取引先が会社更生手続に入る前、あなたの会社はその相手から売掛金を回収し、あるいは担保を受け取っていた。ところが手続開始後、更生管財人から一通の書面が届く。「その入金(または担保)を否認する」。これが否認の請求だ。本条が定めるのは、管財人が裁判所に対して、わざわざ訴訟を起こさず「決定」一本であなたの受け取ったものを取り戻す、その早道の手続である。あなたが押さえるべきは二点。第一に、管財人は完全な証明ではなく「疎明」(一応確からしいと裁判官に思わせる程度の軽い立証)で足りる。攻撃のハードルが低い。第二に、決定が出る前に裁判所はあなたを必ず審尋しなければならない(3項)。つまりあなたには反論の場が法律で保障されている。そして認容決定が届いたら、本当の勝負は別の場所、異議の訴えに移る。
法的な位置づけ
会社更生法96条にいう否認の請求とは、更生管財人が訴訟によらず裁判所の決定によって否認権を行使する略式の手続をいう。管財人は否認の原因事実を疎明すれば足り、裁判所は相手方または転得者を審尋したうえで理由を付した決定で裁断する。認容決定に対しては、異議の訴えによる本格的な事後審査が用意されている。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.認容決定が届いたらまず送達日を確認 否認の請求の認容決定が届いたら、本文より先に送達日を確認する。異議の訴えの一か月の不変期間はこの日から走り出すため、期限を即座にカレンダーに記録する
- 2.決定前の審尋通知が来ていれば疎明資料を準備 まだ認容決定が出ておらず審尋通知の段階なら、そこが最初の防衛線。対価の相当性や危機時期を知らなかった事情を示す疎明資料を準備し、審尋の場で提出して認容決定そのものを止めにいく
- 3.一か月以内に異議の訴えを提起 すでに認容決定が出たら、疎明で決まった暫定的な結論にすぎないと割り切り、送達日から一か月の不変期間内に異議の訴え(97条)を提起する。通常の裁判で証拠を尽くして争う
- 4.弁護士へ即日相談 期限を一日でも過ぎれば決定は確定するため、決定送達を受けたその日のうちに倒産法に詳しい弁護士へ相談し、異議の訴えの方針と疎明計画を固める
よくある質問 AI による整理
Q1否認の請求とは何ですか?
更生管財人が訴訟を起こさず、裁判所の決定によって否認権を行使する略式の手続です。会社更生法96条が根拠で、原因事実は疎明で足ります。
Q2否認の請求と否認の訴えはどう違いますか?
否認の請求は決定で進む軽い手続で疎明で足り迅速、否認の訴えは判決で争う本格的な訴訟で証明が必要です。管財人がどちらを選ぶかで負担が変わります。
Q3疎明と証明はどう違いますか?
証明は裁判官に確信を抱かせる本格的な立証、疎明は一応確からしいと思わせる程度の軽い立証です。否認の請求では疎明で足りるため攻撃側が有利になります。
Q4否認の請求の決定に納得できないときはどうすればいいですか?
認容決定の送達を受けた日から一か月の不変期間内に、異議の訴え(会社更生法97条)を提起します。通常の裁判で一から争うことができます。
Q5否認の請求はいつまでにできますか?
否認権そのものに更生手続開始から一定期間(おおむね二年)の行使制限があります。期間や起算点は最新の改正状況の確認が必要です。
Q6更生手続が終わったら否認の請求はどうなりますか?
会社更生法96条5項により、更生手続が終了すれば否認の請求の手続も自動的に終了します。係属していた請求はそこで打ち切られます。
Q7転得者も否認の対象になりますか?
なります。否認の請求は相手方だけでなく転得者にも及び、決定前には転得者も審尋を受けられます(96条3項)。財産を転々と移しても追及されます。
Q8担保を受け取っただけでも否認されますか?
されることがあります。危機時期に特定の債権者だけが受けた担保の供与は否認の典型的な標的で、管財人は決定一本でその担保を無効化しにきます。
この条文についての質問 AI による整理
Q1管財人から否認の請求が来ました。普通の裁判より不利なんですか?
立証の面ではあなたに不利です。96条1項により管財人は疎明、つまり「一応確からしい」程度の軽い立証で決定を得られ、本訴の証明より格段にハードルが低い。ただし救済はあります。97条の異議の訴えを起こせば通常の裁判で一から争えます。実務のポイント:管財人があえて訴訟ではなく否認の請求を選ぶのは、相手が異議の訴えの一か月期限を見落として決定を確定させてくれることを織り込んでいる場合がある。期限管理さえ徹底すれば、その狙いは外せる
Q2決定が出る前に裁判所から呼ばれました。行く意味はありますか?
大いにあります。96条3項は、裁判所が決定をする前に相手方または転得者を必ず審尋しなければならないと定めており、これは決定前に反論できる唯一の正式な機会です。実務のポイント:この審尋を「どうせ形式」と軽んじ、資料を準備せず臨む人が多い。だが対価の相当性や危機時期の不知をここで的確に疎明すれば、認容決定そのものを止められることがある。決定後に異議の訴えで争うより、はるかに安く速い
間違えやすい点 AI による整理
- 「決定で否認されたら、もう取り戻すしかない」と考えて諦める人がいる。だがその問いの立て方そのものが誤っている。否認の請求の認容決定は確定判決ではない。送達から一か月以内に異議の訴えを起こせば、通常の裁判で一から争える。諦めるべきは「期限を過ぎたとき」であって「決定が届いたとき」ではない
- 管財人が証明ではなく疎明で足りることは知っていても、その深刻さを見誤る人が多い。疎明とは「一応確からしい」と裁判官に思わせれば足りる程度の軽い立証。つまり管財人は、本訴なら勝てるか微妙な事案でも、まず決定だけは取れてしまう。あなたが受け身でいるほど、低いハードルのまま不利な決定が積み上がる
- 「審尋は形式的なもので、出ても無駄」と思われがちだが、逆だ。3項の審尋は、決定が出る前にあなたが直接裁判所へ反論できる唯一の正式な機会。ここで的確な疎明資料を出せば、認容決定そのものを止められることがある。審尋を軽んじた相手から順に、決定を食らっていく
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 手続の種類 | 96条:否認の請求(決定手続) | 95条:否認の訴え(判決手続) 97条:異議の訴え(事後審査) |
| 立証の程度 | 疎明で足りる(軽い立証) | 証明が必要(本格的立証) 証明が必要(本格的立証) |
| 誰が起こすか | 更生管財人 | 更生管財人 認容決定を受けた相手方・転得者 |
| 速さと位置づけ | 迅速・第一関門 | 重い・正面からの訴訟 一か月の不変期間内・第二関門 |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾は破産法に否認権(撤銷權)を置き、公司重整では破産法を準用する。日本のように更生法上に独立した略式の否認の請求手続を明文化している点に差がある
韓国は会生・破産を統合した統一倒産法に否認権(부인권)を規定。否認の類型と要件は日本法と類似し、日本法の影響が濃い
ドイツの倒産取消(Insolvenzanfechtung)は訴えまたは抗弁で行使され、日本の否認権の系譜的な源流にあたる。略式の決定手続という形は日本独自の整備
米国連邦倒産法は偏頗弁済(preferences)と詐害的譲渡(fraudulent transfers)を区別し、trustee が adversary proceeding で取り戻す。決定と異議の二段構えという日本型とは手続構造が異なる
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 倒産した取引先に、半年前に商品を納めて代金を受け取っていた。ある朝、更生管財人名義の否認の請求の認容決定が届く。受け取った代金を更生会社に返せという内容だ。あなたは「正当な取引の対価なのに、なぜ」と思う。だが疎明で足りる以上、決定はすでに出ている。あなたに残された反撃の場は、ここから一か月の異議の訴えだけだ
- もし、あなたの会社が経営の傾いた取引先から、他の債権者を出し抜いて担保を差し入れてもらっていたら、どうなる? その担保設定は「特定の債権者に対する担保の供与」として否認の請求の格好の標的になる。管財人は重い訴訟ではなく、軽い決定でその担保を無効化しにくる
- 更生手続が終わった。係属していた否認の請求はどうなるか。5項により、手続は自動的に終了する
- あなたが更生会社の債権者の一人で、ある特定の取引先だけが直前に優先弁済を受けたと知った。管財人に「あれは否認すべきだ」と情報提供すれば、管財人は重い訴訟ではなく軽い否認の請求で動ける。あなたの一報が、最終的な配当原資を押し上げる
取るべき行動
被害を受けた側:1. 特定の相手だけが直前に弁済・担保・資産を得た事実と日付を、振込記録・登記・契約書などの証拠とともに整理する2. それを更生管財人に情報提供する。管財人は重い否認の訴えではなく、疎明で足りる否認の請求で機動的に動ける3. 否認が認容されれば財産が更生会社へ戻り、最終的にあなたへの配当原資が増える。直接の当事者でなくても、一報が結果を動かす
訴えられた側:1. 認容決定が届いたら、まず送達日を確認する。異議の訴えの一か月の不変期間はそこから走り出す2. 決定前の審尋通知が来ている段階なら、そこが最初の防衛線。対価の相当性や危機時期を知らなかった事情を示す疎明資料をその場で出す3. すでに認容決定が出たら、疎明で決まった暫定的な結論にすぎないと割り切り、一か月以内に異議の訴えを提起して本格的に争う4. 期限を一日でも過ぎれば決定は確定する。弁護士相談はその日のうちに動く
時効(請求できる期限):否認の請求を認容する決定に不服がある場合、その送達を受けた日から一か月の不変期間内に異議の訴えを提起しなければならない(会社更生法97条)。この期間は延長されない。なお否認権そのものにも更生手続開始から一定期間(おおむね二年)の行使制限がある(最新の改正状況をご確認ください)。また5項により、更生手続が終了すれば請求手続自体が終了する
学説
通説(折衷説):否認権の法的性質について、通説は形成権説と請求権説を折衷し、否認の意思表示により行為の効力を相対的に失わせ、かつ財産の返還を求めうると解する。会社更生法96条の否認の請求は、この否認権を訴訟によらず決定で迅速に実現する手続として位置づけられる。
改正沿革 AI による整理
- 平成14年(2002年)会社更生法全部改正 旧会社更生法(昭和27年)を全面改正した現行会社更生法の制定により、否認の請求の手続が現在の条文構造(疎明による申立て、理由を付した決定、決定前の必要的審尋、裁判書の送達、更生手続終了による終了)として整備された
改正の年表
- 1.平成14年(2002年) 改正:旧会社更生法(昭和27年)を全面改正した現行会社更生法の制定により、否認の請求の手続が現在の条文構造(疎明による申立て、理由を付した決定、決定前の必要的審尋、裁判書の送達、更生手続終了による終了)として整備された。
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