法令により拘禁された者を看守し又は護送する者がその拘禁された者を逃走させたときは、一年以上十年以下の拘禁刑に処する。
要点刑法 101 条は、法令により拘禁された者を看守・護送する者が故意にその者を逃走させた場合に、一年以上十年以下の拘禁刑を科す。過失では成立しない故意犯である。
Q · 刑務官や護送中の警察官が収容者を逃がしたら、どんな罪になるの?
故意に逃がせば一年以上十年以下の拘禁刑です
刑法 101 条は、法令により拘禁された者を看守・護送する立場の者が、その被拘禁者を故意に逃走させた場合に、一年以上十年以下の拘禁刑を科します。本罪は故意犯であり、見回りを怠った、施錠を忘れたといった過失だけでは成立しません(残るのは懲戒処分や民事責任)。外部者による逃走援助罪(同法 100 条)が三年以下であるのに対し、職責を裏切る内部者は最高十年と格段に重く評価されます。
刑務官、護送中の警察官、入管施設の収容担当。彼らがもし担当する被収容者を「逃がした」とき、待っているのは懲戒処分だけではない。一年以上十年以下の拘禁刑、つまり実刑もありうる重い犯罪が成立する。ここで知っておくべき急所が二つある。第一に、本条は「逃走させた」、すなわち故意がある場合に限られる。うっかり施錠を忘れた、見回りを怠っていた、こうした過失だけでは本条の犯罪にはならない(懲戒処分や民事責任は別問題)。第二に、これは看守者・護送者という立場の人間しか主体になれない真正身分犯である。同じ「逃がす」行為でも、外部の協力者は第100条(逃走援助罪、三年以下)、立場のある内部者は本条(最高十年)と、刑の重さが三倍以上違う。立場が刑を決めるという構造を、あなたはこの一条で初めて見ることになる。
刑法 101 条は看守者等の逃走援助罪を定める規定である。法令により拘禁された者を看守し又は護送する立場の者が、その被拘禁者を故意に逃走させる行為を構成要件とする真正身分犯であり、注意義務違反にとどまる過失は本罪を構成しない。外部者による逃走援助罪(同法 100 条)の加重類型に位置づけられ、拘禁作用を内部から侵害する点に重い法定刑の根拠がある。
看守・護送する立場の者が故意に被拘禁者を逃走させる罪です。刑法 101 条が根拠で、法定刑は一年以上十年以下の拘禁刑。立場のある内部者のみが主体になれる真正身分犯です。
長期十年の拘禁刑にあたるため、公訴時効は逃走させた時点から七年です(刑事訴訟法 250 条 2 項)。懲戒処分や民事責任は刑事時効とは別の時間軸で進みます。
故意に逃がせば刑法 101 条の刑事責任に加え、国家公務員法上の懲戒処分が科され得ます。過失にとどまる場合は刑事責任は生じず、懲戒や民事責任の問題に整理されます。
一定の身分がある者でなければ犯人になれない犯罪です。本罪は看守・護送者という身分が前提で、身分のない協力者は刑法 65 条により身分犯の共犯として処理されます。
対象になり得ます。本罪は『看守し又は護送する者』を主体とし、刑事施設の刑務官に限られません。護送中の警察官や入管施設の職員も故意に逃がせば本罪に問われます。
本人の内心ではなく外形的事実で判断されます。金銭の授受、不自然な行動、事前の連絡記録などから捜査機関が故意を推認します。残った客観証拠が故意の有無を決めます。
自首や身柄確保への協力は量刑で有利に働き得ます。ただし本罪の成立自体を否定するものではないため、故意の不存在を争う防御とは別に検討する必要があります。
刑事責任とは別に、逃走者の行為で損害を受けた者への国家賠償や、職員個人への求償が問題になり得ます。刑事・懲戒・民事はそれぞれ別の時間軸で進みます。
いいえ。本条は「逃走させた」、つまり故意がある場合の罪です(刑法101条)。見回りを怠った、施錠を忘れたといった過失だけでは本条の犯罪は成立しません。ただし国家公務員法上の懲戒処分や、場合によっては民事責任は残ります。業界裏話ヒント:過失と故意の境目は当事者の言い分ではなく外形的事実で判断されるので、聴取で安易に経緯を語ると過失が故意に塗り替わる。弁護人を入れてから話すのが鉄則です
立場が違うからです。外部の協力者は第100条の逃走援助罪で三年以下、看守し護送する者が逃がすと本条で一年以上十年以下と格段に重い。拘禁を維持する職責を裏切る分、責任が重く評価されます。業界裏話ヒント:この立場による加重は真正身分犯と呼ばれ、身分のない協力者が看守と共謀した場合は刑法65条で身分犯の共犯として処理される。誰が主犯で誰が従犯かの構成が、各人の刑を大きく動かします
なります。本条は「法令により拘禁された者を看守し又は護送する者」を対象とし、刑事施設の刑務官に限りません。入管収容施設の職員や、護送中の警察官なども含まれます。業界裏話ヒント:どの法令に基づく拘禁かで『法令により拘禁された者』に当たるかが決まるため、拘禁の根拠が違法・無効だった場合は本条の構成要件を満たさないという反論の余地が出る。拘禁の適法性は弁護の出発点になります
| dimension | thisArticle | alternatives |
|---|---|---|
| 主体 | 看守し又は護送する者(真正身分犯・内部者) | — |
| 行為 | 担当する被拘禁者を逃走させる | — |
| 法定刑 | 一年以上十年以下の拘禁刑 | — |
| 主観 | 故意が必要(過失は不可罰) | — |
| 重さの趣旨 | 拘禁作用を内部から侵害する職責違反の加重 | — |
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