この章の罪の未遂は、罰する。
要点刑法102条は逃走の罪の未遂を処罰すると定める。未遂処罰には明文が必要だが(44条)、本条がその根拠となり、逃げ切る前に取り押さえられても逃走未遂が成立する。
Q · 逃げようとして失敗しても、逃走罪になるの?
はい。刑法102条で逃走の罪は未遂でも処罰されます。
刑法102条は、逃走の罪(単純逃走97条、加重逃走98条、被拘禁者奪取99条など)の未遂を処罰すると定めます。未遂を罰するには各本条の明文が必要ですが(44条)、本条がその明文にあたります。したがって、勾留など正式な拘禁を受けた人が逃げ切る前に取り押さえられても、逃走未遂として成立します。ただし主体は正式に拘禁された者に限られ、任意同行の段階で立ち去っても本条の対象外です。
犯罪は「成功して初めて罰する」のが大原則で、刑法44条は「未遂を罰するのは各条文で定めた場合だけ」と釘を刺している。つまり、わざわざ条文に書いていない限り、やり損ないは罪にならない。ところが逃走の罪は違う。この102条が「この章の罪の未遂は、罰する」と一行で宣言しているからだ。あなたが勾留中に塀を乗り越えようとして、あと一歩で看守に取り押さえられたとする。逃げ切れていないのに、それでも犯罪は成立する。逆に言えば、逃走罪が成立するのは裁判の執行などで正式に身柄を拘束された人だけで、任意で警察署にいる人が黙って帰っても、この条文の出番はない。誰が主体になり、どこからが未遂なのか、その線引きを知っているかどうかで、同じ行動の法的評価が天と地ほど変わる。
刑法102条は、逃走の罪を定める章(第2編第7章)の各罪について未遂を処罰する旨を規定する。刑法44条が未遂処罰に明文を要求するのに対する特則であり、本条により単純逃走罪・加重逃走罪・被拘禁者奪取罪等の未遂が可罰化される。主体は裁判の執行等で正式に拘禁された者に限られる。
正式に拘禁された者が逃走を試みたものの、看守の実力的支配を脱する前に取り押さえられた状態です。刑法102条により未遂でも処罰されます。
はい。刑法102条は「この章の罪の未遂」を罰すると定めており、加重逃走罪(98条)の未遂も含まれます。単純逃走より法定刑が重くなります。
通説・判例は、看守の実力的支配を完全に脱した時点で既遂とします。それ以前に取り押さえられれば未遂にとどまります。
単純逃走罪(97条)には拘禁刑が定められています。令和5年(2023年)の改正で逃走の罪の法定刑が見直されているため、最新の条文をご確認ください。
実務上、解釈が分かれます。行政上の収容と刑事手続上の拘禁は法的性質が異なり、刑法の逃走罪が適用されるかが争点になります。
裁判の執行や勾引状の執行などにより正式に拘禁された者です。任意同行や任意取調べの段階の人は主体になりません。
被拘禁者を逃走させる行為は逃走援助罪(100条)等に問われ得ます。これらの罪の未遂も102条で処罰の対象です。
基本犯の法定刑に対応します。単純逃走罪は公訴時効が短い類型ですが、改正で刑が変われば時効も変わるため最新の法定刑をご確認ください。
刑法では、未遂を罰するのは条文で明記された場合だけというのが原則です(44条)。多くの犯罪は未遂を処罰しません。ところが逃走の罪は、102条がわざわざ「この章の罪の未遂は、罰する」と定めているため、逃げ切れなくても罪になります。業界裏話ヒント:立法者が「未遂でも罰する」と書く犯罪は限られており、それ自体が国家がその行為をどれだけ重く見ているかのシグナルです。逃走罪はそのリストに入っている、という事実が量刑判断の出発点になる。
なりません。逃走罪(97条)の主体は、裁判の執行や勾引状の執行などで正式に拘禁された人に限られます。任意同行・任意の取調べは身柄拘束ではないので、帰る自由があります。業界裏話ヒント:ただし、帰ろうとした瞬間に証拠隠滅や逃亡のおそれありと判断されると、その場で緊急逮捕に切り替わることがあります。任意か強制かは流動的で、帰る自由があるからといって安全とは限らない。
看守の実力的支配を完全に脱する前に、自分の意思で中止したのであれば、中止未遂(43条但書)として刑が必ず減軽または免除されます。外的に取り押さえられた場合(障害未遂)とは扱いが違います。業界裏話ヒント:「自分の意思で」やめたのか、それとも「もう無理だと観念して」やめたのかの線引きが争点になります。自発性をどう立証・主張するかで、減免されるかどうかが決まるため、やめた瞬間の事情を具体的に記録しておくことが効いてくる。
| dimension | thisArticle | alternatives |
|---|---|---|
| 規定の役割 | 102条:逃走の章の各罪の未遂を処罰する宣言 | — |
| 機能 | 未遂を可罰化する根拠条文 | — |
| 適用関係 | 44条が要求する「明文」を提供し、本章の未遂を処罰可能にする | — |
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