要点刑法 129 条は、過失で汽車・電車・艦船の往来に危険を生じさせた者を 30 万円以下の罰金に処する。死傷がなくても電車を止めた時点で成立し、業務従事者は 2 項で拘禁刑に加重される。
Q · 踏切で車が立ち往生して電車を止めてしまったら、誰も怪我していなくても罪になりますか?
過失があれば、危険を生じさせた時点で罪になります
刑法 129 条は過失往来危険罪を定め、汽車・電車・艦船の往来に危険を生じさせた時点で成立します。死傷という結果は不要で、電車を緊急停止させただけでも「往来の危険」が認められ得ます。1 項は 30 万円以下の罰金。ただし非常ボタンを押す・通報するなど適切に対応していれば過失なしとされる余地があります。運転士・船員など業務に従事する者は、2 項で 3 年以下の拘禁刑に加重されます。
踏切の警報が鳴り出したのに前の車が詰まっていて、あなたの車だけ線路上に取り残される。誰も怪我をしなくても、電車が緊急停止すれば、それだけで刑法129条が動き出す。この条文の怖さは「結果」を問わない点にある。人が死んだから罰するのではなく、汽車・電車・艦船の往来に「危険」を生じさせた瞬間に犯罪が成立する。過失、つまりうっかりでも構わない。罰金は30万円以下。さらに重要なのは2項だ。運転士や船員のように、その業務に従事する者が同じことをやると、3年以下の拘禁刑という桁違いの重さに跳ね上がる。プロには高い注意義務が課されるからだ。あなたが知っておくべきは、危険犯であるこの罪では「結果オーライ」が通用しないこと。電車を止めた、架線を傷つけた、その時点で線は越えている。
過失往来危険罪は、過失により汽車・電車・艦船の往来に危険を生じさせ、または汽車・電車の転覆・破壊、艦船の転覆・沈没・破壊を引き起こす行為を処罰する犯罪である。結果としての死傷を要件とせず、往来の安全に対する危険が現実に生じた時点で成立する過失の危険犯であり、業務に従事する者には加重類型が定められている。
過失により汽車・電車・艦船の往来に危険を生じさせる行為を処罰する刑法 129 条の犯罪です。死傷という結果は不要で、電車を止めるなど往来の安全に危険が生じた時点で成立する危険犯です。
1 項は罰金のみのため公訴時効 3 年、業務従事者の 2 項は 3 年以下の拘禁刑のため 5 年です(刑事訴訟法 250 条)。いずれも犯罪行為が終わった時から起算します。
過失で架線を損傷し電車の往来に危険を生じさせれば、過失往来危険罪が成立し得ます。航空法違反とは別に刑法 129 条の責任が問われる点が見落とされがちです。
129 条は人の死傷がなくても往来の危険で成立する危険犯、211 条は人の死傷という結果が必要です。死傷が出れば両罪が成立し観念的競合になります。
逮捕後は最大 23 日(逮捕 72 時間+勾留 10 日+延長 10 日)の身柄拘束の中で、検察官が起訴・不起訴を判断します。非常ボタンを押した記録などが不起訴方向に働きます。
運転士・車掌・船員・保線作業員など、汽車・電車・艦船の運行や安全に職務上関わる者を指します。高い注意義務を負うため、2 項で拘禁刑に加重されます。
罰金刑でも有罪が確定すれば前科になります。1 項の罰金 30 万円以下でも記録は残り、2 項の拘禁刑なら社会的影響はさらに大きくなります。
不注意で線路上に物を落とし、電車の往来に危険を生じさせれば過失往来危険罪が成立し得ます。直ちに非常ボタンを押し通報すれば過失の評価を下げられます。
必ずではなく、過失があったかどうかが分かれ目です。突然の機械故障で、非常ボタンを押すなど適切に対応していれば過失なしとされる余地があります(129条1項)。逆に、焦って無理に進入した、非常ボタンの存在を知りながら使わなかった場合は過失が認定されやすい。業界裏話ヒント:踏切非常ボタンを押した記録は、押した時刻が分単位で残ります。即座に押せば「適切に対応した」客観的証拠になり、不起訴の方向に強く働く。事故の瞬間に何より先に押すべきはこのボタンです
129条は結果(人の死傷)ではなく「往来の危険」という抽象的な危険を罰する危険犯だからです。電車が脱線・衝突する危険を生じさせただけで成立します。死傷が出れば別途業務上過失致死傷罪(211条)が成立し、観念的競合になります。業界裏話ヒント:危険犯では「結果オーライ」が通用しません。多くの人は「誰も怪我してないから大丈夫」と考えますが、緊急停止やダイヤの乱れが起きた時点で危険発生と評価されうる。この感覚のズレが、軽く見て対応を誤る最大の落とし穴です
129条2項は行為者個人を罰する規定で、会社を罰する両罰規定は置かれていません。ただし鉄道事業法等に基づく行政処分や、被害者への民事賠償(民法709条、使用者責任は715条)は別の話です。業界裏話ヒント:刑事は個人責任でも、民事の賠償は資力のある会社に集中します。被害者側は使用者責任で会社本体を狙うのが定石。逆に運転士個人は、刑事の前科リスクと会社からの求償の双方に晒されるので、早期の弁護人選任が要る
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|---|---|---|
| 主観的要件 | 過失(うっかりでも成立) | — |
| 成立時点・要件 | 往来の危険発生で成立、死傷は不要(危険犯) | — |
| 法定刑 | 30 万円以下の罰金(2 項は 3 年以下の拘禁刑等) | — |
| 未遂処罰 | なし(過失犯のため) | — |
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