税関職員が、あへん煙又はあへん煙を吸食するための器具を輸入し、又はこれらの輸入を許したときは、一年以上十年以下の拘禁刑に処する。
要点刑法 138 条は、税関職員があへん煙等を輸入し、またはその輸入を許したとき、一年以上十年以下の拘禁刑に処すると定める。密輸者本人より重い加重処罰の身分犯である。
Q · 税関職員があへんの密輸を見逃したら、密輸した本人より重く罰されるの?
はい。見逃した税関職員は一年以上十年以下の拘禁刑です
刑法 138 条は、税関職員があへん煙またはその吸食器具を輸入し、またはこれらの輸入を許したときに、一年以上十年以下の拘禁刑に処すると定めます。密輸の基本類型である同法 136 条(六月以上七年以下)より重く、見逃した側の方が重く罰されます。これは水際を守る公務員の背信を加重する身分犯であり、自ら荷物を運ばなくても『輸入を許した』という不作為で成立しえます。賄賂を伴えば収賄罪(197 条)と併合罪になることもあります。
あへん煙を密輸した一般人は、刑法 136 条で六月以上七年以下。ところが、その密輸を水際で止めるべき税関職員が自ら輸入し、あるいは見て見ぬふりで輸入を許せば、刑は一年以上十年以下に跳ね上がる。同じ「あへん煙が国内に入る」という結果でも、守る立場にいた者の裏切りを、法ははるかに重く罰する。これが刑法 138 条だ。押さえるべき点は二つ。第一に、これは身分犯。税関職員という地位がなければこの条文は適用されず、一般人の関与は 136 条や共犯の問題になる。第二に、「輸入を許した」という不作為まで処罰対象に含む。自ら荷物を運ばなくても、検査ラインで通してしまえば射程に入る。あなたが知っておくべきは、この一条が刻む価値判断だ。門番が門を開けたとき、侵入者本人より門番のほうが重い。公権力を託された者の背信は、行為そのものより重い、という思想がここに埋め込まれている。
刑法 138 条は、あへん煙等の輸入に関する税関職員の加重処罰を定める規定である。税関職員という身分を前提とする身分犯であり、自らの輸入行為のみならず、職務上『輸入を許した』という不作為をも処罰対象に含む。基本類型である同法 136 条のあへん煙輸入罪より重い法定刑を科し、水際取締りを担う公務員の背信を加重する。
税関職員があへん煙やその吸食器具を輸入し、または輸入を許したときに、一年以上十年以下の拘禁刑を科す規定です。公務員の背信を加重処罰する身分犯です。
一年以上十年以下の拘禁刑です。密輸者本人を罰する 136 条の上限七年より重く、見逃した側の方が重く処罰されます。
一定の身分がある者だけが主体となれる犯罪です。刑法 138 条は税関職員という身分を前提とし、一般人が単独で問われることはありません。
義務に反して『何もしなかった』ことが処罰される犯罪です。138 条の『輸入を許した』は、自ら運ばなくても検査ラインで通すなどの不作為を含みます。
現行の規定です。現代の薬物は麻薬及び向精神薬取締法・関税法が担いますが、刑法第 14 章のあへん煙の罪は廃止されておらず効力を持ちます。
本罪は長期十年の拘禁刑のため、公訴時効は犯罪行為が終わった時から原則 7 年です(刑事訴訟法 250 条)。起算点は最後の犯罪行為の終了時です。
賄賂を受け取れば収賄罪(197 条)、輸入を許せば 138 条で別軌道です。両方が成立して併合罪となることがあります。
2022 年改正で懲役・禁錮が拘禁刑に一本化されました(2025 年 6 月施行)。138 条も『十年以下の懲役』から『十年以下の拘禁刑』に表記が変わりました。
守る義務を負う者が裏切ると、薬物が国内に入る害に加えて、税関制度そのものへの信頼が崩れるからです。だから 136 条の密輸者(上限七年)より、138 条の税関職員(上限十年)が重い。業界裏話ヒント:この『立場が重いほど刑も重い』構造は収賄罪(刑法 197 条)や特別公務員職権濫用罪(194 条)と同じ思想。汚職事件を読むとき、肩書きが上がるほど隠れた重罪が増える、という目で見ると報道の見え方が変わる
自ら荷物を運ばなくても、検査ラインで意図的に通す、異常を「なし」と虚偽記録する、といった不作為で成立しえます。鍵は『故意』。うっかりの検査ミスは過失なので 138 条にはなりません。業界裏話ヒント:捜査でも弁護でも、争いの中心は常に故意か過失か。職員側は『見落とした』、検察側は『分かって通した』と主張する。この一点を裏づける通信記録や金の流れの有無が、初動段階で勝敗をほぼ決める
138 条は税関職員という身分を前提とした身分犯なので、一般人が単独で問われることはありません。ただし職員に見逃しを依頼・共謀した場合、共犯として 138 条の責任を負う可能性があり、自ら密輸すれば 136 条が適用されます。業界裏話ヒント:身分犯の共犯は『身分のない者も共犯になりうる』(刑法 65 条)という応用論点。職員に頼んだ側が『自分は税関職員じゃないから無関係』と油断するのが最大の落とし穴
| dimension | thisArticle | alternatives |
|---|---|---|
| 主体 | 刑法 138 条:税関職員(身分犯) | — |
| 対象行為 | あへん煙・吸食器具の輸入+『輸入を許した』不作為 | — |
| 法定刑 | 一年以上十年以下の拘禁刑 | — |
| 趣旨 | 水際を担う公務員の背信を加重 | — |
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