国会法 第100条
クイックジャンプ
- 参議院の緊急集会中、参議院の議員は、院外における現行犯罪の場合を除いては、参議院の許諾がなければ逮捕されない。
- 2.内閣は、参議院の緊急集会前に逮捕された参議院の議員があるときは、集会の期日の前日までに、参議院議長に、令状の写を添えてその氏名を通知しなければならない。
- 3.内閣は、参議院の緊急集会前に逮捕された参議院の議員について、緊急集会中に勾留期間の延長の裁判があつたときは、参議院議長にその旨を通知しなければならない。
- 4.参議院の緊急集会前に逮捕された参議院の議員は、参議院の要求があれば、緊急集会中これを釈放しなければならない。
- 5.議員が、参議院の緊急集会前に逮捕された議員の釈放の要求を発議するには、議員二十人以上の連名で、その理由を附した要求書を参議院議長に提出しなければならない。
この条文の基本情報
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 国会法第100条は、日本の国会法に含まれる条文です。
- 国会法第100条の条文原文は「参議院の緊急集会中、参議院の議員は、院外における現行犯罪の場合を除いては、参議院の許諾がなければ逮捕されない。」で始まります。
- 国会法第100条は第十一章に置かれています。
- 国会法の公布日は昭和22年4月30日です。
- 国会法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年4月5日時点では廃止情報はありません。
- 国会法第100条の前の条は国会法第99条です。
- 国会法第100条の次の条は国会法第101条です。
- 国会法第100条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
国会法(昭和二十二年法律第七十九号)第100条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/322AC1000000079 - 本サイト収録
国会法(昭和二十二年法律第七十九号)第100条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年4月5日)https://lawplayer.com/jp/article/322AC1000000079/100
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点国会法100条は、参議院の緊急集会中、参議院議員は院外の現行犯を除き参議院の許諾なく逮捕されないと定める。集会前に逮捕された議員も、参議院の要求で集会中は釈放される。
Q · 衆議院の解散中に緊急集会が開かれたら、参議院議員は逮捕されないの?
集会中だけ、院外の現行犯以外は参議院の許諾が必要
国会法100条1項により、参議院の緊急集会中、参議院議員は院外の現行犯を除いて、参議院の許諾がなければ逮捕されません。集会前に逮捕されていた議員も、議員20人以上の連名による要求書を経て参議院が要求すれば、集会中は釈放されます(同条4項・5項)。ただし止まるのは逮捕だけで、捜査や在宅起訴は続きます。解散で失職した元衆議院議員には、この保護はありません。
解説
衆議院が解散されると、国会は半分空っぽになる。だが大災害や有事は総選挙を待ってくれない。そのために日本国憲法54条2項は、内閣が参議院だけを呼び集める「緊急集会」という非常口を用意した。本条は、その非常口に立つ参議院議員の身柄を守る規定である。緊急集会中は、院外での現行犯でない限り、参議院の許諾(議院として多数決で出す同意)がなければ逮捕されない。集会前から逮捕されていた議員も、議員20人以上の連名で発議された釈放要求を参議院が可決すれば、集会中は釈放しなければならない。ここで見落とされやすい点が二つある。第一に、守られるのは「逮捕」、つまり身柄だけである。捜査や、身柄を拘束しないままの在宅起訴は止まらない。第二に、同じ時期、解散で議席を失った元衆議院議員には何の盾もない。国家が非常時にあるとき、誰の身柄が政治的な介入から守られ、誰が守られないのか。その線を引いているのがこの五項である。
法的な位置づけ
国会法100条は、日本国憲法54条2項に基づく参議院の緊急集会について、参議院議員の不逮捕特権と、集会前に逮捕された議員の釈放手続を定める規定である。集会中は院外の現行犯を除き参議院の許諾なく逮捕されず、集会前に逮捕された議員は参議院の要求により集会中は釈放される。内閣には参議院議長への通知義務が課される。
よくある質問 AI による整理
Q1参議院の緊急集会とは?
衆議院の解散中に国会の議決が緊急に必要になったとき、内閣の求めで参議院だけが開く集会です(日本国憲法54条2項)。とられた措置は、次の国会で衆議院の同意が必要です。
Q2緊急集会中の参議院議員は逮捕できる?
院外の現行犯であれば許諾なしで逮捕できます。それ以外は参議院の許諾が必要です(国会法100条1項)。許諾が出れば、通常どおり逮捕できます。
Q3緊急集会はこれまで何回開かれた?
戦後に開かれたのは、昭和27年(1952年)と昭和28年(1953年)の2回だけです。いずれも数日以内に終わっています。
Q4緊急集会前に逮捕された議員は釈放される?
自動的には釈放されません。議員20人以上の連名で理由を付けた要求書が出され、参議院が釈放を要求した場合に限り、集会中は釈放しなければなりません(国会法100条4項・5項)。
Q5釈放要求はいつまでに出す?
条文上の期限はありませんが、要求の効果は集会中に限られます。集会は短期間で終わることが多いため、内閣の通知が届いたらすぐに連名を集める必要があります。
Q6内閣が議長に通知する義務とは?
集会前に逮捕された参議院議員がいる場合、内閣は集会期日の前日までに、令状の写しを添えて氏名を議長に通知します。集会中に勾留延長の裁判があったときも通知が必要です(同条2項・3項)。
Q7国会法100条と33条の違いは?
33条は通常の会期中に両院の議員を守る規定です。100条は、衆議院の解散中に開く参議院の緊急集会中に限り、参議院議員を守る特則です。
Q8緊急集会中の不逮捕特権はいつ終わる?
議長が緊急集会の終了を宣告した時点で終わります(国会法102条)。終了後は通常の閉会中と同じ扱いになり、許諾なしで逮捕できます。
この条文についての質問 AI による整理
Q1衆議院が解散してる間って、国会議員はみんな逮捕されないんですか?
逆です。衆議院議員は解散で身分を失うため、特権はありません。参議院議員も閉会中は原則として特権がなく、本条によって守られるのは緊急集会が開かれている間だけです(国会法100条1項、日本国憲法50条)。実務のポイント:不逮捕特権は人ではなく「会期」に付いています。捜査の現場では、逮捕のタイミングを会期の外に置くことが常識として意識されています
Q2逮捕されないなら、起訴もされないってことですよね?
違います。本条が止めるのは逮捕、つまり身柄の拘束だけです。身柄を拘束しない在宅での捜査や起訴、判決は通常どおり進みます(国会法100条1項)。実務のポイント:議員にとって本当に痛いのは、逮捕そのものより、許諾請求が議院に出されたという事実が報道されることです。許諾が否決されても、政治的なダメージはその時点でほぼ確定してしまいます
Q3許諾するときに「何日までなら逮捕していい」みたいな条件は付けられるんですか?
実務上、解釈が分かれています。議院の判断を尊重して条件付きの許諾も認めるべきだという見解がある一方、昭和29年の東京地裁決定は、許諾に付けた期限を無効と扱った例として知られています(国会法33条、100条1項)。実務のポイント:条件を付けた許諾が後で裁判所に無視される可能性がある以上、議院にとって実際の選択肢は「全面的に許諾するか、拒否するか」になりやすいです
間違えやすい点 AI による整理
- 「議員は逮捕されないから罪にも問われない」という問いの立て方そのものがずれている。本条が止めるのは逮捕という身柄の拘束だけで、捜査、任意の取調べ、在宅起訴、有罪判決はいずれも止まらない。不逮捕特権は「逃げ得」の制度ではなく、「審議の場から外されない」ための制度である
- 不逮捕特権が国会の会期中だけのものだという点は知られている。だが、その時間的な限定がどれほど厳しいかは知られていない。衆議院が解散されれば、衆議院議員は身分そのものを失う。参議院議員も、閉会中は原則として特権がない。例外的に盾が立ち上がるのは、内閣の求めで緊急集会が開かれている数日間だけであり、戦後に開かれたのは昭和27年と昭和28年の2回にすぎない
- 市民の目には、不逮捕特権は政治家の身内びいきに映る。だが法律の目で見ると、主眼は逆方向にある。内閣と捜査機関が気に入らない議員を逮捕し、緊急時の採決から外すことを防ぐ装置である。行政権から立法府を守る設計であると理解しないまま「特権廃止」を叫ぶと、非常時に権力が最も集中する場面の防波堤を自分で崩すことになる
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 適用される期間 | 国会法100条:参議院の緊急集会中に限る | 国会法33条:国会の会期中 国会法34条の3:会期中(会期前逮捕議員の釈放要求) |
| 保護される議員 | 参議院議員のみ(衆議院は解散中のため不存在) | 衆参両院の議員 会期前に逮捕された各議院の議員 |
| 許諾・要求を出す主体 | 参議院(許諾・釈放要求) | 議員が所属する院(許諾) 議員が所属する院(釈放要求) |
| 釈放要求の発議要件 | 議員20人以上の連名+理由を付けた要求書を参議院議長へ(5項) | 規定なし(許諾の原則のみ) 議員20人以上の連名+理由を付けた要求書をその院の議長へ |
他国ではどう定めているか 4 か国
立法委員は会期中、現行犯を除き立法院の許可なく逮捕・拘禁されない。台湾は一院制で解散後の緊急集会に当たる制度がないため、不逮捕特権も会期を基準に判断する
韓国も会期中の不逮捕と会期前逮捕議員の釈放要求を憲法で定める。一院制のため緊急集会に当たる制度はない
ドイツは会期で区切らず、議員の任期中ずっと連邦議会の許可を要する不逮捕特権(Immunität)を採用している。現行犯や翌日までの逮捕は例外とされる
米国は登院中と往復時の逮捕からの自由を定めるが、反逆罪・重罪・治安妨害は除外される。現在は民事逮捕に限られると解され、日本より射程が狭い
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- もし衆議院の解散中に大地震が起き、緊急集会が開かれているさなかに、ある参議院議員の収賄疑惑が浮上したら、どうなる? 院外の現行犯でない以上、参議院の許諾がなければ身柄は取れない。捜査は続けられるが、逮捕のタイミングは議院の判断に委ねられる
- あなたは参議院の会派で事務を担当している。所属議員が緊急集会の直前に逮捕され、内閣から議長への通知(本条2項)が届いた。釈放要求の発議には議員20人以上の連名と理由書が要る。集会は案件が片付けば終わるため、署名集めに使える時間は実質一日か二日しかない
- 解散中に、元衆議院議員が逮捕された。緊急集会が開かれていても、彼はもう議員ではない。本条の盾は最初から存在しない
- 通勤途中の駅のホームで、参議院議員が人を殴る場面を目撃した。緊急集会中であっても、院外の現行犯なので許諾は不要である。警察官だけでなく、居合わせたあなたも私人として逮捕できる(刑事訴訟法213条)
取るべき行動
被害を受けた側:1. 被害が院外の現行犯の場面であれば本条の制限はかからない。すぐに110番し、警察官による逮捕、または私人による逮捕も可能である(刑事訴訟法212条、213条) 2. 現行犯でなければ被害届か告訴状を出す。許諾が要るのは逮捕だけで、捜査は止まらない3. 損害賠償(民法709条)は議員の身分とは無関係に請求できる4. 集会終了後の捜査に備え、診断書、動画、目撃者の連絡先を保全しておく
訴えられた側:1. 本条が守るのは身柄だけである。任意の取調べや在宅起訴はありうる前提で、早期に弁護人を確保する2. 集会前に逮捕されている場合は、内閣から議長への通知(本条2項)が出たかを確認し、同僚議員に20人以上の連名による釈放要求を依頼する3. 理由書では、緊急案件の審議に出席する必要性を具体的に示す4. 集会が終われば盾は消えるため、終了後の身柄対応も並行して準備する
時効(請求できる期限):特定の時効はない。不逮捕の効果は、緊急集会の開始から、議長が集会の終了を宣告するまで(国会法102条)に限られる。集会前に逮捕された議員についての内閣の通知期限は、集会期日の前日(本条2項)。犯罪自体の公訴時効は刑事訴訟法250条に従う
学説
議院の自律性・審議権確保説(通説的理解):不逮捕特権の主な目的は、行政権による不当な逮捕から議院の審議機能を守ることにある。議員個人の利益を守るものではないとされ、本条はこれを緊急集会という非常時に及ぼしたものと理解される。
条件付き許諾の可否をめぐる対立:議院の判断を尊重して、期限や条件を付けた許諾も有効とする見解がある。これに対し、許諾は逮捕の可否だけを判断するもので、条件は付けられないとする見解もあり、対立が続いている。
ログインすると、この条文にメモを残して他の利用者と共有できます。
ログインして共同ノートを始める