刑事訴訟法 第265条
クイックジャンプ
- 第二百六十二条第一項の請求についての審理及び裁判は、合議体でこれをしなければならない。
- 2.裁判所は、必要があるときは、合議体の構成員に事実の取調をさせ、又は地方裁判所若しくは簡易裁判所の裁判官にこれを嘱託することができる。この場合には、受命裁判官及び受託裁判官は、裁判所又は裁判長と同一の権限を有する。
この条文の基本情報
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 刑事訴訟法第265条は、日本の刑事訴訟法に含まれる条文です。
- 刑事訴訟法第265条の条文原文は「第二百六十二条第一項の請求についての審理及び裁判は、合議体でこれをしなければならない。」で始まります。
- 刑事訴訟法第265条は第二章 公訴に置かれています。
- 刑事訴訟法の公布日は昭和23年7月10日です。
- 刑事訴訟法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年9月5日時点では廃止情報はありません。
- 刑事訴訟法第265条の前の条は刑事訴訟法第264条です。
- 刑事訴訟法第265条の次の条は刑事訴訟法第266条です。
- 刑事訴訟法第265条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)第265条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/323AC0000000131 - 本サイト収録
刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)第265条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年9月5日)https://lawplayer.com/jp/article/323AC0000000131/265
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点刑事訴訟法265条は、付審判請求の審理と裁判を合議体(三人の裁判官)で行うと定める。検察の起訴独占に介入する制度のため、一人の裁判官に握りつぶさせない趣旨である。
Q · 警察官を不起訴にされたけど、その判断って裁判所にひっくり返してもらえるの?
付審判請求なら三人の裁判官の合議で審理される
刑事訴訟法262条の付審判請求が出されると、その審理と裁判は同法265条により合議体(三人の裁判官)で行わなければなりません。検察官の起訴独占(247条)に市民が外から介入できる数少ない制度のため、一人の裁判官の裁量で軽々に処理させないよう合議が強制されています。裁判所は必要に応じて合議体の一員に事実の取調べをさせ、または地裁・簡裁の裁判官に嘱託することもできます(265条2項)。対象は警察官・刑務官などの職権濫用・暴行陵虐に限られ、請求は不起訴通知から七日以内です。
解説
警察官に暴行された、取調べで自白を強要された、それでも検察は身内であるその警察官を不起訴にした。多くの人はここで諦める。だが刑事訴訟法には、検察の判断を裁判所にひっくり返させる細い回路がある。付審判請求(262条)だ。そして265条は、その請求の審理と裁判を単独の裁判官ではなく合議体、つまり三人の裁判官の合議でしなければならないと定める。なぜわざわざ三人か。付審判は、検察官が独占する起訴権限(247条)に市民が外から風穴を開ける、日本でほぼ唯一の制度だからだ。一人の裁判官の胸三寸で握りつぶされないよう、複数の目を強制している。さらに裁判所は、事実の取調べを合議体の一員にさせたり、地裁・簡裁の裁判官に委ねたりできる(2項)。あなたが知っておくべきは、この一条が「検察が動かない事件でも、市民が裁判所を動かせる」という構造そのものを手続面で支えている点だ。
法的な位置づけ
刑事訴訟法265条は、付審判請求についての審理および裁判の主体を定める規定であり、これを必ず合議体で行うべき旨を規律する。あわせて合議体の構成員による事実の取調べ、および地方裁判所・簡易裁判所の裁判官への嘱託を認め、受命裁判官・受託裁判官に裁判所または裁判長と同一の権限を付与する。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.対象犯罪かどうかを確認する 付審判が使えるのは警察官・検察官・刑務官など特別公務員の職権濫用(刑法194条)・暴行陵虐(195条)等に限られる。一般事件なら付審判ではなく検察審査会の土俵かを最初に見極める
- 2.不起訴通知の日付を確認し七日のカウントを始める 不起訴処分の通知(260条)を受けた日から七日以内が勝負。通知が届く前から証拠と請求書の準備を進め、受領日を起算日として残り日数を即座に数える
- 3.三人の合議体を説得できる客観証拠を揃える 265条が合議体審理を保障する以上、一人を感情で動かす戦術ではなく、三人の法律家を客観証拠で説得する設計にする。診断書・現場映像・複数の目撃供述を最大限添付する
- 4.不起訴をした検察官に付審判請求書を差し出す 請求書は不起訴処分をした検察官に提出する(262条2項)。提出先と方式を誤ると期限内でも不適法になりうるため、提出経路を弁護士と確認する
- 5.合議体の審理に備え弁護士と方針を固める 付審判決定が出れば指定弁護士(268条)が検察官役となり公判が始まる。決定前後の見通しを踏まえ、刑事に強い弁護士と審理方針・追加立証を固める
よくある質問 AI による整理
Q1付審判請求とは何ですか?
検察官が公務員の職権濫用・暴行陵虐などを不起訴にした場合に、被害者が裁判所へ直接審判を求める制度です。刑訴法262条が根拠で、認められると審理は合議体で行われます。
Q2付審判請求はいつまでにすればいいですか?
不起訴処分の通知(260条)を受けた日から七日以内に、不起訴をした検察官へ請求書を差し出す必要があります(262条2項)。一日でも過ぎると不適法として却下されます。
Q3付審判の対象になる犯罪は何ですか?
警察官・検察官・刑務官など特別公務員の職権濫用罪(刑法194条)、暴行陵虐罪(195条)等に限られます。一般の窃盗や詐欺の不起訴には使えません。
Q4付審判の認容率はどのくらいですか?
極めて低く、付審判決定は全国で年間ごく僅かです。制度の存在と実効性は別物で、請求書に添える客観証拠の質が結果を大きく左右します。
Q5検察審査会と付審判はどう違いますか?
付審判は公務員の職権濫用等に限り裁判所が直接審理します。検察審査会は犯罪一般について市民が検察の不起訴を審査する別制度で、対象も手続も異なります。
Q6準起訴手続とは何ですか?
付審判手続の別称です。検察官の起訴を経ずに裁判所の付審判決定(267条)で公訴提起があったとみなされるため、起訴に準ずる手続としてこう呼ばれます。
Q7付審判請求に弁護士は必要ですか?
必須ではありませんが、認容率が低く客観証拠の構成が決定的なため、刑事に強い弁護士と早期に組むことが実務上ほぼ不可欠です。
Q8付審判決定が出るとどうなりますか?
付審判決定(267条)により公訴提起があったものとみなされ、指定弁護士(268条)が検察官役となって公判が始まります。事実上の起訴と同じ効果を持ちます。
この条文についての質問 AI による整理
Q1不起訴になった事件を裁判所に持ち込めるって本当ですか? どんな事件でもできるんですか?
どんな事件でもは無理です。付審判請求(262条)が使えるのは、警察官や検察官など公務員の職権濫用罪・暴行陵虐罪(刑法193条から196条)等に限られ、一般の窃盗や詐欺の不起訴には使えません。実務のポイント: 一般事件の不起訴に不服なら、付審判ではなく検察審査会への申立てが筋です。両者は対象も手続も別物で、間違えると貴重な期限を空費する。まず自分の事件がどちらの土俵かを見極めることが第一歩
Q2合議体で審理されると、単独の裁判官より有利になるんですか?
有利・不利という単純な話ではなく、慎重さの担保です。265条が三人の裁判官による合議を強制するのは、検察の起訴独占に介入する重大な判断だからで、一人の裁量で軽々に握りつぶさせない趣旨です。実務のポイント: 合議体だからといって認容率が上がるわけではありません。付審判決定は全国で年間ごく僅か。合議の壁を越えるのは『三人の法律家が、検察の不起訴判断を覆すに足ると確信する客観証拠』があるかどうか。請求書の作り込みがすべてを決める
間違えやすい点 AI による整理
- 「不起訴になったら終わり」と思っている人が多いが、公務員の職権濫用・暴行陵虐などの特定犯罪については、付審判請求で裁判所に直接判断を求められる。検察の不起訴は、これらの罪については最終決定ではない
- 付審判という制度があるのは知っていても、その認容率が極めて低く、全国で年間ごく僅かしか付審判決定が出ない現実までは知らない人が多い。制度の存在と実効性は別物で、請求書に添える客観証拠の質が結果を左右する
- あなたから見れば「警察官を裁判にかけてほしい」という単純な願いだが、裁判所から見れば「検察の起訴裁量に司法が介入する例外的局面」だ。この温度差を理解せず感情だけで請求すると、三人の合議体は冷ややかに棄却する
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 条文の役割 | 265条:付審判請求の審理・裁判は合議体で行う | 262条:付審判請求そのものの根拠・要件 266条:請求についての決定(棄却 or 付審判) |
| 判断の主体 | 合議体(三人の裁判官) | 請求人(被害者・告訴人) 合議体(265条を前提に決定) |
| 時間的位置 | 審理段階の形式を規律 | 不起訴通知から七日以内の入口 審理後の出口(結論) |
| 効果 | 単独裁判官による握りつぶしを防ぐ | 検察の起訴独占に風穴を開ける 付審判決定ならみなし起訴(267条)へ |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾は不起訴に不服の告訴人が裁判所に交付審判(近年は准起訴に再編)を請求できる。検察の不起訴を司法が統制する点で付審判と同趣旨だが、対象犯罪の限定は日本より緩やか。
韓国は再定申請(재정신청)により不起訴に対し高等法院へ審判を求められる。対象は当初公務員犯罪中心だったが後に拡大され、日本の付審判より適用範囲が広い。
ドイツの起訴強制手続は付審判の系譜上の母法にあたる。被害者が不起訴決定に対し高等裁判所へ起訴強制を求める点で構造が近い。
米国では検察官の訴追裁量が広く尊重され、不起訴を司法が直接覆す一般的制度はない。大陪審や私訴の枠組みが部分的機能を担うにとどまる。
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- デモの現場で警察官に殴られ全治二週間。告訴したが検察は不起訴にした。ここで終わりではない。特別公務員暴行陵虐罪(刑法195条)は付審判請求の対象犯罪で、不起訴通知を受け取ってから動けば、あなたの請求は三人の裁判官による合議体で審理される
- もし不起訴処分の通知が今日届いたら、あなたに残された時間はわずか七日。付審判請求は通知を受けた日から七日以内(262条2項)に請求書を差し出さねばならない。この期限を一日でも過ぎれば、合議体は審理の入口にすら立たせてくれない
- 職権濫用を訴えられた公務員のあなた。付審判請求が出れば、審理するのは一人ではなく三人の裁判官だ。説得すべき相手が三倍になる
- あなたの家族が留置場で不審死し、刑務官の暴行を疑って告訴したのに不起訴。残された遺族にできる数少ない一手が、この合議体審理に乗せる付審判請求だ
取るべき行動
被害を受けた側:1. 対象犯罪かを確認する。警察官・検察官・刑務官など特別公務員の職権濫用(刑法194条)、暴行陵虐(195条)等に限られる2. 不起訴通知(260条)を受けたら七日以内が勝負、請求書を不起訴処分をした検察官に差し出す(262条2項) 3. 客観証拠を最大限添付する。三人の合議体を説得する前提で、診断書・映像・目撃供述を整える4. 認容率は極めて低いため、刑事に強い弁護士と早期に組み、一般事件なら検察審査会への申立てとどちらの土俵かを見極める
訴えられた側:1. 付審判請求が出ても、それ自体は起訴ではない。合議体が審理し、付審判決定(267条)が出て初めてみなし起訴になる2. 審理は三人の裁判官で行われるため、単独審より客観性が担保され、感情的な認容も棄却も起きにくい3. 事実の取調べが受命・受託裁判官に委ねられる場合(265条2項)、その手続でも防御の機会を確保する4. 付審判決定が出れば指定弁護士(268条)が検察官役となり公判が始まるため、その段階を見据えた防御方針を弁護人と固める
時効(請求できる期限):付審判請求自体は不起訴通知(260条)を受けた日から七日以内(262条2項)。265条の審理に固有の期限はないが、合議体の審理開始は適法な請求の提起が前提となる。期限を過ぎた請求は不適法として却下され、合議体の審理に乗らない
学説
通説:265条が付審判請求の審理を合議体に集約するのは、検察官の起訴独占(247条)に対する司法統制という例外的・重大な判断であることに由来する。単独裁判官による軽率な認容・棄却の双方を避け、複数の法律家の合議で慎重に判断させる趣旨と解されている。
改正沿革 AI による整理
改正の年表
- 1.昭和23年(1948年) 新設:現行刑事訴訟法(昭和23年法律第131号)の制定に際し、付審判(準起訴)手続の一環として、その審理・裁判を合議体で行う旨を定めた。
ログインすると、この条文にメモを残して他の利用者と共有できます。
ログインして共同ノートを始める