会社更生法 第17条(更生手続開始の申立て)
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- 株式会社は、当該株式会社に更生手続開始の原因となる事実(次の各号に掲げる場合のいずれかに該当する事実をいう。)があるときは、当該株式会社について更生手続開始の申立てをすることができる。
- 一破産手続開始の原因となる事実が生ずるおそれがある場合
- 二弁済期にある債務を弁済することとすれば、その事業の継続に著しい支障を来すおそれがある場合
- 2.株式会社に前項第一号に掲げる場合に該当する事実があるときは、次に掲げる者も、当該株式会社について更生手続開始の申立てをすることができる。
- 一当該株式会社の資本金の額の十分の一以上に当たる債権を有する債権者
- 二当該株式会社の総株主の議決権の十分の一以上を有する株主
この条文の基本情報
更生手続開始の申立てとは何ですか?
定義更生手続開始の申立てとは、会社更生法第17条に定められた規定で、「株式会社は、当該株式会社に更生手続開始の原因となる事実(次の各号に掲げる場合のいずれかに該当する事実をいう。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 会社更生法第17条(更生手続開始の申立て)は、日本の会社更生法に含まれる条文です。
- 会社更生法第17条の条文原文は「株式会社は、当該株式会社に更生手続開始の原因となる事実(次の各号に掲げる場合のいずれかに該当する事実をいう。」で始まります。
- 会社更生法第17条は第一節に置かれています。
- 会社更生法の公布日は平成14年12月13日です。
- 会社更生法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 会社更生法第17条の前の条は会社更生法第15〜16条です。
- 会社更生法第17条の次の条は会社更生法第18条です。
- 会社更生法第17条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
会社更生法(平成十四年法律第百五十四号)第17条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/414AC0000000154 - 本サイト収録
会社更生法(平成十四年法律第百五十四号)第17条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/414AC0000000154/17
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点会社更生法17条は、株式会社が破産のおそれ等の段階で更生手続開始を申し立てられると定める。資本金の十分の一以上の債権者や議決権の十分の一以上の株主にも申立権がある。
Q · 会社更生って、潰れかけた会社が自分で申し立てるものですよね?
会社だけでなく、大口の債権者や株主も申し立てられます
会社更生法17条により、株式会社は「破産のおそれ」がある段階、または弁済すれば事業継続に著しい支障が出る段階で、自ら更生手続開始を申し立てられます。さらに、資本金の額の十分の一以上に当たる債権を持つ債権者や、総株主の議決権の十分の一以上を持つ株主にも申立権があります。つまり経営陣の意思に反して、外部から会社を更生手続へ引きずり込むこともできます。会社更生は破産(清算)ではなく、事業を生かしたまま立て直す再建型の手続です。
解説
取引先から「会社更生を申し立てる」と通知が来たとき、多くの人は「あの会社は潰れた」と早合点する。だが会社更生は破産(清算して会社を消す手続)ではなく、会社を生かしたまま立て直す手続だ。会社更生法17条は、その入口を二つ開けている。第一に、株式会社自身が、まだ破産には至っていない「破産のおそれ」の段階や、借金を約定どおり払うと事業の継続に著しい支障が出る段階で、先手を打って申し立てられる。第二に、会社が動かなくても、資本金の額の十分の一以上にあたる債権を持つ債権者や、議決権の十分の一以上を持つ株主が、会社を更生手続に引きずり込める。つまりこの条文は、沈みかけた船をいつ、誰がドック入りさせるかを決める起点だ。JAL が2010年に使ったのもこの手続。会社更生は株式会社にしか使えず、しかも担保を持つ銀行すら手続の中に縛り込む、再建型では最強の手続である。
法的な位置づけ
会社更生法第17条は、再建型倒産手続である会社更生の入口を定める規定であり、申立権者を株式会社自身・一定割合の債権を持つ債権者・一定割合の議決権を持つ株主に限定し、その申立要件を「破産手続開始の原因となる事実が生ずるおそれ」または「弁済により事業継続に著しい支障を来すおそれ」と規定する。清算型の破産とは異なり、事業の維持更生を目的とする点に本質がある。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.自社(または相手)の申立適格と要件を確認 対象が株式会社であることを確認したうえで、会社申立てなら「破産のおそれ」または「弁済による事業継続への著しい支障」のいずれかに該当するかを判定する。債権者申立てなら自分の債権が相手の資本金の額の十分の一以上か、株主申立てなら議決権の十分の一以上かを確認する
- 2.民事再生か会社更生かを比較選択 経営権を残したいなら DIP 型の民事再生、担保権者まで手続に縛り込む必要があるなら会社更生を選ぶ。会社更生は手続が重く費用・時間がかかるため、実務では大企業・上場企業向けである点を踏まえて方針を決める
- 3.弁護士と保全処分を検討して財産流出を止める 申立てと同時に、他の手続の中止命令や保全管理命令などの保全処分を申し立て、財産の散逸や個別の担保実行を止める。早期に動くほど事業価値を温存でき、スポンサーも付きやすい
- 4.更生手続開始の申立て・予納金の納付 管轄裁判所に更生手続開始申立書を提出し、必要な予納金を納付する。裁判所が開始原因と再建可能性を審査し、開始決定とともに管財人を選任する。債権者・株主申立ての場合は申立権を交渉カードとして私的整理や事業譲渡を引き出す選択肢も残す
よくある質問 AI による整理
Q1会社更生とは何ですか?
株式会社を清算せず、事業を生かしたまま立て直す再建型の倒産手続です。会社更生法が根拠で、原則として管財人が選任され、担保権者も更生担保権者として手続に拘束されます。
Q2会社更生の申立て要件は何ですか?
会社自身は「破産手続開始の原因が生ずるおそれ」または「弁済すれば事業継続に著しい支障を来すおそれ」のいずれかが必要です(会社更生法17条1項)。破産前の段階でも申し立てられます。
Q3債権者は会社更生を申し立てられますか?
申し立てられます。会社が破産のおそれの状態にある場合、その会社の資本金の額の十分の一以上に当たる債権を持つ債権者は、単独でも更生手続開始を申し立てられます(17条2項1号)。
Q4株主は会社更生を申し立てられますか?
総株主の議決権の十分の一以上を持つ株主は、会社が破産のおそれの状態にあるとき、更生手続開始を申し立てられます(17条2項2号)。経営陣の意思に反する申立ても可能です。
Q5破産のおそれとはどの段階ですか?
実際に支払不能や債務超過に陥る前で、放置すれば破産手続開始の原因となる事実が生ずる蓋然性がある段階を指します。早期に申し立てるほど事業価値を残せます。
Q6会社更生で担保権はどうなりますか?
工場抵当などの担保権は「更生担保権」に組み替えられ、自由な担保実行が止まります。担保権者も手続に拘束される点が、民事再生(別除権として手続外で実行可)との大きな違いです。
Q7会社更生は株式会社以外も使えますか?
使えません。会社更生は株式会社専用の手続です。合同会社・個人・医療法人などは民事再生法を利用します。担保権者まで拘束したい大企業向けの手続です。
Q8会社更生に入ると給料は払われますか?
会社更生は事業継続を前提とするため、開始後の給料は共益債権として優先弁済され、未払給料も手厚く保護される傾向があります。破産(清算)とは逆で、慌てて退職する前に確認が必要です。
この条文についての質問 AI による整理
Q1会社更生と民事再生って、何が違うんですか?
最大の違いは経営陣と担保権の扱いです。会社更生(17条)は原則として管財人が選任され経営陣は退き、担保権者も『更生担保権者』として手続に拘束され勝手に担保実行できません。民事再生は経営陣がそのまま残り(DIP 型)、担保権は別除権として手続外で実行できます。実務のポイント:会社更生は手続が重く費用も時間もかかるため、実務では大企業や上場企業向け。中小企業はまず民事再生を検討します。どちらが向くかは、担保権者をどれだけ縛る必要があるかで決まる
Q2債権者の自分が会社更生を申し立てたら、本当に相手の経営陣を追い出せるんですか?
申立て自体は引き金にすぎず、裁判所が更生手続開始の決定(30条、現行効力をご確認ください)を出し、管財人を選任して初めて経営陣が交代します。ただし2002年改正後は旧経営陣を管財人とする DIP 型会社更生も認められています。実務のポイント:債権者申立ては『資本金の十分の一以上の債権』が要件ですが、実際に単独で申し立てる債権者は稀。多くは申立権を交渉材料に、私的整理や事業譲渡を引き出すために使います。引き金を引く前の交渉力こそ本当の武器
Q3取引先が会社更生に入りました。うちの売掛金はもう諦めるしかないですか?
諦める必要はありません。開始前の売掛金は更生債権として届け出れば、更生計画に基づき一部弁済を受けられ、破産より回収率が高いことも多い。さらに開始決定後の取引で生じた債権は共益債権として優先的に弁済されます。実務のポイント:開始前の駆け込み回収(相殺や担保取得)は後で否認されるリスクがある一方、開始後も取引を続ければ共益債権として手厚く守られる。取引を切るか続けるかの判断が回収額を左右する
間違えやすい点 AI による整理
- 「会社更生=倒産=会社の死」と思われているが、目的はむしろ逆だ。会社更生は会社を生かす再建手続で、清算して消す破産とは正反対。更生計画が成功すれば、会社は債務を整理して生き延びる
- 会社更生は会社が自分で申し立てるものだと多くの人は知っている。だがその深刻さ、つまり資本金の十分の一以上の債権者や議決権の十分の一以上の株主にも申立権があり、経営陣の意思に反して会社を手続へ引きずり込めることまでは知らない。経営者にとって、これは外部から経営権を奪われる引き金になりうる
- あなたが担保権者なら『担保があるから他の債権者より安全』と構える。だが会社更生から見れば、その担保権は手続内に取り込まれ、自由な実行を止められる『更生担保権』にすぎない。あなたから見れば安全網、法律から見れば手続に縛られた一債権。この落差を知らずにいると、回収戦略を組み直す時間を失う
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 目的・性質 | 会社更生:事業を生かす再建型(株式会社専用) | 民事再生:事業を生かす再建型(広く利用可) 破産:清算して会社を消す清算型 |
| 経営陣の扱い | 原則、管財人が選任され経営陣は退く(DIP 型もあり) | 原則、経営陣がそのまま残る(DIP 型) 破産管財人が財産を管理・換価、経営陣は退く |
| 担保権の扱い | 更生担保権として手続に拘束、自由な実行を停止 | 別除権として手続外で自由に実行できる 別除権として手続外で実行できる |
| 申立権者 | 会社・資本金1/10以上の債権者・議決権1/10以上の株主 | 債務者・債権者(民事再生法21条) 債務者・債権者(破産法18条等) |
他国ではどう定めているか 3 か国
台湾の公司重整も公開発行株式会社等を対象とする再建型手続で、裁判所の許可と重整人による遂行を要する点が会社更生に類似する
ドイツは破産と再建を単一の倒産手続(InsO)に統合し、Insolvenzplan(再建計画)や Schutzschirmverfahren で再建を図る。手続を分離する日本とは構造が異なる
会社更生の母法的存在。DIP(占有を継続する債務者)が原則で経営陣が残る点は日本の原則型(管財人選任)と逆だが、平成14年改正で日本も DIP 型を取り込んだ
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 取引先のメーカーが手形のジャンプを繰り返し始めた。あなたの会社はそこへの売掛金が相手の資本金の十分の一を超えている。このまま破産されれば配当はわずか。だが会社更生を申し立てれば事業を生かしたまま回収率を上げられる余地が出る。債権者にも申立権があると、知っていたか?
- あなたが経営する製造業は、来月の社債償還を払えば運転資金が尽き、払わなければ取引が連鎖で止まる。残された判断期間は数週間。破産のおそれの段階で今すぐ更生を申し立てるか、ぎりぎりまで粘るかで、会社が残るか消えるかが分かれる
- あなたは上場企業の株を議決権ベースで一割超握る機関投資家。経営陣は先送りを続け、企業価値は毎月削られていく。株主にも更生申立権がある。粉飾的な延命を続ける経営陣を管財人に置き換える引き金を、あなたが引ける立場にいる
- 勤め先が会社更生を申し立てたと聞いて、あなたは「給料はもう出ないのか」と青ざめる。だが更生は事業を続けるための手続で、破産とは逆。給料債権は手厚く保護されることが多い。慌てて転職届を出す前に、手続の性質を確かめる必要がある
- あなたの銀行はその会社の工場に抵当権を持つ。普通なら担保を実行して回収できる。だが会社更生が始まると、その抵当権は『更生担保権』に組み替えられ、勝手な実行が止まる。担保があるから安全、というあなたの前提が崩れる瞬間だ
取るべき行動
被害を受けた側:1. まず自分の債権額が相手の資本金の額の十分の一以上か、株式なら議決権の十分の一以上かを確認、満たせば単独でも更生申立権がある2. 相手の財務と事業価値を見極め、清算(破産)より事業継続(更生)の方が回収率が高いか試算3. 弁護士と相談し、保全処分(他の手続の中止命令や保全管理命令)で財産の流出を止める4. 申立てをカードに、経営陣との私的整理や事業譲渡交渉を有利に進める選択肢も残す
訴えられた側:1. 債務超過や資金繰り破綻が見えたら、破産のおそれの段階で早期に専門家へ相談、粘るほど事業価値は減る2. 民事再生(経営権を残せる DIP 型)と会社更生(管財人型だが担保権も拘束できる)のどちらが自社に適すか比較3. 大口債権者や大株主が先に更生を申し立てる動きがあれば、自主申立てで主導権を握る方が有利4. 従業員の給料や取引先への影響を最小化する更生計画とスポンサー候補を早期に準備
時効(請求できる期限):更生手続開始の申立てそのものに消滅時効はない。ただし破産手続が先行して開始決定に至ると、更生申立ての実益は失われる。また『破産のおそれ』や『弁済すれば事業継続に著しい支障』という要件は、財務が悪化するほど立証は容易になる一方で再建可能性は下がる。法的期限ではなく事業価値の劣化が実質的なタイムリミットとなる
学説
通説:会社更生は株式会社の事業の維持更生を目的とする再建型手続であり、清算型の破産と性質を異にする。17条の申立権を会社のみならず一定割合の債権者・株主にも認めるのは、経営者の延命的先送りを牽制し、早期再建による事業価値の保全と関係者全体の回収最大化を図る趣旨と解されている。
改正沿革 AI による整理
- 平成14年(2002年)全部改正 昭和27年の旧会社更生法を全面改正し、現行法(平成14年法律第154号)を制定。手続の迅速化、旧経営陣を管財人とする DIP 型運用の余地、担保権者の手続的取扱いの整理などを行い、17条の申立要件もこの新法で現行の形に整理された
改正の年表
- 1.昭和27年(1952年) 新設:アメリカの会社更生(Chapter X)を母法として旧会社更生法を制定。株式会社の再建型手続として、担保権者まで拘束する強力な仕組みを導入
- 2.平成14年(2002年) 改正:旧法を全部改正し現行会社更生法(平成14年法律第154号)を制定。手続の迅速化、旧経営陣を管財人とする DIP 型運用の余地、担保権者の取扱い整理を行い、17条の申立要件も現行の形に整理された
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