会社更生法 第223条(新設分割に関する特例)
クイックジャンプ
- 第百八十二条の二の規定により更生計画において更生会社が新設分割をすることを定めた場合には、会社法第七百四十条、第八百三条、第八百五条の二及び第八百十条の規定は、更生会社については、適用しない。
- 2.前項に規定する場合には、会社法第七百六十四条第二項から第四項まで及び第七百六十六条第二項から第四項までの規定は、更生会社の債権者については、適用しない。
この条文の基本情報
新設分割に関する特例とは何ですか?
定義新設分割に関する特例とは、会社更生法第223条に定められた規定で、「第百八十二条の二の規定により更生計画において更生会社が新設分割をすることを定めた場合には、会社法第七百四十条、第八百三条、第八百五条の二及び第八百十条の規定は、…」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 会社更生法第223条(新設分割に関する特例)は、日本の会社更生法に含まれる条文です。
- 会社更生法第223条の条文原文は「第百八十二条の二の規定により更生計画において更生会社が新設分割をすることを定めた場合には、会社法第七百四十条、第八百三条、第八百五条の二及び第八百十条の規定は、…」で始まります。
- 会社更生法第223条は第二節に置かれています。
- 会社更生法の公布日は平成14年12月13日です。
- 会社更生法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 会社更生法第223条の前の条は会社更生法第222条です。
- 会社更生法第223条の次の条は会社更生法第224条です。
- 会社更生法第223条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
会社更生法(平成十四年法律第百五十四号)第223条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/414AC0000000154 - 本サイト収録
会社更生法(平成十四年法律第百五十四号)第223条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/414AC0000000154/223
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点会社更生法223条は、更生計画中の新設分割について会社法の債権者異議手続等を適用除外し、債権者保護を更生計画の決議と裁判所の認可審査に置き換える特例規定である。
Q · 取引先が更生計画の中で会社分割するとき、債権者は異議を出して止められる?
通常の異議は使えず、保護は計画決議と認可審査に移る
会社更生法223条により、更生計画の中で行う新設分割には、会社法810条の債権者異議手続、803条の事前備置、805条の2の差止請求、740条の社債権者の特則が適用されません。さらに2項により、異議を述べ損ねた債権者が新会社へ弁済を求める救済(会社法764条2項以下・766条2項以下)も使えません。債権者の保護は、更生計画案の決議における議決権行使と、裁判所による公正・衡平の認可審査へと置き換えられています。
解説
取引先が会社更生に入った。そのうち「優良事業を新設分割で別会社に切り出す」という更生計画が出てくる。あなたが債権者なら、通常の会社分割であれば会社法810条の債権者異議手続で「ちょっと待った」と異議を述べ、弁済か担保を要求できるはずだ。ところが223条は、更生計画の中で行う新設分割について、その異議手続(810条)も、計画書類の事前備置(803条)も、差止請求(805条の2)も、社債権者の特則(740条)も、まるごと適用しないと定める。さらに、異議を述べられなかった債権者が新会社に弁済を求められる救済(会社法764条2項以下、766条2項以下)も使えない。なぜか。更生手続の中では、あなたの保護は「異議窓口」ではなく「更生計画への賛否投票」と「裁判所の認可審査」に移っているからだ。文句を言う部屋が変わったことに気付かないと、何も言えないまま事業だけが移転していく。
法的な位置づけ
会社更生法223条は、更生計画に基づき更生会社が新設分割を行う場合の特例を定める規定である。通常の新設分割で要求される会社法上の社債権者の特則、計画書類の事前備置、差止請求、債権者異議手続の各規定の適用を除外し、債権者保護を更生手続固有の計画決議および裁判所の認可審査に統合する点に本質がある。
よくある質問 AI による整理
Q1会社更生法223条とは何ですか?
更生計画の中で更生会社が新設分割をする場合に、会社法の債権者異議手続(810条)等を適用しないと定める特例規定です。債権者保護は計画決議と裁判所の認可審査に移ります。
Q2更生計画の新設分割に債権者異議は出せますか?
出せません。会社更生法223条で会社法810条の異議手続が適用除外されるためです。残る手段は更生計画案の決議での反対票と、裁判所への意見陳述です。
Q3会社更生と民事再生の違いは何ですか?
会社更生は株式会社限定で管財人主導の抜本再建、担保権も計画に取り込みます。民事再生は中小・個人も使え、原則として経営陣が残り担保権は別扱いという違いがあります。
Q4清算価値保障原則とは何ですか?
更生計画による弁済が、会社を清算した場合に債権者が得られる価値を下回ってはならないという原則です。これに反する計画は認可されない余地があります。
Q5更生債権の届出はいつまでにしますか?
裁判所が定める更生債権の届出期間内です。これを逃すと配当も計画決議の議決権も失うため、開始通知が来たら最優先で届出します(最新の手続スケジュールをご確認ください)。
Q6更生計画を否決させる方法はありますか?
更生計画は組ごとの議決権の多数決で可否が決まります。他の債権者や同じ組と連携して反対の議決権を集めれば、計画案を否決に追い込める可能性があります。
Q7更生会社の優良事業が新会社へ移ると売掛金は回収できますか?
残った更生会社からの回収となるため、事業移転対価が適正かが鍵です。不当に安い移転なら、認可前に清算価値保障違反として裁判所へ意見を出します。
Q8更生計画の不認可を求めるにはどうしますか?
計画が公正・衡平でない、または清算価値保障原則に反する場合、認可決定が出る前に裁判所へ不認可を求める意見を提出します。認可後は取消しのハードルが跳ね上がります。
この条文についての質問 AI による整理
Q1取引先が更生手続中に会社分割するって聞きました。私の売掛金、異議を出して止められますか?
通常の会社分割なら会社法810条の債権者異議手続で異議を出せますが、更生計画の中で行う新設分割では会社更生法223条によりその手続自体が適用されません。あなたの保護は更生計画への賛否投票と裁判所の認可審査に移っています。実務のポイント:異議書を書く時間があるなら、他の債権者と議決権を持ち寄って計画の決議対策をする方が遥かに効く。異議は一人でも出せるが、更生計画は組数と議決権の多数決で決まるので、連携した反対が計画を否決に追い込める。
Q2更生会社の優良事業だけ新会社に移って、借金は元の会社に残るって、それ許されるんですか?
更生計画は公正・衡平でなければ認可されず、債権者が清算した場合に得られる価値を下回ってはなりません(清算価値保障原則)。不当に安い事業移転は認可されないか、取り消される余地があります。実務のポイント:ポイントは事業の「移転対価」が適正かどうか。管財人が出す事業評価が甘いと感じたら、認可が出る前に独自の評価や反対意見を裁判所に出す。認可後では覆すハードルが跳ね上がるので、認可決定が出る前が唯一の勝負どころ。
間違えやすい点 AI による整理
- 「会社分割なら債権者異議手続で止められる」と問いを立てた時点で、すでにずれている。更生計画の中で行う新設分割には、そもそも異議手続が存在しない。問うべきは「どう異議で止めるか」ではなく「更生計画の決議でどう反対の議決権を集めるか」だ
- 「異議手続が消える=債権者保護が消える」と思いがちだが違う。保護は計画の決議要件と、裁判所による公正・衡平の認可審査に移っている。保護の総量が減るのではなく、行使する場所が変わるだけだ
- 223条2項を軽く見る人が多い。通常の分割なら、異議を述べ損ねた債権者でも会社法764条以下で新会社に直接弁済を請求できる「最後の救い」が残る。だが更生手続中はその救いも消える。取りこぼしの保険がないことの深刻さを、先に知っておくべきだ
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 債権者の防御手段 | 更生計画中の新設分割:223条で異議手続を適用除外、計画決議の反対票+認可審査 | 通常の新設分割:会社法810条の債権者異議手続で個別に弁済・担保を要求 更生計画一般:会社更生法199条の認可・不認可審査で公正衡平を担保 |
| 事前情報開示 | 会社法803条の事前備置は適用除外(223条1項) | 通常の新設分割:803条により計画書類を本店に事前備置 更生手続:更生計画案の送付・閲覧と決議期日での説明 |
| 取りこぼし救済 | 会社法764条2項以下・766条2項以下の救済も適用除外(223条2項) | 通常の分割:異議を述べ損ねても新会社へ直接弁済請求できる救済が残る 更生手続:救済は計画内の権利変更と認可審査に一本化 |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾は公司法の重整手続で裁判所監督下の再建を行う。重整計画における組織再編も裁判所の認可審査が中心で、個別債権者の異議より集団的決議が優先される構造は日本と類似する
韓国は2005年の統合倒産法(통합도산법)で회생절차を整備。회생계획における組織再編も、債権者集会の決議と裁判所の인가決定で保護を担保する点が日本と近い
ドイツは倒産計画(Insolvenzplan)の枠組みで再建を行い、計画内で組織再編的処理を組み込める。個別の異議より計画手続と裁判所の認可(Bestätigung)に保護を集約する発想は共通する
会社更生法の母法的存在。再建計画の中で資産の譲渡・組織再編を広く行え、債権者保護は計画の confirmation(認可)と best interests of creditors test(清算価値保障に相当)に集約される
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 取引先が更生手続に入り、儲かっている事業だけを新設分割で別会社に移す計画が公告された。あなたは「会社分割なら異議を出せる」と弁護士に相談したが、223条で異議手続は適用外。あなたに残るのは更生計画決議での一票と、裁判所への意見だけだと知る
- もし、あなたが更生会社の社債を持つ債権者だったら? 通常の新設分割なら会社法740条の特則で社債権者集会の手続が要るが、更生手続中はそれも不要。社債権者として異議を述べる機会そのものが消える
- 更生計画案の決議期日まであと10日。異議書を書き上げていたあなたは、それが無意味だと気付く。残る武器は決議での反対票の取りまとめと、計画の不認可を求める意見だけだ
- あなたが更生管財人なら、新設分割を計画に組み込むことで会社法の重い債権者異議手続を省き、再建のスピードを上げられる。ただし手続を省いた分、計画の公正・衡平性を裁判所が厳しく審査する
取るべき行動
被害を受けた側:1. 更生手続開始の通知が来たら、まず更生債権の届出を期限内に行う。これを逃すと配当も議決権も失う2. 新設分割が計画に含まれるか確認し、移転される事業と残る財産を見極める。優良事業だけ抜けるなら回収リスクは大きい3. 会社法の債権者異議手続は使えない(223条)ので、武器は更生計画決議での反対票と、裁判所への意見陳述4. 計画が清算価値保障原則に反する、または不当に安い事業移転なら、認可が出る前に不認可を求める意見を出す
訴えられた側:1. 更生管財人として新設分割を計画に組む場合、182条の2の要件と計画の公正・衡平性を確保する2. 223条で会社法の債権者異議手続・事前備置・差止請求は省略できるが、その分、計画の説明責任と裁判所の認可審査は重くなる3. 移転対価や事業評価の合理性を疎明する資料を整え、債権者が清算価値保障違反を主張する余地を潰す4. 新会社への移転と更生債権の取扱いの整合性を計画に明記し、後の紛争を防ぐ
時効(請求できる期限):本条自体に時効はない。実務上の期限は手続スケジュールで決まる:更生債権の届出期間、更生計画案の決議期日、計画認可決定とその不服申立期間。認可決定後は取消しのハードルが極めて高くなるため、認可前の意見陳述が実質的な期限となる(最新の手続スケジュールをご確認ください)
学説
通説:223条は集団的再建手続である会社更生において、個別債権者の異議権を一旦封じ、その保護を更生計画の決議要件と裁判所の認可審査に置き換える趣旨と理解される。保護の総量を減らすのではなく、行使の場面を転換する規定と位置づけられる。
実務:管財人が新設分割を計画に組み込む際は、会社法の重い異議手続を省ける反面、移転対価の合理性や清算価値保障原則への適合を疎明する責任が重くなり、裁判所の認可審査がより厳格に働くと整理される。
改正沿革 AI による整理
改正の年表
- 1.平成14年(2002年) 新設:現行会社更生法(平成14年法律第154号)の全面改正・制定により、更生計画における組織再編の特例規定が整備された。
- 2.平成17年(2005年) 改正:会社法の制定に伴う整備により、本条が参照する会社法の新設分割関連条文(740条・803条・805条の2・810条・764条・766条)に整合する形で条文が整備された。
ログインすると、この条文にメモを残して他の利用者と共有できます。
ログインして共同ノートを始める