会社更生法 第56条(登記及び登録の効力)
クイックジャンプ
- 不動産又は船舶に関し更生手続開始前に生じた登記原因に基づき更生手続開始後にされた登記又は不動産登記法(平成十六年法律第百二十三号)第百五条第一号の規定による仮登記は、更生手続の関係においては、その効力を主張することができない。ただし、登記権利者が更生手続開始の事実を知らないでした登記又は仮登記については、この限りでない。
- 2.前項の規定は、権利の設定、移転若しくは変更に関する登録若しくは仮登録又は企業担保権の設定、移転若しくは変更に関する登記について準用する。
この条文の基本情報
登記及び登録の効力とは何ですか?
定義登記及び登録の効力とは、会社更生法第56条に定められた規定で、「不動産又は船舶に関し更生手続開始前に生じた登記原因に基づき更生手続開始後にされた登記又は不動産登記法(平成十六年法律第百二十三号)第百五条第一号の規定による仮登…」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 会社更生法第56条(登記及び登録の効力)は、日本の会社更生法に含まれる条文です。
- 会社更生法第56条の条文原文は「不動産又は船舶に関し更生手続開始前に生じた登記原因に基づき更生手続開始後にされた登記又は不動産登記法(平成十六年法律第百二十三号)第百五条第一号の規定による仮登…」で始まります。
- 会社更生法第56条は第二節に置かれています。
- 会社更生法の公布日は平成14年12月13日です。
- 会社更生法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 会社更生法第56条の前の条は会社更生法第55条です。
- 会社更生法第56条の次の条は会社更生法第57条です。
- 会社更生法第56条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
会社更生法(平成十四年法律第百五十四号)第56条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/414AC0000000154 - 本サイト収録
会社更生法(平成十四年法律第百五十四号)第56条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/414AC0000000154/56
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点会社更生法56条は、更生手続開始前の原因に基づき開始後にされた不動産の登記・仮登記は、手続との関係で効力を主張できないと定める。ただし開始の事実を知らずにした登記は有効である。
Q · 会社が更生手続に入った後に急いで登記すれば、所有権や担保は守れるの?
原則守れない。ただし開始を知らずに登記したなら有効です
会社更生法56条により、更生手続開始前の売買などを原因として開始後にされた不動産・船舶の登記や仮登記は、更生手続との関係で効力を主張できません。登記が完了していても、手続上はなかったものとして扱われ、権利者は一更生債権者として配当を待つ立場になります。ただし、登記権利者が開始の事実を知らずに登記した場合は例外的に有効です(同条1項ただし書)。この規律は権利の設定・移転等の登録や企業担保権の登記にも準用されます(同条2項)。
解説
あなたが会社から土地やマンションを買い、代金も払った。だが移転登記を後回しにしているうちに、その会社が会社更生手続に入る。慌てて登記所へ駆け込んでも、原則としてその登記は更生手続の中で効力を主張できない。会社更生法56条は、更生手続開始前の原因(売買契約など)に基づき開始後にされた登記や仮登記は、更生手続との関係では効力を主張できないと定める。あなたの所有権移転は手続の中でなかったことにされ、あなたは一更生債権者として、わずかな配当を求めて列に並ぶ側に回る。ただし救いはある。あなたが開始の事実を本当に知らずに登記したのなら、その登記は有効だ。生死を分けるのは登記の早さではなく、開始決定の前か後か、そして後なら知っていたか否か、この二点である。
法的な位置づけ
会社更生法56条は、更生手続開始後にされた登記・登録の効力を定める規定である。不動産・船舶につき開始前の登記原因に基づき開始後にされた登記又は仮登記は、更生手続との関係では効力を主張できない。ただし登記権利者が開始の事実を知らずにした場合は有効とされ、権利の設定・移転等の登録及び企業担保権の登記にも準用される。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.更生手続開始決定の日付を確認する 官報の公告または裁判所の手続記録で、相手会社の更生手続開始決定の日付を特定する。これが効力判断の基準時になる
- 2.自分の登記・仮登記の日付と並べる 登記簿謄本で自分の登記・仮登記の受付日を確認し、開始決定日と並べる。開始決定より前なら登記は有効で、手続の影響を受けない
- 3.開始後の登記なら善意を示す事情を整理する 登記が開始決定後の場合、自分が開始の事実を知らずに登記したことを示す事情(個別通知の不受領、業務上の連絡の不存在、報道未接触)を整理し、56条1項ただし書の善意例外を主張する
- 4.善意が認められなければ更生債権として届け出る 善意例外が認められない場合は、債権届出期間内に更生債権として届け出る。配当見込みを早期に試算し、別の回収手段がないか並行して検討する
よくある質問 AI による整理
Q1会社更生法56条とは何ですか?
更生手続開始後にされた不動産・船舶の登記や仮登記は、開始前の原因に基づくものでも手続との関係で効力を主張できないと定める規定です。権利の登録や企業担保権にも準用されます。
Q2更生手続開始決定の日付はどこで確認できますか?
官報の公告、または裁判所の手続記録で確認できます。自分の登記・仮登記の日付とこの開始決定日を並べることが、効力を判断する第一歩になります。
Q3更生手続開始後でも有効になる登記はありますか?
あります。登記権利者が開始の事実を知らずにした登記は、56条1項ただし書により有効です。善意は実務上推定され、悪意の立証責任は管財人側にあります。
Q4会社更生法56条は船舶にも適用されますか?
適用されます。同条1項は不動産と船舶を明示しています。さらに2項で権利の登録・仮登録や企業担保権の登記にも準用されます。
Q5更生手続開始後の登記の無効は誰が主張できますか?
主に管財人が、更生財団を確保するために登記の効力を否定し、当該財産を取り戻します。悪意(開始を知っていたこと)の立証責任は管財人側が負います。
Q6会社更生法56条の善意はいつの時点で判断しますか?
登記又は仮登記をした時点での認識で判断します。登記の前日まで知らなくても、登記した時に開始を知っていれば善意例外は使えません。
Q7企業担保権の登記も会社更生法56条の対象ですか?
対象です。同条2項が企業担保権の設定・移転・変更に関する登記にも準用すると定めています。担保取得を急がない企業ほど相手の倒産で権利が宙に浮きます。
Q8更生債権として届け出るにはどうすればよいですか?
裁判所が定める債権届出期間内に、債権の内容と原因を届け出ます。期間を過ぎると配当を受けられない恐れがあるため、開始決定を知ったら早期に動く必要があります。
この条文についての質問 AI による整理
Q1会社が更生手続に入った後でも、急いで登記すれば所有権は守れますか?
原則守れません。会社更生法56条は、開始前の売買などを原因に開始後にした登記は更生手続との関係で効力を主張できないとします。ただし、あなたが開始の事実を知らずに登記したのなら例外的に有効です(同条1項ただし書)。実務のポイント:実務では善意は推定される傾向があり、知っていたという立証責任は管財人側にあります。報道や通知に触れていなければ、駆け込み登記でも救われる余地は残る。配当を待つと諦める前に、自分が本当に開始を知っていたかを争点にできる
Q2知らなかったことなんて、どう証明すればいいんですか?
そもそも知らなかった(善意)は推定されるのが実務の出発点で、立証されるべきは相手(管財人)の、あなたは知っていたという悪意の事実です。官報公告や個別通知の受領、取引上の連絡など、開始を認識できた事情が積み上がると悪意が認定されます。実務のポイント:官報に公告が載っただけで直ちに悪意とされないことが多い。一般の取引者が官報を毎日見ているとは限らないからだ。官報に出ていたでしょうという管財人の主張には反論の余地がある
Q3抵当権や特許権の登録でも同じルールですか?
同じです。56条2項が、権利の設定・移転・変更の登録や仮登録、企業担保権の登記にこのルールを準用します。つまり不動産だけでなく、特許権など登録で対抗する権利、企業担保権も射程に入ります(同条2項)。実務のポイント:知的財産の移転を受けたとき、契約だけで安心して登録を後回しにする企業は多い。相手が倒産すれば、登録のタイミング一つで権利が宙に浮く。M&Aや事業譲渡では、登録完了までを実行日に組み込むのが鉄則
間違えやすい点 AI による整理
- 登記さえ完了すれば所有権は確定的に守られると信じている人が多い。だが更生手続との関係では、登記の有無より、いつ登記したかが決め手になる。開始決定後の登記は、完了していても手続上はなかったことにされうる
- どれだけ早く登記を入れられるかを競争のように考えてしまうが、立てるべき問いはそこではない。本当の分岐点は更生手続開始決定の前か後か、そして後なら開始を知っていたか否か。スピードではなく、二つの時点の前後関係が運命を決める
- あなたから見れば、正当な契約に基づく当然の登記だ。だが更生手続から見れば、開始後の駆け込み登記は、本来は全債権者で分けるべき財産を一人が抜け駆けで確保する行為に映る。この落差が、あなたの登記を手続上無効にする
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 規律する手続 | 会社更生法56条:更生手続 | 破産法49条:破産手続 民事再生法45条:再生手続 |
| 規律対象 | 開始後にされた不動産・船舶の登記、権利の登録、企業担保権の登記 | 破産手続開始後にされた登記・登録 再生手続開始後にされた登記・登録 |
| 原則的効力 | 更生手続との関係で効力を主張できない | 破産手続との関係で効力を主張できない 再生手続との関係で効力を主張できない |
| 善意例外 | 開始を知らずにした登記は有効(同条1項ただし書) | 開始を知らずにした登記は有効とする同旨の例外あり 開始を知らずにした登記は有効とする同旨の例外あり |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾は会社の再建を公司法の重整手続で扱い、重整裁定後の会社財産処分の効力を制限する。倒産手続中の財産凍結という発想は日本と共通する。
韓国は再生・破産を単一の統合倒産法で規律し、회생절차 개시 후の登記・登録の効力を制限する同旨の規定を置く。善意例外の構造も類似する。
ドイツ倒産法91条は、手続開始後の財産に対する権利取得を原則として排除する。日本の56条と同様、財団の現状凍結を目的とする。
米国連邦倒産法549条は、申立後(postpetition)の財産移転を管財人が取り消し得るとする。会社更生法が範とした Chapter 系手続の発想を反映する。
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 会社から営業所の建物を購入し残代金も完済したが、移転登記を司法書士に任せたまま数週間放置していた。その間に売主が会社更生手続開始の申立て。あなたが登記を急いでも、開始決定後で、しかも報道で経営危機を知っていれば、その登記は手続上効力を持たない。建物が名義上あなたのものになっても、管財人には対抗できない
- もし、取引先への貸付の担保として工場の土地に抵当権を設定してもらう約束をし、設定登記を済ませる前に相手が更生手続に入ったらどうなる? あなたは担保を取ったつもりが、登記が開始後なら抵当権を更生手続で主張できず、無担保の更生債権者へ転落する
- 順位を押さえるために仮登記だけ入れてあった。本登記は更生開始後。仮登記の効力も本条で否定されうる。順位を保全したつもりが、保全されていなかった
- 登記権利者であるあなたは、今日、取引先の更生手続開始決定を知った。あと一日早ければ。明日登記を入れても、もう知ってしまった以上、ただし書の善意例外は使えない。動くなら知る前だった、その悔しさだけが残る
- 全く別件で忙殺され、取引先の倒産報道を一切見ておらず、淡々と予定通り移転登記を済ませた。皮肉にも、この何も知らなかったという状態こそが、ただし書であなたの登記を救う
取るべき行動
被害を受けた側:1. まず更生手続開始決定の日付を官報や裁判所で確認し、自分の登記・仮登記の日付と並べる2. 登記が開始決定より前なら、その登記は手続でも有効、安心してよい3. 登記が開始後なら、あなたが開始の事実を知らずに登記したことを示す事情(通知未受領、報道未接触)を整理し、56条1項ただし書の善意例外を主張する4. 善意が認められなければ更生債権として届け出るほかない。配当見込みを早期に試算し、別の回収手段がないか検討する
訴えられた側:1. 問題の登記が更生手続開始決定後にされたか、登記日と決定日を確認する2. 開始後なら、その登記が開始前の原因に基づくものかを精査する3. 登記権利者の悪意(開始を知っていたこと)を立証する材料を集める。個別通知の送達記録、取引上のやり取り、報道接触の状況など4. 悪意が立証できれば、その登記は更生手続との関係で効力を否定でき、当該財産を更生財団に取り戻せる
時効(請求できる期限):特定の出訴期間や時効が定められた条文ではない。決定的な基準時は更生手続開始決定の時点であり、登記・仮登記がその前か後か、後の場合は登記時点で開始の事実を知っていたか否かで効力が分かれる。争うなら更生手続の進行(債権届出期間等)に従って早期に動く必要がある
学説
通説:56条は更生手続開始という一点で開始後の登記の効力を手続との関係で遮断し、内部情報を持つ者の駆け込み登記を封じて総債権者の公平(更生財団の確保)を図る規定と解される。ただし書による善意者保護は、登記制度への信頼との均衡を取るものとされる。
改正沿革 AI による整理
- 平成14年(2002年) 会社更生法の全部改正(新法制定)。旧法(昭和27年)を全面的に書き改め、更生手続開始後の登記・登録の効力に関する規定を現行の形に整備した
- 平成16年(2004年) 不動産登記法の全部改正に伴い、第1項が引用する仮登記の根拠条文を新不動産登記法第105条第1号に改めた
改正の年表
- 1.平成14年(2002年) 改正:会社更生法の全部改正(新法制定)。旧法(昭和27年)を全面的に書き改め、更生手続開始後の登記・登録の効力に関する規定を現行の形に整備した。
- 2.平成16年(2004年) 改正:不動産登記法の全部改正に伴い、第1項が引用する仮登記の根拠条文を新不動産登記法第105条第1号に改めた。
ログインすると、この条文にメモを残して他の利用者と共有できます。
ログインして共同ノートを始める