会社更生法 第58条(為替手形の引受け又は支払等)
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- 為替手形の振出人又は裏書人である株式会社について更生手続が開始された場合において、支払人又は予備支払人がその事実を知らないで引受け又は支払をしたときは、その支払人又は予備支払人は、これによって生じた債権につき、更生債権者としてその権利を行うことができる。
- 2.前項の規定は、小切手及び金銭その他の物又は有価証券の給付を目的とする有価証券について準用する。
この条文の基本情報
為替手形の引受け又は支払等とは何ですか?
定義為替手形の引受け又は支払等とは、会社更生法第58条に定められた規定で、「為替手形の振出人又は裏書人である株式会社について更生手続が開始された場合において、支払人又は予備支払人がその事実を知らないで引受け又は支払をしたときは、その支払…」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 会社更生法第58条(為替手形の引受け又は支払等)は、日本の会社更生法に含まれる条文です。
- 会社更生法第58条の条文原文は「為替手形の振出人又は裏書人である株式会社について更生手続が開始された場合において、支払人又は予備支払人がその事実を知らないで引受け又は支払をしたときは、その支払…」で始まります。
- 会社更生法第58条は第二節に置かれています。
- 会社更生法の公布日は平成14年12月13日です。
- 会社更生法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 会社更生法第58条の前の条は会社更生法第57条です。
- 会社更生法第58条の次の条は会社更生法第59条です。
- 会社更生法第58条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
会社更生法(平成十四年法律第百五十四号)第58条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/414AC0000000154 - 本サイト収録
会社更生法(平成十四年法律第百五十四号)第58条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/414AC0000000154/58
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点会社更生法58条は、振出人が更生手続に入った為替手形を、その事実を知らずに引受け・支払をした支払人が、生じた債権を更生債権として行使できると定める規定である。
Q · 倒産している会社の為替手形を、知らずに支払ってしまったらお金は戻ってこないの?
知らずに払ったなら、更生債権として取り戻す道がある
会社更生法58条により、為替手形の振出人・裏書人である株式会社に更生手続が開始された場合でも、その事実を知らないで(善意で)引受け・支払をした支払人または予備支払人は、これによって生じた債権(求償権など)を更生債権として届け出て権利を行使できます。鍵は「知らないで」の一語で、支払時に開始を知っていたら保護は消えます。保護されるのは手形金そのものではなく「そこから生じた債権」であり、配当率は手続次第である点に注意が必要です。
解説
取引先から受け取った為替手形。あなたは支払人として、期日にそれを引き受け、額面どおり支払った。ごく普通の商取引だ。ところが後日、その手形を振り出した会社が、実はその前に更生手続を開始していたと判明する。本来なら、更生手続が開始された会社をめぐる弁済は手続の枠内でしか処理できず、あなたが払った分は宙に浮きかねない。ここで効いてくるのが会社更生法58条だ。あなたが「開始の事実を知らないで」引き受けたり支払ったりした場合、そこから生じた債権(求償権など)について、あなたは更生債権者として権利を行使できる。つまり、善意で動いた支払人を保護し、手形や小切手の決済システムが倒産情報の不完全さで麻痺しないようにする安全弁である。鍵は「知らないで」の一語。知っていたら、この保護は消える。
法的な位置づけ
会社更生法58条は、為替手形の振出人または裏書人である株式会社に更生手続が開始された場合における善意の支払人・予備支払人の保護を定める規定である。開始の事実を知らないで引受けまたは支払をした者は、これによって生じた債権について更生債権者として権利を行使できる。第2項は小切手および金銭等の給付を目的とする有価証券に準用される。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.引受け・支払の日付と開始決定・公告の日付を突き合わせる 自分が為替手形を引き受け・支払をした正確な日付と、振出会社の更生手続開始決定日・公告日を時系列で並べ、自分が「知らないで」動いたことを固める。この前後関係が善意か否かを決める
- 2.そこから生じた債権の額を確定する 支払によって生じた求償権など「これによって生じた債権」の額と性質を確定する。保護されるのは手形金そのものではなく生じた債権である点に注意し、手形法・小切手法上の求償範囲を確認する
- 3.債権届出期間を確認し、更生債権として届け出る 開始公告で裁判所が定めた債権届出期間を直ちに確認し、会社更生法58条を根拠に更生債権として届け出る。期間を徒過すると原則失権するため、公告を見たその日に準備に入る
- 4.自分の立場と対象有価証券を確定し、使う条文を取り違えない 為替手形か小切手か、自分が支払人・予備支払人・所持人のいずれかを先に確定する。約束手形の振出人倒産など別の道筋になる場面では、58条ではなく届出主体・根拠条文が変わる
よくある質問 AI による整理
Q1会社更生法58条とは何ですか?
為替手形の振出人・裏書人である会社が更生手続に入った場合、その事実を知らずに引受け・支払をした支払人を保護し、生じた債権を更生債権として行使できると定める規定です。
Q2更生債権の届出期間はいつまでですか?
本条固有の期間はなく、裁判所が各更生手続ごとに定める債権届出期間内に届け出る必要があります。期間は開始決定時に公告され、徒過すると原則として失権します。
Q3為替手形と約束手形の違いは何ですか?
為替手形は振出人が第三者(支払人)に支払を委託する三者構造、約束手形は振出人自身が支払を約束する二者構造です。58条は支払人が登場する為替手形を直接の対象とします。
Q4予備支払人とは何ですか?
支払人が支払を拒んだ場合に備えて、手形上で第二次的に支払を引き受ける者です。58条は支払人と並んで予備支払人も善意であれば保護対象とします。
Q5小切手にも会社更生法58条は適用されますか?
適用されます。58条2項が、小切手および金銭その他の物・有価証券の給付を目的とする有価証券について本条を準用すると定めています。
Q6取引先が更生手続に入ったか確認する方法は?
更生手続開始決定は官報・裁判所の公告で公示されます。日々の手形決済では、支払前に振出会社の倒産情報・開始公告を照会し、その記録を残す運用が善意の証拠になります。
Q7更生債権はどのくらい配当されますか?
配当率は更生計画と会社の財産状況により決まり、額面全額が戻る保証はありません。善意であれば「損失」が「回収可能な更生債権」に変わる点に意味があります。
Q8会社更生と民事再生・破産はどう違いますか?
会社更生は株式会社の再建を管財人主導で進める手続、民事再生は経営者が原則として残る再建型、破産は清算型です。いずれにも善意支払人を保護する同趣旨の規定があります。
この条文についての質問 AI による整理
Q1手形を払った相手の会社が倒産してたら、払ったお金は全部パーですか?
全部パーとは限らない。会社更生法58条は、あなたが開始の事実を知らないで引受け・支払をしたなら、そこから生じた債権を更生債権として届け出て配当を受けられると定める。ただし配当率は手続次第で、額面が全額戻る保証はない。実務のポイント:弁護士がまず確認するのは「支払った日」と「開始決定の公告日・あなたが現実に知った日」の前後関係だ。この日付の並びが善意か否かを決め、回収可能性そのものを左右する
Q2「知らないで」って、どうやって証明するんですか?
一般には、保護を否定して支払人を更生債権者から外したい側が「支払人は知っていた」と主張立証する構造と理解されているが、この立証の配分は実務上、解釈が分かれうる部分もある。だからあなたは、開始公告を確認した形跡がないこと、通常の照会手続を踏んだ記録を残しておくと強い。実務のポイント:手形決済の実務では、支払日のデータベース照会ログがそのまま善意の証拠になる。日々の決済記録を消さずに保管する運用が、いざというとき効く
Q3約束手形にもこの条文は使えますか?
58条が直接対象にするのは為替手形、そして2項で小切手や金銭等の給付を目的とする有価証券だ。約束手形は振出人自身が主たる支払義務を負う構造で、支払人・予備支払人という第三者が登場しないため、この条文の前提とは異なる。実務のポイント:約束手形の振出人が更生手続に入った場合は、手形所持人が更生債権者として届け出るという別の道筋になる。自分が手形のどの立場(振出人・支払人・所持人)にいるかを先に確定させないと、使う条文を間違える
間違えやすい点 AI による整理
- 更生手続が始まれば手形をめぐる債権も他の債権と同じく届け出れば足りる、と理解している人は多い。だが届け出られると知っているだけでは足りない。58条が守るのは「知らないで」支払った場合に限られ、しかも保護されるのは「そこから生じた債権」であって手形金そのものではない。この射程の違いを詰めずに動くと、回収範囲を読み違える
- 「手形を払ってしまった以上もう取り返せないのでは」という問いの立て方そのものがずれている。問うべきは「払った時点で開始を知っていたか」だ。善意でさえあれば、払った事実は単なる損失ではなく、更生債権という回収可能な資産に変わる
- 更生手続中の会社の手形は紙くずだと思われがちだが、支払人の側から見れば話は逆になる。善意で支払った支払人は、振出会社に対する求償権を更生債権として手続の配当に乗せられる立場にいる
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 適用される倒産手続 | 会社更生法58条:会社更生手続(株式会社の再建) | 破産法60条:破産手続(清算) 民事再生法57条:民事再生手続(再建) |
| 保護の要件 | 開始の事実を知らないで(善意で)引受け・支払 | 開始の事実を知らないで支払(善意) 開始の事実を知らないで支払(善意) |
| 行使できる地位 | 更生債権者として権利行使 | 破産債権者として権利行使 再生債権者として権利行使 |
| 準用範囲 | 2項で小切手・有価証券に準用 | 同趣旨で小切手等に準用 同趣旨で小切手等に準用 |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾も会社の重整手続で債権は届出により重整債權として扱う。善意の手形支払人の求償権も同枠組みで配当に乗る点が同種
韓国は倒産法制を統合した単一法典で回生・破産を規律。善意の弁済者の取扱いも同法の枠内で処理される
ドイツは倒産手続を InsO に一本化。善意の手形・小切手支払の取扱いも同法の届出・配当の枠組みで処理される
米国は善意の譲受人(good faith transferee)を倒産法 § 550(b) で保護し、流通証券は UCC Article 3が規律する二層構造
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- あなたの会社が為替手形の支払人になっている。期日に支払った三日後、振出人の更生手続開始公告を新聞で見つけた。もし支払った時点であの公告を見ていたら、あなたは「善意」ではなくなり、58条の保護を失っていた。情報を見るタイミング一つで、回収できる債権が宙に浮くかどうかが決まる
- 更生手続開始を知らずに小切手を決済してしまった。そこから生じた債権の配当を受けるには、更生債権として届出期間内に届け出る必要がある。期間は手続ごとに裁判所が定め、過ぎれば原則として失権する。残された時間は公告日からの数週間だ
- 予備支払人として手形を引き受けた。振出会社は更生中だった。あなたは知らなかった。それなら58条が動く
- 銀行があなたの会社の当座から手形を支払い、その振出人が更生手続に入っていた。誰がいつ開始の事実を知っていたのかで、最終的に損失を誰がかぶるかが変わってくる。善意の連鎖のどこかが切れた瞬間、そこに損が落ちる
取るべき行動
被害を受けた側:1. 引受・支払をした正確な日付と、振出会社の更生手続開始決定・公告の日付を突き合わせ、自分が「知らないで」動いたことを時系列で固める2. そこから生じた債権(求償権等)の額を確定し、会社更生法58条を根拠に更生債権として届け出る3. 届出期間は裁判所が手続ごとに定めるため、開始公告を見たら直ちに期間を確認、徒過すると原則失権する4. 為替手形か小切手か、自分の立場(支払人・予備支払人・所持人)を先に確定させ、使う条文を取り違えない
訴えられた側:1. 管財人としてこの届出に向き合うなら、争点は支払人が開始を知っていたか否か。開始決定後にあえて支払った形跡や、開始を知り得た照会記録を精査する2. 善意が認められれば58条で更生債権となるため、闇雲に否認せず、債権額と求償の範囲が手形法・小切手法上正当かを検証する3. 支払人が知っていたと争うなら、その立証をどちらが負うかを意識して資料を固める(立証構造は実務上、解釈が分かれうる) 4. 手続外弁済や二重弁済のリスクを避けるため、社内の支払停止フローと突き合わせる
時効(請求できる期限):本条固有の時効はない。更生債権として権利を行うには、裁判所が各更生手続ごとに定める「債権届出期間」内に届け出る必要があり、期間は開始決定時に公告される。徒過すると原則失権するが、責めに帰すことのできない事由による届出の追完が認められる場合もある(最新の改正状況をご確認ください)
学説
通説:58条は、振出会社の倒産情報が支払人へ瞬時に届かない手形決済の構造を前提に、善意で引受け・支払をした支払人の損失を更生債権という手続内の請求権へ転換する規定と理解される。取引の安全(流通保護)と債権者平等を、入口の善意要件と出口の配当で均衡させるものとされる。
改正沿革 AI による整理
- 平成14年(2002年)会社更生法全部改正 旧会社更生法(昭和27年法律第172号)を全部改正した新法(平成14年法律第154号、平成15年・2003年4月1日施行)により、破産法の善意支払人保護規定と平仄を合わせた現行58条として再構成された。為替手形の引受け・支払に加え、2項で小切手および金銭等の給付を目的とする有価証券への準用を明示
改正の年表
- 1.昭和27年(1952年) 新設:旧会社更生法(昭和27年法律第172号)制定により、米国 Chapter X 型の会社更生手続とともに善意支払人保護規定が置かれた
- 2.平成14年(2002年) 改正:会社更生法全部改正(平成14年法律第154号、平成15年4月1日施行)。破産法の善意支払人保護規定と平仄を合わせた現行58条として再構成し、2項で小切手・有価証券への準用を明示
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