更生会社がした第八十六条の三第一項に規定する行為が転得者に対する否認権の行使によって否認された場合において、転得者がその受けた給付を返還し、又はその価額を償還したときは、転得者は、当該行為がその相手方に対する否認権の行使によって否認されたとすれば第九十二条の規定により原状に復すべき相手方の債権を行使することができる。この場合には、前条第四項の規定を準用する。
要点会社更生法 93 条の 3 は、否認で給付を返還した転得者が、相手方が 92 条により取得するはずの債権を代わって行使できると定める規定である。
Q · 転売で買った資産が会社更生の否認で取り上げられたら、丸損で終わるの?
丸損ではなく、相手方の債権を引き継げます
会社更生法 93 条の 3 により、否認権の行使で給付を取り上げられた転得者は、その給付を返還し又は価額を償還したとき、相手方が同法 92 条により原状回復で取得するはずだった債権を代わって行使できます。つまり丸損で終わるのではなく、更生債権者として更生手続の中で回収を図る立場へ移ります。ただし引き継ぐのは更生債権であり、更生計画による減免や分割弁済の対象となる点に注意が必要です。
中古の設備を、ある会社から買い取った。数か月後、その設備の元の持ち主だった会社が会社更生手続に入り、突然あなたのところに管財人から「その設備は否認するので返してもらう」という通知が届く。転得者であるあなたは二重に損をするのか。代金は払った、設備は取り上げられる。それが普通の発想だ。だが会社更生法 93 条の 3 は、その損を一方向で食い止める仕組みを置いている。あなたが受けた給付を返還し、又はその価額を償還したとき、あなたは空手で退場して終わらない。本来の相手方(あなたに売った会社)が更生会社に対して持っていたはずの債権、否認によって原状に復すべきその債権を、あなたが代わって行使できる。取り上げられた分の価値を、今度は更生債権者として更生手続の中で回収しに行く道が開く。返すだけで終わる人と、返したうえで債権者の椅子に座り直す人。この条文の存在を知っているかどうかが、その分かれ目になる。
会社更生法 93 条の 3 は、転得者に対する否認権の行使によって否認された場合における転得者の権利を定める規定である。転得者が受けた給付を返還し又は価額を償還したとき、相手方が同法 92 条により原状に復すべき債権を、転得者が代わって行使できる旨を規定する。
AI 輔助整理,以條文原文為準
更生会社が一部の債権者を優遇した行為などを管財人が巻き戻し、全債権者の平等を回復する制度です。会社更生法 86 条以下が定めます。
転得者として否認され、受けた給付を返還又は価額償還したときに使えます。相手方が 92 条で取得するはずの債権を代わって行使できます。
86 条の 3 第 1 項により、転得の時点で転得者が否認の原因を知っていた場合などに転得者へ否認権が及びます。相手方否認より要件は厳格です。
更生計画によります。更生債権は減免・分割弁済の対象となり、満額回収できるとは限りません。弁済率の試算が必要です。
支払不能後などに特定の債権者だけへ担保供与や弁済をした行為を巻き戻すものです。86 条の 3 が転得者への効果を定めます。
否認が認められれば現物返還又は価額償還が必要です。ただし返還と引き換えに 93 条の 3 で相手方の債権を行使できます。
転得者として否認され返還した場合、93 条の 3 により相手方が更生会社に持つ債権を引き継ぎ、更生債権者として回収を図れます。
基本構造は近いですが根拠法が異なります。破産は破産法、会社更生は会社更生法 86 条以下が規律し、転得者の権利規定も別個に置かれます。
更生会社が資産を渡した直接の相手をその相手方、その相手方からさらに資産を取得した人を転得者と呼びます(86 条の 3)。あなたが中古品や債権を人から買ったとき、その人が更生会社の相手方なら、あなたは転得者です。業界裏話ヒント:転得者否認は相手方否認より要件が厳しく、転得の時点であなたが否認原因を知っていたか等が問われます。だからこそ、否認されてしまった転得者を救う 93 条の 3 が用意されている。否認の可否と否認後の救済はセットで読むのが実務の基本です
得とは限りません。引き継ぐのは更生会社に対する更生債権で、更生計画で大幅にカットされたり分割弁済になったりします。返した価値そのものが満額戻るわけではない(92 条で復活する債権の範囲が前提)。業界裏話ヒント:弁護士はここで、いくらの債権を何パーセントの弁済率で回収できるかを先に試算します。返還義務の額と、引き継ぐ更生債権の期待回収額を比べて、争うか応じるかを決める。返す前にこの計算を済ませているかどうかが回収額を左右します
93 条の 2 第 4 項の準用は、相手方の債権が復活する範囲や条件を、転得者の場面にもそのまま当てはめる趣旨です。相手方が更生会社から実際に反対給付を受けていた場合などに、復活する債権が制限されることがあります。業界裏話ヒント:この準用部分は見落とされやすく、転得者が相手方の債権を満額引き継げると思い込んで届け出ると、準用された制限で減額される。準用条項こそ、相手方否認の効果規定(92 条・93 条の 2)まで遡って読まないと正確な額が出せない、玄人が必ず確認する箇所です
| dimension | thisArticle | alternatives |
|---|---|---|
| 適用される主体 | 93 条の 3:転得者(相手方からさらに資産を取得した者) | — |
| 返還後に得られるもの | 相手方が 92 条で取得するはずの債権を代位行使 | — |
| 引き継ぐ債権の性質 | 相手方の更生債権(減免・分割の対象) | — |
| 前提となる否認類型 | 86 条の 3 の転得者否認 | — |
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