会社更生法 第93条の3(相手方の債権に関する転得者の権利)
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更生会社がした第八十六条の三第一項に規定する行為が転得者に対する否認権の行使によって否認された場合において、転得者がその受けた給付を返還し、又はその価額を償還したときは、転得者は、当該行為がその相手方に対する否認権の行使によって否認されたとすれば第九十二条の規定により原状に復すべき相手方の債権を行使することができる。この場合には、前条第四項の規定を準用する。
この条文の基本情報
相手方の債権に関する転得者の権利とは何ですか?
定義相手方の債権に関する転得者の権利とは、会社更生法第93条の3に定められた規定で、「更生会社がした第八十六条の三第一項に規定する行為が転得者に対する否認権の行使によって否認された場合において、転得者がその受けた給付を返還し、又はその価額を償還し…」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 会社更生法第93条の3(相手方の債権に関する転得者の権利)は、日本の会社更生法に含まれる条文です。
- 会社更生法第93条の3の条文原文は「更生会社がした第八十六条の三第一項に規定する行為が転得者に対する否認権の行使によって否認された場合において、転得者がその受けた給付を返還し、又はその価額を償還し…」で始まります。
- 会社更生法第93条の3は第四節に置かれています。
- 会社更生法の公布日は平成14年12月13日です。
- 会社更生法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 会社更生法第93条の3の前の条は会社更生法第93条の2です。
- 会社更生法第93条の3の次の条は会社更生法第94条です。
- 会社更生法第93条の3には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
会社更生法(平成十四年法律第百五十四号)第93条の3 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/414AC0000000154 - 本サイト収録
会社更生法(平成十四年法律第百五十四号)第93条の3(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/414AC0000000154/93_3
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点会社更生法93条の3は、否認で給付を返還した転得者が、相手方が92条により取得するはずの債権を代わって行使できると定める規定である。
Q · 転売で買った資産が会社更生の否認で取り上げられたら、丸損で終わるの?
丸損ではなく、相手方の債権を引き継げます
会社更生法93条の3により、否認権の行使で給付を取り上げられた転得者は、その給付を返還し又は価額を償還したとき、相手方が同法92条により原状回復で取得するはずだった債権を代わって行使できます。つまり丸損で終わるのではなく、更生債権者として更生手続の中で回収を図る立場へ移ります。ただし引き継ぐのは更生債権であり、更生計画による減免や分割弁済の対象となる点に注意が必要です。
解説
中古の設備を、ある会社から買い取った。数か月後、その設備の元の持ち主だった会社が会社更生手続に入り、突然あなたのところに管財人から「その設備は否認するので返してもらう」という通知が届く。転得者であるあなたは二重に損をするのか。代金は払った、設備は取り上げられる。それが普通の発想だ。だが会社更生法93条の3は、その損を一方向で食い止める仕組みを置いている。あなたが受けた給付を返還し、又はその価額を償還したとき、あなたは空手で退場して終わらない。本来の相手方(あなたに売った会社)が更生会社に対して持っていたはずの債権、否認によって原状に復すべきその債権を、あなたが代わって行使できる。取り上げられた分の価値を、今度は更生債権者として更生手続の中で回収しに行く道が開く。返すだけで終わる人と、返したうえで債権者の椅子に座り直す人。この条文の存在を知っているかどうかが、その分かれ目になる。
法的な位置づけ
会社更生法93条の3は、転得者に対する否認権の行使によって否認された場合における転得者の権利を定める規定である。転得者が受けた給付を返還し又は価額を償還したとき、相手方が同法92条により原状に復すべき債権を、転得者が代わって行使できる旨を規定する。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.否認の根拠と類型を特定する 管財人から届いた否認の通知が、86条の3第1項の偏頗行為否認なのか、他の類型なのかを特定する。転得者否認の要件(転得時の認識等)を満たしているかも併せて確認する
- 2.相手方が取得するはずの債権額を算定する あなたに資産を渡した相手方が、更生会社に対して92条により原状回復で取得するはずの債権額を算定する。返還前にこの額を確定しておかないと、引き継げる債権の主張材料を失う
- 3.返還と債権行使をセットで管財人へ通知 給付の返還又は価額償還を、93条の3により相手方の債権を行使するという主張とセットにして管財人へ通知する。返還のタイミング自体を交渉カードにする
- 4.引き継いだ更生債権を届出期間内に届け出る 引き継いだ相手方の債権は更生債権として、裁判所が定める債権届出期間(会社更生法138条以下)内に届け出る。徒過すると原則失権するため、期限の確認を最優先にする
よくある質問 AI による整理
Q1否認権とは何ですか?
更生会社が一部の債権者を優遇した行為などを管財人が巻き戻し、全債権者の平等を回復する制度です。会社更生法86条以下が定めます。
Q2会社更生法93条の3はどんなときに使えますか?
転得者として否認され、受けた給付を返還又は価額償還したときに使えます。相手方が92条で取得するはずの債権を代わって行使できます。
Q3転得者否認の要件は何ですか?
86条の3第1項により、転得の時点で転得者が否認の原因を知っていた場合などに転得者へ否認権が及びます。相手方否認より要件は厳格です。
Q4引き継いだ更生債権はどのくらい回収できますか?
更生計画によります。更生債権は減免・分割弁済の対象となり、満額回収できるとは限りません。弁済率の試算が必要です。
Q5偏頗行為の否認とは何ですか?
支払不能後などに特定の債権者だけへ担保供与や弁済をした行為を巻き戻すものです。86条の3が転得者への効果を定めます。
Q6否認された資産は必ず返さないといけませんか?
否認が認められれば現物返還又は価額償還が必要です。ただし返還と引き換えに93条の3で相手方の債権を行使できます。
Q7サービサーが買った債権が否認されたらどうなりますか?
転得者として否認され返還した場合、93条の3により相手方が更生会社に持つ債権を引き継ぎ、更生債権者として回収を図れます。
Q8会社更生と破産で否認のルールは違いますか?
基本構造は近いですが根拠法が異なります。破産は破産法、会社更生は会社更生法86条以下が規律し、転得者の権利規定も別個に置かれます。
この条文についての質問 AI による整理
Q1転得者って何ですか。普通の買主と違うんですか。
更生会社が資産を渡した直接の相手をその相手方、その相手方からさらに資産を取得した人を転得者と呼びます(86条の3)。あなたが中古品や債権を人から買ったとき、その人が更生会社の相手方なら、あなたは転得者です。実務のポイント:転得者否認は相手方否認より要件が厳しく、転得の時点であなたが否認原因を知っていたか等が問われます。だからこそ、否認されてしまった転得者を救う93条の3が用意されている。否認の可否と否認後の救済はセットで読むのが実務の基本です
Q2返したのに相手方の債権をもらえるって、本当に得なんですか。
得とは限りません。引き継ぐのは更生会社に対する更生債権で、更生計画で大幅にカットされたり分割弁済になったりします。返した価値そのものが満額戻るわけではない(92条で復活する債権の範囲が前提)。実務のポイント:弁護士はここで、いくらの債権を何パーセントの弁済率で回収できるかを先に試算します。返還義務の額と、引き継ぐ更生債権の期待回収額を比べて、争うか応じるかを決める。返す前にこの計算を済ませているかどうかが回収額を左右します
Q3前条第4項を準用するって書いてありますが、何が変わるんですか。
93条の2第4項の準用は、相手方の債権が復活する範囲や条件を、転得者の場面にもそのまま当てはめる趣旨です。相手方が更生会社から実際に反対給付を受けていた場合などに、復活する債権が制限されることがあります。実務のポイント:この準用部分は見落とされやすく、転得者が相手方の債権を満額引き継げると思い込んで届け出ると、準用された制限で減額される。準用条項こそ、相手方否認の効果規定(92条・93条の2)まで遡って読まないと正確な額が出せない、玄人が必ず確認する箇所です
間違えやすい点 AI による整理
- 「転得者として否認されたら、返して終わり、丸損だ」と思い込みがちだが、93条の3は返還と引き換えに相手方の債権を行使する権利を与える。丸損ではなく、更生手続の中で弁済を受ける債権者へと立場が変わる
- 「相手方の債権を引き継げる」ことは聞いていても、それが更生債権という、しばしば大幅にカットされる債権だという深刻さを見落としている。引き継いだ債権が満額回収できるとは限らず、更生計画による減免や分割弁済の対象になる。引き継げること自体に安心してはいけない
- 「自分は善意だから否認などされない」という前提でこの条文を読み飛ばす人がいるが、問いの立て方が違う。86条の3第1項の要件を満たせば転得者否認は及びうるし、この条文はむしろ否認された後のあなたを救うために存在する。否認されない前提ではなく、否認されたあとどう動くかを定めた条文だ
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 適用される主体 | 93条の3:転得者(相手方からさらに資産を取得した者) | 93条の2:相手方(更生会社から直接給付を受けた者) 92条:否認による原状回復の一般効果 |
| 返還後に得られるもの | 相手方が92条で取得するはずの債権を代位行使 | 反対給付・現存利益の返還等、相手方自身の債権が復活 否認された財産が更生会社へ原状回復 |
| 引き継ぐ債権の性質 | 相手方の更生債権(減免・分割の対象) | 復活する相手方の債権(範囲は同条4項で制限あり) —(財産そのものの回復) |
| 前提となる否認類型 | 86条の3の転得者否認 | 相手方に対する否認 否認一般(86条以下) |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾は破産法の撤銷權で否認に相当する仕組みを置き、公司法重整手続が破産法の否認規定を準用する。転得者に対する効果も撤銷權の射程で論じられる
韓国は会生・破産を統合した通合倒産法で否認権を規律し、転得者に対する否認の効力規定も置く。構造は日本に近い
ドイツ倒産法は § 145で法的承継人(転得者相当)に対する否認の効力を定め、否認の連鎖を承継人へ及ぼす範囲を規律する
米国連邦倒産法 § 550は、否認された移転について初回受領者だけでなく後続の transferee からも回収できると定める。回収の連鎖と善意取得者の保護を併せて規律する
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- あなたが債権回収会社で、経営難の取引先が持っていた担保付債権を額面割れで買い取った。その取引先が会社更生に入り、元の債務者への担保供与が偏頗行為として否認される。管財人は転得者であるあなたに否認権を向けてくる。返還したあと、自分に何が残るのか。そこがこの条文の出番だ
- もし管財人から否認の請求書が届き、応答の期限が迫っているとしたら。あわてて給付を返還する前に、返還と引き換えに自分が行使できる相手方の債権がいくらあるのかを先に確定しなければ、回収できるはずの額を取りこぼす
- 不動産を転売で取得した。元の売主が更生会社の偏頗行為の相手方だった。あなたが物件を返せば、相手方の更生債権はあなたの手に移る
- あなたに資産を売った会社が「うちが直接否認されたわけじゃないから関係ない」と言う。だが転得者であるあなたが否認されて返還した瞬間、その会社が更生会社に対して持っていた債権はあなたが引き継ぐ。相手方は自分の債権が他人の手に渡ったことに後で気づく
取るべき行動
被害を受けた側:1. 否認の根拠を確認、86条の3第1項の偏頗行為否認なのか他の類型なのかを特定する2. あなたに資産を渡した相手方が更生会社に対して原状回復で取得するはずの債権額を、92条に照らして算定3. 給付の返還又は価額償還を、その相手方債権を行使するという主張とセットにして管財人へ通知4. 引き継いだ債権は更生債権として裁判所の定める届出期間内に届け出る。徒過すると原則失権するため、期限の確認を最優先にする
訴えられた側:管財人や更生債権者の側に立つ場合:1. 転得者が返還してきたら、その者が93条の3で相手方の債権を行使してくることを織り込む2. 引き継がれるのは更生債権にとどまり、共益債権のような優先扱いにはならない点を主張3. 前条(93条の2)第4項の準用範囲を精査、相手方が更生会社から現実に反対給付を受けていた場合の制限に注意4. そもそも86条の3の転得者否認の要件充足を改めて争えないか検討
時効(請求できる期限):この条文自体に固有の期間制限はないが、引き継いだ相手方の債権を現実に回収するには、更生手続の債権届出期間(裁判所が定める期間、会社更生法138条以下)内の届出が必須。期間を徒過すると原則として失権する。起算点は裁判所の定める届出期間の初日(最新の手続上の期間をご確認ください)
学説
通説:93条の3の転得者の権利は、否認の連鎖において最末端の転得者だけに損失が偏在することを防ぐ調整規定と理解される。返還又は価額償還と相手方債権の代位行使はセットで把握され、引き継ぐ債権は更生債権にとどまるとされる。前条4項の準用により、相手方が現実に反対給付を受けていた場合などに復活債権の範囲が制限される点に留意が必要とされる。
改正沿革 AI による整理
改正の年表
- 1.平成14年(2002年) 新設:会社更生法の全部改正(平成14年法律第154号)に伴い、否認の効果に関する規定群の一環として転得者の権利を定める本条が置かれた。2003年4月施行。
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