他人の不動産を侵奪した者は、十年以下の拘禁刑に処する。
要点刑法 235 条の 2 の不動産侵奪罪は、他人の不動産を侵奪した者を十年以下の拘禁刑に処する。成立には立入りだけでなく、所有者の占有を排除する占有の移転を要する。
Q · 空き家に勝手に住み着かれたら不動産侵奪罪になる?
占有を奪い支配を確立すれば成立、十年以下の拘禁刑です
刑法 235 条の 2 により、他人の不動産を侵奪した者は十年以下の拘禁刑に処されます。窃盗罪と同じ重さの財産犯です。ただし成立には、単に立ち入るだけでは足りず、所有者の占有を排除して自己の支配を確立する『占有の移転』が必要です。空き家の鍵を換えて住み着く、空き地をフェンスで囲い込むといった行為は侵奪にあたりえます。一方で警察は民事不介入が原則のため、占有がいつどのように移ったかを証拠化できなければ刑事事件として動きにくい点に注意が必要です。
相続した実家を空き家のまま何年も放置していたら、ある日見知らぬ人が住み着いていた。鍵を換えられ、表札まで掛けられ、電気メーターが回っている。あなたは「不法侵入だろう、警察を呼べば一発で終わる」と思う。だが現実はそう単純ではない。刑法235条の窃盗罪は「財物を盗む」罪で、土地や建物のように持ち去れないものには使えない。そこで昭和35年、不動産専用の侵奪罪が新設された。他人の不動産に対する自分の支配を確立し、本来の持ち主の支配を排除した瞬間、十年以下の拘禁刑という窃盗とまったく同じ重さの罪が成立する。ポイントは「侵奪」が単なる立ち入りではなく「占有の移転」を要する点だ。一晩泊まっただけでは足りないが、鍵を換え生活の拠点にした時点で線を越える。あなたが知っておくべきは、この罪が空き家、空き地、境界線をめぐる今の紛争にそのまま突き刺さるという事実だ。
不動産侵奪罪とは、他人の不動産を侵奪する行為を処罰する財産犯である。侵奪とは、不動産に対する他人の占有を排除し、自己または第三者の事実的支配を確立することをいい、一時的な立入りや使用では足りない。窃盗罪が動産を対象とするのに対し、本罪は土地・建物など持ち去ることのできない不動産を客体とする点に特色がある。
他人の不動産の占有を奪い、自己の支配を確立する財産犯です。刑法 235 条の 2 が根拠で、空き家への住み着きや空き地の囲い込みが典型例。法定刑は十年以下の拘禁刑です。
十年以下の拘禁刑のため、公訴時効は刑事訴訟法 250 条により原則 7 年です。ただし占有が継続する間の起算点には議論があり、事案により扱いが異なります。
住居侵入罪(130 条)は他人の住居等への立入り自体を罰します。不動産侵奪罪は占有を奪い支配を確立する点が異なり、法定刑も十年以下と格段に重いです。
処罰されます。刑法 243 条が不動産侵奪罪の未遂を処罰対象としています。占有の移転に着手したが完成に至らない段階でも罪に問われえます。
十年以下の拘禁刑です。窃盗罪とまったく同じ重さで、空き家占拠や境界の侵食が万引きや車上荒らしと法律上は同格の重罪と位置づけられています。
塀やフェンスを隣地に食い込ませて占有すれば侵奪と評価される余地があります。あわせて境界損壊罪(262 条の 2)に問われる可能性もあります。
占有を奪われたまま 10 年または 20 年が経つと、相手が取得時効(民法 162 条)で所有権を得る危険があります。刑事の立証も時間とともに困難になります。
占有がいつどのように移ったかを示す証拠が要です。現状写真、鍵や表札の変更、メーターの稼働記録、出入り人物を日時付きで記録することが重要になります。
残念ながら、すぐには動かないのが普通です。警察は民事不介入が原則で、不動産侵奪罪(235条の2)として立件するには「占有がいつ、どのように所有者から奪われたか」の証拠が要ります。単に人がいるだけでは住居侵入(130条)止まりの判断もありえます。業界裏話ヒント:刑事が動きにくいと感じたら、民事の占有回収の仮処分を先に打ち、その手続で確定した事実を刑事告訴の補強に回すのが実務の常套手段です。刑事と民事は別々ではなく、片方の成果をもう片方の燃料にできる
言えますが、時間との勝負です。占有を奪われたまま10年または20年が経つと、相手に取得時効(民法162条)で所有権を取られる危険があります。刑事の不動産侵奪も、占有開始から長期間が経つと立証が困難になります。業界裏話ヒント:弁護士はまず「相手の占有がいつ始まったか」を確定しにかかります。固定資産税の課税記録、航空写真の経年変化、近隣の証言で開始時期を押さえれば、時効完成前かどうかが分かる。気付いた日ではなく、占有が始まった日が運命を分ける
契約終了後の居座りは、原則としてまず民事の明渡し問題で、ただちに不動産侵奪罪になるわけではありません。ただし、賃貸借が適法に終了した後も占有を続け、所有者の支配を完全に排除する態様に至れば、侵奪と評価される余地があります(最新の判例の動向をご確認ください)。業界裏話ヒント:実務では、契約終了後の元借主に対していきなり刑事告訴するより、明渡し訴訟と占有移転禁止の仮処分で固めるのが定石。刑事はあくまで居座りが悪質で占有排除が明白な場合の最終手段として温存される
それが一番危険な発想です。日本の法律は自力救済を禁じており、相手が現に占有している以上、所有者でも勝手に排除すると今度はあなたが不動産侵奪罪(242条で自己の物でも対象)や器物損壊罪に問われます。業界裏話ヒント:占拠者側はこれを逆手に取り、所有者を挑発して実力行使させ、自分が被害者に転じる手を使うことがある。だから所有者ほど冷静に、裁判所の手続を通して占有を取り戻すのが結局は最短かつ安全な道になる
| dimension | thisArticle | alternatives |
|---|---|---|
| 客体 | 235 条の 2:他人の不動産(土地・建物) | — |
| 行為態様 | 占有を排除し自己の支配を確立する『侵奪』 | — |
| 法定刑 | 十年以下の拘禁刑 | — |
| 新設・関連 | 昭和 35 年新設、未遂は 243 条で処罰 | — |
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