要点刑法 49 条は併合罪の没収を定める。重い罪で没収を科さなくても他の罪に没収事由があれば付加でき、二個以上の没収はすべて併科される。懲役と違い上限はない。
Q · 複数の罪で起訴されたら、没収も懲役みたいにまとめて軽くなるの?
いいえ、没収は罪ごとに全件積み上がります
なりません。刑法 49 条 2 項は「二個以上の没収は、併科する」と定め、没収には懲役・拘禁刑のような吸収・加重(47 条)の仕組みがありません。さらに 1 項により、最も重い罪で没収を科さない場合でも、他の軽い罪に没収の事由があればそれを付加できます。没収は最も重い罪に従属せず罪ごとに独立して生きるため、対象財産がある限り全件が積み上がり、財産剥奪に上限はありません。
刑罰には「割引」がある。複数の罪を一度に裁かれるとき、懲役や拘禁刑は罪の数だけ単純に足し算されるわけではない。一番重い罪を基準に上限を加重するだけで、いわば「まとめ買いの割引」が効く。ところが、その割引が一切効かない刑罰がある。それが没収だ。刑法 49 条は二つのことを定める。第一に、併合罪のうち重い罪では没収を科さないとしても、軽い方の罪に没収の事由があれば、それを付加できる。つまり「メインの罪では没収されないから安心」は通用しない。第二に、二個以上の没収はすべて併科する。罪ごとの没収対象が三つあれば三つとも、五つあれば五つとも、まとめて持っていかれる。あなたが複数の容疑で取り調べを受けているとき、弁護人が刑期の話に集中している裏で、没収リストは罪をまたいで静かに積み上がっている。懲役年数だけ見て安堵した人が、執行段階で財産がごっそり消える理由はここにある。
刑法 49 条は併合罪における没収の付加と併科を定める規定である。第 1 項は、併合罪のうち重い罪に没収を科さない場合でも、他の罪に没収の事由があるときはこれを付加できるとする。第 2 項は、二個以上の没収はすべて併科すると定める。懲役・拘禁刑の吸収・加重主義(47 条)に対し、没収には上限的調整がない点に特色がある。
併合罪における没収の付加と併科を定める条文です。重い罪で没収を科さなくても他の罪の没収事由を付加でき、二個以上の没収はすべて併科されます。
懲役・拘禁刑は併合罪で加重に上限がかかり一本に圧縮されます(47 条)が、没収には吸収・加重がなく、対象財産がある限り罪ごとに全件積み上がります(49 条 2 項)。
刑法 19 条により、犯罪を構成した物、犯罪に使った道具(供用物件)、犯罪で得た物やその対価などが対象です。儲けがゼロでも犯行に使った車やスマホが没収されることがあります。
必ずではありません。刑法 19 条は「没収することができる」とする裁量規定で、没収の必要性・相当性が乏しい物については没収不相当を主張して外せる余地があります。
されることがあります。第三者がその物を犯罪に関わると知って取得した場合、第三者所有物として没収されうるため、第三者の善意を立証する材料を判決前に確保することが重要です。
没収は刑の言渡しと同時に判決で宣告される付加刑で、判決確定により執行されます。執行後は取り戻しが極めて困難なため、第一審段階での防御が決定的です。
原則の枠組みは 49 条ですが、組織的犯罪処罰法や麻薬特例法に犯罪収益没収の特則があり、これらが優先的に適用される場面があります。
没収は対象物そのものを国家が剥奪する処分、追徴は没収できない物の価額相当額を金銭で取り立てる処分です。物が処分・費消された場合に追徴が問題になります。
あります。それがまさに 49 条 1 項の定めです。併合罪のうち重い罪で没収を科さない場合でも、他の罪に没収の事由があれば、それを付加できます。没収は最も重い罪に従属しているのではなく、罪ごとに独立して判断されるからです。業界裏話ヒント:弁護実務では刑期の交渉に注力するあまり、軽い方の罪に付いた没収事由が見落とされがちです。判決を見て初めて「えっ、これも没収されるのか」と驚くケースは珍しくない。没収対象は重い罪だけでなく全ての訴因について罪ごとに点検するのが鉄則
まとめてくれません。49 条 2 項が「二個以上の没収は、併科する」と明記しています。懲役・拘禁刑は併合罪で加重に上限がかかり(47 条)一本の刑に圧縮されますが、没収にはその吸収・加重の仕組みがなく、対象財産がある限り全件が積み上がります。業界裏話ヒント:この非対称性は薬物・組織犯罪・経済犯罪で特に効いてきます。刑期は頭打ちでも没収・追徴額には上限がないため、実務では「懲役より没収の方が人生に響く」事案がある。刑期の数字だけ見て安心するのが一番危ない
問いの立て方が少し狭いです。没収対象は儲け(犯罪収益)に限りません。刑法 19 条は、犯罪を構成した物、犯罪に使った道具(供用物件)、犯罪で生じた・得た・報酬として得た物、その対価を対象としており、儲けゼロでも犯行に使った車・スマホ・機材は没収されうる。49 条のもとでは、それが罪ごとに併科されます。業界裏話ヒント:没収は『できる』という裁量規定です。生活必需品や没収の必要性が乏しい物については、没収不相当を主張して外せる余地がある。一律に諦めず、物件ごとに必要性を争うのが実務の勘どころ
| dimension | thisArticle | alternatives |
|---|---|---|
| 併合罪での調整 | 49 条:没収は吸収・加重なし、対象がある限り全件併科 | — |
| 罪への従属性 | 49 条 1 項:重い罪が没収なしでも軽い罪の事由で付加可、罪ごとに独立 | — |
| 上限の有無 | 49 条:財産剥奪に上限なし(青天井) | — |
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