要点会社更生法136条は、更生債権者の議決権の額を債権の種類ごとに定める。弁済期未到来の無利息債権は中間利息を控除した額となり、開始後の利息や租税・罰金は議決権を持たない。
Q · 倒産した取引先への債権は、その金額のぶんだけ更生計画に投票できるの?
債権額と議決権の額は別物。種類ごとに算定されます
会社更生法136条により、議決権の額は債権額そのままではなく、債権の種類に応じて算定されます。弁済期がまだ来ていない無利息債権は、開始時から期限までの中間利息を控除した額が議決権になります(1項1号)。定期金債権は元本相当額が上限です。さらに2項では、更生手続開始後の利息・損害賠償・違約金・手続参加費用・租税・罰金等は議決権ゼロと定めます。3項では、会社が上位債権を完済できない状態にあるとき、約定劣後更生債権を持つ者は議決権を失います。請求できる額と投票で動かせる力は、別の目盛りで測られています。
主要取引先の大企業が会社更生に入った。あなたの会社は数千万円の売掛金を抱えている。多くの人は「債権額のぶんだけ更生計画に口を出せる」と考える。会社更生法 136 条は、その思い込みを正面から崩す。議決権の額は債権の種類で変わる。弁済期がまだ来ていない無利息の債権なら、開始時から期限までの法定利率分(中間利息、つまり今受け取れば本来発生したはずの利息)を差し引いた額しか議決権にならない。定期金債権なら元本相当額が上限になる。さらに 2 項が決定的だ。更生手続開始後の利息、開始後の不履行による損害賠償や違約金、手続参加の費用、租税、罰金、これらは議決権ゼロ。3 項では、会社が開始時に上位債権を完済できない状態なら、約定劣後更生債権(契約で他の債権より後回しと定めた債権)を持つ者も議決権を失う。つまり、あなたの「請求できる額」と「投票で動かせる力」は別物だ。この差を知らないまま関係人集会に臨むと、いつの間にか発言権を削られている。
会社更生法136条は、更生手続における更生債権者等の議決権の額を定める規定である。議決権は債権額そのものではなく、債権の種類に応じて算定され、弁済期未到来の無利息債権は中間利息控除後の額、定期金債権は元本相当額を上限とする。開始後利息・違約金・手続参加費用・租税・罰金等は議決権を有さず、一定の場合には約定劣後更生債権も議決権を失う。
AI 輔助整理,以條文原文為準
弁済期がまだ来ていない無利息債権について、開始時から期限までの法定利率分の利息を債権額から差し引くことです(136条1項1号)。今受け取れば本来発生したはずの利息を控除し、現在価値に引き直します。
各定期金を中間利息控除に準じて算定した合計額が議決権になります。ただしその額が法定利率で同額の利息を生ずべき元本額を超えるときは、その元本額が上限です(136条1項2号)。
出せます。議決権額に過小算定があれば、議決権の確定手続のなかで異議を述べることができます。関係人集会の当日では遅いため、届出後の確定段階で早期に主張する必要があります。
関係人集会の期日に出席して行使するか、裁判所が認める場合は書面投票で行使します。期限は事件ごとに裁判所が定めるため、決定書で必ず確認してください。
なりません。更生手続開始後の利息の請求権は136条2項1号により議決権を持ちません。開始時を基準に算定するため、開始後に積み上がる利息は投票力に反映されません。
更生手続開始の時を基準に算定されます(136条各項)。開始後の事情で増減する利息や損害賠償は反映されず、開始時点での経済的価値に固定されます。
考え方は似ていますが、根拠条文が異なります。会社更生は136条、民事再生は民事再生法87条が議決権額を定めます。中間利息控除や評価額算定の発想は共通します。
持ちません。更生手続開始前の罰金等の請求権(142条2号に規定するもの)は、136条2項5号により議決権を有しません。手続には参加できても投票には加われません。
種類によります。すでに弁済期が来ている通常の金銭債権なら債権額どおりですが、弁済期がまだ先の無利息債権は、開始時から期限までの法定利率分(中間利息)を引いた額が議決権になります(136 条 1 項 1 号)。業界裏話ヒント:実務では、債権の弁済期や利息条件の主張ひとつで議決権額が動く。届出時に債権の性質を丁寧に整理した債権者ほど、票を削られにくい。
数えられません。租税等の請求権、更生手続開始後の利息、開始後の不履行による損害賠償や違約金は、136 条 2 項で議決権を持たないと明記されています。租税は優先的に保護される代わりに、計画の賛否には加われません。業界裏話ヒント:保護される地位と、計画を動かせる地位は別物です。優先弁済を受けられるからといって投票で影響力を持てるわけではない、この二層構造を理解している債権者は驚くほど少ない。
会社が更生手続開始の時にその財産で上位債権を完済できない状態なら、約定劣後更生債権を持つ人は議決権を持ちません(136 条 3 項)。財務が健全に保たれていれば議決権はありますが、更生に至る局面ではこの条件を満たすことが多い。業界裏話ヒント:高利回りの劣後債や劣後ローンは、平時の利息と引き換えに、いざ倒産局面では発言権まで後回しにされる設計です。投資判断の段階でこの「最後に並ぶ」性質を織り込んでおくべき。
| dimension | thisArticle | alternatives |
|---|---|---|
| 通常の金銭債権(弁済期到来) | 債権額どおり議決権になる(136条1項4号) | — |
| 弁済期未到来の無利息債権 | 中間利息を控除した額(136条1項1号) | — |
| 租税・開始後利息・罰金 | 議決権を持たない(136条2項) | — |
| 約定劣後更生債権 | 上位債権完済不能なら議決権なし(136条3項) | — |
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