会社更生法 第137条(更生債権者等が外国で受けた弁済)
クイックジャンプ
- 更生債権者等は、更生手続開始の決定があった後に、更生会社の財産で外国にあるものに対して権利を行使したことにより、更生債権等について弁済を受けた場合であっても、その弁済を受ける前の更生債権等の全部をもって更生手続に参加することができる。
- 2.前項の更生債権者等は、他の同順位の更生債権者等が自己の受けた弁済と同一の割合の弁済を受けるまでは、更生計画の定めるところによる弁済を受けることができない。
- 3.第一項の更生債権者等は、外国において弁済を受けた更生債権等の部分については、議決権を行使することができない。
この条文の基本情報
更生債権者等が外国で受けた弁済とは何ですか?
定義更生債権者等が外国で受けた弁済とは、会社更生法第137条に定められた規定で、「更生債権者等は、更生手続開始の決定があった後に、更生会社の財産で外国にあるものに対して権利を行使したことにより、更生債権等について弁済を受けた場合であっても、そ…」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 会社更生法第137条(更生債権者等が外国で受けた弁済)は、日本の会社更生法に含まれる条文です。
- 会社更生法第137条の条文原文は「更生債権者等は、更生手続開始の決定があった後に、更生会社の財産で外国にあるものに対して権利を行使したことにより、更生債権等について弁済を受けた場合であっても、そ…」で始まります。
- 会社更生法第137条は第一節に置かれています。
- 会社更生法の公布日は平成14年12月13日です。
- 会社更生法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 会社更生法第137条の前の条は会社更生法第136条です。
- 会社更生法第137条の次の条は会社更生法第138条です。
- 会社更生法第137条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
会社更生法(平成十四年法律第百五十四号)第137条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/414AC0000000154 - 本サイト収録
会社更生法(平成十四年法律第百五十四号)第137条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/414AC0000000154/137
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点会社更生法137条は、更生会社の外国財産から弁済を受けた更生債権者の調整を定める。回収前の全額で手続参加できるが、他の同順位債権者が同じ割合に達するまで国内配当を受けられない。
Q · 倒産した取引先の海外資産を先に差し押さえて回収したら、その分は丸取りできるの?
先に回収はできるが、最終的に他の債権者と同じ割合へ調整される
会社更生法137条により、外国で受けた弁済を返す必要はなく、回収前の全額で更生手続に参加できます(1項)。ただし他の同順位債権者があなたと同じ割合の弁済を受けるまで、更生計画による国内配当は一円も受け取れません(2項)。さらに外国で回収済みの部分については議決権を行使できません(3項)。国境をまたいだ先回り回収は、最終的に全員同じ割合へ均される仕組みで、いわゆるホッチポット・ルールです。
解説
取引先の会社が更生手続に入った。あなたはその会社に大口の売掛金を抱えている。回収を急ぎたいあなたは、その会社が海外に持つ資産に目をつけ、現地の裁判所で差押えをかけて一部を回収した。一見、抜け目ない動きに見える。だが137条はそれを許さない。確かにあなたは外国で回収した分を含めて、もとの債権全額で更生手続に参加できる(1項)。しかし他の同順位の債権者があなたと同じ割合まで弁済を受けるまで、あなたは更生計画による国内配当を一円も受け取れない(2項)。さらに、外国で回収済みの部分については議決権も行使できない(3項)。国境をまたいで先回りしても、最後はみんなと同じ割合に均される。早い者勝ちは、ここでは通用しない。
法的な位置づけ
会社更生法137条は、更生債権者等が更生手続開始後に更生会社の外国財産から弁済を受けた場合の取扱いを定める規定である。当該債権者は回収前の全債権額で手続に参加できる一方、他の同順位債権者が同一割合の弁済を受けるまで更生計画による弁済を受けられず、外国で弁済を受けた部分については議決権を行使できない。国境を越えた抜け駆け回収を最終的な配当割合で均す、いわゆるホッチポット・ルールを定めた条文である。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.更生手続開始を知ったら届出期間を確認 取引先の更生手続開始決定を知ったら、まず裁判所が定める更生債権等の届出期間を確認し、期間内に債権全額(海外で回収済みの分を含む)を届け出る。徒過すると手続参加資格を失う
- 2.先回り回収した債権者の有無を調べる 他の債権者が外国で先に回収していないか、管財人への照会や債権者集会の情報から把握する。先回り回収者がいれば自分の配当割合に影響するため早期に特定する
- 3.137条2項を根拠に配当留保を主張 先回り回収した債権者がいれば、その者が受けた割合まで他の同順位債権者が追いつくまで、その者への計画弁済を留保せよと管財人・裁判所に主張する
- 4.外国回収分の議決権を精査 先回り回収者の外国弁済分には議決権がないこと(3項)を確認し、関係人集会での票の重みを見直す。計画案の可決ライン計算を自分有利に組み立てる
よくある質問 AI による整理
Q1ホッチポット・ルールとは?
倒産手続で、外国財産などから先に弁済を受けた債権者を、他の同順位債権者が同じ割合に追いつくまで国内配当の列の最後尾に置く調整原理です。会社更生法137条がこれを定めます。
Q2会社更生法137条をわかりやすく言うと?
倒産会社の海外資産から先に回収しても丸取りはできず、抜け駆けした分は国内配当で他の債権者と同じ割合まで相殺される、というルールです。早い者勝ちを封じる規定です。
Q3倒産した取引先の海外資産を差し押さえできる?
現地法上適法なら差押え自体は可能で、回収した弁済を返す必要もありません。ただし日本の更生手続では137条で精算対象となり、国内配当が留保されます。
Q4更生債権の届出期間はいつまで?
裁判所が定める更生債権等の届出期間内です。これを徒過すると原則として手続参加資格を失うため、海外で回収済みの分も含めて期間内に全額を届け出ます。
Q5海外で回収した債権に議決権はある?
外国で弁済を受けた部分については議決権を行使できません(137条3項)。未回収の残債権部分については通常どおり議決権があります。
Q6破産法109条とは?
破産手続における同趣旨の精算規定で、外国財産から弁済を受けた破産債権者の配当調整を定めます。会社更生・民事再生にも同じ思想の条文があります。
Q7国際倒産で日本の配当ルールはどうなる?
日本の倒産手続に参加する以上、外国での回収行為は手続内で精算対象になります。国境を越えた先回り回収は最終的に同一割合へ均されます。
Q8更生会社の外国財産から回収したら申告は必要?
必要です。管財人に正確に申告しないと、後で発覚した際に配当の取消し・返還を求められるリスクがあります。隠して得することはほぼありません。
この条文についての質問 AI による整理
Q1海外で先に回収したら、その分は手元に残せるんですよね?
残せます。137条1項により、外国で受けた弁済を返す必要はなく、しかも回収前の全額で更生手続に参加できます。ただし2項で、他の同順位債権者があなたと同じ割合の弁済を受けるまで、国内の計画弁済は受けられません。つまり手元の回収分は前借りのように扱われ、最終的には全員同じ割合に均されます。実務のポイント:外国で回収した事実を管財人に申告しないと、後で発覚したとき配当の取消し・返還を求められます。隠して得することはほぼなく、管財人の心証を悪くするだけです
Q2破産や民事再生でも同じルールですか?
ほぼ同じです。破産法109条、民事再生法89条に同趣旨の規定があり、日本の倒産法は手続の種類を問わず、国境を越えた抜け駆けは精算するという思想で統一されています(現行条番号は要確認)。実務のポイント:この一貫性を知っていれば、取引先がどの手続を選んでも対応方針がぶれません。逆に外国の倒産手続(米国チャプター11など)では配当ルールが異なるため、どの国の手続に参加するかで戦略を変える必要があります
Q3外国で回収した分は議決権がないと、私の意見は通らないんですか?
回収済みの部分については議決権を行使できません(137条3項)。ただし、未回収の残債権部分については通常どおり議決権があります。実務のポイント:大口債権者ほど海外で先回り回収すると、その分だけ関係人集会での発言力が削られるというジレンマがあります。回収の早さと手続内での影響力はトレードオフの関係に立つことを計算に入れて動くのが、実務の勘所です
間違えやすい点 AI による整理
- 外国で回収した分は自分のものとして確保でき、さらに残りの債権で手続に参加できると思われがちだが、構造が逆だ。回収分も含めた全額で参加はできるが、その回収分は他の債権者が追いつくまで国内配当を止める足かせとして働く。得をしたつもりが、結局は同じ割合に均される
- 外国で取れた者勝ちは何となく不公平だと感じている人は多い。だがその不公平さの深刻度を見誤っている。137条がなければ、海外資産のある倒産企業では、情報と機動力を持つ大手金融機関だけが先回りし、国内の中小取引先は配当原資の枯れた残りカスしか得られない。これは個別事件の損得ではなく、倒産配当制度そのものの公平性が崩れる問題だ
- 海外資産の差押えは現地の法律の問題で、日本の更生手続とは別だ、という前提で動く人がいる。その問いの立て方自体が誤っている。日本の更生手続に参加する以上、外国での回収行為は日本の手続内で精算対象になる。現地で適法に取れたかどうかと、日本の手続で精算されるかどうかは、まったく別の話だ
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 適用される手続 | 会社更生法137条:更生手続 | 破産法109条:破産手続 民事再生法89条:再生手続 |
| 手続参加(1項相当) | 外国回収後も全額で更生手続に参加可 | 外国回収後も全額で破産手続に参加可 外国回収後も全額で再生手続に参加可 |
| 配当・弁済の調整 | 他の同順位者が同割合に達するまで計画弁済を留保 | 他の同順位者が同割合に達するまで配当を留保 他の同順位者が同割合に達するまで弁済を留保 |
| 議決権(3項相当) | 外国回収分は議決権なし | 破産は原則配当中心で議決の場面が限定的 外国回収分は議決権なし |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾も債権者平等を基本原則とするが、外国財産からの受償を明文で精算する規定は日本ほど整備されていない
韓国も国際倒産規定を整備し、外国で弁済を受けた債権者の配当調整を定める点で日本と類似する
ドイツ倒産法も外国手続で得た弁済の国内配当への算入(Anrechnung)を定め、ホッチポットと同趣旨の調整を行う
米国破産法のホッチポット・ルール。外国手続で弁済を受けた債権者は、他の同種債権者が同割合に達するまで追加配当を受けられない
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- もし、あなたの会社の取引先が更生手続に入り、その会社がシンガポールに在庫や口座を持っていると分かったら、どうする? 現地で差押えに動くべきか。動けば一部は早く回収できる。だがその回収分は、日本の更生手続で他の債権者が同じ割合に追いつくまで、あなたへの国内配当を止める足かせになる
- あなたは機動力のある債権者として、いち早く海外の資産から回収した。数か月後、更生管財人から通知が届く。あなたが外国で受けた弁済分について、他の同順位債権者が同割合に達するまで計画弁済を留保する、と。先に動いた優位は、紙一枚で帳消しになる
- 海外で一部回収した。その部分には議決権がない。関係人集会で、あなたの一票は思ったより軽い
- 更生債権の届出期間は残りわずか。海外で回収済みの分をどう申告するかで、あなたの議決権の重みと配当順位が変わる。期限を過ぎれば、参加資格そのものを失いかねない
取るべき行動
被害を受けた側:1. 取引先の更生手続開始を知ったら、まず債権届出期間を確認し、期間内に全額を届け出る2. 他の債権者が外国で先に回収していないか、管財人や債権者集会の情報から探る3. 先回り回収した債権者がいれば、137条2項を根拠に、その者が受けた割合まで他の債権者が追いつくまでその者への計画弁済を留保せよと管財人・裁判所に主張する4. その者の外国回収分には議決権がないこと(3項)も確認し、関係人集会での票の重みを見直す
訴えられた側:1. 外国で回収した事実は隠さず、管財人に正確に申告する。隠すと後で配当の取消し・返還リスクを負う2. 回収前の全額で手続に参加できる権利(1項)は失わないので、残債権部分の届出を確実に行う3. 国内の計画弁済は他の同順位債権者が同割合に達するまで受けられないことを前提に、資金繰り計画を立てる4. 外国回収分には議決権がないため(3項)、手続内の発言力低下を織り込み、未回収部分での議決権行使に集中する
時効(請求できる期限):本条自体に固有の時効はない。操作上の期限は裁判所が定める更生債権等の届出期間であり、これを徒過すると原則として手続参加資格を失う。外国での権利行使・回収のタイミングと、国内手続の届出・配当のタイミングを並行して管理する必要がある(最新の改正状況をご確認ください)
学説
通説:137条は債権者平等原則を国際的場面に及ぼすホッチポット・ルールであり、外国での回収行為自体は禁じないが、国内の配当段階で回収済み割合を精算し、全債権者が同一割合へ収束するよう調整する規定と解されている。
改正沿革 AI による整理
- 平成14年(2002年)会社更生法全部改正 旧会社更生法(昭和27年法律第172号)を全面的に改め、現行会社更生法(平成14年法律第154号、平成15年4月1日施行)を制定。国際化に対応し、外国にある財産から弁済を受けた更生債権者の手続参加と配当調整(ホッチポット・ルール)を現行の形で整備した
改正の年表
- 1.平成14年(2002年) 改正:旧会社更生法(昭和27年法律第172号)を全部改正し、現行会社更生法(平成14年法律第154号)を制定。国際化に対応し、外国財産から弁済を受けた更生債権者の手続参加と配当調整(ホッチポット・ルール)を現行の形で整備した。
ログインすると、この条文にメモを残して他の利用者と共有できます。
ログインして共同ノートを始める