要点会社更生法87条は、更生会社から手形の支払を受けた者がその支払を受けないと遡求権を失う場合に、否認の規定を適用しないと定め、手形取引の安全を保護する例外規定である。
Q · 倒産前に取引先の手形を取り立てた入金、管財人に返せと言われたら返すの?
原則として返さなくてよい。手形の支払は否認の対象外。
会社更生法87条1項により、その支払を受けなければ裏書人など他の手形債務者への手形上の権利(遡求権)を失う受取人については、否認の規定(86条1項1号)が適用されません。つまり手形で受け取った金は原則返さなくてよい。ただし2項で、最終の償還義務者や手形の振出しを委託した者が支払停止等を知っていた(または過失で知らなかった)場合、管財人はその者から更生会社の支払額を償還させられます。受取人の安全と背後の依頼人の責任は別問題です。
取引先から約束手形で支払を受けた。数か月後、その会社が会社更生手続に入ったと知る。普通の振込で受け取った金なら、管財人に「否認」されて返還を求められるリスクがある。だが手形の支払は違う。会社更生法87条1項は、その支払を受けなければ裏書人など他の手形債務者への手形上の権利を失ってしまう受取人について、否認の規定(86条1項1号)を適用しないと定める。つまり手形で受け取った者は、原則として返さなくてよい。なぜか。手形を呈示して支払を受領しないと、あなたは遡求権(裏書人への請求権)を失う。法はその犠牲を強いてまで否認を貫かない。手形取引の安全を、債権者平等より優先したのだ。さらに3項は、租税や開始前の罰金の支払も否認の対象外とする。あなたが何を握っているか、売掛金か手形か、その一点で倒産局面の生死が分かれる。
会社更生法87条は、倒産手続における否認権(86条)の例外を定める規定である。更生会社から手形の支払を受けた者が、その受領をしなければ他の手形債務者に対する手形上の権利を失う場合に否認を適用しないとし、あわせて租税等の請求権や開始前の罰金等の徴収権限を有する者への支払も否認の対象外とする。
AI 輔助整理,以條文原文為準
否認権とは、倒産前の危機時期に行われた偏頗弁済や財産処分を管財人が取り消し、財団に取り戻す権限です(会社更生法86条)。全債権者の平等を回復するための制度で、87条はその例外を定めます。
偏頗弁済とは、危機時期に特定の債権者だけに支払をして他の債権者より有利に扱う行為です。否認の対象になりますが、手形の支払は87条1項で原則として否認されません。
基本的な発想は共通です。破産法163条にも手形支払の同趣旨の否認例外があります。手続の種類は違っても、手形取引の安全を保護する点は共通しています。
会社更生法95条により、否認権は更生手続開始の日から2年で行使できなくなり、行為の時から20年経過でも同様です。この枠が実務上の時間軸になります(最新の改正状況をご確認ください)。
87条2項により、最終の償還義務者または振出しを委託した者が振出し当時に支払停止等を知り、または過失で知らなかったときは、管財人はその者に更生会社の支払額を償還させられます。
電子記録債権は手形そのものではないため、87条の手形例外がそのまま及ぶかは個別判断になります。遡求関係の有無や制度設計が異なるため、専門家への確認が必要です。
遡求権とは、手形が支払われなかった場合に、裏書人など前の手形債務者に支払を請求できる権利です。手形を呈示して支払を受領しないと、この遡求権を失う関係にあります。
共助対象外国租税とは、租税条約等に基づき日本が徴収を共助する外国の租税です。87条3項の否認例外からは除外され、通常の国内租税等の支払とは扱いが分かれます。
原則として返さなくて大丈夫です。会社更生法87条1項により、その支払を受けないと裏書人など他の手形債務者への手形上の権利を失う場合、否認(86条1項1号)は適用されません。業界裏話ヒント:同じ金額を『普通の振込』で受けていたら危機時期の偏頗弁済として否認されえます。手形か振込か、その違いを管財人は最初に確認します。手形なら根拠を示して強気で反論してよい
取り戻せません。会社更生法87条3項は、租税等の請求権(共助対象外国租税を除く)や開始前の罰金等について、徴収権限を持つ者への担保提供・債務消滅行為に否認規定を適用しないと定めます。業界裏話ヒント:一般債権者から見れば『税務署だけ守られてずるい』と映りますが、これは徴収権限の公益性ゆえの設計です。だから管財人は税の取戻しには手を出さず、否認は私的債権者間の偏頗弁済に絞ります
| dimension | thisArticle | alternatives |
|---|---|---|
| 規定の性質 | 87条:否認の例外(手形支払・租税等を否認対象外とする) | — |
| 適用対象 | 支払を受けないと遡求権を失う手形受取人、徴収権限者への租税等の支払 | — |
| 効果 | 受取人は受領金を返還しなくてよい | — |
| 救済・例外の余地 | 2項で悪意・有過失の振出依頼人に償還請求できる | — |
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