会社更生法 第88条(権利変動の対抗要件の否認)
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- 支払の停止等があった後権利の設定、移転又は変更をもって第三者に対抗するために必要な行為(仮登記又は仮登録を含む。)をした場合において、その行為が権利の設定、移転又は変更があった日から十五日を経過した後悪意でしたものであるときは、これを否認することができる。ただし、当該仮登記又は当該仮登録以外の仮登記又は仮登録があった後にこれらに基づいてされた本登記又は本登録については、この限りでない。
- 2.前項の規定は、権利取得の効力を生ずる登録について準用する。
この条文の基本情報
権利変動の対抗要件の否認とは何ですか?
定義権利変動の対抗要件の否認とは、会社更生法第88条に定められた規定で、「支払の停止等があった後権利の設定、移転又は変更をもって第三者に対抗するために必要な行為(仮登記又は仮登録を含む。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 会社更生法第88条(権利変動の対抗要件の否認)は、日本の会社更生法に含まれる条文です。
- 会社更生法第88条の条文原文は「支払の停止等があった後権利の設定、移転又は変更をもって第三者に対抗するために必要な行為(仮登記又は仮登録を含む。」で始まります。
- 会社更生法第88条は第四節に置かれています。
- 会社更生法の公布日は平成14年12月13日です。
- 会社更生法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 会社更生法第88条の前の条は会社更生法第87条です。
- 会社更生法第88条の次の条は会社更生法第89条です。
- 会社更生法第88条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
会社更生法(平成十四年法律第百五十四号)第88条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/414AC0000000154 - 本サイト収録
会社更生法(平成十四年法律第百五十四号)第88条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/414AC0000000154/88
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点会社更生法88条は、支払停止等の後に権利の対抗要件を効力発生日から15日経過後に悪意で備えた行為を、管財人が否認できると定める。登記が遅れれば担保の優先権が覆る。
Q · 契約も登記もしたのに、登記が遅れたせいで担保が否認されることがあるの?
登記が15日超かつ悪意なら管財人に否認されます
あります。会社更生法88条は、取引そのものではなく「対抗要件を備える行為」を否認の対象とします。支払停止等の後に、権利取得の効力発生日から15日を経過してから、しかも支払停止等を知っていた(悪意)状態で登記・登録(仮登記・仮登録を含む)をした場合、管財人はその対抗要件具備を否認できます。否認されると担保権は更生手続上「なかったこと」になり、無担保債権者として配当を受けることになります。15日以内に対抗要件を備えていれば、この否認は及びません。
解説
取引先の会社から不動産に抵当権を設定してもらった。あるいは売掛債権を譲り受けた。契約も済み、登記も入れた。完璧だと思っている。だが会社更生法88条は、その安心を後ろから崩す。権利を取得した日から15日を過ぎてから対抗要件(登記・登録、仮登記を含む)を備え、しかもその時点で会社の支払停止等を知っていた(悪意)なら、管財人はその対抗要件具備を否認できる。つまり、取引そのものは有効でも、登記が遅れていれば、会社が倒れた瞬間にあなたの優先権は消える。鍵は「いつ登記したか」と「そのとき相手の危機を知っていたか」の二つだ。多くの債権者は契約日ばかり気にして、登記のタイミングを軽視する。その隙を突くのがこの条文である。
法的な位置づけ
会社更生法88条は対抗要件の否認を定める規定であり、支払の停止等の後に権利の設定・移転・変更の対抗要件(仮登記・仮登録を含む)を、効力発生日から15日を経過した後に悪意で備えた場合、管財人がその対抗要件具備行為を否認できる旨を規定する。原因行為の有効性とは区別された、対抗要件具備の時期を捉える否認類型である。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.権利取得日と対抗要件具備日のズレを全件確認 更生会社から取得した担保・債権譲渡について、権利の設定・移転・変更の効力発生日と、登記・登録・仮登記の受付日を一件ずつ突き合わせ、15日を超えるものを抽出する
- 2.悪意(支払停止等の認識)の有無を立証準備 15日超の案件について、対抗要件を備えた時点で支払停止等を知っていたか否かを示す資料を整える。否認する側は手形不渡り・支払遅延・リスケ交渉の記録を、防御する側は当時の与信記録・社内資料を集める
- 3.仮登記・仮登録の但書保護を精査 自分の仮登記より前にされた他の仮登記・仮登録に基づく本登記は、88条1項但書で保護される余地がある。登記の先後関係と仮登記の有無を登記簿で精査する
- 4.除斥期間内に否認権を行使、または防御方針を決定 否認する側は更生手続開始から2年の除斥期間内に、否認の請求・訴訟・抗弁のいずれかで対抗要件具備を否認する(90条・96条)。防御する側は15日以内であること、または善意であったことを主張する
よくある質問 AI による整理
Q1対抗要件の否認とは何ですか?
取引自体ではなく、登記・登録などの対抗要件を備える行為だけを管財人が覆す否認類型です。会社更生法88条が根拠で、15日経過後の悪意の具備が対象になります。
Q2会社更生法88条の15日はいつから数えますか?
権利の設定・移転・変更の効力が生じた日から起算します。不動産売買なら原則として物権変動の効力発生日。仮登記・仮登録もこの対抗要件具備に含まれます。
Q3仮登記でも対抗要件の否認の対象になりますか?
なります。88条は括弧書きで仮登記・仮登録を明示的に含めています。ただし他の仮登記・仮登録に基づく本登記は但書で保護される場合があります。
Q4対抗要件を否認されたら担保権はどうなりますか?
更生手続上「対抗要件を備えていない」扱いになり、優先弁済権を失います。無担保債権者として更生計画に従い配当を受けることになり、回収率が大きく下がります。
Q5否認権はいつまで行使できますか?
更生手続開始の日から2年を経過すると行使できません(会社更生法96条)。会社の行為の時から20年経過したときも同様です。
Q6ファクタリングの債権譲渡登記も否認されますか?
譲渡から15日を過ぎ、その時点で債務者の支払停止等を知っていれば、債権譲渡登記が88条で否認される余地があります。買い取った債権が宙に浮きます。
Q7破産や民事再生でも同じ否認ルールがありますか?
あります。破産法164条、民事再生法129条に同趣旨の対抗要件否認規定があります。手続は違っても15日と悪意の枠組みは共通します。
Q8対抗要件の否認と偏頗行為の否認はどう違いますか?
偏頗行為の否認(86条の3)は既存債務への担保供与・弁済そのものを覆します。88条は対抗要件を備える行為だけを、その遅れと悪意を理由に覆します。
この条文についての質問 AI による整理
Q1契約はちゃんと結んだのに、登記が遅れただけで担保がなくなるって本当ですか?
本当である。会社更生法88条は、取引(権利の設定・移転)そのものではなく「対抗要件を備える行為」を否認する。権利取得日から15日を過ぎ、かつ悪意で登記すれば、担保権の登記だけが覆る。実務のポイント:実務の攻防は「支払停止等」の時期と「悪意」の立証に集中する。管財人は支払停止を早い時点に置きたがり、相手方はそれを知らなかったと反論する。取引時に相手の経営状態のメモや報道を残しているかが、後の悪意認定で生死を分ける
Q215日のカウントって、いつから始まるんですか?
権利の設定・移転・変更があった日、つまり当事者間で物権変動の効力が生じた日から起算する。不動産売買なら原則として契約成立日(特約があればその日)。仮登記もこの対抗要件具備行為に含まれる点に注意(88条1項括弧書き)。実務のポイント:合意日があいまいな契約ほど起算点で揉める。逆に、対抗要件を急いで備える側は合意と登記を同日に揃えておけば、起算点論争自体を消せる
Q3自分は会社が危ないなんて全然知らなかった。それでも否認されますか?
知らなかった(善意)なら否認されない。88条が否認できるのは「悪意でした」場合に限られる。悪意とは支払の停止等の事実を知っていたことであり、財産状態の細部まで知る必要はない。実務のポイント:取引先の手形不渡りの噂、支払遅延、リスケ要請、これらに接していれば「知らなかった」は通りにくい。日頃から与信管理の記録を残す企業ほど、いざというとき「その時点で支払停止を知る端緒はなかった」と主張しやすい
間違えやすい点 AI による整理
- 契約も登記も済ませたから自分の担保権は安泰だと思っているが、登記の時期が遅ければ否認される。有効な取引と、対抗できる優先権は別物だ
- 対抗要件否認の存在は知っていても、その威力を過小評価している人が多い。否認されれば担保権は更生手続上「なかったこと」になり、あなたは無担保債権者の列に並び直す。回収率が数十パーセントから数パーセントへ落ちる
- 「自分は善意だから大丈夫」と考える人がいるが、問われる悪意は「相手の財産状態が健全だと信じていたか」ではなく「支払の停止等を知っていたか」。取引先が手形を落とせなかった噂に接していれば、それだけで悪意と認定されうる。あなたが立てた善意・悪意の基準そのものがずれている
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 否認の対象 | 88条:対抗要件を備える行為(登記・登録・仮登記) | 86条:詐害行為(権利の設定・移転そのもの) 86条の3:偏頗行為(既存債務への担保供与・弁済) |
| 成立要件の核 | 効力発生日から15日経過 + 悪意での対抗要件具備 | 債権者を害する行為 + 悪意 支払不能後等の偏頗 + 受益者の悪意 |
| 起算・基準時 | 権利変動の効力発生日(仮登記含む) | 行為時 支払不能・支払停止・開始申立ての前後 |
| 否認の効果 | 対抗要件のみ覆滅、優先権喪失(原因行為は残存) | 行為自体が更生財産に対し失効 担保・弁済が更生財産に対し失効 |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾は破産法に否認権を置くが、日本88条のような対抗要件具備の時期に特化した15日ルールは明文化されていない。実務は詐害行為・偏頗行為の枠で処理されることが多い
韓国の債務者回生法は対抗要件の否認を明文で置き、日本と類似の構造を持つ。回生手続・破産手続の双方に並行規定がある
ドイツ倒産法は否認権(Insolvenzanfechtung)の母法。§ 140が法律行為の効力発生時点を定め、対抗要件具備の時期を捉える日本88条の発想に通じる
米国破産法の偏頗否認(preference)は § 547(e) で perfection(対抗要件具備)の時点を明示的に規律し、具備の遅れを否認の起点とする点で日本88条と機能的に近い
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- あなたの会社が取引先 A に商品を納め続け、焦げ付き防止に A の不動産へ抵当権を設定してもらった。だが登記を入れたのは設定契約から3週間後、しかもその間に A が手形のジャンプを頼んできていた。A が更生手続に入った今、管財人はあなたの抵当権登記を否認しようとしている。あなたの優先弁済権は、登記の遅れで宙に浮く
- もし、債権譲渡を受けてから15日以内に譲渡登記を済ませていたら、何が変わるか。答えは決定的に変わる。15日以内なら、たとえ相手の危機を知っていても88条の否認は及ばない。一日でも超えた瞬間、悪意の有無が問われる土俵に引きずり込まれる
- 登記を急がせなかった司法書士。気を利かせて「落ち着いてからで」と数日待った。その数日が、依頼者の担保権を消した
- 更生手続開始の申立てが報じられた。あなたが先月受けた担保の登記は、合意から18日後に入れていた。管財人が否認権を行使できるのは開始から2年。その間ずっと、あなたの優先権は崩される可能性を抱えたまま宙吊りになる
- あなたが他の一般債権者として更生手続を見ているとき、特定の銀行だけが駆け込みで担保登記を整えていたら、それは否認の標的になりうる。否認が通れば、その担保財産は更生会社に戻り、あなたを含む債権者全体の配当原資が増える
取るべき行動
被害を受けた側:1. 更生会社の財産変動を洗い、権利取得日と対抗要件具備日(登記・登録・仮登記の受付日)のズレを全件確認2. 15日を超えるものを抽出し、その時点で相手方が支払停止等を知っていた(悪意)と推認できる事情、手形不渡り・支払遅延・リスケ交渉の記録を集める3. 否認の対象を絞り、否認権を行使(会社更生法90条)。否認の請求・訴訟・抗弁のいずれかで主張4. 開始から2年の除斥期間内に必ず動く(同96条)
訴えられた側:1. まず権利取得日から対抗要件具備日までが15日以内かを確認、以内なら否認は及ばず正面から争える2. 15日超なら、対抗要件を備えた時点で支払の停止等を知らなかったこと(善意)を立証、与信記録や当時の社内資料を揃える3. 自分の仮登記より前の仮登記に基づく本登記は、ただし書で保護される(88条1項但書)ので登記の先後関係を精査4. 否認が避けられないなら、回復する債権(会社更生法93条)の扱いを管財人と協議
時効(請求できる期限):否認権は、更生手続開始の日から2年を経過すると行使できない(会社更生法96条)。更生会社の行為の時から20年を経過したときも同様。88条の起算点となる「15日」は、権利の設定・移転・変更の効力が生じた日から数える(最新の改正状況をご確認ください)
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