会社更生法 第164条
クイックジャンプ
- 租税等の請求権及び第百四十二条第二号に規定する更生手続開始前の罰金等の請求権については、前二款(第百四十四条を除く。)の規定は、適用しない。
- 2.第百四十二条の規定による届出があった請求権(罰金、科料及び刑事訴訟費用の請求権を除く。)の原因(共助対象外国租税の請求権にあっては、共助実施決定)が審査請求、訴訟(刑事訴訟を除く。次項において同じ。)その他の不服の申立てをすることができる処分である場合には、管財人は、当該届出があった請求権について、当該不服の申立てをする方法で、異議を主張することができる。
- 3.前項の場合において、当該届出があった請求権に関し更生手続開始当時訴訟が係属するときは、同項に規定する異議を主張しようとする管財人は、当該届出があった請求権を有する更生債権者等を相手方とする訴訟手続を受け継がなければならない。当該届出があった請求権に関し更生手続開始当時更生会社の財産関係の事件が行政庁に係属するときも、同様とする。
- 4.第二項の規定による異議の主張又は前項の規定による受継は、管財人が第二項に規定する届出があったことを知った日から一月の不変期間内にしなければならない。
- 5.第百五十条第二項の規定は第百四十二条の規定による届出があった請求権について、第百五十七条、第百六十条及び第百六十一条第一項の規定は第二項の規定による異議又は第三項の規定による受継があった場合について、それぞれ準用する。
この条文の基本情報
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 会社更生法第164条は、日本の会社更生法に含まれる条文です。
- 会社更生法第164条の条文原文は「租税等の請求権及び第百四十二条第二号に規定する更生手続開始前の罰金等の請求権については、前二款(第百四十四条を除く。」で始まります。
- 会社更生法第164条は第三款に置かれています。
- 会社更生法の公布日は平成14年12月13日です。
- 会社更生法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 会社更生法第164条の前の条は会社更生法第163条です。
- 会社更生法第164条の次の条は会社更生法第165条です。
- 会社更生法第164条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
会社更生法(平成十四年法律第百五十四号)第164条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/414AC0000000154 - 本サイト収録
会社更生法(平成十四年法律第百五十四号)第164条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/414AC0000000154/164
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点会社更生法164条は、租税等の請求権を通常の更生債権調査確定手続から除外し、管財人は課税処分を審査請求や訴訟で争う方法でのみ異議を主張できると定める規定である。
Q · 会社が更生手続に入ったら、高すぎる税金でもそのまま払うしかないの?
管財人が1か月以内に課税処分を争えば覆せる
会社更生法164条により、租税等の請求権は通常の更生債権の調査確定手続から外れます(1項)。ただし元になった課税処分が審査請求や税務訴訟で争える処分なら、管財人は同じ不服申立ての方法で異議を主張でき(2項)、係属中の訴訟は管財人が受け継ぎます(3項)。条件は一つ、管財人が届出を知った日から1か月の不変期間内に動くこと(4項)。この期間を逃すと過大な税額がそのまま確定し、弁済原資を圧迫します。
解説
会社が更生手続に入った瞬間、税務署、年金事務所、自治体から次々と請求が届く。多くの経営者はこう考える。「税金はお上が決めた金額だ、争いようがない」。だが164条はその常識を裏切る。まず1項は、租税等の請求権には通常の更生債権の調査確定手続(前二款)が適用されないと宣言する。つまり一般債権者のように届出額をその場で認否で争う仕組みがない。では泣き寝入りか。違う。2項以下が抜け道を用意している。届け出られた租税請求権の元になった課税処分が、本来 審査請求や税務訴訟で争える処分であれば、管財人はその同じ不服申立ての方法で異議を主張できる。すでに訴訟が係属中なら、管財人がそれを引き継ぐ(3項)。ただし条件が一つ、管財人が届出を知った日から1か月の不変期間内に動かなければ、その税額は確定する(4項)。会社の命運を左右する数億円の税額が、たった1か月の沈黙で覆せなくなる。
法的な位置づけ
会社更生法164条は、更生手続における租税等の請求権の取扱いの特例を定める規定である。租税等の請求権を通常の更生債権の調査確定手続から除外する一方、課税処分が不服申立ての対象である限り、管財人が審査請求・訴訟という本来の方法で異議を主張する道を残し、その行使を1か月の不変期間に限定する。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.債権届出から租税等の請求権を抽出する 管財人就任直後、債権届出の山から国税・地方税・社会保険料・共助対象外国租税をすべて別ファイルに抜き出す。混在したまま放置すると1か月の期限を逃す
- 2.課税処分が不服申立ての対象か確認する 各租税請求権の元になった処分が審査請求や税務訴訟で争える処分かを確認する。審査請求の前置が必要かどうかで、いきなり訴訟受継できるか審査請求から始めるかが決まる
- 3.届出を知った日を起点に1か月の期限を逆算する 164条4項の不変期間は届出を知った日が起算点。この日付を書面で記録し、1か月後の最終日をカレンダーに赤丸で固定する。不変期間は伸長されない
- 4.審査請求・訴訟提起・訴訟受継のいずれかを実行する 争う余地があれば、不変期間内に審査請求、税務訴訟の提起、または開始時係属中の訴訟の受継(164条3項)を実行する。期間内の専門判断が難しければ倒産・税務双方に強い弁護士・税理士へ直ちに相談する
よくある質問 AI による整理
Q1会社更生法164条とは何ですか?
更生手続における租税等の請求権の特例を定めた規定です。租税請求権を通常の調査確定手続から外し、管財人が課税処分を不服申立てで争う道を残しています。
Q2更生手続で租税債権はどう扱われますか?
164条1項により通常の更生債権の調査確定手続が適用されず、一般債権のように認否で争えません。優先的に弁済原資から弁済される強い債権です。
Q3管財人が税額を争える期限はいつまでですか?
管財人が届出を知った日から1か月の不変期間内です(164条4項)。不変期間のため裁判所による伸長は原則できず、1日でも過ぎると税額が確定します。
Q4共助対象外国租税とは何ですか?
租税条約等に基づき外国の税務当局から徴収共助を求められた外国の租税です。164条では共助実施決定が異議の対象になります。
Q5会社更生と民事再生で税金の扱いはどう違いますか?
会社更生では租税が優先的更生債権として手続内で扱われます。民事再生では一般優先債権として手続外で随時弁済される点が異なります(現行効力を要確認)。
Q6社会保険料の滞納は更生手続でどうなりますか?
社会保険料も租税等の請求権に含まれ、164条の対象です。猶予していた未納分が優先的更生債権として現れ、優先弁済原資を食います。
Q7不変期間は延長できますか?
原則できません。不変期間は裁判所による期間伸長が認められない厳格な期間で、164条4項の1か月を過ぎると異議の機会を失います。
Q8罰金や科料も会社更生で争えますか?
争えません。罰金、科料、刑事訴訟費用の請求権は164条2項の異議の対象から除外されており、不服申立てによる是正の枠外です。
この条文についての質問 AI による整理
Q1会社が倒産したら、滞納していた税金はチャラになりますか?
なりません。租税等の請求権は更生手続でも優先的に扱われ、164条1項により通常の更生債権の調査確定手続からも外れます。つまり一般債権のように免責、減免される枠組みの外にあります。実務のポイント:税額そのものを争いたいなら、管財人が164条2項の不服申立てルートで課税処分を争うしかなく、しかも4項の1か月という不変期間付き。倒産すれば税金が消えると思って手続に入ると、最優先で弁済原資を持っていかれて再建計画が崩れる
Q2管財人が税金が高すぎると思ったら、勝手に減額できるんですか?
できません。管財人にできるのは、課税処分を本来の審査請求や税務訴訟で争うこと(164条2項)と、係属中の訴訟を受け継ぐこと(164条3項)だけです。減額の可否を判断するのは国税不服審判所や裁判所です。実務のポイント:更生手続の内部で税額を値切る交渉テーブルは存在しない。だから倒産案件に強い弁護士は、開始直後に租税請求権だけを別ファイルにして1か月の期限管理を最優先する。ここを落とすと弁護過誤になりかねない
Q3罰金や科料も税金と同じ扱いですか?
似ていますが別枠です。罰金等の請求権(142条2号)は164条1項で同じく通常手続から外れますが、2項の不服申立てによる異議の対象からは罰金、科料、刑事訴訟費用が除かれています。実務のポイント:刑事手続を通じて確定する罰金は、行政処分である課税処分と違い、審査請求のような不服申立てルートで争う仕組みがない。だから更生手続の側で異議を主張する余地そのものが構造的にない、という整理になっている
間違えやすい点 AI による整理
- 「税金は更生手続でも全額そのまま優先的に取られる、争う余地はない」と思われているが、164条2項は課税処分が不服申立ての対象である限り、管財人が異議を主張する道を明確に残している。問題は争えるかどうかではなく、1か月以内に動けるかどうかだ
- 租税請求権が通常の調査確定手続から外れること自体は知られているが、その深刻さは見落とされがちだ。一般債権なら認否を留保して後から争えるが、租税は4項の不変期間を逃すと事後的な救済が原則ない。「手続から外れる」とは「猶予がない」という意味でもある
- 「管財人が高すぎる税額を直接減額できる」と考えるのは、問いの立て方そのものが間違っている。管財人にできるのは課税処分を審査請求・訴訟で争うことだけで、減額を決めるのは国税不服審判所や裁判所だ。更生手続の内部で税額を値切る権限は誰も持っていない
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 調査確定手続の適用 | 164条1項:適用しない(租税等・罰金等の請求権) | 142条:租税等の請求権の届出(手続の入口) 150条:一般更生債権の認否・調査 |
| 争い方 | 審査請求・訴訟等の本来の不服申立て(164条2項) | 届出に基づき手続内で処理 管財人の認否・債権者の異議で確定 |
| 期間制限 | 届出を知った日から1か月の不変期間(164条4項) | 届出期間(一般調査期間との関係) 一般調査期間内の認否 |
| 罰金等の扱い | 1項で手続から除外、2項の異議対象からも罰金・科料・刑事訴訟費用は除外 | 142条2号:罰金等の請求権も届出対象 — |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾は公司重整で債権申報を要し、租税は稅捐稽徵法6条で優先権を持つ。日本のように租税専用の不服申立て受継規定を更生法内に置く構造ではなく、一般の租税救済手続に委ねる点が異なる。
韓国は倒産法を一本化し、回生手続における租税債権を優先的に扱う。租税の確定は本来の不服申立てによる点で日本と類似する。
ドイツでは租税は原則 Insolvenzforderung(倒産債権)として届け出られ、税額確定は租税手続(AO)で行う。再建手続でも租税の確定権限は財務当局・財政裁判所に残る。
米国 Chapter 11では § 507(a)(8) で租税が優先順位を持ち、§ 505で倒産裁判所が税額を独自に決定できる点が大きく異なる。日本は税額判断を本来の税務手続に委ねる。
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- もし更生会社に対して、税務調査の結果として過大な追徴課税が届出されたら、どうなる? 一般の更生債権なら管財人が認否で争えるが、租税請求権は164条1項で通常の調査確定手続から外される。争う唯一の道は、管財人が1か月以内に審査請求か税務訴訟を起こすこと。期間を1日でも過ぎれば、過大な税額がそのまま優先的に弁済原資を食う
- あなたが税務当局の担当者で、更生手続開始前から係争中の税務訴訟を抱えていたとする。会社が更生手続に入ると、164条3項により相手方が更生会社から管財人へ切り替わり、管財人があなたを相手取って訴訟を受け継ぐ。突然、交渉相手が裁判所選任の専門家に変わる
- 管財人に就任した弁護士のあなた。膨大な債権届出の山の中に、本社が見落としていた地方税の更正処分が紛れていた。気付いた日から残された不変期間はあと11日。審査請求の起案が間に合うか
- 更生計画案を作る段階で、税額が確定済みか未確定かで弁済原資の試算が根底から変わる。1か月の異議期間を逃した瞬間、その数字は動かせない前提として計画に焼き付く
取るべき行動
被害を受けた側:1. 更生手続開始後、債権届出の中から租税等の請求権(国税、地方税、社会保険料、共助対象外国租税)をすべて抽出する2. それぞれの元になった課税処分が審査請求や税務訴訟で争える処分か確認する3. 争う余地があれば、届出を知った日を起点に1か月の不変期間内に審査請求、訴訟提起、訴訟受継のいずれかを実行する4. 期間内の専門判断が難しければ、倒産と税務の双方に強い弁護士、税理士に直ちに相談する
訴えられた側:1. 更生手続開始前から税務訴訟が係属している場合、相手方が更生会社から管財人へ交代することを前提に手続を進める2. 管財人が164条3項で訴訟を受け継ぐ場合、その受継が1か月の不変期間内かを確認する3. 罰金、科料、刑事訴訟費用の請求権は2項の異議の対象外であり、別枠で扱われる点に注意する4. 共助対象外国租税の場合は共助実施決定が異議の対象になるため、決定の内容と通知時期を整理しておく
時効(請求できる期限):管財人が第142条の届出があったことを知った日から1か月の不変期間内(164条4項)。不変期間のため裁判所による期間の伸長は原則できない。罰金、科料、刑事訴訟費用の請求権はこの異議の対象から除かれる(最新の改正状況をご確認ください)
学説
通説:164条は徴収の迅速性・公益性を理由に租税等の請求権を通常の調査確定手続から外す一方、課税処分の当否は本来の不服申立てルートで管財人が争えるとする。減額の判断権は国税不服審判所・裁判所にあり、更生手続内部で税額を交渉的に減額する権限は管財人にも裁判所にもない、と整理される。
改正沿革 AI による整理
- 平成14年(2002年) 会社更生法の全部改正により旧法(昭和27年法)を全面的に置き換え、現行164条が成立。租税等の請求権を通常の調査確定手続から除外しつつ、不服申立てによる管財人の異議の道を整理した
- 平成25年(2013年) 国際的な滞納処分の共助制度の導入に伴い、共助対象外国租税の請求権に関する規律(共助実施決定を異議の対象とする等)が組み込まれた
改正の年表
- 1.平成14年(2002年) 改正:会社更生法の全部改正(旧昭和27年法を全面的に置換)により現行164条が成立。租税等の請求権を通常の調査確定手続から除外しつつ、不服申立てによる管財人の異議の道を整理した。
- 2.平成25年(2013年) 改正:国際的な滞納処分の共助制度の導入に伴い、共助対象外国租税の請求権の規律(共助実施決定を異議の対象とする等)が組み込まれた。
ログインすると、この条文にメモを残して他の利用者と共有できます。
ログインして共同ノートを始める