会社更生法 第129条(源泉徴収所得税等)
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更生会社に対して更生手続開始前の原因に基づいて生じた源泉徴収に係る所得税、消費税、酒税、たばこ税、揮発油税、地方揮発油税、石油ガス税、石油石炭税、特別徴収に係る国際観光旅客税、地方消費税、申告納付の方法により徴収する道府県たばこ税(都たばこ税を含む。)及び市町村たばこ税(特別区たばこ税を含む。)並びに特別徴収義務者が徴収して納入すべき地方税及び森林環境税の請求権で、更生手続開始当時まだ納期限の到来していないものは、共益債権とする。
この条文の基本情報
源泉徴収所得税等とは何ですか?
定義源泉徴収所得税等とは、会社更生法第129条に定められた規定で、「更生会社に対して更生手続開始前の原因に基づいて生じた源泉徴収に係る所得税、消費税、酒税、たばこ税、揮発油税、地方揮発油税、石油ガス税、石油石炭税、特別徴収に係る…」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 会社更生法第129条(源泉徴収所得税等)は、日本の会社更生法に含まれる条文です。
- 会社更生法第129条の条文原文は「更生会社に対して更生手続開始前の原因に基づいて生じた源泉徴収に係る所得税、消費税、酒税、たばこ税、揮発油税、地方揮発油税、石油ガス税、石油石炭税、特別徴収に係る…」で始まります。
- 会社更生法第129条は第一節に置かれています。
- 会社更生法の公布日は平成14年12月13日です。
- 会社更生法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 会社更生法第129条の前の条は会社更生法第128条です。
- 会社更生法第129条の次の条は会社更生法第130条です。
- 会社更生法第129条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
会社更生法(平成十四年法律第百五十四号)第129条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/414AC0000000154 - 本サイト収録
会社更生法(平成十四年法律第百五十四号)第129条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/414AC0000000154/129
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点会社更生法129条は、更生手続開始前の原因で生じた源泉所得税や消費税のうち、開始時に納期限未到来のものを共益債権とし、更生債権より先に随時弁済すると定める。
Q · 取引先が会社更生したら、うちの売掛金は税金より後回しになるの?
源泉税など納期限未到来分は共益債権で先に弁済されます
会社更生法129条により、更生手続開始前の原因で生じた源泉徴収所得税や預り消費税、特別徴収の地方税等のうち、開始当時にまだ納期限が到来していないものは共益債権となります。共益債権は更生計画に拘束されず、更生債権・更生担保権に先立って随時弁済されます(同法132条)。これらは従業員や消費者から国のために預かった金であり、会社自身の負担ではないため、一般債権者と分け合わせない扱いです。なお開始前にすでに納期限が到来していた滞納分は本条の対象外です。
解説
取引先が会社更生に入ったと聞いた瞬間、あなたが真っ先に気にすべきは、自分の売掛金が回収の列のどこに並ぶかだ。多くの人は「倒産したら債権者はみんな平等に泣く」と思い込んでいる。会社更生法129条は、その前提を静かに裏切る。会社が従業員の給料から天引きした源泉所得税、客から預かった消費税、たばこ税、揮発油税、特別徴収の地方税。これらのうち、更生手続開始の時点でまだ納期限が来ていなかったものは、すべて「共益債権」になる。共益債権は更生計画に縛られず、一般の更生債権より先に、随時まるごと弁済される(同法132条)。理由はシンプルだ。源泉徴収した所得税は、もともと会社の金ではない。従業員の税金を、国に代わって預かっていただけの金だからだ。あなたが貸した金より、税務署が会社に預けさせていた金の方が、先に出ていく。
法的な位置づけ
会社更生法129条は、更生手続開始前の原因に基づく源泉徴収所得税・消費税・酒税・たばこ税等および特別徴収義務者が納入すべき地方税等のうち、開始当時に納期限が到来していない請求権を共益債権とする規定である。共益債権は更生計画に拘束されず、更生債権に優先して随時弁済される点で、一般の更生債権と区別される。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.取引先の納税状況を把握する 取引先の会社更生手続開始を知ったら、その会社の源泉所得税・消費税・特別徴収地方税の滞納状況を可能な範囲で把握する。共益債権として頭から抜かれる枠の大きさが、一般債権者に残る原資を左右する
- 2.自分の配当原資を試算する 共益債権(129条・132条)として随時弁済される見込額を先に差し引き、残余からの自分の配当率を冷静に見積もる。回収可能性が薄ければ早めに担保設定や債権譲渡を検討する
- 3.更生債権の届出を期限内に行う 裁判所が定める届出期間内に更生債権を確実に届け出る。放置すると失権し、配当原資があっても受け取れなくなる
- 4.共益債権の過大計上に異議を述べる 共益債権の見積額に、開始前にすでに納期限が到来していた滞納税が混入していないかを確認する。過大計上なら異議を述べ、その分の順位を更生債権側へ正すことで自分の配当原資を取り戻す
よくある質問 AI による整理
Q1共益債権とは何ですか?
更生手続を遂行するために必要な費用等の請求権で、更生計画に拘束されず更生債権・更生担保権より先に随時弁済される債権です。会社更生法132条が弁済方法を定めます。
Q2会社更生と破産で源泉税の扱いは違いますか?
考え方は共通します。会社更生では129条で共益債権、破産では破産法148条で財団債権となり、いずれも一般債権より優先して弁済されます。
Q3納期限未到来とはいつ時点で判断しますか?
更生手続開始当時を基準に判断します。開始時にまだ納期限が来ていなければ共益債権、すでに過ぎていれば滞納分として別扱いになります。
Q4更生債権と共益債権の違いは何ですか?
更生債権は更生計画により削減・分割される一般債権です。共益債権は計画に拘束されず随時かつ全額が弁済される別格の債権です。
Q5消費税も共益債権になりますか?
なります。129条は源泉所得税だけでなく、預り消費税・酒税・たばこ税・揮発油税等および特別徴収の地方税等も列挙しています。
Q6会社更生法132条の随時弁済とは何ですか?
共益債権は更生計画の認可を待たず、その都度全額を弁済できるという扱いです。配当率の議論に乗らず頭から満額が支払われます。
Q7開始前に滞納していた税金はどうなりますか?
開始当時すでに納期限が到来していた滞納分は129条の対象外で、共益債権にはなりません。別の順位(更生債権等)として扱われます。
Q8特別徴収の住民税も共益債権ですか?
特別徴収義務者が徴収して納入すべき地方税で、開始時に納期限未到来のものは129条により共益債権となります。
この条文についての質問 AI による整理
Q1取引先が会社更生したら、うちの売掛金は税務署より後回しなんですか?
残念ながら、源泉徴収所得税や預り消費税のうち更生手続開始時に納期限未到来だったものは共益債権となり(会社更生法129条)、あなたの売掛金のような更生債権より先に随時弁済されます(同132条)。実務のポイント:同じ税金でも、開始前にすでに納期限が過ぎていた滞納税は129条の対象外で別の順位に入る。だから取引先の決算と納税スケジュールを読めば、自分がどの順位の後ろにいるか、申立て前にある程度推測できる
Q2なんで源泉所得税だけそんなに優遇されるんですか?消費税も?
源泉徴収した所得税は、もともと会社の財産ではなく、従業員の税金を国に代わって預かっている金だからです。預り金的な性格ゆえに、会社の倒産で他の債権者と分け合わせるのは筋が通らない、というのが129条の発想で、消費税やたばこ税など間接税・特別徴収分も同じ理屈で列挙されています。実務のポイント:この「預り金だから別格」という論理は破産手続でも同じで、破産法148条で財団債権として最優先級に扱われる。倒産の種類が変わっても、源泉税の特等席は動かない
Q3源泉税を滞納したまま会社が倒産したら、社長個人は逃げられますか?
まず会社の財産から共益債権として徴収されるのが原則ですが(129条)、それで足りない場合、徴収・納付を怠った分について状況により第二次納税義務や役員個人の責任が問われる余地があります。実務のポイント:源泉所得税の不納付は単なる滞納と違い、預かった他人の金を納めなかったという性質上、不納付加算税のほか、悪質なら刑事罰の対象にもなりうる。運転資金が苦しくても源泉税だけは別管理、というのが倒産を経験した経営者が口を揃える教訓だ(最新の改正状況をご確認ください)
間違えやすい点 AI による整理
- 「倒産したら債権者は平等」という前提そのものが間違っている。会社更生には共益債権という別格の枠があり、納期限未到来の源泉所得税はそこに入る。平等なのは、共益債権を払い終えた後の残りを分け合う段階だけだ
- 「税金が優先されるのは知っている」人でも、その深刻度を読み違える。共益債権は更生計画の認可を待たず随時全額が弁済される。配当率が何 % という議論の土俵にすら乗らず、頭から満額が抜かれる。優先の意味が、単なる順位ではなく別次元なのだ
- 「開始前に発生した税だから更生債権だろう」と問いを立てた時点でずれている。129条の分かれ目は発生時期ではなく、開始当時に納期限が到来していたかどうか。同じ開始前原因の税でも、納期限未到来なら共益債権、到来済みの滞納なら別枠。問うべきは原因日ではなく納期限だ
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 弁済時期 | 共益債権(129条):更生計画によらず随時弁済 | 更生債権(2条):更生計画認可後に計画に従い弁済 更生担保権(2条):更生計画に従い弁済(担保価値の範囲で優遇) |
| 更生計画の拘束 | 拘束されない(削減・分割の対象外) | 拘束される(削減・分割・猶予される) 拘束される(担保部分は手厚いが計画に従う) |
| 弁済順位 | 更生債権・更生担保権に先立つ(132条) | 共益債権・更生担保権の後 更生債権に優先、共益債権の後 |
| 対象となる税 | 開始時に納期限未到来の源泉税・消費税・特別徴収地方税等 | 開始時に納期限到来済みの滞納税は更生債権側に区分 —(担保付債権が対象、税は通常含まない) |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾は会社重整手続と税捐優先権で類似の優先構造を持つが、共益債権という同一概念での規律ではない。
韓国は回生手続で源泉徴収等の租税債権を共益債権として優先弁済する点で日本に近い。
ドイツは倒産手続に関連する租税等を財団債務として優先弁済する。区分の基準は日本と異なる。
米国は源泉徴収した信託基金税(trust fund taxes)を高順位で扱い、預り税を別格とする点で共通する。
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 取引先の製造会社に2,000万円の売掛金がある。その会社が会社更生を申し立てた。配当の前に、会社が抱えていた納期限未到来の源泉所得税と消費税が共益債権として丸ごと先取りされ、残った財産から、あなたを含む一般債権者がようやく分け合う。あなたの取り分の計算は、税の優先枠を引いた後から始まる
- あなたが更生会社の管財人だとする。資金繰り表を組むとき、納期限未到来の源泉税・消費税を共益債権の随時弁済枠に入れ忘れると、計画全体が崩れる。これらは更生計画の認可を待たず、いつでも払わねばならない別次元の支払いだ
- もし、源泉所得税の納期限が更生手続開始の3日後だったら? 開始当時まだ納期限が到来していないので129条の共益債権になる。逆に開始前にすでに納期限を過ぎていた滞納分は別扱い。たった数日のずれが、その税金の順位をまるごと変える
- あなたが資金繰りに窮した会社の社長で、源泉所得税の納付を後回しにして運転資金へ回していた。会社が更生に至ったとき、その未納の源泉税は最優先級で追いかけられる。さらに、預り金の流用は経営者個人の責任にまで火が付きうる
取るべき行動
被害を受けた側:1. 取引先の更生手続開始を知ったら、その会社の源泉所得税・消費税・特別徴収地方税の滞納状況を可能な範囲で把握する2. 共益債権(129条、132条)として頭から抜かれる見込額を試算し、残余からの自分の配当率を冷静に見積もる3. 期限内に更生債権の届出を確実に行い、放置で失権しないようにする4. 共益債権の見積額に、開始前に納期限到来済みの滞納税が混入していないかを確認し、過大計上なら異議を述べて順位を正す
訴えられた側:1. 更生会社・管財人は、開始当時に納期限未到来の源泉税・消費税・特別徴収地方税を共益債権として洗い出し、随時弁済枠に確実に組み込む2. 開始前に納期限到来済みの滞納分は別区分(更生債権等)として切り分け、混同を避ける3. 資金繰り計画で共益債権の随時弁済を最優先級に位置づけ、更生計画の認可前でも払える資金を確保する4. 源泉税の不納付は加算税・刑事罰のリスクを伴うため、平時から預り税を別管理し流用を断つ
時効(請求できる期限):本条の核心は「更生手続開始当時まだ納期限の到来していないもの」という時点要件にある。これを満たせば共益債権となり、更生計画によらず随時かつ更生債権・更生担保権に先立って弁済される(会社更生法132条)。なお国税の徴収権自体は法定納期限から原則5年で消滅時効にかかる(国税通則法72条、最新の改正状況をご確認ください)
学説
通説:源泉徴収所得税や預り消費税は会社自身の負担ではなく、従業員・消費者から国のために預かった金であるため、倒産手続でも他の私債権と同列に削るべきでないとされる。この預り金的性格が、納期限未到来分を共益債権として別格扱いする立法趣旨の核心である。
改正沿革 AI による整理
- 平成14年(2002年) 旧会社更生法(昭和27年法律172号)の全部改正により現行会社更生法(平成14年法律154号、施行平成15年)が成立し、共益債権に関する規定が再編されて本条の体系に整理された
- 税目の追加(年次要確認) 国際観光旅客税(2019年導入)や森林環境税(2024年課税開始)が本条の列挙に含まれており、新税創設のたびに改正された形跡がある。各改正の正確な年次と新設・改正の区別は人的検証を要する
改正の年表
- 1.平成14年(2002年) 改正:旧会社更生法(昭和27年法律172号)の全部改正により現行会社更生法(平成14年法律154号、施行平成15年)が成立し、共益債権の規定が再編されて本条の体系に整理された。
- 2.令和元年(2019年)以降 改正:国際観光旅客税(2019年導入)等の新税創設に伴い、本条の列挙税目に追加された形跡がある。正確な改正年次と新設・改正の区別は人的検証を要する。
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